After シン・エヴァンゲリオン   作:ヨコダケハンサム

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第壱話 シンジ、帰還

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 目を覚ましたシンジは、これまでとは違う景色に一言呟く。

「見知らぬ天井だ」

 

 シンジの声に気づいたのか、女性が振り返り、

「碇シンジさん、気づきました」

 

 声の方にシンジは顔を動かす。

「鈴原サクラさん…」

 

「はい、鈴原サクラです。碇シンジさん」

 サクラは元気に応える。

 

 サクラの元気な声を聴くと、シンジは今までのことを思い出し、

「みんなは戻ってこれた」

 

「はい、皆さん無事です。

 エヴァパイロットの皆さんもこの船の中にいますよ。

 皆さん、碇さんと会いたがっていますよ」

 

 

 安心してシンジは胸をなでおろし、自分のいる場所について尋ねる。

 

「ここはヴィレが所持している船舶の中です。皆さんが脱出した脱出ポッドを回収しにきました。

 碇さんは8号機のエントリープラグの中に入っていました。

 目を覚ましたばかりなので先生を呼んできて体の検査をしてもらいますけど、その後皆さんと面会することも可能です」

 

 サクラはシンジに背を向けて病室の扉と向かう。

 

 シンジはベットから起き上がり、

「鈴原サクラさん、ありがとう」

 

「こちらこそ、碇シンジさん。

 あと私のことは、サクラでいいですよ。鈴原だとお兄ちゃんとまぎわらしいですし」

 

「わかったよ。サクラさん

 僕のこともシンジでいいよ」

 

「いか…シンジさん、世界を救ってくださってありがとうございます」

 サクラはシンジに礼を言うと病室の外と出た。

 

 

 

 

2

 

 

 シンジの検査は無事終わり、体には異常はなかった。

 病室に戻ると先客がいた。

 

「バカシンジ遅いのよ」

 あきれたような物言いのアスカ。今はヴィレの制服を着て以前付けていた眼帯はなく、両目は青く輝いている。

 

「碇君」

 か細い声。白いプラグスーツを着たレイ。

 

「シンジ君、また会えたね」

 中学の制服姿のカヲル。

 

「ワンコ君も目を覚ましていても経ってもいられなくてね

 姫やレイちゃんなんてワンコ君が目を覚まさないんじゃないかと病室を行ったり来たり」

 少しおどけたようにするマリ。

 

 その言葉にアスカは顔を真っ赤にさせ、

「コネ眼鏡、あたしはこのガキが目を覚まさなかったらこちらの目覚めが悪いから心配していただけで別にそんな心配なんかしてないわよ。

 むしろそこのいけ好かない奴が心配してなかったことが意外だわ」

 

 アスカの言葉に対してカヲルは、

「僕はシンジ君が目覚めることを信じていたからね。

 友達を信じることは当然のことだよ」

 

「あんた、調子のいい奴ね。

 ところでレイあんたもこのガキになんか言ったらどうなの」

 

 アスカに急かされたレイは微笑を浮かべ、

「碇君、こういう時の顔、これで合ってる?」

 

 静かにシンジは頷く。

 

 2人に対してじれったくなったアスカは、

「レイ、こんなでいいの?」

 

「アスカ、いいの。

 時間があるんだもの」

 

 2人の掛け合いにシンジは一つの疑問を抱き、

「ところでさ、綾波とアスカはいつから名前で呼ぶように?」

 

「アスカに無理やり…」

 

 レイの言葉足らずの回答にアスカはレイに向き合い、、

「レイがね、船に回収されてから、あたしのことを2号機パイロットとしか呼ばないから、アスカと呼べって言ったのよ。

 もうエヴァもないんだから2号機パイロットなんて呼ばれるのもおかしいじゃない。そして、あたしのことをアスカって呼んでもらってオアイコってこと」

 

 

「あとね、シンジ」

 

 アスカはシンジの方に向き変えて一言、

「今回は助けてくれてありがとう」

 気持ちの良い笑顔だった。

 

「うん」

 その笑顔に釣られてシンジも笑った。

 

 

 

 

3

 

 パイロットのみんなとひとしきり話した後、シンジの病室にはリツコが大事な話があると訪ねてきてパイロットはシンジの病室を出て行った。

 

 リツコは備え付けてあるパイプ椅子に腰をかけ、

「シンジ君、久しぶりね」

 

「はい、リツコさん。お久しぶりです。

 大事な話って何ですか?」

 

 リツコは少し申し訳なさそうな表情を浮かべながら、

「その前にシンジ君、あなたが初号機からサルベージされた時は、ごめんなさい。

 あの時は、あなたが本当の碇シンジかどうか確証が持てなかったから何も説明が出来なくて」

 

 リツコの言葉にシンジはリツコの目を見て、

「いいんです、リツコさん。

 あの時の僕は何もわかってなかったですから。

 自分がやっとことの意味について、あの時は綾波が助かればいいと思ってニアサードインパクトを起こして、自分勝手だったんですよ」

 

「いいのよ。シンジ君。あの時のあなたは子供で責任はあの時ネルフにいた私たちにもあるの。

 それにミサトも言っていたようにあの時使途を倒さしてくれなかったらあの時点で世界は滅びていたの。

 だからあなただけの責任ではないよ」

 

 リツコの言葉に目頭が熱くなる。

「あ、ありがとうございます。リツコさん。

 僕、あの時ヴンダーから出て行ったあとネルフで世界がどうなったのか聞かされて、凄く後悔していてそういっていただけて凄くうれしいです」

 

 シンジの瞳から涙がこぼれ、服の袖で涙を軽く押さえる。

 

 リツコはそんなシンジの頭をなでながら、

「あなたはエヴァの中で14年眠っていて、まだ子供なんですから無理しなくていいのよ。

 それより未来について話しましょう。もともとはそれを聞くためにここに来たんですから」

 

 シンジは顔をリツコに向けて、

「未来の話ですか?」

 

「ええ、あなたは今回ヴンダーに乗ってヴィレの作戦に参加したけど、あなたはヴィレ所属の人間ではないわ。

 だから、これからあなたがどうするのか。あなた自身が決めるのよ」

 

 ゲンドウの計画を止めるという決意でヴンダーに乗り、初号機に乗ったシンジには未来というものは漠然な物であり、簡単に結論が出るものではなかった。

 

「すいません、リツコさん。

 時間をいただけませんか、まだ目覚めたばかりで」

 

「いいのよ。シンジ君。

 この船が港に着くまで数日間あるわ。その間にアスカ達と話したり、私達と話したりしてゆっくり決めるといいわ。

 あなたが救ってくれた世界、時間はたっぷりあるわ」

 

 リツコはまた来るといい病室を出て行った。

 

 

 シンジはリツコを見送った後、ベットに寝そべり天井を見た。

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