仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS   作:大ちゃんネオ

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ツルギの世界

「初めましての方は初めまして。知ってる方にはファンサービス! どうもアリスです♪ 早速なんですが皆さんは並行世界とか異世界、パラレルワールドってご存知ですか? もちろん知ってますよね異世界転生大好きな皆さんですから当然ですよね。というわけでこのお話ではこことは違う異世界、並行世界が鍵を握ります。────合わせ鏡が映す別世界での闘いの物語をどうぞご堪能ください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我は汝、汝は我――いま我ら完全の一として、喝采を受け顕現しよう。我らが名はメタロー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖山駅前。 

 聖山市内で一番大きな駅で昼間だというのに駅の構内にも駅と隣接するペデストリアンデッキにも人の気配はなく、不気味なほどに静かであった。いや、正確にはずっと音が鳴り響いている。

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 聞いているとどこか不安になるような音……。

 ここは、ミラーワールド。

 鏡の中の世界。

 それを証拠に街に並ぶ看板や標識の文字は全て鏡に映したかのように反転している。

 そんなの異様な世界に、別の音が加わった。

 金属同士がぶつかり合うような音。

 剣と剣のぶつかる剣戟の音。

 

「ぜあッ!!!」

 

 ペデストリアンデッキの下。現実の世界ではバスプールとなっている場所。

 太刀と鉈が斬り結ぶ。

 鉈を振るうは般若のような顔をし、四本もの腕が生えた異形。

 名はヤシャメタロー。

 そして太刀を舞わせるは白き剣の騎士。

 御剣燐の変身する仮面ライダーツルギ。

 

『チィ! この世界にも仮面ライダーがいたとは!』

「この世界にも……? それよりお前達は一体!?」

『我は高次元生命体メタロー。魔人教団が一員! ヤシャメタロー!』

「魔人、教団……? ぐっ!?」

 

 謎の脅威、魔人教団という言葉に気を取られ、押し返されるツルギ。

 その隙をわざわざ見逃すようなヤシャメタローではない。

 

『獲ったッ!!!』

「くっ!?」

 

 迫る四つの刃。

 直撃は免れないかと思われた。

 だが……。

 

『ぬおぉぉッ!?』

 

 何かがヤシャメタローに直撃し、爆ぜた。

 続いて風を切って二撃目も命中。 

 風切り音を耳にしたツルギは音のした方角を向く。

 やや上方。

 そして 自分を援護してくれた者の姿を視認した。

 駅に接するペデストリアンデッキの上。 

 

「美玲先輩!」

 

 地上へと舞い降りた彼女、仮面ライダーアイズはすかさず矢を番えてヤシャメタローへと矢を放つ。

 矢の連撃をくらったヤシャメタローは地面へと伏したがまだダウンを取っただけである。

 その隙にアイズは先に戦闘していた燐からヤシャメタローについて訊ねる。

 未だ見たことのない、ミラーモンスターとも毛色の違う相手について。 

 

「燐。あれはモンスターなの?」

「いえ、言葉を話したので……。あと、自分のことをメタローとかなんとか言ってました」

「メタロー……。アリスがまた何かやらかしたのかしら」

「残念ながらそれは違いますよ~」

 

 会話に割って入った第三者。

 ツルギ達の近くにあるベンチにいつの間にか腰掛けていた美しい黒髪を腰まで伸ばした少女。

 その名をアリス。

 この世界のライダー達が行うライダーバトルの管理運営を行っている謎の存在である。

 

「アリス。貴女の仕業でないならあれはなんなの」

「私の仕業だなんて決めつけ酷いですねぇ。私があんなライダーバトルの邪魔にしかならないような存在を投入すると思いますか? あれは先程燐君が言った通りメタローと呼ばれる存在の一個体。端的に言い表すならそうですね~。異世界からの侵略者。みたいな感じです♪」

「異世界?」

 

 アリスの言葉に疑問符を浮かべるツルギ。

 自分達が今いるここ、ミラーワールドも異世界と言えるがそれとも違う異世界なんてものがあるのかと一人考える。

 

『よくもやってくれやがったな!』

 

 考えているのも束の間。

 ヤシャメタローが起き上がり、鉈を二人に向けていた。

 

「とにかく倒すしかないようね」

「ですね。行きましょう美玲先輩!」

 

 太刀を構えてヤシャメタローへと駆け出そうとする直前。

 

「あ、お空に注意ですよ燐君」

 

 アリスがそう言ったので空を見上げるツルギとアイズ。

 青い空に謎の影が浮かんでいる。

 巨大な鳥のような影。

 そして、その影から何かが大量に放たれたのを見て燐と美玲は同時に後方へと飛び退いた。

 そして、二人のいた場所から火花を上がる。

 

「あぶな……」

「無事でなによりです燐君♪」

「ああ、うん。ありがと……。って、それより!」

 

 一応、アリスに礼を言ってから改めて駆け出すツルギ。

 一方アイズは……。

 

「アリス。覚えておきなさい」

「きゃーこわーい美玲ちゃん。燐君に伝えれば美玲ちゃんも避けるだろうなぁと思っただけであって決して美玲ちゃん一人だったら教えてないとか美玲ちゃんには当たれぇ! なんて思ってませんからぁ!」

 

 含みのある笑みをアイズに向けるアリス。

 女同士の諍い。

 二人の間には火花が散っていた。

 しかしアイズはすぐにこいつよりもメタローとかいう敵の方が優先かと判断して、心中ではアリスをいつか絶対に殺すと誓って自分は空の敵を相手取ることにした。

 

『なに外していやがるクレイン!』

『そこの女が教えていなければ命中していた。私は悪くない』

 

 仲間同士で言い争うメタロー達。

 そんなことはお構い無しにとヤシャメタローには太刀が、空を飛ぶ鶴のようなメタロー『クレインメタロー』には矢が見舞われた。

 

『お前達卑怯だぞ!』

「知らないそんなこと! 人を襲おうとしてたんだ。即斬る!」

 

 太刀を振るい、攻め続ける。

 しかし四本の腕、四刀流の鉈の防御は固く、崩し難い。

 ヤシャメタローのカウンターの一撃を回避しながら距離を取ると太刀を地面に突き刺し、腰に差していた細剣『竜召剣スラッシュバイザー』を抜く。

 籠柄に相当する部分を開くとバックルに装填されたカードデッキからカードを引いた。

 二振りの短剣が描かれたカードをバイザーに挿入。

 

【SWORD VENT】

 

 電子音が響くと空からカードに描かれていた短剣が飛来しそれを掴んだ。

 コンバットナイフほどの大きさの短剣二刀流。 

 得物の数ではヤシャメタローの半分である。

 しかし、ツルギには考えがあった。

 

『二刀流が四刀流に敵うわけねぇだろ間抜けが!』

「……ハッ!」

 

 ヤシャメタローの煽りなど気にも止めず駆け出す。

 太刀を握っていた時よりも速く。そして、鋭く。

 

『ぬおっ!?』

 

 いつの間にか、間合に入られていたことに驚愕するヤシャメタロー。 

 すぐに防御しようとするが……。

 

(ち、近すぎる……!)

 

 あまりの間合の近さに鉈が使えない。

 四本の腕を持つヤシャメタローは腕の内側に入られてしまってはもう為す術がない。

 そして繰り出される波状の斬撃。

 胴、腕、肩、首、顔。

 あらゆる箇所を斬りつけられる。

 一撃一撃は太刀や鉈には及ばない威力。

 だが、幾重にも重なるこの攻撃は────。

 

『ぬわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』

 

 ヤシャメタローを倒すのに充分な力となる。

 最後、逆手に構えた短剣ですれ違いざまにヤシャメタローを切り裂くツルギ。

 その背に、ヤシャメタローの爆炎を背負った。

 

 

 

 

 

 

 

 空に浮かぶ敵、クレインメタローに矢を放つアイズ。

 しかし、矢は容易く回避されてしまう。

 

『空を縦横無尽に飛び回る私にはお前の矢など当たらん。ハァッ!!!』

 

 自身の羽根をマシンガンのように連射するクレインメタロー。

 アイズはペデストリアンデッキを駆け回り回避するがクレインメタローの攻撃は続く。

 

『空を飛べないお前では私には勝てない。下等生物らしく地に足ついたお前達ではなぁ!』

 

 劣勢のアイズ。

 だが、頭は冷静に反撃の一手を定めていた。

 デッキからカードを引くと左腕に備えられた弩のような召喚機にカードを装填する。

 

【ADVENT】

 

 電子音が告げる。

 すると、大空に猛禽のような鳴き声が轟いた。

 

『なんだ……? ぐわぁッ!?』

 

 クレインメタローの背後を高速で掠めていった巨鳥。

 風圧でバランスを崩すがすぐに建て直した。

 クレインメタローを襲った青い巨大な猛禽のようなモンスターの名は『ガナーウイング』。

 背中に二門の砲を装備したアイズの契約モンスターである。

 旋回し、再びクレインメタローに迫るガナーウイング。

 今度は鋭い爪を立て、クレインメタローを捕まえると鋭い嘴で襲う。

 しかしただではやられまいとクレインメタローは羽根手裏剣を至近距離で放つ。

 地へと堕ちていくガナーウイングを見下すクレインメタロー。

 所詮はモンスター()かと呟くがガナーウイングはアイズと契約しているモンスターである。

 ガナーウイングにかまけてアイズのことを思考から置き去りにしていたことがこの戦いの行く末を決めた。

 

【FINAL VENT】

 

 それは、処刑宣告であった。

 デッキから跳躍し空へと浮かぶアイズ。

 このままではいずれ自由落下することとなる。

 だが、電子音を聞いていたのはアイズとクレインメタローだけではない。

 落下中のガナーウイングが体勢を立て直すとアイズの元へと向かう。

 そしてガナーウイングはアイズの背中に纏われることによって彼女と翼となるのだ。

 更に両足にはガナーウイングの鉤爪を模した武装が備わり敵を仕留める準備をは完了させる。

 クレインメタローよりも高く舞い上がったアイズは獲物の姿を見つめる。

 

『ば、馬鹿な!? チィ!!!』 

 

 羽ばたき、逃げようとするクレインメタロー。

 しかし、それは許されない。

 ガナーウイングの背中の砲が火を噴いた。

 次々と放たれる砲弾はクレインメタローに逃げ場を与えない。

 そして……。

 

 急降下し、クレインメタローを鉤爪で捕らえるとクレインメタローを振り回し、そして空に放つ。

 最早、この体勢では逃亡など出来ない。

 

「はぁぁぁぁ!!!!!」

 

 重力に縛られ、堕ちていくクレインメタローに繰り出されるボレーキック。

 鉤爪により切り裂かれ、青い空に赤い炎が咲いた。

 

「ごめんなさい。私も飛べるのよ……。ッ!?」

 

 爆炎を見つめながらそう呟くアイズであったが、爆発の中から少女が一人落ちていくのが見えたので急いで少女を救出し地面へと降り立った。

 少女はおそらく中学生だろう。

 しかしどういうわけか。

 あのメタローという怪人の正体……?

 

「メタローは他の知的生命体と同化することで怪人としての身体を得るのです。その子も同化されてしまったのでしょう」

「アリス……」

 

 いつからそこにいたのか分からない。

 しかしこの女はいつもそんなものだと言及はしない。

 それよりもメタローについて他になにを知っているのかを訊ねようとしたアイズだったが先にアリスが口を開いた。

 

「そんなことよりここがミラーワールドだということをお忘れなく。ライダーでないこの子はここでは長く保ちませんから」

 

 その言葉によって焦りが生まれるアイズ。

 すぐにどこかの鏡から彼女を現実世界へと戻してあげなければと。

 だが、アイズの腕の中にいた少女は一瞬の内に消えてしまった。

 

「そん、な……」

「あ~あ。折角救えたかもしれない命だったのに残念……というのはドッキリで私の権限で人目につかない場所に返してあげました! ビックリしました? しましたよねぇ? その反応が見たかったんですぅ!」

 

 拳を握り締めるアイズ。

 アリスを殴ってやろうと思ったがツルギが駆けよってきたのを見て止めた。

 そしていつか絶対に殺すと何度目かも分からぬ誓いを立てたのだ。

 

「美玲先輩! 大丈夫でしたか?」

「ええ、大丈夫よ」

「もう倒したら人が出てくるんでビックリしましたよ……。アリスがその人をあっちに返してくれたから良かったですけど」

 

 この女、燐には良いところを見せようとして……と美玲が思ったのは言うまでもない。

 

「それでアリス。詳しく聞かせてくれるんでしょうね? あのメタローとかいう奴等のこと」

「……まあ、話しておくしかないですね。今後のライダーバトルにも関わってきますし。というかライダーバトルなんてやってる場合じゃなくなってしまいました」

 

 その言葉に驚愕する燐と美玲。

 まさかアリスの口からライダーバトルをやってる場合でないという言葉が出るとは思わなかったからだ。

 

「異世界からの侵略者ですから彼等は。あらゆる並行世界を襲撃しているのです。そしてその牙が遂にこの世界にも向けられた……。そのための対抗手段はこの世界ではこのライダーシステムしかありません。流石の私もこの世界をどうこうされるのは困るので仕方ありませんが奴等を追い払うまではライダーバトルは中止です」

 

 アリスの言葉にまずは理解を示す二人。

 だが、並行世界のことはまだ何も知らない。

 それに、これまで殺し合ってきた者達がそんな簡単に協力出来るのかと。

 強い願いを持つ者達が今の話を聞いて納得するのか。

 しかし、自分達の世界が侵略されるというのであれば……と燐は戦うことの覚悟を決めた。

 

「僕のやることは変わらない。人間を守る。モンスターからもメタローからも。メタローから世界を守ったら今度はこの戦いを止めるよ、僕は」

 

 仮面の下、強い眼差しをアリスに向けた。

 

「……まったくこれだから燐君は……」

 

 小声で呟き、髪を弄るアリス。

 どうしたのかと首を傾げる燐であった。

 

『よもや、同胞がこうも容易く倒されるとは』

 

 突然現れた新たなるメタロー。

 三度笠を被った浪人のような姿の敵を前にツルギは太刀を握り直した。

 

『我が名はバンブーメタロー。儂に刃を向けるものよ、来い。貴殿とは少しばかり刃を合わせたい』

 

 自身の得物である竹槍を向けてツルギとの立ち合いを所望するバンブーメタロー。

 その雰囲気は先程までのメタローとは違う。

 

「燐……」

「大丈夫です美玲先輩」

 

 心配する美玲にそれだけ言ってバンブーメタローの元へと歩み寄るツルギ。

 バンブーメタローは槍を上段に構え、ツルギは太刀を脇構えにして睨み合った。

 静寂。

 いつどちらが動いてもおかしくない。

 両者互いに脳内で相手の出方を計算していた。

 そして……動いた。

 風が鳴くと同時に駆けたのはツルギ。

 真っ直ぐに駆けたツルギはバンブーメタローの背後で足を止めた。

 再び、静寂。

 静寂を破ったのはバンブーメタロー。

 槍を握ったままの両腕がコンクリートを叩き、小気味のいい音を上げた。

 

『おお……。これほどの使い手と出会えるとは……』 

「貴方の負けです」

 

 バンブーメタローの方を向き、切先を向けるツルギ。

 勝敗は決したかに見えた。

 

『しかし小童、やはりまだ若いな』

「なに……?」

 

 バンブーメタローの腕が尋常でない速度で再生される。

 そして、どこからともなく取り出した二本目の竹槍を横薙ぎに振るいツルギを弾き飛ばした。

 

『このような姿と成り果て生き恥を晒してきたがもう少しばかり生き恥を晒そう。貴殿との立ち合いという生きる糧を見つけた。恥を晒す程の価値がある!』

 

 背後に謎の光を放つバンブーメタロー。

 光、いや空間が歪んでいるかのように見えたそれからツルギはバンブーメタローの行動を察した。

 

「逃げる気か!」

『生き恥をまだ晒すと言った。次の仕合に備え鍛え直そうぞ!』 

 

 こいつが強化されて現れるのかそれでも迎え撃つのみ。

 そう思った燐であったがメタローの特性を思い出した。

 あのバンブーメタローに同化させられてしまった人がいると。

 ならば、その人を救わなければならない。

 光の門をくぐり撤退しようとするバンブーメタロー。

 このままでは間に合わないと燐は全速力で駆け出した。

 

「まずい! あいつと一緒に行ってしまっては!」

「燐ッ!!!」

 

 強い光に包まれる。

 光が治まると、そこにはバンブーメタローの姿も燐の姿もなかった。

 ミラーワールドに、美玲の叫びが木霊した。

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