仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS   作:大ちゃんネオ

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襲い掛かる魔の手

 月曜日。

 章太郎は既に学校に行って、絶賛授業を受けているという時間になって、ようやく燐とムゲンは起床した。

 夜明けまで続いた特訓が二人を黄金の眠りに誘ったわけだが。

 

「二人とも遅かったじゃないか。さあ、開店するぞ~」

「え、あの……」

「今日は俺達ちょっと用事あるんで店の手伝いは……」

 

 今日からはバンブーメタローの捜索に専念しようと思っていた二人であったが思わぬ展開に。

 まさか、今日まで店番に駆り出されることになろうとは。

 

「そ、そういやおやっさん。今日は病院行った方がいいと思うぜ。腰ヤバいだろ?」

「そうですよ。ちゃんとお医者さんに診てもらった方がいいと思います」

「いやいや。二人のおかげで店が評判になったんだ。廃れてきた店の再興のチャンス逃すわけには……」

 

 権兵衛の言葉に首を傾げる二人。

 なんで、自分達のおかげでお店が評判に?

 二人が疑問に思っているのを察した権兵衛が「外を見てみろ」と言うので窓の外を見てみるとそこには……。

 昼下がりのマダム達が列をなしていた。

 その手には燐、ムゲンの名が書かれたうちわやらなにやらを手にしている。

 さながら、アイドルのファンのよう。

 

「一体、どういうこと……」

「二人は顔がいいからファンがついたんだよファンが。さあ、今日も頼んだよ~。ムゲン君は昨日の通りキッチンで料理作ってくれるだけでいいから。燐君も昨日の通りに接客と軽い世間話してあげるんだよ」

 

 こうして、二人の思惑通りにはいかずに店番をやらされてしまうことに。

 なんとかしてこの状況を抜け出さなければと考える二人だったが果たして……。

 

 

 

 

 

 学校では通常通りの日程で授業が進んでいた。

 昨日の事件もあって自習とかになるのではないかと密かに期待していたのだがなかなかそういうわけにもいかない。

 

「なー昨日の事件って仮面ライダーが解決したって話、本当なのかな?」

「そんなの嘘だろ。仮面ライダーはテレビなんだし」

「どうせデマだよ」

 

 昼休みの教室にそんな会話が響く。

 仮面ライダーというものに否定的な語をスルー出来るほど、章太郎はまだ大人ではなかった。

 

「仮面ライダーはいるよ! ツルギとデュオルが怪人を倒したんだ!」

「はぁ? 藤堂君そんな嘘信じてるの?」

 

 章太郎の言葉に最初に反応したのはクラスでも中心的人物である早瀬瑠璃子であった。

 

「嘘じゃないよ。今その二人は家にいるんだ」

「そんな嘘ついて何が楽しいの。仮面ライダーなんているわけないじゃん」 

 

 仮面ライダーなんているわけない。

 その言葉はこの世界において真実である。

 あの二人が来たことでそうとも言えなくなったが、世の大勢の人間からしてみれば、まだ世界の常識は覆っていなかった。

 そのため、早瀬の言葉に賛同する者の数の方が多いのは当然のこと。

 早瀬が官軍、章太郎が賊軍。

 章太郎に味方する者はこの場にはいなかった。

 そんな針のむしろから逃げ出すのは仕方ないことだ。

 居場所なんてどこにもなく、ただ校舎をあてもなく歩く。

 

「本当のことなのに……。嘘じゃないのに……」

 

 これでは、燐とムゲンに合わせる顔がない。

 あの二人がいたから街は最小限の被害で済んだのだ。

 もし、二人がいなかったらこうしていつものように学校に来ることも出来なかったかもしれないのに。

 これでは、二人がかわいそうだ。

 二人のためにも、やはり自分がみんなに仮面ライダーが街を救ったということを伝えるべきじゃないのだろうか。

 

「……藤堂君? どうしたの暗い顔して」

「桜子先生……」

 

 章太郎のクラスの担任教師、緑川桜子が暗い顔で廊下を歩いていた章太郎を見つけ声をかけた。

 まだ教師になって二年目。

 明るく、分け隔てない性格でみんなから好かれる教師。

 もしかしたら、桜子先生なら信じてくれるかもしれない。

 そう思った。

 しかし、章太郎は話せなかった。

 もし、桜子先生にも否定されてしまったら。そう考えると、勇気が出なかった。

 

「クラスで何かあった? 先生に話してみて?」

 

 視線を合わせるために屈んだ桜子は章太郎の肩に手を置いた。

 その時、章太郎は桜子の二の腕に貼られた絆創膏に気付いた。

 

「先生、それ」

「ああ、これね。昨日の事件でね、信じてもらえないかもしれないけど、怪人に襲われたの。その時怪我しちゃって……。あの時はもう駄目だと思ったなぁ。けどね、先生を助けてくれた人がいたの。白い鎧の騎士みたいだったけど……。あれって」

「仮面ライダー!」

 

 思わず、大声を出してしまった。

 まさか、先生が仮面ライダー。燐兄ちゃんに助けてもらっていたなんて。

 感激に浸る。

 自分の言ったことを嘘とは言わない。

 先生ならば、僕が嘘を言っていないことの証人にはうってつけだといろんな考えが脳内を巡っていた。

 

「やっぱりあれ仮面ライダーであってたんだ! 弟と昔一緒によく見てたからなんとなく仮面ライダーかなぁって思ってはいたけど……。へえ、仮面ライダーって本当にいたんだ~」

「本当にいるんだよ仮面ライダー。けど、誰も信じてくれなくてさ」

「そっか。けど、きっとみんな信じてくれるよ。また何か大変なことが起こった時に、みんなを助けてくれる。だって、仮面ライダーだから」

 

 優しく微笑みかける桜子の言葉が章太郎にとっては何よりも嬉しいものだった。

 仮面ライダーを信じてくれている人がいる。

 そのことが、とても嬉しかったのだ。

 

 ────その時、急に大きな地鳴りが響いた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

 地鳴りのあとに校舎が揺れ始める。

 揺れはどんどん大きくなっていき、立っていられないほど。

 転びそうになった章太郎を桜子先生が支えるが、もうそれで精一杯である。

 早く揺れが収まってほしいと祈るが、事態は更に悪化する。

 校舎を、何かが貫いた。

 次々と床を突き破り、天井を突き破り細い柱のようなものが校舎を串刺しにしていく。

 悲鳴と崩壊の音が、世界を包んだ。

 

 

 

 

 

 Hamelnでも、小さな揺れを感じ取っていた。

 地震かと誰もが思っていたが、会計を済ませ店を出た客の一人が尋常でない驚き方をしたので何かと燐は店の外に出て、それを見た。

 

「あれは……!」

「どうかしたのか? ……って、おいおいマジか……」

 

 目の前の光景に二人は絶句した。

 予想以上、予想外。

 

「あ、あぁ……!」

「どうしたおやっさん!」

 

 二人が外に出たので、権兵衛も気になって外に出てきたのだが、その顔は青くなった。

 

「あっちには、章太郎の小学校が……!」

「なんですって!?」

 

 燐とムゲンは顔を見合せた。

 互いに、思っていることは一緒だと頷き駆け出した。

 そこが、自分達の行くべき場所だと。

 仮面ライダーが行くべき場所。

 戦場へと、向かったのだ。

 

 

 

 

 

 揺れと、校舎を突き刺した柱のようなものが生えてくるのが収まり恐る恐る二人は辺りを見渡した。

 

「何が起こったの……」

 

 桜子先生の問いに答えるものはいない。

 誰にも、この現象の原因は分からないからだ。

 とにかく他のみんなが大丈夫なのか心配になったので教室に戻ろうと思ったが、道を塞ぐものがあった。

 校舎を貫く、柱。

 いや、近くで見るとこれは柱ではない。

 

「……竹?」

 

 

 

 

 

 

 

「現場よりお伝えします! 突如として巨大な竹が市街地を覆ってしまいました! 一帯は竹林となっており地上の様子を伺うことは出来ません!」

 

 

 

 

 

 

 

『さあ来い仮面ライダー……。我が槍にてその首を貰い受けよう』

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