仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS 作:大ちゃんネオ
バイクを飛ばし、突如現れた竹林へと向かっている二人。
ムゲンは愛車ビッグストライダーを駆り、燐は権兵衛のバイクを借りている。
とにかく急げと法律など無視して走る二人だったが、その行く手を遮るように道路が爆ぜた。
竹林と共に現れたモンスター『ゲルニュート』の攻撃によるもので、ここから先には行かせないと言っているかのようにゲルニュートの群れが二人に襲いかかった。
「くそ、強行突破するしかないか!?」
「それならムゲンさんは先に行ってください。今のでバイク、やられちゃったみたいで」
「マジかよ! くそ、確かに普通のバイクじゃな……」
「いいから行ってください。絶対に追いつきますから」
ここに燐一人を置いて先に行くのは……。そんな迷いがムゲンの中にあった。
しかし、燐の強い意思を宿した目を見てその迷いは払拭された。
彼とて、仮面ライダーなのであると。
深夜の特訓でお互いの力をぶつけ合い、彼の実力も知っている。
ならば、ここは仲間を信じるべきだ。
「……先に行ってるぜ!」
「はい!」
ここからは変身して駆け抜ける。
せめて、ツルギの負担を減らそうとビッグストライダーを驀進させゲルニュート達に突進させ数を減らしていく。
「……信じてるからな。来いよ、燐君」
この呟きは風に流され消えていく。
だが、思いは通じるはずだとデュオルは駆け抜けていった────。
デュオルを先に行かせたツルギは大群のゲルニュート相手に大立ち回りを見せていた。
数では劣勢。
だが、そんなことは問題ではない。
問題は、いかに迅速にゲルニュート達を倒しきり、デュオルに合流するか。
その一点であった。
ここでカードを切ってしまったら後の戦いが苦しくなる。
だが、効率良くいくならばここでカードを切ってしまうのが良いかもしれない。
しかし、敵も敵でそんな隙を与えてくれない。
「どうするか……。ん……?」
『──────』
戦闘の最中、音が聴こえてくる。
デッキを持っているものにのみ聴こえてくる、ミラーワールドの音。
ゲルニュート達が発生しているから?
それにしては、何か違和感を感じる。
『──── !!! ────』
今、何か別の音が混ざった。
聞き間違い?
いや、この音は知っている。
脳が記憶していなくとも、身体が記憶している。
この、エンジン音は────。
「────スラッシュサイクル!!!」
呼び声に呼応するかの如く、エンジンの高鳴りが響いた。
そして、近くに停められていた車をゲートにスラッシュサイクルがミラーワールドからこちらの現実世界へと姿を現す。
純白のマシン。
見た目はオンロードだがどんな悪路も駆け抜ける、ライダーの友。
ヘッドライトはツルギの仮面を模していて、黄金の三本角が輝いている。
ツルギ専用のスーパーマシン、『スラッシュサイクル』である。
「ハッ!!!」
近付いてきたゲルニュートを太刀で切り裂き、スラッシュサイクルへと飛び乗る。
アクセルを吹かすと、それがまるで威嚇のようであり、ゲルニュート達は後退った。
臆した敵など、最早恐れるに足りるものではない。
「これで決める────!」
スラッシュサイクルを走らせ、ゲルニュートの群れへと突撃していくツルギ。
轢く、斬る、突く、弾き飛ばす。
敵を凪ぎ払う嵐となる。
そして、倒されたゲルニュート達の爆炎をくぐり抜け、デュオルのもとへ向かい加速していく────。
道中もゲルニュート達の妨害に会い、なかなか歩を進めることが出来ずにいたデュオル。
元凶を倒せばこいつらも共倒れるとは思うが、かといってこの溢れ出したゲルニュートを無視出来るかと言われるとNOである。
それに単純に数の多さが厄介であり、さながら壁のよう。
これを一人で突破していくのは骨が折れる。
そう、
唸る、もう一つのエンジン音。
「ハアッ!!!」
ゲルニュート共を吹き飛ばし、颯爽と現れる純白の騎士と白馬。
近場のゲルニュートを一掃したツルギが隣に並んできたので、早速デュオルは声をかけた。
「よう。今日が納車日?」
「ええ。大安を選んでね」
「その割には縁起が悪そうな奴等ばっかだぜ。納車日に廃車するんじゃないか?」
「縁起でもない。それにこいつはそう簡単には壊れないですよ」
「そうかい。それじゃあ、一緒にツーリングしようぜッ!!!」
二台同時に駆け出す。
誰も、彼等を止めることなど出来ない。
荒れ狂う二つの風となり、疾走する二人の仮面ライダー。
黒き巨躯、ビッグストライダーは力強く駆け、長大な角で敵を薙ぎ倒す。
白き刀身を思わせるマシン、スラッシュサイクルは居合の如き速さで走り抜け、敵を切り裂いていく。
彼等の通る道はこれより先、暴風域となる。
校舎の中。いや、この竹林に覆われた一帯は阿鼻叫喚の地獄となっていた。
竹林の暗闇の中はモンスター『ゲルニュート』が跋扈し、人間を見つけ次第捕食している。
そしてその脅威は校舎の中にまで侵食してきて……。
「いやぁ!!!」
「こっちに来るなぁ!!!」
児童、教員達が逃げ回る。
だが、逃げた先にもゲルニュートはいる。
最早、逃げ場などなかった。
「何よこれ! 何なのよこれ!?」
これまでの常識ではあり得ないことが立て続けにおき、早瀬瑠璃子は……人々はパニックとなっていた。
こんな状況どうにもならない。
ここで自分達は終わるのだ。
都合良く、助けてくれるヒーローなどいない。
だが、それでも叫ぶのだ。
助けてと────。
「おらぁぁぁぁぁッ!!!!」
怒号が、聞こえた。
激しい、怒号が。
そして次の瞬間、近くの壁がぶち抜かれ、その反対側の壁にゲルニュートが叩きつけられた。
「ヤバいなこれ。ゾンビ映画みたいって思ってたが、校舎の中入ったらもっとゾンビ映画っぽいぜ」
土煙の向こう側から、人の声が聞こえた。
一体誰だ。
いや、それよりも壁をぶち壊したのは彼なのか。
敵なのか、味方なのか。
誰もがそんなことを考えるから、先程までの喧騒は嘘のように静まり返り、この声の主の正体が何者なのかということを気にしていた。
そして、土煙の向こう側から声の主が一歩こちらに足を踏み出しその正体を現す。
赤い大きな瞳。
身に纏っているスーツ、アーマー。
腰に巻かれたベルト。
その姿を見て、思わず瑠璃子は彼も冠するだろう英雄達の名を呟いていた。
「仮面、ライダー……」
「ああ。助けに来たぜ」