仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS   作:大ちゃんネオ

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激突

「先生……」

「ここでじっとしてれば大丈夫だから……」

 

 章太郎と桜子は近くの教室の中に隠れていた。

 幸いなことに、この教室にはゲルニュート達はまだ入っては来なかった。

 だが、いつまでもそれが続くという保証はない。

 前触れもなく、窓ガラスからゲルニュートが三体現れパニックになる二人。

 桜子は生徒である章太郎だけでも守ろうと庇う。

 しかし自分では守ることなど出来ない。

 このまま二人共死んでしまう。

 

「助けて……」

 

 脳裏に浮かんだのは昨日の白い騎士。

 また、あの時のように助けてほしいと願うが奇跡はそう何度も起きるものではない。

 やはり、諦めるしかないのだろうか……。

 諦めが鎌首をもたげた瞬間、ゲルニュートの一体が突然倒れた。

 

「え……?」

 

 残された二体は何が起きたと振り向くが既に遅い。

 二体共、既に切り裂かれてしまっていたのだから。

 

『キィア……』

 

 糸の切れた人形のように力なく倒れたゲルニュート。

 そして立っていたのは白き騎士、仮面ライダーツルギ。

 いつの間にこの教室の中に入ってきていたのか、そんなことよりまた助けられてしまったと桜子はお礼をしようと思ったが、章太郎に先を越されてしまった。

 

「燐兄ちゃん!」

「章太郎君! 怪我はない?」

「うん。桜子先生が守ってくれたから」

 

 互いに名前で呼び合う二人。

 やけに親しげだったので思わず、桜子は二人の関係について訊ねてしまった。

 

「あの、章太郎君は仮面ライダーと知り合いなの?」

「そうだよ! 燐兄ちゃんもムゲン兄ちゃんも家で厄介になってるんだ!」

 

 章太郎の言葉にツルギはぎこちなく笑った。

 なにやら微妙な問題らしいということを桜子は悟った。

 

「それより、早くここから脱出しないと!」

「そうなんだけど……。この巨大な竹林はモンスターだらけで皆を連れて脱出するのは難しいんだ」

「そんな……」 

 

 この学校に辿り着くのも、デュオルとツルギの二人だったからこそ容易かった。

 互いに道中邪魔するモンスターを倒して来ることが出来たからだ。

 しかし、ここの児童や教職員、近隣住民を護衛しながら竹林の中を進むというのはいくら仮面ライダーとは言え困難というもの。

 

「とにかく、この事態を終わらせるには元凶を倒すしかない……」

「じゃあ早くその元凶を見つけないと!」

『その必要はない……』

 

 桜子がそう言い終える前に、奇怪な声が割って入った。

 すぐさまそれがバンブーメタローのものだと察知したツルギは章太郎と桜子を自身の背後に回し、太刀を構える。

 

『三度目の邂逅よな、ツルギよ』

「バンブーメタロー……!」

 

 何もない床に渦を巻いた影が湧き上がる。

 その影の中から、バンブーメタローが浮上していく。

 その身体はより強く、より禍々しいものへと変貌していた。

 修行の成果?

 そう思ったツルギであったが、内心違和感を覚えた。

 そもそも、こいつは本当にバンブーメタローなのか?

 前回とは圧倒的に違う。

 強者の放つ、圧のようなもの。

 それが前回までのバンブーメタローと大きく違う。

 あれは、なにか……()()()()()()

 直感がそう教える。

 純粋な武の魔人であったバンブーメタローはもういない。

 異質なものが混ざり、溶け合い。今のバンブーメタローを産み出した。

 

『さあ、決着をつけようぞ! 仮面ライダーッ!!!』

「ッ!」

 

 バンブーメタローの神速の槍が放たれる。

 これまで二度、対峙してきた時とは比べ物にならないほどの速さ。

 ツルギの心臓目掛けて放たれた刺突はツルギが章太郎と桜子を庇いながら跳び避けたことで回避することは出来た。

 だが、ツルギは焦っていた。

 今のは、防御よりもなにより二人を守るために先に動き出していたから避けた。

 奴が動き出してからでは遅い。

 間に合わない。

 その事実がツルギを焦らせる。

 

「二人とも、一刻も早く逃げてください……。デュオルが……もう一人のライダーが校舎の中にいるからなんとか合流してほしい。こいつは、二人を守りながら戦えるような相手じゃない……!」

 

 頼もしい味方だと思っていた相手からそんなことを言われるとは。

 章太郎と桜子はバンブーメタローが恐ろしいほどの強さを持った相手なのだとそのことで理解する。

 自分達とて戦いの邪魔になるなんてことはしたくない。

 なので言われた通りに逃げようとする。

 

『なにを悠長なことをしている!』

 

 バンブーメタローの槍が襲いかかる。

 槍を叩きつけてきたのを太刀で受けとめるが、とても拮抗出来るものではない。

 少しずつ後退していくツルギ。

 だが、ここは室内である。

 どこまでも下がっていけるわけではない。

 壁に押し付けられ、太刀の峰が身体に密着しそうなほどにまで追い詰められる。

 

『その程度だったか小童!』

「チィッ!!!」 

「燐兄ちゃん!」 

「……先生! 章太郎君を連れて逃げてください! 早く!!!」 

 

 目の前の光景に放心していた桜子であったが、ツルギの声で現実に引き戻され、無理矢理章太郎の手を引いて走り出した。

 

「先生! 離してよ! 燐兄ちゃんが!」

 

 章太郎の泣きそうな声も聞かずに走る。

 もう一人の仮面ライダーのもとへ。

 そうして、このことを伝えればきっと仲間を助けに行くだろう。

 だから、今は走らなければならない。

 今度は自分が、彼を助ける番だと言い聞かせて、奮い起たせて。

 

 

 

 

 

 

 デュオルは助けた人々を体育館へと避難させていた。

 屋内ならば、ゲルニュート達が入ってくるであろう場所を絞れるからだ。

 だが、ゲルニュートはミラーモンスター。

 本来は鏡の中の世界に潜むもの達であり、体育館に避難させたことは然程意味を成さなかった。

 

「くそ! あちこちから湧いて出てきやがる!」

 

 侵入してきたゲルニュートを倒しながらぼやく。

 数は減ってきたとは思うが、まだ安心は出来ない。

 別動隊のツルギの状況も気になるが……。

 

「誰かいますか! 返事をしてください!」

 

 突然、体育館の出入口の向こう側から声が響いた。

 若い女性の声である。

 まだ生存者がいてくれた!

 急いでデュオルは扉を開けると、声の主だろう女性ともう一人見知った顔がいた。

 

「章太郎! 無事だったか!」

 

 章太郎の無事を喜ぶのも束の間、なにか様子がおかしいことを察し、何があったかを訊ねる。

 とてつもなく、嫌な予感がする。

 

「燐兄ちゃんが……。燐兄ちゃんが……」

「燐がどうした!?」

「すごく強い敵が現れてそれでこのことを貴方に伝えてって……」

 

 すごく強い敵。

 恐らく、元凶のバンブーメタローだろう。

 これだけのことをしでかす程に強くなったかと舌打ちする。

 

「早く助けに行ってあげてください! あのままじゃあの人が!」

 

 桜子が詰め寄る。

 そうしたいのは山々であるが……。

 

「きゃあ!!!」

「また来やがったか!」

 

 再び侵入してきたゲルニュート達を蹴散らす。

 これがあるから、即座に助けにも向かえない。

 ツルギは見捨てられない。

 だが、ここにいる無辜の人々も見捨てることなど出来ない。

 

「くそ! せめて、もう一人いてくれれば……」

 

 そんなことを口にするが、そう都合のいいことなど起きやしないというのは分かっている。

 もう一人なんていない。

 この世界に仮面ライダーは並行世界から来た自分達しか存在しないのだから。

 

 またもや、侵入してきたゲルニュートの群れ。

 すぐにデュオルが対処しに向かおうとする。

 

『ゴガァァァァァァ!!!!!!!!』

 

 空間が、震えた。

 この世の生物のものとは思えない咆哮。

 また、別の怪物が現れたのかと誰もが思った。

 しかし、デュオルと章太郎はこの咆哮を聞いたことがあった。

 この世界に仮面ライダーは自分達しかいない。

 だが、仲間ならいたのだ。

 

「ドラグスラッシャー!」

 

 鏡の世界より現れし剣の竜。

 ドラグスラッシャー。

 ゲルニュートとは違う、まさしく幻想の生物であるドラゴンの登場に体育館は悲鳴が木霊する。

 しかし、ドラグスラッシャーは人間には用はない。

 侵入してきたゲルニュートを刃となっている翼で切り裂き、喰らう。

 そうして、その場に居座った。

 

「あいつ……! 忠犬ならぬ忠竜だな。多分、校舎の中じゃ図体がでかくてなんも出来ないからこっちに来たんだ。いいぜ、お前のご主人助けに行ってやるよ!」

「ムゲン兄ちゃん!」

「応! 章太郎、ドラグスラッシャーは味方だってことちゃんと伝えてろよ!」

「うん!」

 

 デュオルは枷から解き放たれ、ツルギの救援へと向かう。

 一刻も早くこの事態を解決するために、身体中に漲る力を感じながら。

 

「……ねえ、藤堂君」

「早瀬さん……。なに……?」

「あの、仮面ライダーの名前は、なに?」 

「あれはデュオル。仮面ライダーデュオルだよ」

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