仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS 作:大ちゃんネオ
『変身したからなんだと言うのだ。力の差は知っているだろう!』
「さぁて、知らねえなそんなもん。本当に俺達とお前に力の差があるってんなら、やってみようぜ」
あれだけ傷ついていたはずのツルギとデュオルであったがぴんしゃんしている。
二人は力強く立ち、ちょっとやそっとでは倒れないと思わされてしまう力強さがある。
足だけではない。
二人共、全身に漲る力を感じていた。
強張っているわけではない。
身体は自然体。
今なら、どこから攻撃されようとも即座に反応し回避し反撃することが出来そうなほどに。
そして、それは実際に行われた。
『ムンッ!!!』
バンブーメタローが槍を床に突き立てる。すると、二人の背後から同じ型の槍が次々と突き出る。
このまま二人を幾多の槍で串刺しにしてやるつもりでいたがそれは叶わない。
無数に出現した槍は剣と拳に破壊され、二人には届かなかった。
「こんなものでは、僕達を貫くことなど出来ない!」
「ああ! それじゃあいくぞツルギ! デュオル! ゴング鳴らせェェェェ!!!!!」
デュオルの雄叫びがゴングとなり戦いが始まる。
更にこの雄叫びは声援の音頭にもなり、体育館の中は再び仮面ライダーを応援する声で満ち満ちた。
最終ラウンド。
どちらかが勝ち、どちらかが敗北する。
引き分けなど存在しない。
「おおおりゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
まずは先行して駆け出したデュオルの攻撃。
バンブーメタローに組み付き、バンブーメタローを殴る、蹴る。そしてタックル。
その勢いのままに体育館の壁を突き破り外へ。
竹林の中、デュオルの猛攻が続く。
拳、肘、頭、膝。
あらゆる身体の部位を使った技が繰り出される。
『バカめ! 貴様の攻撃は効かぬと分からぬか!』
「だからって攻撃しないわけはないだろ! それに……こいつならどうだ!」
バンブーメタローを蹴り飛ばし、デュオルドライバーの右側に備えられたトリガーを引く。
渾身の技を出す時の所作である。
【FULL SPURT ! READY !!】
「決めるぜ新技! トウッ!!!」
大地を蹴ってバンブーメタローへと飛び掛かる。
バンブーメタローは所詮、デュオルの技はこの身には効かぬと防御も回避もしない。
この身で受け止めてやるなんてことを考えてしまった。
それが、間違いだと気付くのはすぐのことである。
「スペリオルライダァァァァァチョォォォォップ!!!!!」
繰り出されたのは、チョップ。
手刀である。
本来ならばこれも打撃技であり、バンブーメタローには通用しないものである。
だが、このチョップは……。
『ぬおぉぉぉぉぉ!?!?!?』
脳天から真っ直ぐに、バンブーメタローは正中線を切り裂かれた。
余波で、地面まで切り裂かれてしまったほどの斬撃。
そう、これは斬撃なのである。
銀の腕を刃と化す。
それが、スペリオルライダーチョップ。
「俺の攻撃が効かないなんてこと、なかっただろう? もう一発いこうか!」
『させぬわッ!!!』
「うおッ!?」
即座に再生したバンブーメタローは槍の一突きでデュオルを突き飛ばし、再び地面に槍を突き刺そうとする。
が……。
バンブーメタローの首元に、刃が置かれていた。
『ぬっ!? き、貴様いつの間に……』
「……」
ツルギはデュオルとは正反対のようであった。
デュオルが煮えたぎり、噴火する火山のような激しさであればツルギは波一つ立たない水面のような静けさでバンブーメタローに相対していた。
その空気にバンブーメタローは知らず飲みこまれる。
じり、じりと。間合と呼吸を計り、バンブーメタローは槍をツルギに叩き付けた。
否、叩き付けようとした。
それよりも速く、ツルギの太刀がバンブーメタローを縦に一閃。
先程、デュオルに切り裂かれた箇所と同じところを同じように切り裂かれたバンブーメタローは傷の再生がいつもより遅いことに気付いてしまった。
再生にエネルギーを回し、再生を急ごうとするがそうはさせてもらえない。
ツルギのスラッシュバイザーが、バンブーメタローの腹部を貫いていた。
スラッシュバイザーを突き刺したまま、ツルギはスラッシュバイザーにカードを装填する。
【SWORD VENT】
空から二振りの短剣、ドラグダガーが舞い降りてくるのと同時にスラッシュバイザーを引き抜き腰に差し戻しドラグダガーを手にする。
そして、すぐにドラグダガーをバンブーメタロー目掛けて投擲。
一振りは槍で弾かれてしまったがもう一振りは見事にバンブーメタローの胸のど真ん中に命中。
再生途中のところに突き刺さってしまったためにそのまま肉体に取り込まれたが、それこそが狙い。
「また俺の番だぜ竹の翁!」
『ぬう! 拳は効かぬとあれほど!』
高速の刺突が乱れ打たれる。
だが、今のデュオルには全て見えていた。
悉くを回避していく様はデンプシーロールのようで、バンブーメタローの懐に入り込んだデュオルはその拳を放った。
狙いは、突き刺さったままのドラグダガー。
「オラァァァァァ!!!!!!」
ドラグダガーの柄を殴りつける。
すると、これまでに二度切り裂かれた箇所がぱっくりとまたも開いた。
『おおッ!? こんな、ことが……。あり得ぬ!!!』
「どうやらクセになっちまったようだな! 古傷みたいで似合うと思うぜ」
『小癪な……』
再生を急ぐバンブーメタロー。
しかし、そんな暇は与えないと二大ライダーの猛攻は続く。
最早、再生をしている暇などなかった。
「デカイのいきます!」
「応ッ!!!」
【SWORD VENT】
飛来する、人の身の丈ほどもある片刃の大剣。
ドラグスラッシャーの翼を模した大剣、ドラグバスターソードである。
「ムゲンさん奴の動きを止めてください!」
「よっしゃ! それならこいつだ!」
銀色の拳を握り締めるデュオル。
バンブーメタローに飛び掛かりながら拳を放つ。
「マイティナックル!!!」
胸部を打ったその一撃は命中するとクウガの力が発動し、リントの古代文字が浮かび上がる。
マイティナックルの真髄は威力ではなく、この力。
グロンギを封印したエネルギーを敵に流し込み、相手の動きを止めることにある。
【ADVENT】
更に切られるカードはドラグスラッシャーを召喚するカードである。
ツルギを乗せ、空高く舞い上がる。
そして、ツルギはドラグスラッシャーから手を離した。
重力に従い、自由落下。
だが、その身はバンブーメタローを切り裂き、断たんと構えられている。
「はあぁぁぁぁぁぁぁ……ハアッ!!!!!」
超重量級の一撃は大地すら断つほどの威力でバンブーメタローを断ち切った。
『ぬあぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!!! だが、まだ……儂は……』
「あれでまだ再生しようってのか!? どんな再生能力だよ!?」
ドラグバスターソードの一撃でも倒し切るには至らなかった。
だが、二人にはまだ互いにとっての最大級の技が残されていた。
多くのライダーで共通の、あの技が。
「これで今度こそ決めるぞ! ツルギ!」
「決めましょう! デュオル!」
【FULL SPURT ! READY !!】
【FINAL VENT】
ツルギとデュオルの周囲を、ドラグスラッシャーが竹林を切り裂きながら舞い飛ぶ。
デュオルは雄叫びを上げ、ツルギは剣舞し、力を溜める。
そして、二人同時に大地を蹴った。
空中で一回転し飛び蹴りの体勢を取り、加速、加速、加速────!
更にドラグスラッシャーの放った斬撃波も後押しし加速!!!
「スペリオルライダアアアァァキイィ───ック!!!」
風を抜き去り、二人は一条の閃光となる。
『負けてなるものかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
バンブーメタローも全身全霊。
地面に槍を突き立て、自身の持てる力全てを持って槍を生み出しライダー達に向けて放つ。
「くっ……!」
拮抗する互いの必殺技。
どちらも負けられぬと譲らない。
『おおおおおおおお!!!!!!!!!』
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」
激しい力のぶつかり合いは周囲に嵐を起こすほどのものとなった。
最後に、風が吹くのはどちらなのか────。
「────頑張れ!!!」
声援が聞こえた。
仮面ライダーを応援する、真っ直ぐな気持ちが。
これが、勝負の決め手。
「はあぁぁぁぁぁぁ……ハアァァァッ!!!!!」
「ゼアァァァァァァァァ!!!!!!!」
槍を破壊しながら突き進む。
そして、二人のキックがバンブーメタローを貫いた。
地面に降り立った二人、背後にはバンブーメタローが物言わず立っていた。
一時の静寂。
風だけが鳴いていた。
「────スラッシュライダー……キック」
その言葉が合図だったかのように、直立していたバンブーメタローは背中から倒れ、爆発。
デュオルとツルギの背景を紅が彩った。
振り向き、爆炎を眺める二人はバンブーメタローの敗北を悟り、自分達の勝利を確信し、無言で頷き合い固く手を握りあった。
二人の……仮面ライダーの勝利だ。