仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS   作:大ちゃんネオ

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新たなる脅威

 バンブーメタローは倒れた。

 この世界に伸びた影は消え去り、元の平和な世界を取り戻すことが出来たのだ。

 その証拠にメタローを倒したことで起こる世界の修復現象がゆっくりとだが、始まっていた。

 

「いつもはもっとブワッとなるんだけどな。この世界に与えられたダメージが思ったよりもデカイから遅いのかもしれない」

「間に合って良かったです。手遅れになる前に、この世界を救うことが出来て……」

 

 少しずつ、世界は元に戻っていく。

 バンブーメタローから受けた傷を癒していく。

 白昼に現れた竹林は徐々に朽ち果てていき、破壊されたもの達は修復される。

 異様な光景だが、ただあるべき形に戻っているだけ。

 

「これで、この世界での戦いも終わり。全て、無かったことになってな」

「全て、無かったことに……」

「どうかしたか?」

「いえ……。全て、無かったことになる方がいいなって思って。僕達が戦うものって、誰かの不幸じゃないですか。それも、理不尽な。だから、無かったことになる方がいいんです」

「そう、だな……。けどさ、俺達ぐらいは覚えててもいいんじゃないか? 折角こうして出会えたんだしさ」

「そうですね……。ムゲンさん達との出会いがなかったことになるのは、僕も嫌です」

 

 そう言って、二人は顔を見合せ微笑んだ。

 互いにボロボロであるが、その笑顔に曇りはない。

 戦いを終えた戦士の笑顔である。

 

「燐兄ちゃん! ムゲン兄ちゃん!」

 

 章太郎が二人の元へ駆け寄っていく。

 章太郎もまた、笑顔であった。

 

「よう、章太郎。勝ったぜ」

「うん! おれ、信じてたもん! 二人が勝つって!」

「ありがとう章太郎君。章太郎君が、みんなが僕達を信じて応援してくれたから勝てたんだ。だから、ありがとう」

 

 燐に続いて、ムゲンもまた礼を言うと章太郎は照れ臭そうに一度顔を背け、笑った。

 笑い返す二人だが内心は複雑な心境であった。

 世界の修復により、章太郎の記憶もまた今回の出来事を忘れてしまう。

 紡いだ絆が、なかったことになる。

 世界が平和になることに越したことはないが、一日だけとは言え共に過ごした記憶もなくなってしまうのかと思うと寂しいという気持ちが芽生えてしまうものだ。

 しかし、それでいい。

 それでいいのだ。

 本来はあり得ない、この世界を蝕んだ魔を断ち、仮面ライダーもその役割を果たしたのだから。

 

「そういえば、バンブーメタローに取り憑かれてた人は……」

 

 バンブーメタローが最期を迎えた場所を見る。

 だが、そこには誰もいない。

 メタローを倒せば、同化された人が出てくるはずだと訝しむ。

 近くにいるかもしれないと探そうとした瞬間。

 

『────!』

「危ねぇ!?」

「ッ!」 

 

 突如、謎の攻撃が三人を襲った。

 飛び散る火花。

 ムゲンは章太郎を庇いながら飛び退き、燐は新たな敵を警戒する。

 

『■■■■────!』

 

 煙が晴れ、その異形は姿を現した。

 その姿を視認した三人は目を見開く。

 上半身は人の形をしている。

 だが、下半身は人の形をしていなかった。

 太く、長く伸びた尾……いや、それも含めて胴体である。

 言うなれば、半人半蛇。

 

「おい……なんだよあれは。メタローでもねえぞ!」

「モンスターでもない……。それに、メタローじゃないとしたら……。章太郎君。あいつのこと知ってる?」

 

 別の種族の怪人ならばもしかしたら章太郎ならば知っているかもしれないと燐は思い訊ねた。

 一瞬でゲルニュートの名前を言い当てたので他にも覚えているだろうと思ってのことだった。

 

「知らない……。あんな怪人知らない! 見たこともない!」

 

 章太郎ですら知らないという怪人。

 ならば、全く未知の脅威ということかとムゲンと燐は結論付けた。 

 向こうは敵意剥き出しであるから戦うことに何の躊躇もない。

 二人はそれぞれ変身の準備をする。

 

「敵がそいつだけだと思うな仮面ライダー」

 

 突如、背後から響いた第三者の声。

 低めでどこか気怠げな女性の声。

 竹林の影から現れた女は烏羽色の美しい髪を肩の辺りまで伸ばし、紅いレザージャケットを着こなす中性的な女であった。

 見た目は美しい。が、その背に背負う野太刀が彼女を異質なものにしていた。

 

「ツムカリ! なんでお前が!」

「ムゲンさん、あいつは?」

「奴はツムカリ。メタローの中でも上位のハイ・メタローってやつだ。さっきのバンブーメタローよりも手強いぞ……」

「満点の解答をどうもデュオル。今すぐお前の首を持ち帰りたいがそれは今日じゃない。それよりも、今日用があるのはそっちの坊やの方さね」

 

 ツムカリは燐を指差し、不敵な笑みを見せた。

 

「なかなかの剣の使い手だそうじゃないか。最近はそういう奴と殺り合う機会がなくてねぇ」 

「構う必要はないぜ燐君。二人でツムカリもあいつも倒すぞ」

「そうはいかない。ほら、お前達が構ってやらんからそいつが」

 

 そこまでツムカリが言うと、三人の背後にいた半人半蛇の怪人が異様な速さで竹林を抜け出そうとしていた。

 

「あいつ!」

「このままほっとけば奴は人間を襲うぞ。速く行かなくていいのか?」

 

 挑発するツムカリ。

 この事態にどうするかと頭を悩ませるムゲンだが、燐は覚悟を決めていた。

 

「……ムゲンさん、あいつを追ってください。ここは僕が」

「燐君! わざわざあいつの誘いに乗る必要なんて!」

「いいから行ってください。あれが何か分かりませんが人に害するものであるなら倒すのが仮面ライダーでしょう。それに、僕はこいつにやられるつもりなんてありません」

「燐君……。悪いが、頼む!」

「頼まれました。いってらっしゃいムゲンさん」

  

 燐は半人半蛇の怪人を追いかけ走るムゲンの背中を見つめるが、すぐに視線をツムカリに移した。

 

「章太郎君。ここから出来るだけ離れて。学校のみんなと合流するんだ」

「けど……」

「安心しろ。ガキは殺さない」

 

 会話を聞いたツムカリはそう言うが果たしてそれは本当のことか。

 ツムカリの目を見て、燐は彼女を信用した。

 今のは、嘘ではないと。

 

「行って、章太郎君」

「燐兄ちゃん……」

「大丈夫。すぐに追いかけるから」

 

 笑顔でそう言い聞かせ、章太郎を走らせる。

 生への道へ。

 あんな子供は、こんなところにいてはいけない。

 

「用意はいいか? 改めて名乗らせてもらうが我が名はツムカリ。魔人教団が誇る死奏剣(カルテット)の一振りさ。して、お前はなんという名だ?」

「御剣燐。仮面ライダーツルギ。……変身」

「ツルギか。剣を名乗るお前の腕、試してみようじゃないか」

 

 燐とツムカリの姿がそれぞれ変わる。

 白き魔を切り裂く騎士と並々ならぬ存在だろう恐ろしき異形が今、向かい合った。

 

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