仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS   作:大ちゃんネオ

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未知との死闘

 一方のデュオルはツルギと別れて半人半蛇の異形を持つナーガデリーターを迎え撃つ。

 両者とも構えた姿勢で無数の廃車が転がっている道路を並走しながら仕掛けるタイミングを見計らう。

 

『■■■■――!!』

「まさか魔人教団とつるんでる連中がいるとはな……今度はどんな悪さだよ!」

 

 およそ人語には聞こえない咆哮を上げてナーガデリーターは大柄な見た目に反した素早い蛇行で迫り、両手の甲からせり出したチェーンソードから繰り出される斬撃をデュオルは蹴りの早打ちで弾き返す。

 

『……!!』

「こいつも口利けねえのか? 勘弁してくれよ、調子狂うぜ。俺が言うのもなんだけど、もしも驕りで喋る気が無いなら残念だが友達にはしたくないタイプだ。なあ、ヘビ公?」

 

 ミラーモンスターに続き、このナーガデリーターもまともな会話が出来そうにないことを知るとデュオルは露骨に悪態をついた。そんな無礼千万なデュオルの口撃の返答とばかりに怪人の操る左右の刃はまるで金切り声のような駆動音を立てながらコンクリートや金属を紙きれのように切り裂いていく。

 

「下手くそ! 初めて調理実習する小学生のほうがお前より刃物の扱い上手いぜ? その人の上半身はお飾りかい」

『……!!』

 

 仮面の奥で敵の得物の切れ味の良さに冷や汗を一筋流しながらも、デュオルは軽口を加速させる。自分に降り注ぐ低俗な罵倒の数々にナーガデリーターは長く真っ赤な下をチロチロと揺らしながら激しい威嚇を見せて、攻撃の手を休ませない。

 

「お! 怒ったな(・・・・)。つまり、言葉の意味は解ると見えた……それなら、痛々しく独り言をブッ続ける羽目にはならないわけだ」

 

 デュオルの煽り文句はいつも以上にヒートアップしていた。

 これにはいくつかの理由がある。

 まず挙げられるのは自らの精神の平静を保つため。特に今回のように天風カナタとハルカというムゲンにとっての外付けの安全装置であり、良心回路に等しい親友たちが不在の状況下ではその重要さは増してくるがそれ以上に大きな意味を成しているのは戦いにおける敵のペースを乱すことにあった。

 

「安心したぜ。普段はカナタとハルカのお喋りの聞き手に回るってのが多いから、一人喋りなんて正直自信無くて不安だったんだ。お前になら練習になにを口喋っても恥のかき捨てで済むから嬉しいぜ」

 

 普段よりもかなり棘のある声色と軽薄な言葉の数々で煽りながらデュオルは敵の斬撃を軽やかに回避して怒りを焚きつけていく。

 ワケあって五年近くも地元の不良やチンピラたちを相手に孤立無援の喧嘩生活の日々を送っていた彼は戦いの流れを握ることの重要性を理解していた。自分の世界で繰り広げられるメタローとの戦いで駆使されるプロレス技を主軸とした戦法などもこの戦いのペースを掌握するということに帰結するのである。

 

「よお! 折角だから、よく声を聞いて欲しくて俺の方から来てやったぜ!」

『……!?』

「オオオリャァ! ディイイヤ! も一丁ゥ、サァァァビスッ!!」

 

 デュオルは当たれば深手必至の斬撃を掻い潜って懐に飛び込むと強烈な逆水平の手刀を叩き込む。肉が裂けそうな痛みに動きが鈍った敵に対して、デュオルは続けて片手で頭部を掴みマシンガンエルボーをたっぷりとお見舞いする。

 

『■■■■――!?』

 

 頭を揺らす衝撃にナーガデリーターの思考と意識が白くぼやける。失神しても可笑しくないところだが気合で持ち堪えると体格を活かしたタックルでデュオルを引き剥がす。そして、大きく息を吸い込んだ。

 

「なんだ……ッ!? させるか!!」

 

 ナーガデリーターの謎の深呼吸を怪訝に感じたデュオルは相手の口元に目を凝らす。ほんの僅かにその口内が膨らむ瞬間を見抜いたデュオルは火炎か何かのブレス系の攻撃を警戒して咄嗟に自分の方から姿勢を崩した。

 地面に片手をついた姿勢からその場飛びのレッグラリアートを喉元にぶちかます。その後、バックステップで間合いを取り直す。

 

『……!!?』

「毒霧かよ。いや、溶解液ってやつだな。随分と下品な攻撃だ……お前の趣味か?」

 

 無我夢中で右手の刃を振ってデュオルの接近を防ごうとするナーガデリーターだったが喉に食らった一撃が相当キツかったと見えて、浴びせようとしていた毒々しい緑色の溶解液を足元に吐き出した。アスファルトの地面がブクブクと沸騰したように泡立って溶けていく。

 

『■■■■――!!』

「ハハッ! お前は旅先の粗相を気にするタイプか? ま、出掛けた先でゲロったら気まずいよな。心配すんなって見なかったことにしてやるよ、お前諸共なぁ!」

 

 激しい殺意を垂れ流しにして猛攻を仕掛けてくるナーガデリーター。殺傷力は脅威だが動きはデュオルに翻弄されっぱなしで苛立っているのか粗が先程以上に目立つ。これならば回避は簡単だ。

 

「ムチウチにご用心だぜ! そおおりゃ!!」 

 

 直撃を受ければ胴を輪切りにされる可能性もある敵のチェーンソードをバク宙で避けたデュオルは空中にて、自在跳躍と称する能力を使い空気を足場にして更に跳んだ。

 狙いはナーガデリーターの頭部に生えた山羊のような二本の角。下から迫る二刀の攻撃を潜り抜けながら、目的の双角を強く掴む。

 

『……!?』

 

 それは夢か幻か。明らかに何も存在しない虚空を蹴飛ばして空中で姿勢を変えたデュオルにナーガデリーターは目を丸くして驚き、迂闊にも僅かに身動きを止めてしまった。

 

「なにが起きたって顔してんな! 残念だったな、トリックだよ。秘密の多い男はモテる!ってシスターが言ってたんでなああああ!!」

『■■■■――!?』

 

 ナーガデリーターの苦悶と困惑に満ちた絶叫が響くのと同時に異形が崩れ落ちたことで地面が大きく揺れた。

 デュオルは敵の頭上で倒立のような姿勢から力一杯に全身を錐揉みしながら倒れ込むことで変形のネックブリーカーを決めて、怪人の首と上半身に強烈なダメージを与えた。

 

「そういえば気になったんだけど、お前って脱皮とかするの? 蛇には違いないだろうから財布にちょっと入れた――ごぉおっぷ!?」

 

 鮮やかな空中機動からの投げ技で砂煙の底で動かなくなった相手に皮肉った口調で喋っていたデュオルだったが目にも止らぬ速さでしなるように急接近してきた何かに弾き飛ばされる。ボーリングのピンのように吹き飛んだ彼はビルの三階部分ほどの高さまで斜線を描いて壁に激突した。

 

『■■■■――!!』

「グゥッ……威力はすごいと思って警戒してたが、ゴホ、ゲホッ! 振りの速さは読み違えたな……やるじゃないか。まだまだ元気いっぱいじゃねえか」

 

 デュオルを急襲したのはナーガデリーターの太く長い尻尾の攻撃だった。

 先端の斧状の部分に殴り飛ばされる形だったが切れ味は皆無なのか打撲で済んだのは不幸中の幸いであった。とはいえ、咳き込むデュオルの口の中には薄らと鉄の味が広がる。 

 

『……!!』

「うおっ!? 危なッ……ぬおあ!?」

 

 怖気が走るような嬉の色に顔を歪めて、ナーガデリーターの反撃が開始された。

 ∞を描くようにナーガデリーターが両腕を振り回す。すると手の甲のチェーンソードが蛇腹剣のように形を変えて生きた蛇のように十数メートルは伸びて襲い掛かってきた。

 ビルの高所にめり込んでいたデュオルは慌ててその場から離れると二振りの刃の大蛇が抉るように彼がいた場所を蹂躙する。安堵の息を漏らして着地したデュオルは急いで間合いを詰めようと駆け出すが先手を取ったナーガ―デリーターの刃が蛇のように宙空を這って、デュオルの胴を袈裟切りにする。

 

『■■■■――!!』

「ぐおわ!? 切れ味が落ちてくれているのは助かるがこのリーチはヤバいな!?」

 

 古の蛇神の名を冠する異形が放つ戦慄の雄叫びが木霊する。

 形勢が裏返ったように今度はデュオルがナーガデリーターに翻弄される番になってしまった。決して油断していたわけではないが尻尾の一撃といい、この信じられない射程を誇るチェーンソードといい、正体不明のこの怪人の戦力はデュオルの想像以上に未知数だ。

 

「ハァ……ハッ、これだけ景気良く攻撃され続けられたらネクスト・ライドする暇もない」

 

 蛇というよりも空を泳ぐ龍を相手にしている様な二振りの蛇腹モードのチェーンソードの斬撃を何度か浴び、装甲を傷だらけにしながら踏ん張るデュオルだが状況は悪い。

 

 敵との距離が離れすぎてしまったことでこちらは見事に反撃の手段がほぼ無くなってしまったのだ。対してナーガデリーターの方は口からの溶解液の放射も加えて、小動物を厭らしく追い立てる狩人のように勝ち誇りながら攻撃の手を休めない。

 

(あの剣、直刀の時は尋常じゃない切れ味だったが伸びてる時はそうでもない。それに散々煽られた意趣返しに俺のことを直接殺したいと思ってる可能性も無くもない)

 

 刃と毒液――四方八方から絶え間なく自分の命を狙って襲い来る脅威を紙一重で避けるか防御して食い下がるデュオル。彼は懸命に動き続けて、好機を窺っていた。

 

(あの剣は一か八かだが対策はある。問題はこの距離か……どうする?)

 

 ナーガデリーターの凶刃の前に逃げ場も身を隠すような瓦礫の塊もあったとしてもすぐに切り刻まれて破壊されてしまう。勝利のために踏破しなければならない幾つかの問題の打開策を閃いてくデュオルだったが最後の難題を解決する妙案が浮かばずに、思わず天を仰いだ。

 

「あ……いけるわ」

 

 矢継ぎ早に自分を狙って宙を裂いて迫る白刃の群れを飛蝗のように飛び跳ねて回避に専念していたデュオル。足を薙ぐつもりで襲い来る斬撃を背面跳びで対処した時だった。彼の視界に広がる都会の、ともすればビルや電柱が乱立して狭苦しい空に勝利の鍵は張り巡らされていた。

 

「オオオッシャッ! 随分と好き放題やってくれたな蛇野郎! 楽しい時間は終わりだぜ!!」

 

 予想通り長距離射程の代償に刃の切れ味そのものは低下しているチェーンソードの一方を回し蹴りで弾き返す。そして、反撃開始とばかりに踵を返したデュオルはちょうど一直線のその先にて悠々と構えて攻撃をしていたナーガデリーターに向かって全速疾走で進み始めた。

 

『■■■■――!!』

「そうだな。瀬戸際には違いない……雌雄ってのを決めようじゃねえか!!」

 

 一見すると無謀な特攻を仕掛けてきたように見えるデュオルにナーガデリーターは大きく、力強く両腕を振って鞭のようにうねる双刃を浴びせる。宣言通りにチェーンソードは左右から矢のように直進するデュオルに迫り、直撃する――その寸前だった。

 

「――獲った!!」

 

 割れる氷のような金属同士がカチ合う音色が響いて、静寂が訪れる。

 わなわなと身体を震わせて先に叫んだのはナーガデリーターの方だった。 

 

『……!?』

「信じられないって顔をしてるな? けど、可笑しくもないだろう。万事休すを覆すのが仮面ライダーの役目なら、こんなもんはちょっと過激な肝試しだぜ!!」

 

 二指と二指――合わせて四指を駆使して自分目掛けて左右から飛んできた蛇腹の刃を挟み取ったデュオルは動揺する敵にお返しとばかりに勝ち気な声で笑い飛ばした。

 ナーガデリーターは慌てて蛇腹モードの双刃を引っ込めて元に戻そうとしたいらしいがチェーンソードは二人を繋ぐ鎖のように結ばれたままビクとも動かなかった。

 

『……!!』

「自慢の刃が言うこと聞かないのがそんなに不思議か? 無理もないぜ、自慢じゃないが力持ちなんだ、俺」

『■■■■────!!』

 

 信じられない事態に直面して慌てふためき精彩を欠く敵が唸り声を上げ続けるのを鼻で笑いながらデュオルは素早く左右の手の指で挟んで止めていた蛇腹の刃を掴み直すと跳び上がった。

 ジャンプしたデュオルは張り巡らされた電線を足場に錐揉み回転をしながら再ジャンプ。この動作を繰り返して、ナーガデリーターへと肉薄する。

 

『……!?』

「トオオオオッ!!」

 

 デュオルの錐揉み回転に巻き込まれた二振りのチェーンソードは自然と乱雑に絡まって行く。子供が滅茶苦茶に捏ね繰り回した紐のように絡まり続けた刀身はついに強度の限界を超えてある一カ所がバラバラに砕けて折れてしまった。

 自慢の愛剣の破損に裏返ったような声を出して驚愕する怪人の顔面に上空から降ってきたデュオルの踵落としがその右肩に綺麗に直撃した。振り下ろされた衝撃に紫色の邪身が僅かに沈むがナーガデリーターは怯むことなく、デュオルの左足を掴んで動きを封じてしまう。

 

『■■■■――!!』

「ぶちかます! いくぜ、ハウリング・シザーファング!!」

 

  真正面にいるデュオルに口からの溶解液をたっぷりと吐き出すよりも速く、薙ぐような右の蹴りがナーガデリーターの頭部の角を根元から叩き追ってこめかみに炸裂した。

 この挟み蹴りはムゲンが魔人教団と戦い始めてから編み出したオリジナルホールド。対怪人用の加減無しの技の一つだ。先に肩の上に乗っていた左足とに挟まれる形で荒っぽく叩きつけられた蹴りによって、怪人の三半規管は大いに乱されてまるで大音量で鳴り響く鐘の中に頭を突っ込まれたような感覚に襲われる。

 

「俺の切り札……解禁だ!!」

 

 両腕をだらりと降ろして悶絶するナーガデリーターにデュオルはここぞとばかりに攻勢を加速させる。蛇の下半身を持つ故に安定感のあるその体幹を利用してデュオルは蛇が巻きつくような身のこなしで相手の上半身を滑らかに這い回って、肩に移動する。

 

「サブミッション・マスターに捧ぐぜ! オオオリャアッ!!」

『――!?』 

 

 デュオルは目にも止らぬ動作で自分の四肢と敵の上半身を組み絡ませていく。

 自分の片足を相手の首に引っ掛けた形で絞め上げ、独自の姿勢から形成されるオクトパスホールド(変形卍固め)と呼ばれる関節技でデュオルはナーガデリーターの上半身を強烈に捻じ曲げるように絞る。

 

『■■■■――!?』

「イイイィヤァ!!」

 

 デュオルの逞しい脚が首を絞め、また膝が強く胴にめり込む。ナーガデリーターの捻り上げられた片腕はいまにも圧し折れそうに軋んだ音が響く。その威力の凄まじさは打撃や投げ技の比ではない。

 

「効いただろ? サブミッションには夢と希望が詰まってるんだよ」

 

 何を隠そう、関節技(サブミッション)こそがムゲンにとって最も得意で信頼している技なのであった。常人離れをした怪力握力を持つムゲンが本気で仕掛けたそれはまさに人体を破壊する決戦技法と言っても憚らない。

 途切れ気味の苦しそうな呼吸をするナーガデリーターを気合一発、とびきりの力を込めてデュオルは絞め極め留。すると相手の肉体の内側から岩でも砕け割れたかのような激しい音が鳴って、怪人の纏う鎧が一斉に砕け散った。

 

「オリャアアアア!!」

『……!?』

 

 オクトパスホールドを解いてふわりと敵の正面に着地したデュオルはすぐさま握り拳を作る。力強く握られた右手には揺らめく炎のようなオーラが発生する。

 ぐったりと前のめりに倒れ込んでくるナーガデリーターの鳩尾に目掛けてデュオルは渾身の右ストレートを突き刺すと半人半蛇の異形は小さく浮かんで後方へと倒れ込んだ。

 

『■■■■――!?』 

 

 デュオルの奥の手である肉体破壊の真髄といって過言ではない高水準の関節技とダメ押しのナックルを食らったナーガデリーターはもはや攻撃する余力が無くなるほど消耗していた。更にその鳩尾――デュオルの拳を受けた場所にはリントの古代文字が焼印のように輝いている。刻印から流れ出る力は怪人の動きを封じたのだ。

 

「繋ぎのマイティナックルだ! そろそろ幕引きの時間といこうか!!」

 

 確実な勝機を見出したデュオルはドライバーのグリップを引き抜いてライダーメモリアを別の組み合わせの物と交換する。

 

【2号!×響鬼! ユニゾンアップ!】

「ネクスト・ライド――!!」

【ストロングオウガ! GO! GO! LET’S GO!!】

 

「はあああ……そぉおりゃああ!!」

 

 鼓の音が戦場に響き渡り、デュオルを双角を持つ益荒男の如き形へと変えていく。

 右腕を大きく振って自身を包む音の陣幕を振り払うとそこには清く逞しき鬼がいた。

 

「ぶちかますぜ!! ヌンゥオオオオリャアッ!!」

 

 左右に深紅と深緑の和装の籠手を纏い、左胸に風車を模した白銀の胸当てを装備した剛力不屈の戦鬼であるデュオル・ストロングオウガは荒れ狂う猛牛のようにナーガデリーターへと突進する。

 

『――!?』

「飛んでけえええええ!!」

 

 抉り抜くような大振りのアッパーカットの一撃で尻尾を含めてかなりの大きさを誇るナーガデリーターの体は地面から数メートルは浮き上がった。デュオルはその随分と手を焼いた尻尾をガッチリと両腕で抱え込むと豪快なジャイアントスイングで更に上空へと投げ飛ばした。

 

【FULL SPURT! READY!!】

「フィニッシュ・ホールド……決めるぜ!!」

 

 デュオルドライバーのバックルにあるライトトリガーの撃鉄を起こして引き金を引く。電子音声がこの戦いの終わりを宣告するように響くとバックルの風車が激しく回転して、輝きと共にデュオルに最大最高の力を漲らせていく。

 

「清めの焔と退魔の風の二重葬だぜ! トオリャアアアア!!」

 

 敵を追って自らも上空へと飛び上がったデュオルはナーガデリーターの太い首を足四の字で固めた。そして、その状態で相手を巻き込み激しい錐揉み回転を仕掛けていく。

 

『……!?!?』

「殴る蹴るだけが能じゃないのさ! 大技が一つだなんて、誰が決めたんだってなあ!!」

 

 デュオルに内包されていた凄まじいエネルギーが炎となって噴き上がり二人を包む。更に回転によって発生した逆巻く大風が交わって火力は激しさを増していく。それはまさに紅蓮の大車輪だ。

 

「ライダー! スヴァスティカツイスタァアアアア!!」

『■■■■――!!』

 

 デュオルの繰り出した新たな秘技が大空に真っ赤に燃える卍の軌跡を描く。

 激しい火焔と烈風にその身を焦がしながら地面に叩き落とされたナーガデリーターは高笑いを上げながら大きな爆炎の柱となって散った。

 謎の怪人との激しい戦いに勝利したデュオルは静かに残心をしてから、力強く握り締めた右の拳を青空に掲げた。

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