仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE FIRST CROSS 作:大ちゃんネオ
デュオルがナーガデリーターを倒し、拳を天に向かって突き出しているところにツルギがスラッシュサイクルで駆けつけた。
助太刀が必要かと思ったが、デュオルの様子を見て彼の勝利を確信する。
「勝ちましたね、お互い」
「ああ。流石にこれで終わりだろう」
またさっきのように倒したと思ったら新たな敵が! というのは勘弁してもらいたい。
謎の敵、ナーガデリーターを倒し、魔人教団幹部のツムカリを撤退させた。
充分過ぎる戦果であろう。
「さて、帰るとするか。章太郎も連れてな。あいつはどうした?」
「多分、学校の人達と合流してくれたと思います」
「そうか……。あ、いいこと思い付いた」
そう言ったムゲンの顔は仮面に隠されてはいるが、どんな表情をしているかはなんとなく察せられた。
恐らく、ムゲンと関わりのない一般人ならば悪事を思い付いた悪人のような笑みと表現するだろう彼なりの笑顔を仮面の下に浮かべているのだろう。
避難していた人々は修復されていく小学校の校庭に集まっていた。
悪夢を見ていたような気分。
だが、その悪夢を晴らす存在。
仮面ライダーというヒーローがいたからこの悪夢は終わりを告げた。
「章太郎君」
「桜子先生」
「仮面ライダーが、勝ったね」
「うん!」
とびきりの笑顔を見せる章太郎。
更にここから、章太郎にとって夢のようなことが起きるのだ。
遠くから聞こえる、エンジン音。
「あ! 燐兄ちゃんとムゲン兄ちゃんだ!」
校門をくぐり、校庭を駆ける二人のライダー。
章太郎の目の前で停まると、デュオルが章太郎に夢のような話を持ち掛けた。
「よう章太郎。今日のMVP記念だ、乗せてやるよ。タンデムだ」
「いいの!?」
「ああ。仮面ライダーとツーリングして下校だ。なかなか出来ることじゃないぜ?」
ライダーのバイクに乗る。
章太郎にとってそれがどれほど嬉しいことか。
それはムゲンと燐の想像以上である。
喜び勇んで、章太郎はビッグストライダーに跨がった。
「いってらっしゃい章太郎君」
「うん!」
ヘルメットも被り、出発の準備が出来たのでデュオルとツルギは同時にマシンをターンさせ駆け出す。
「あ、待って! ツルギ、さん……」
唐突に呼び止められたツルギは一旦停止。
桜子に背を向けたまま。
呼び止められたはいいが、そこから少しの間沈黙。
エンジンの音だけが世界に流れていた。
「その、昨日も今日も、ありがとう、ございました……」
深く礼をする桜子。
彼女が身体を起こすのを待って、ツルギは返事を返した。
「仮面ライダー、ですから。それでは」
加速し、その姿は遠ざかっていく。
その背中が見えなくなるまで、桜子はその場に立ち尽くしていた。
仮面ライダーとのツーリングはぐるっと街を一周するというもので、章太郎にとっては見知った街並みであったがいつもとは違って見えた。
街行く人は目立つ彼等に注目し、警察がやって来たのを理由にそそくさと退散した。
ツルギは一人ミラーワールドに逃げ込んだ。
喫茶Hamelnの前。
変身を解除し、スラッシュサイクルに寄りかかる燐は二人の帰りを待つ。
警察から逃れるためにミラーワールドを通ったので二人よりも早くHamelnに着いたのだ。
待つこと数分で二人も帰ってきたが、早速ムゲンに言い寄られた。
「一人だけ鏡の中に逃げるのは反則だろ!」
「いや~別の世界とはいえ警察の厄介にはなりたくないですし」
「いいな~。おれもミラーワールド行きたいな~」
「ダメダメ。危ないからね。……いろんな意味で」
わーわーと店の前で盛り上がっていると、それに気付いた権兵衛が痛む腰を我慢して外に出てきた。
「章太郎! よかった……無事だったか……」
「うん! 燐兄ちゃんとムゲン兄ちゃんが助けてくれたから!」
「そうかそうか……って、二人ともどうしたんだその怪我は!? 痛た……」
ボロボロの二人に気付いた権兵衛は驚き、その衝撃で腰を痛める。
ひとまずビッグストライダーに座らせて今の質問に二人は答えた。
「まあ、よくあることです」
「これぐらい日常茶飯事なんで」
「日常茶飯事って君達喧嘩はダメだよ喧嘩は」
「喧嘩じゃないよ。二人は怪人と戦ったんだよ。仮面ライダーだから」
「あぁ、そうか。仮面ライダーだからか……。ん? 仮面ライダー?」
ここで、ようやく権兵衛はその言葉の意味を正確に理解した。
「二人って俳優さんじゃなかったの!?」
「え、俳優だと思われてたの俺達?」
「まあ、この世界だと仮面ライダーはドラマですから……」
なるほどと納得したムゲン。
そうして、みんなで笑った。
俳優だと誤解されていたことが面白くて、章太郎が無事に帰ってきた安堵もあって。
みんなで、笑った。
「あー笑った。いやー不思議なことってあるもんだなぁ。あ、不思議と言えば燐君。君のお友達が来てたよ」
「僕の、友達?」
「ああ。中の鏡の中にいるよ」
「鏡の中?」
思わず聞き返したムゲン。
見るのが早いと燐は店の中に入り、店内の鏡。
自分がこの世界に来るときに通ってきた鏡を見るとそこには……。
「こんにちは燐君。迎えに来ましたよ」
「アリス……」
鏡の中にいたのはアリス。
燐の世界で、ライダーバトルを動かす少女がいた……。