告白するお話
「碇くん今度出掛けない?」
少年は驚いたそして級友であるトウジ達も驚いていたそれもその筈だ。
この少女が自分から意見を言ってくる事は滅多に無い事だった。
「急にどうしたんだよ綾波それに出掛けるって言うけど、どこに行くんだよ?」
少女はいつもの様に周りの騒音に掻き消されてしまいそうな声で
「内緒、赤城博士に教えて貰ったところ」
少年は断る理由は無いので少女の提案を受け入れた。
お出掛け当日少年は同居人達にからかわれながらも見送られた。
集合場所に着くが少女の姿はまだ見当たらない。
少し待つと少女が少年の前に現れた。
その少女の出で立ちは白を基調としたワンピース姿には似合わない
少し大きめの保冷バッグを持っていた。
疑問に思い少女に聞いてみた
「お弁当碇くんの分も作って来た」
それを聞き少年は驚いた
「作ったって綾波が一人で作ったの?」
「そう前碇くんに教わったからそれを作ったの」
そう言われ少年は心の何処かで喜びを感じていた。
「行きましょ」
その声はいつもの少女の声とは少し違う様に聞こえた。
少年は少女のあとを着いて行った。
二人は少しばかし歩き歩みを止めた。
少女は目的地に着くや否やレジャーシートを敷き始めた。
少年はそれを黙って見ているのは悪いと思ったのか
手伝いを申し出たが最初は断られたものの
渋々申し出を受け入れてくれた。
昼食の用意が終わり二人はレジャーシートに腰を下ろした。
しばしの間二人に沈黙が訪れたが二人にとっては
それ程苦にはならなかったむしろ少年にとっては少女と同じ時間を
共有している様にも感じられてしまうからだ。
それもそうだこの二人は学校の昼食の時間もいつもこんな感じであった。
しばらくしてから少年は少女の勧めもあって少女お手製弁当を口に運んだ。
何口か味わった。
そして少年は少女の目を見てこう言ったのであった
「すごいじゃん綾波!僕が教えた時より上手くなってるよ」
少女は言葉を詰まらせながらも少年に感謝の言葉を伝えた。
そして少女の中で何かが切れてしまったのか、顔を滲ませ涙した。
それに驚いた少年は少女に「どうしたの綾波!」と心配の声を掛けた。
少女は大粒の涙を流しながらも少年に「ありがとう碇くん心配してくれてでも」
「でも?」と少女の言葉を思わず繰り返してしまった。
少女は少し落ち着きを取り戻したのか呼吸が落ち着き言葉の続きを紡いでくれた。
「最近碇くんと一緒にいると心がポカポカするのに今はしないの今の気持ちがわからないの」
少年は言葉を詰まらせながらも少女に「それって僕のことが好きってことじゃない?」
少女は少年から聞く初めての言葉に興味を示した。
「『すき』ってなに?」と少女に聞かれ少年は答えに困った。
困って末に少年が絞り出した回答は
「『好き』っていうのはその人と一緒に居たいとかその人を守りたいっていう
気持ちじゃないかな?」
少女は初めて知った言葉の意味を知りそれを踏まえた上で少年に想いを伝えた。
またしばらくの間二人の間に沈黙が訪れた。
その沈黙を破るかのように少年は。
「ありがとう綾波でもこれは僕にも言わせてもらいたい僕は綾波のことが好きなんだ」と
勇気を振り絞り少女に想いを伝えた。
少女はどんな表情をしていいのかがわからず、しまいには泣いてしまった。
自分でもなぜ泣いているのかがわからず少年に問いかける。
少年の答えは「綾波は嬉しいから泣いているじゃない?」
少女は少年の答えを不思議そうに口にする。
「嬉しいから泣いているの?」と自分がわからない感情を少年に助けて貰いながらも、
少女は少年に自分の想いを伝え切ったのである。
二人はお弁当の残りを食べ終わり、帰路につく。
少年は少女を家まで送った。
別れ際、少女は少年にこう伝えた「碇くん今度から私のことを『レイ』って呼んで」
少年は少女の言葉に照れながらも「じゃぁまたねレ、レイ」