東方曲戯録   作:Sanc.マッドカイン

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十一話 意識転々

アリストスが月に向かっておよそ一週間。

満月の頃にしか、月との扉は開かず、帰ってくるのはまだまだ先になる。

 

さて、私は、紅魔館の大図書館で、暇を持て余していた。

「フラン、遅いわね、やっぱりついていったほうが良かったわ。」

「魔法を本格的に覚えるためにも、必要な過程よ。そこまで難度の高くない魔導書だから、多少迷ったとしても必ず探し出せるわ。貴女が少し、せっかちすぎるだけ。まだ15分も経っていないわよ。」

「そう言われても・・・ねぇ?」

 

レミリアが、パチュリーからスペルや魔法についての諸々を学んだように、フランもまた彼女から魔法について指南を受けるようになった。

基礎を教え終わったパチュリーが今回、フランに課したのは、本棚から特定の魔導書を探し出してくること、である。この膨大な本が収められた図書館は、控えめに言っても数万冊の内から数冊を探し出すのは、一見大変なようにも思える。とはいえ、パチュリーもちゃんとある程度の場所のヒントは与えているので、問題なく探し出せるだろう、とのこと。

実を言うと、レミリアも同じ課題をこなしたことがある。

 

「ところで、最近ルーミアとはどうなの?」

 

「どうって、友人っていう間柄じゃないんだけど。」

「最近、まともに戦ったって話聞かないから。」

 

「めっきり出てこないのよ。お父様が月に行く少し前も、探したけど、どこにいるのか全く居所がつかめないわ。」

 

およそ半年くらいになるだろうか。私は彼女と戦っていない。

「やっぱりあれほど手痛く追い詰めたら、彼女も戦う気が失せたのかしら。」

 

パチュリーは、ごく一般的な楽観を口にする。

 

「そういう柄とは思えないから、私は逆に不気味よ。」

 

「まぁ、アリストスさんがいない今、彼女の方から出てこないのは、ある意味、幸いなんじゃないかしら。平和で結構。レミィも怪我しなくて済むし、私も治療の手間が省けるわ。」

 

アリストスさんの不在を嗅ぎつけて、紅魔館を襲ってくるくらいは覚悟していたのだけど、と最後に付け加えた。

 

「気配はちゃんと隠してるからね。彼女はお父様が月に行ったことは知らないはずよ。問題があるとすれば、本当に出くわさないこと。」

 

「だから、それがいいことなのよ。貴女もアリストスさんみたいに、血気盛んに逸る必要ないわ、それとも似てきたのかしら?もしもそうなら、今すぐ直したほうがいいわよ。」

 

それはたしかにそのとおり。苦笑交じりにレミリアは頷く。

 

しかし、ルーミアか。レミリアはしっかり捉えているはずのルーミアの運命に意識を集中させる。その感覚がいつもと変わらず、だが同時に直感的には、異なる感覚も受信した。

 

運命の効力はちゃんと彼女にかかっている、そのはずだ。だが、この違和感はなんだろう。

あえて言うなら、何もない空を掴んでいるような感覚だ。

運命を操る能力によって自分が与えた実感と、侮れない直感。私は、どちらを信用していいものかと迷う。

 

「遅いわね。」

パチュリーの声で、現実に意識が戻される。確かに話し始めてから随分経過している。

「えぇ、確かに。様子を見に行く?」

「そうね、たぶん――」

 

ガラガラガラ、バタン、バラバラ!

聞こえてきたのは、何かが複数個落下したような音だ。

2人は、同時に立ち上がり、音の聞こえた方向へと目をやると、アイコンタクトする間もなく、その方向へと向かった。

無数の本を収める大きな本棚、その一つの通路に、フランは、蹲っていた。

持ってこようとしていた魔導書は、取り落とされたのか、地面にばらまかれている。

 

「フラン!」

「レミィ、待ちなさい!」

駆け寄ろうとしたレミリアをパチュリーが鋭い声で制止する。

レミリアは、何故と問うように、非難の目を向けたが、一瞬遅れて気づく。

禍々しい妖力の気配が彼女らに漂ってきていることに。

 

狂気の前触れ、妖力が暴走しようとしているのだ。

 

2人は身構える。

 

だがフランが、禍々しい妖力を撒き散らし、叫び声を上げながら、襲いかかってくることはなかった。

 

 

妖力が、彼女の内側へとしゅるしゅると引っ込んでいく。

抑えていた手を離して、息を継ぐフラン。

「自分で抑え込めたようね。」

レミリアは、ホッとした声で、今度こそフランに駆け寄り、リラックスさせるように背中を擦ってやる。

「制御が上手く言っているみたいね。これも成長なのかしら。」

 

 

「フラン、大丈夫?」

「うん・・・大丈夫だよ、お姉様。ごめん、パチュリー、本が。」

 

 

「気にしないで、仕方のないことよ。」

 

「お姉様?私、もう大丈夫だよ?」

 

「あぁ、ごめんなさい、安心しちゃって。」

 

レミリアの手を借りて立ち上がったフランは笑顔を浮かべたが、

それが空元気であることは、一目瞭然。

パチュリーは本を拾い上げようとするフランを止めた。

 

「今日は、これ以上は止めたほうが良いわね。フラン、部屋に戻って休んだほうが良いわ。」

「えっ、でも。」

「顔に出なくても分かるわ。狂気が襲ってくると、疲れるでしょう。そんな時に、講釈しても頭に入らないでしょうし。」

 

ちょっぴり残念そうな表情を浮かべたが、そう言われてはしょうがない。

「・・・じゃあ、そうする。」

 

 

フランの姿が見えなくなったのを確認すると、レミリアはパチュリーに問う。

 

「ねぇ、何で追跡魔法をかけたのよ。」

 

フランとすれ違いざま、彼女に気付かれないよう、パチュリーが追跡魔法を掛けていたのをレミリアは見逃していなかった。

本当に一瞬、フランを一瞥することなく、彼女は追跡魔法を掛けたのである。

 

「ちょっと気になることがあってね。フランの行動を少し、見張る必要があると思ったのよ。」

 

「気になること?」

 

「狂気が心配でしょう?」

 

「そりゃあそうよ。でも――」

 

「問題はないわ。フランに有害な効果は一切ない。ここは黙って聞いてもらえる?何も収穫がなかったら、素直に私の非を認める。」

 

「あ、いや、そんな深刻にならなくてもただ理由を――」

 

「フランを部屋に送ってやったほうがいいんじゃない?」

 

「あ、あぁ、そうね。・・・もう、そんなにはぐらかさなくてもいいじゃない。」

「ごめんなさいね。魔女は秘密主義なの。」

 

ごまかす彼女に釈然としていないながらもレミリアは、フランの後を追うのだった。

 

 

 

図書館を出て、部屋に戻ろうと、廊下を歩いていたフランは、ふと止まる。

「あれ・・・どうして?」

 

狂気が発露する前の兆し、心臓がドクンと大きく鼓動し、心拍が早くなっていた。

 

戸惑いは、恐怖に青ざめる表情へと変わっていく。

妖力の流れが自分で制御できなくなっていき、鼓動を抑えるように自らの胸を押さえつけた。

 

 

フランは、先程のように自力で狂気を抑えようと、意識を集中させた。

 

瞬間、彼女の脳裏に、白昼夢のごとく、だが、夜の悪夢に等しい暗闇の光景が翻る。

 

「お姉ぇ・・・さま」

身体に力が入らなくなる。信頼する姉への助けの声は、か細くしか絞り出せなかった。

 

 

そして脳裏には、断続的に光景が翻り続ける。

 

彼女の意識の中で、たがを外しつつある狂気が、明確にその形を取っていた。

 

想起される黒い顎と、狂気の懐。

 

その顎が開かれ、彼女ではない何かが、這い出ようとしてくるのが見える。

 

それに応じて狂気の制御がどんどん彼女の手を離れていく。

 

ダメ、食われる!

 

這い出る闇が、彼女めがけて殺到する。その体を侵食するために。

 

 

その時だった。

「全くしょうがないなぁ。」

フランの背後の壁が、波打ったと思えば、空間が裂けた。いや、空間が沈んだ。

 

赤の代わりに表れたのは、どろりとした漆黒。

フランの身体は、その内から伸びた手に掴まれる。そして、抵抗する間もなく引っ張られて消えた。

 

 

その少しあと、フランの後を追って、レミリアがやってくる。

だが、フランの姿がないことに首をひねった。

「あれ?フランはどこにいるのかしら?おかしいわね、たしかに気配があったのに、いきなり気配が消えてしまったわ。」

彼女は、その奇妙な現象をパチュリーに報告すべく踵を返して、大図書館に戻っていった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・ん・・・ルーミア!?」

フランが気づくと、ルーミアの顔が目の前に視界いっぱいに映っていた。

驚いたフランの声にニコリと笑ったルーミアは、顔を若干離して、聞く。

「狂気は収まった?」

言われて気づく。先程まで暴走しかけていた妖力が綺麗サッパリ消えていた。

 

「不思議、さっきは、もう飲み込まれちゃいそうだったのに。」

 

「それは、グッドタイミングだったね。」

 

「う・・・うん、結果的にはそうだけど、どうしてルーミアが私の――」

 

「さて、悪いけどもっかいちょっと寝てもらうよ。」

 

言葉は中途で切られた。切らされた。

ルーミアが指を鳴らすと、パタリと糸が切れたかのように、フランは意識を失い倒れた。

 

ルーミアは、しばしその反応を待つ。フランが起き上がってくる様子はない。だが、隠しきれていない禍々しい妖力は、彼女が目覚めていることを如実に表していた。

 

眠っているふりをしながら、こちらの隙を淡々と窺っている彼女の意表を突く形で、ルーミアは能力を発動する。

 

フランの影から、フランが分かたれる。

薄闇を凝集させたかのような朧な実体を獲得した狂気の方のフラン。自分が不意に自由にな身体を確かめるように手を握ったりして、具合を確かめると、笑みを浮かべて、ルーミアへと襲いかかる。

 

「ァァァァァァァア――!!」

 

しかし、戦闘は、起こらない。

何故なら互いに形こそ違えど、闇に属するものならばどちらが格上かと言えば、圧倒的にルーミアの方に軍配が上がる。

 

目の前の狂気は、ルーミアの力によって体を与えられたに過ぎない。

故に、その行動意思は全て、ルーミアによって干渉自在で、行動の是非も何もかもが彼女の手の中にある。

 

結果、狂気が、一歩を踏み出すことも叶わずに、彼女に頭を差し出すのは、半ば必然のことだった。狂気のフランはひれ伏し、身体は、茨を模した闇によって完全に自由を奪われ、その上でルーミアに足蹴にされていた。

 

己の力関係を明確にするこの屈辱的な構図に、狂気にあれど自身の妖力を操ることすら封じられたフランは、甘んじざるを得ない。

「ァァア―ゥウゥー!」

いくら唸り声をあげようとも、ルーミアの足を1㍉たりとも動かす力にはならなかった。

 

「君さぁ、最近ちょっと調子乗ってんじゃない?

表の方は、あんなに素直で可愛いのに、少し見習いなよ。」

 

普段のフランに接するのとは、正反対の高圧的な態度で彼女を扱うルーミア。その声音は、不快感を隠すこともなく、冷淡だ。

 

ルーミアは、狂気という心の闇をずっと知覚できる。フランが紅魔館にいても彼女の心のなかに潜む狂気がどのように活動するかは、いとも容易く彼女の知るところになる。

 

しかし、ああしてわざわざ紅魔館にまで移動したのは、単に狂気を制御する影響力が途切れかけていたからだ。長い時をかけて拘束する鉄輪が錆びるように、彼女とフランの心に、巣食う闇を縛る拘束力というのは脆くなる。

 

油断も何もあったものではない。

このフランは、こちらの都合を知る由もなく、自らの衝動を解放し、暴れ回る。

普通なら数十年持つはずの拘束も彼女にかかれば、短期間で取り払われるので、定期的に首輪の掛け直しが必要になる。

 

 

狂気に思考能力がある事に気づいたのは最近のことだ。ただの衝動が、人格化し、狂気として独立しただけではない。彼女は着実に成長している。

 

例えば、さっきみたいに、意識を何度も乗っ取ろうとするとか、そんなことをパチュリーたちに知られてしまったら、彼らも狂気もただの異常でないことに感づいてしまう。

それは、まだ彼らには知られてほしくないので、リスクを承知で、侵入した。

厄介なアリストスはいないことが幸いだった。フランの記憶から、彼が月に行ったことは、チェック済みだったが、いないと知っているだけでも安心感というものが違った。

 

戦況にもよるだろうが、少なくとも一ヶ月は確定。長引けばそれ以上の期間、紅魔館に、フランに干渉できる。今の紅魔館は、平和であらねばならない。

故に、こうした不確定的な暴走が起きると困るのだ。

 

 

足をゆっくりと上げ、頭に影を落とす。勢いよく振り下ろされたそれはフランの頭を叩き潰すのではなく、その隣の地面を穿ち、大地に響く轟音を生み出す。

 

これには、狂気も恐れをなし、ピタリと、その動きが止まって抵抗はおとなしくなる。

 

「ふ~ん、少しはものを考えるってことができるみたいだね。わざわざ身体を分けた甲斐はあったかな?」

 

狂気の方のフランだけを能力で分割し、器は闇で形作る。

自分の分身を作り出すくらいに、特段準備も何も必要とすることはなく、思いつき感覚でやってみたが、それなりに使える、とルーミアは判断した。

 

なにせ、こうしてしまえば、何ら本体に気負うことなく、彼女を殺せるのだから。いくらでも殴り痛ぶり傷つけることだってできる。

 

「さて、フラン?君のご主人さまが目覚めるまで、結構時間があることだし、その間、私達でお話をしようか。例えば、これからの付き合い方とか、ね?」

 

嗜虐心たっぷりにルーミアは微笑むと、

 

 

目覚めた時、ルーミアはとてもすがすがしい表情で、私を見下ろしていた。

いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。

 

不思議なことに眠る前の記憶が浮かんでこなかった。

 

「やっと気づいた。」

 

「私、寝てたみたい。ごめんね、ルーミア。」

 

お膝の柔らかい感覚が、預けた頭から伝わってくる。

 

「そのままでいいよ。」

 

ルーミアは、起き上がろうとするフランをそっと抑えて、膝枕を継続させる。

 

 

気分が良い。今までのストレスが全部どっかに吹き飛んでいった感じだ。

 

 

「ねぇ、ルーミア。聞きたいことがあるの。」

ふと、フランが起き上がり、改まった様子で口を開く。

 

「ん?何?」

 

「私、さっき狂気が見えた。夢の中で。」

 

「・・・」

 

「見えたの。とっても怖い怪物がいた。何度も夢の中で私は、あいつの姿を見る。

 

これ以上、狂気が大きくなっちゃったら、私、私はどうなるかわからない。

 

私、もっとお姉様達を傷つけることになるかもしれない!ルーミア!どうすればいいの!?」

 

ルーミアの腕を掴んで、彼女を自身に元に引き寄せて、捲し立てる。

不安に駆られた彼女の瞳は潤んでいる。その瞳をじっと見つめながら、ルーミアは言った。

 

「フラン、落ち着いて?自分の中の狂気を怪物なんて言ってしまったら、自分のことを怪物だって認めるのと同じだ。そんなこと思っちゃダメだよ。

狂気はちゃんと私が止めてあげてるんだ、何も心配することはない。」

 

 

手を伸ばし、彼女の頭を撫でる。

そこから頬にかけて、顔のシャ―プな輪郭をなぞるように手を移動させていく。

 

行動の意味を計りかね、こちらを不思議そうにフランはこちらを見上げてくる。

最初はくすぐったそうにしていたが、ルーミアの指が一度、二度と、往復していく度に、その抵抗は解きほぐされ、柔らかくしていく。目は心地よげに細められ、穏やかな吐息を吐き出させる。

 

「ありがとう、ルーミア。落ち着いた。」

 

「うんうん。じゃあそろそろ紅魔館の方に戻ったほうがいい。」

 

「あぁ・・・そっか。私、部屋に戻る途中だったんだ。すっかり忘れてた。」

 

「さっきみたいに、紅魔館の中に戻してあげる。なにか聞かれても私のこと言わないようにね。」

 

「う、うん。ルーミア、いつもどおりに、だよね。」

 

「そ。じゃあね」

 

「またね。」

 

ルーミアが影に溶けるようにして、フランを包み込み、視界が暗くなっていく。

気づけば紅魔館の中、彼女の部屋で横たわり、緩やかな眠気に任せ、そのまま眠りについた。

 

 

 

 

フランを送り届けたルーミアは、自身の住処の洞穴に戻り、考え事を始めた。

 

さて、フランの信頼は十分に稼いだ、懐柔はもう必要ない。

彼女の狂気も私に逆らわないし、私の意思で、その行動を操れる。

特に今日は、もう思い知ったでしょ、さすがにね。

 

これ以上、色を出して、逆に紅魔館の連中からまた目をつけられても困る。

あいつらも私が大人しくしてると、放置してくれるみたいだし、思えば、フランと会ってから、私はアリストス達と戦うことがなくなった。

 

それで彼女を懐柔することに集中できたから結果オーライだったが、計画を次に進める段階が思いの外、早く訪れてしまった。

 

元々計画に明確な設定はしていない。

ただ、アリストスだけは殺す。とりあえずアリストスだけぶち殺せるなら、それでよかった。

が・・・本命のターゲットが生憎いないし、だからこれ以上進もうにも進めない。

 

けど殺した後にレミリアたちが敵討ちに来るなら、厄介だ。

そのためのフランドール、そのための狂気。彼女を利用することに関しては、変わりない。

問題はレミリア・スカーレット。

彼女の『運命を操る程度の能力』については、まだ分かっていない『種』がある。レミリアたちとの戦闘は、段々と段々と私の方が不利になって追い詰められていくジリ貧の戦いを強いられた。

 

屈辱とかは別に感じてはいない。

ただいかに、その絡繰りを確かめたものか、とルーミアは思考する。

 

不安な要素は少なければ少ないほどいい。ただ彼女と戦闘を行うためにわざわざアクションを掛けに行くのもこうして影に隠れる意味がない。

リスクを取って自ら不安要素を増やしてしまうのは、本末転倒――

 

「ん?」

色々と考えていると、森に仕掛けてある罠の一つが反応し続けている事に気づいて私の意識は現実に引き戻された。誰かが私の闇を踏んでいる。大雑把な気配が誰のものなのか、探るために、そっちに意識を集中させる。

「ぁ。」

ルーミアは、その気配が何者であるかに気づいて、小さく声を上げた。

感知した侵入者は意外なことに、件のレミリア・スカーレットだ。

 

ちょうど彼女が考えていた厄介な吸血鬼が他ならぬ彼女のテリトリーにやってきたのだ。

 

「――ふ」

まさか向こうからやってきてくれるとはね。

 

それなら、それで上等だ。

フランと関わって得たあまりに平和な計画の日々もようやく動き出す。

すっかり忘れていたよ。戦闘意欲が燃え上がってくるようなこの感じを。

 

「少し乱暴に歓迎をしてあげようかな。」

 

なにせ、アリストスもいないし、余計な邪魔をされることがない。

手を擦り合わせて、ルーミアは笑む。

すっかり彼女とはご無沙汰だ。白昼堂々、種明かしを迫ってやろう。

 

 




正気になったり狂気になったり、フランちゃんは忙しい。なんか視点の切り替わりも忙しい。

次回は戦闘があります。


投稿前にフェネックの人形が目に付きました。可愛かったです。
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