紅魔館まであと僅かとなった頃、咲夜は結論を出した
「やはり主であるお嬢様やその御友人であるパチュリー様を危険に晒す訳には行かないわね…!
となると試しに何か願ってからお嬢様方に御報告するのが自然かしら…
でもだとすると何をお願いしましょう…?」
ああでもないこうでもないと考えながら歩き続け紅魔館へと帰って来た咲夜は門番である紅美鈴に出迎えられた
「あ、お帰りなさいです咲夜さん」
「えぇ、ただいま美鈴
妖精メイドは…あの子達はちゃんと仕事してるかしら?」
「私は門番なので確かな事はなんとも…
まぁ聞こえてくる声や物音を聞く限りではいつもどおり派手に遊んでいるみたいですね」
「ハァ…まぁそうよね、すぐに遊び始めるんだからあの子達は…
そして私がその尻ぬぐいをすることになるんだもの、せめてあの子達がちゃんと真面目に働いてくれれば私の仕事も楽になるんだけど…」
そこまで口にし咲夜はあのランプを思い出した
そして広角を上げて笑うと美鈴に別れを告げて紅魔館へと入っていった
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「予想以上の荒れ具合ね…
お嬢様方が出掛けていてよかったわ、この惨状を見たらきっと不機嫌になってしまうものね」
紅魔館の中に入った途端、咲夜の目には妖精メイド達が遊んだ結果がありありと入ってきていた
バケツを返したのか床は所々水浸し
走り回って転びでもして引っ掛けたかカーテンやカーペットは縒れて所々破けている
そして極め付きには飾られている絵画や美術品には落書きとまさに惨状と言うべきソレがあった
普段ならば時を止めて後片付けをする咲夜、しかし今日は違った
鞄から拾ったランプを取り出すと意を決して擦りつつ言う
「お願いジーニー…!
妖精メイド達が真面目に働くようにして!」
「ハァーーーーーイ!!
了解了解、ひとつめの願いだな!」
そう言いながらランプから出てきたジーニーはパチンッと一度指を鳴らした、すると青い煙が紅魔館中に走っていった
「これでひとつめの願いは完了だな!」
「これだけ?
本当にこれで妖精メイド達が真面目に働くようになったの?」
「本当本当、確かめてみてくれても良いぜぇ!
それじゃ、またのご利用お待ちしてまーす!」
そう言いながらジーニーはまたランプへとスポッと戻っていった
「うーん…まぁ考えていても仕方無いわね
妖精メイド達、集まって!」
メイド長として妖精メイド達に招集をかける咲夜、今までならば誰一人来なかった招集には紅魔館に雇われた妖精メイド達が全員集まってきていた
「もうすぐお嬢様方が帰ってくるわ、それまでに館中を掃除するわよ!」
「「「はーい!」」」
妖精メイド達は咲夜の号令に従い掃除用具を取り出してお喋りはしつつもしっかりと掃除を始めた
それを横目に咲夜も掃除に取り掛かりつつ、表には出さずに内心で驚きと関心を抱いていた
(凄い…あの妖精メイド達が全員集まってしかもちゃんと仕事してる!
やっぱりあのランプとジーニーは本物、罠でもなんでもなく正真正銘願いを叶えるランプの魔人だわ…!)
これで自分の負担も少なくなる、そう思い上機嫌になっていた咲夜、しかしすぐに別な事を考え始めた
(こうなれば…残りの願いを使い切るべきかしら?
それとも…他に願いを叶えて貰う前に、従者としてお嬢様方にランプとジーニーについて相談するべき?
そもそも願い事が浮かばないし…ランプを手放すべきなのかしら?)
あれこれ考え悩みながら咲夜は掃除を続けるのだった