天才の試験型による青春物語   作:graphite

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退屈

 

「突然だが小テストするぞ」

 

椎名と知り合ってから数週間の事。それからしばらく生徒会の事務作業やなんかがありならも平穏な生活を送っていると授業開始と同時に突如そう告げられる。

 

「聞いてないんですけど~」

 

最初の読み通りウチのクラスは問題児ばかり集まっているようで授業を真面目に受けてたのは最初の週位でそれ以降は遅刻に授業中のおしゃべりやほかごとは習慣化していた。これはもしかしなくても来月のポイントは0かもな

 

「当然だ。抜き打ちだからな。だが安心しろ.........成績には(・・・・)影響はない」

 

(成績には.........ね)

 

この学校に入っていい加減発言の一つ一つの裏を考察するのが板をついてきた。まぁ、裏をと言うよりは素直に言葉を受け取っているだけともとれるか

 

茶柱先生の合図で小テストは始まる。

 

俺はテストの問題を見て疑問を覚えた

 

(何だこれ?中学生レベルの問題もだが大学入試レベルの問題まで混じっていやがる......いやに難易度バラバラだな)

 

俺からすればどれもあくびが出るほどに簡単な問題であることには違いないが不可解すぎる。取り合えず全部解くのはつまらないし必要以上目立つのも嫌なので少しは手応えがある大学入試レベルの問題でも解いておいてあとから適当に得点操作でもすることにした

 

(今回は.........まぁ、77点でいっか。にしてもこれ何を試されてるんだ?)

 

少し考えて点数を調整しているとふとこの不可解な小テストの意図に察しが付く

 

(もしかして過去問そのままなのか?中学レベルはまだしも大学入試レベルは普通は解けないだろうしそう言う事なのか?)

 

恐らくはそうなんだろうと考えながらテストをこなしていった

 

 

**************

 

 

「ねぇねぇ、拓斗君。今日の小テストやたらと難しくなかった?」

 

帰宅中に恵がそんなことを俺に尋ねる。今日は仕事もなく恵も一緒に帰りたいとのことなので仲良しアピールのために手をつないで帰っている。

 

「まぁ、大学入試レベルが混じってたしな。普通にやれば80点か90いくかいかないくらいが最高点になるんじゃないか」

 

「え?そんな問題だったの?なんでそんな問題があったのかな?」

 

「多分過去問でもあるんだろうさ。テストによる学力だけじゃなく、情報収集能力なんかも試されてるんだろうな。まぁ、恵には将来的にすらすらと解けるようになってもらおうかな」

 

俺は悪戯っぽく笑みを浮かべてそう告げると恵は引き攣った表情を浮かべる

 

「え........?じょ、冗談よね?」

 

「マジ。あの程度のレベル位を余裕で解ければ国立は堅いし、何よりこの学校で学力ってのは大きな武器にもなりうるだろうしな。いくら過去問なりの回避方法が用意されていても確実じゃないしな」

 

「うぐっ........そ、そう言う拓斗君こそ解けたの?」

 

試すように恵がそう問いかけるが.........

 

「余裕。他に比べれば手応えあるけど簡単すぎて詰まらんかったな。適当に点数操作して遊んでた」

 

「遊んでたって...........拓斗君ホント何者?どっかのエージェント養成所みたいなとこ出身とか?」

 

「フッ、ちょっと特殊な背景があるただの高校生さ。それに恵には近いうちちゃんと教える」

 

恵の憶測は当たらずとも遠からずってとこだろうか。中々に勘がいい。これはある意味俺のことを話した時の反応が楽しみだな

 

「何か聞くの怖いんだけど........」

 

「別に法には多分触れてない話だし怖くないさ」

 

「..........待って、今多分って言った!言ったわよね!?」

 

「あはは、冗談冗談。恵はいい反応するから少し揶揄っただけだよ」

 

俺がそう笑いかけると.........

 

「も、もうっ!/////////拓斗君なんて知らない!」

 

拗ねたように顔を背ける恵だがそれは理由の半分でしかない。もう半分の理由は拓斗のはにかむ姿にドキマギし顔を赤らめたところを見られるのが恥ずかしいからである

 

「ごめんごめんって」

 

「たうわ!?///////こ、こんなとこで頭撫でないでよ!!だ、誰かに見られたら恥ずかしいでしょ!!」

 

「そう言う割にはこうすると嬉しそうにしてるよな?顔に出てるぜ」

 

「そ、そんなことないもん!///////」

 

実際は嬉しかったりするのだが揶揄っているのがわかっているので黙って撫でられることにした恵。決して続けて欲しいからではない...........

 

 

******************

 

 

5月1日。朝起きて日課を済ませて何時ものように恵を待っているところで支給されたptを確認していた。

 

(まっ、予想通りだが0か.........こりゃ今日は荒れるだろうな)

 

前日のptから全く変動していないことを確認して俺達Dクラスの支給されたptは0だと言う事を確認したところで..........

 

「おはようございます。綾池君」

 

そう言って現れたのは坂柳と黒髪のスタイルのいい女子生徒だった

 

「おはようさん。で?何か用か?」

 

「大した用はないですがDクラスは何pt支給されましたか?」

 

「お前わかってる癖して皮肉か?」

 

「フフッ......それこそまさか。綾池君の事ですし自分のクラスの事なんか些末事にしか思っていないのではないのですか?」

 

自分の事を見透かされたように言われるのはやや不快だが言ってることは的を得ている。俺はクラスがどうなろうと恵と俺に何もなければどうでもいい。清隆の方がそこらへんの関心については俺よりもないだろうが。まぁでも、強いて言うなら俺の完成形である綾小路の行く末には興味はあるが

 

「お前の言う通りですよ......質問の答えについては0ptが支給された。お前の事だしどうせそうなる事も想定内だろ?」

 

「そうですね。綾池君と同じように私もそうなると思っていましたが.......中々に問題児が多いようですね」

 

「あぁ、それはもううんざりするレベルにな?で?それだけじゃないんだろ?」

 

ptの確認なんてメッセでも十分なはずなのに直接こうして確認に来たということは何かあるのだろう。そう思いたくとは尋ねる。

 

「私の奴r.......「断る」.....やはりそう答えますか。なら今度予定しているチェスで貴方が負けたら私のクラスに編入して駒になってください。そうすれば色々と面白そうなので」

 

見た目は美少女な坂柳がくすくすと笑ってはいるが獰猛な猛獣が獲物を見ているようにしか見えないのが何ともアンバランスでしかないのに妙にマッチしているのが不思議だ。てか、今奴隷になれとか言いかけてたよな?

 

「お前本気で勝てると思ってるんだな?」

 

「フフッ.......そう言う綾池君こそ私に負けると微塵も思っていないのではないですか?」

 

「当然だろ?始まる前から負けると思っているやつがどこにいる。てか、Aクラスに移るにはptが必要なんだが?」

 

これは生徒会の時に会長に聞いたことである。クラス移行に必要なptと退学回避に必要なptは〝いざ〟と言うときのために調べておいた。欲を言えば俺と恵両方の二回分くらいの退学阻止に必要なptは稼いでおきたい。

 

「それこそ綾池君なら全額とまではいかなくともそれなりに蓄えがあるのでは?」

 

「さぁな?俺も俺で色々あるんだ」

 

「そう言う事にしておきます。では本題なのですが私の協力者になってくれませんか?」

 

「協力者だと?クラスを裏切れってか?」

 

俺自身裏切ることに何ら抵抗もない。ただまだ恵と俺の安全の確保ができてない状態でそれは好ましくない

 

「いえ、裏切る必要はありません。ですがこれから行われる特別試験で私は諸事情あり指揮を執れないのです」

 

特別試験の存在も聞いていたが本当にあるわけか..........直近で来るとしたら長期休暇の夏休み。坂柳が参加できないことを考慮に入れれば肉体系の要素も兼ねているのだろう。

 

「んで、別にお前ならそこの女子生徒なり〝お友達〟とやらでやろうと思えばいくらでも場をひっかきまわして支配できるんだろ?何か俺が協力する必要があると思えないが?」

 

「ふふっ、確かにできるでしょうがそれでは試験型(プロトタイプ)である貴方のレベルが測れないではないですか。私はこれでもあなたに興味があるんですよ?」

 

「興味ね.......坂柳みたいな美少女に言われたらうれしい筈なのにどうしてこんなにも嬉しくないんだろうな?」

 

「あら、お口が上手いんですね?ですが報酬も当然支払いますし、何より貴方も〝退屈〟しなくて済むと思いますが?」

 

「........お前なぁ」

 

確かに俺は退屈している。何故なら俺に与えられた武器があれば何人だろうと簡単に勝ててしまうし、薄汚い大人の事もよく理解してしまっている。こんな世の中才能があればヌルゲーだ。退屈でしかない。

 

「ふふっ、貴方のその退屈だという気持ちは私にもよくわかります。私は天才ですので他者にいとも簡単に勝ててしまえる。それでは詰まりません。だからこそ貴方とチェスができること........貴方となら本気で潰し合える事が酷く楽しみでたまりません」

 

獰猛に、苛烈に、されど冷たく坂柳は笑う。全く、これは本当に〝楽しめそう〟だ。

 

「あぁ、確かに〝楽しそう〟だ。潰すどうの以前にお前となら楽しめる気がするよ」

 

「あら?とても愉快そうに笑えるのですね」

 

「そうか?まぁ報酬に関しては追々として手を貸してやる。好敵手とは得難いもの............俺とお前とでやり合うだけなら何も問題ない」

 

「そうですか..........軽井沢さんがそれほど大切ですか?私が彼女の代わりになってもいいのですよ?」

 

言外に恵に手を出すなよと言うのは伝わっているようだ。こいつの事ならもう恵の事も知っていると思ったが想定していた返しとは違う

 

「何馬鹿なこと言ってるんだよ。恵が大切なのは当然だ...........そしてそれの代わりにならないのもまた当然。美人が下手なこと言うと襲われるぞ?」

 

「あら、つれませんね.........貴方なら私もやぶさかではないのですがこれはまた随分と彼女にお熱の様ですね?貴方らしくないのではないですか?」

 

「俺らしいってなぁ........そりゃ彼女の一人もいたら変わるのが男ってもんだろ?」

 

「貴方の場合は一般的な男子の枠から大きく外れてると思いますが........そう言う事にしておきます」

 

それだけ言うと坂柳は去っていった。なので俺は後ろの物陰で隠れている彼女に声を掛ける。

 

「恵。隠れてないで出て来いよ」

 

「あはは..........気づいてたんだ?」

 

「最初からな。恵には今度バレない尾行の仕方教えてやるよ」

 

俺が坂柳に協力してくれてきなことを言われた時くらいにはいたことを俺は見逃してなかった

 

「いやいや必要ない技術よねソレ!?と言ううか何でそんなもの教えられるのよ!」

 

「必要はあると思うぞ。いざとなったら恵には諜報作業をしてもらうかもだしな」

 

このまま恵の立場が守られれば恵は女子のトップでいられる。女子の持つ情報や今後もしクラス内で動くことになった時男子はともかく女子を動かすのは骨が折れるのもある。そのためある程度そっちの技術を恵には身に着けてもらいたいのは本心だったりする。

 

(まぁ、クラスで動く気なんてさらさらないけどな)

 

と言っても拓斗はクラスをどうにかしたいなんて微塵も思っていない。俺と恵が平穏無事にそこそこ退屈せず過ごせるのならそれでいい。

 

「なんかここ来てから拓斗君少し生き生きしてるって言うか.......つかみにくいって言うか.........元々付き合いは長くはないからあれだけど、少し変わった?」

 

「さぁ?恵が隣にいるからかもな?」

 

「も、もうぅ!すぐそう言うこと言って私を殺す気なの!?////////」

 

「何でだよ。............フッ、全く......ホントここは退屈しないな」ボソッ

 

「?何か言った拓斗君」

 

「恵が可愛いなぁって言ったのさ」

 

「も、もうもう!///////そういう所だってばぁ!!!///////」

 

俺の肩をポカポカ叩く恵を見て俺は坂柳の言葉を思い返す

 

『これはまた随分と彼女にお熱の様ですね?貴方らしくないのではないですか?』

 

確かに普通に恵程度の能力の人間なんか俺はバッサリ駒と割り切っているだろう。俺にも人間的な部分はあるがそれでも他人に何かを想い、執着する人間ではないのは確かだ。だが、簡単に切り捨てず中学の時から恵を気にかけていたのはきっと彼女は俺に似て――

 

(なんてな.........まぁ、揶揄うと反応が面白いのは否定できないけど)

 

こうして恵を揶揄ういつもの日常が始まる。俺は確かに退屈している。だが彼女と過ごすのは正直〝退屈〟ではない。

 

 





今回はここまでです。次回以降漸くよう実らしくなっていく.......はずです。夏休みなのでできる限りのペースで他作品も更新できるよう頑張っていくので自分の痛い妄想に付き合っていただければ幸いです。

さて今回もここまで読んでくださりありがとうございます!次回以降も楽しんでもらえるよう頑張るのでどうかよろしくお願いします。
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