恐怖───
俺はかつて、暗殺者と言う裏業界の人間からその技術や経験談を施設で仕込まれていた。その当時は暗殺者の殺気は俺を十二分に命の危険を感じさせうる恐怖を感じさせた。それにより俺は恐怖と言う感情を............人間の心理面での脆弱さや応用性を学ぶことができた。それ以来今まで俺はそれ以上の恐怖と言うものを味わう事もなく生きてきた。
きっと、俺に恐怖を与えられる存在は今後現れるかどうかそう思っていた。寧ろ、俺自身が恐怖と言う人間、或いは生物の感情を使いこなすだけだとさえ思ってきた
だが、今初めて理解した。初めて学んだ。
普段手玉に取ってる相手は..............
女性とは───
如何に怒らせてはならない存在かという事を───
「さて............拓斗君改めて聞こうか..........どういう状況カナ?」
「そ、そうですね...........いうなればあれですよ!友情の確認をしていたと言いいますか.............」
俺、綾池拓斗は地面に正座し、彼女(偽)である軽井沢恵はそれをゴミを見るような目で見るという世間一般でいう所の修羅場が形成されていた。久しく、自分の命(社会的)が脅かされる感覚を覚えた。だからか、らしくもなく焦燥を感じた
そして、その原因でもある一人...........椎名ひよりと言えば、それはそれは幸せそうに食事を進めていた
「へぇー...........私には椎名さんを口説いてるようにしか見えなかったけど?」
いきなり直球ド真ん中に放ってくる彼女様(偽)。すでにお互いの自己紹介は済ませていた恵からのその言葉に椎名.......改め、ひよりは手を頬に沿えて赤らめている。
うん、反応するならもう少し前からでもよかったかな?できれば援護こみで......
「滅相もない........朝も言ったろ?世界一愛してるよ恵」
「っ..........拓斗君さぁ、私のこと簡単に照れさせられるって.........チョロいって思ってない?」
(いや今大分効いたろ?顔に出てるぞ?)
若干頬が緩んでいるのを拓斗が見逃すわけがなかった。恵はストレートな言葉に弱い。馬鹿みたいな言葉でも..........例えそれが演技であっても素で照れてしまう。だからそこから切り崩す。
ただ、何故か若干ひよりの機嫌が悪くなったように見えるのが不思議だ。やはりもう少し心理面での学習をするべきかもしれない。
「いや............でも、彼女を悲しめてしまったのは本気で悪かったと思うよ。反省している............ただ、そうは言っても簡単には受け入れられるものじゃないだろう?」
「........要するに行動で示してくれるわけ?」
「あぁ、例えばこんな風に.............」
「ふ、ふぇっ////////!?」
俺は立ち上がると恵の顎に手を添えクイっと上を向かせる。確か顎くいなるものだっただろうか?ネット等では女性がされたらうれしい等、物語などでもよく出てきてはいたが.............成程、これは相手との上下関係を示すのに向いているように思える。尋問等にも活用できるだろう。
「そう言えばまだこれはしてなかったね?」
俺はそのまま恵に顔をゆっくりと近づかせる。するとみるみる赤くなっていくのがわかる。視線がブレブレで既に怒気が完全に抜けきっているのがわかる。
「あの.......しょの.......あうぅ////////」
(か、顔がぁ//////////拓斗君の顔が近づいてくる/////え?えぇ!?!?も、もしかしなくてもこのまま.......//////)
あと少しと言う所で恵はぎゅっと怯えたように目を閉じる。だが意識は唇に集中し、その瞬間を今か今かと待ち続けてると.........
フゥ~
「ひゃん!?/////」
拓斗は恵の耳にそっと息を吹きかける。そしてそのまま甘く囁きかける様に───
「ここではしない............二人きりになれるときに、な?」
「はぅ......./////!?」
恵はその言葉に頭が沸騰してしまったかのようにクラクラしていた
正面には拓斗の顔があり、恵の目か見ても整った顔立ちに更にフィルターがかかりまともに直視できず視線をそらしてしまう。これで最早完全に勝敗はついたと言えるだろう。
まぁ、恵は拓斗にベタぼれな為はなから負けてるともいえるが.........
「まぁ、他の人からは頬にしたようには見えるかもね?」
「あうぅ/////////」
完全に立場が逆転し、ちゃんと拓斗は席に腰を下ろす。ひよりも頬を赤くして照れてしまっているようだが気にしない。心配があるとすれば............
(変な噂流れたりしなきゃいいけどなぁ.............)
この件の数日後に、『ただしイケメンに限る』と意味の分からない題の記事が写真とともに出回り、顔を赤くした橘先輩と若干呆れたような会長から軽めに注意を受けるのであった...........
(ふ、二人の時はきききききき......キ.....ス////////..........してくれるってこと?////////////って、私たち本当に付き合ってるわけじゃ...........でもちょっと期待しちゃっても..........///////)
(軽井沢さんと話してる拓斗君を見るのは何故だかヤな感じです..........でもあれが顎クイですか.......//////今度からは恋愛小説も読んでみましょうか?)
**************
今日のDクラスは最終的にやはりお通夜みたいな雰囲気だった。個人的にはいつも煩過ぎるくらいなので正直過ごしやすかったと恵に言ったら引かれたのが解せない。
授業が終わると洋介が言ったようにクラスの何人かで話し合いをするようだが、俺は朝も言った通りクラスはどうでもいいのでさっさと帰ろうとしていた所────
『1年Dクラスの綾小路清隆君、綾池拓斗君。担任の茶柱先生がお呼びです。職員室に来てください』
と言う校内放送があり、恵に今日は生徒会がないためクラスの話し合いが終わったらあとで落ち合うことを約束し、今は清隆と職員室まで向かっているのだが........
「なぁ、清隆や。まさかとは思うが何かやらかした?」
「それこそまさか.......そう言う拓斗こそ賭け試合何なりでやらかしたんじゃないだろうな?」
「思い当たる節がないなぁ..........(まさか清隆もいるし、昼の件じゃないだろうし........)」
昼に恵を誤魔化したのが少し拙ったかもと考えるが..........まぁ、大丈夫だとは思うし心当たりはない
適当に世間話でもしながらだらだらと二人で職員室まで歩いていく。先生が何を考えているかは知らないが正直面倒だ。速く終わればいいなどと拓斗は考えていると.............
「キャッ!?」
すると後ろから女子生徒の悲鳴が聞こえた。直ぐに振り返ると綺麗なストロベリーブロンドの女子生徒が階段を踏み外したのかこちらに向かって落ちてくる
この学校に入学してからというもの、美少女は高いところから落ちてくるのは所謂〝お約束〟と言うものなのだろうか?
などと緊張感のないことを考えていた拓斗だが、流石に目の前で大怪我されては寝覚めが悪い。拓斗はそのまますぐに彼女が階段にぶつかる直前でその体を支える。だが、かなり無理な体勢で助けに入ったので後ろに重心が流れる。流石に重力に逆らうことは不可能なので、重力に従い拓斗自身もそのまま後ろから倒れそうになる。なので───
「よッと!」
逆に拓斗はそのまま階段を蹴り後ろ向きで会談を飛び降りる。幸い、拓斗達の前に階段を降りるものも上るものもいない為にとれた行動だ
(女子生徒は椎名時と同じく咄嗟に抱えたが怪我はないだろうか?)
「大丈夫か?拓斗」
「おう、こっちは平気..........えっと君は大丈夫か?」
「にゃ、はははは.........大丈夫だけど少しこの体制は恥ずかしいかな?」
どうやら怪我はないようだが確かにこの状態のままはあらぬ誤解を受けかねない。
「すぐ下す..........怪我はないみたいでよかった。それじゃ俺は清隆と職員室に用があるからまた」
俺はそのまま清隆と立ち去ろうとする。すると俺の腕をつかみその女子生徒は俺を静止させる。
「ちょちょ、ちょっと待って!?私、迷惑かけたのに何もお礼できてないし..........」
「お礼ならいい。ただ俺が勝手にしただけだから気にすることはないぞ。強いて言うなら階段では足元に気を付けるように」
「うぅ........それは本当に注意します..........で、でも!何かお礼はさせてよ?だってもし君が私を助けてくれなかったら大怪我してたもん!それにせめて名前とか教えてくれないかな?」
この少ないやり取りで感じたのはこの子がお人好しと言う奴だという事。きっと優しい女の子と言う奴なんだろうが...........どうにもそれだけには見えない。どこか『そうあらねば』とまるで強迫観念にでも駆られたように見える。
(........って警戒しすぎか?)
ぼんやりとそう考えていると先に女子生徒の方から名乗る
「あっ!人に聞くときは自分から名乗るべきだよね!私は1年Bクラス一之瀬帆波だよ!さっきは助けてくれて本当にありがとう!名前.......教えてくれないかな?」
上目遣いで再度俺の名前を問う彼女。これがウチのクラスの薄い仮面をつけて人からよく見られようとする〝彼女〟だったら計算ずくだと感じてしまうがどうやら一之瀬帆波と言う少女はこれが素のようだ。
「(一之瀬.......確かBクラスのリーダーだったか?)俺は綾池拓斗。そしてこっちが綾小路清隆。二人とも1年Dクラスだ」
名前だけは知っていた。生徒会をやっていれば様々の情報が手に入る。それこそ生徒の詳細なデータの一部などもだ。
「綾池君に綾小路君..........うん、覚えたよ!それにしても......綾池君ってすごいね?普通あんな風に助けられる?」
「確かに拓斗.........まるでスタントマンみたいだったな」
二人にそう問いかけられる。嘗て研究所で世界的に有名なスタントマンや武闘家に舞踏家、その他にも果てはプロの暗殺者にも技術を仕込まれていたりする。なんでも俺の身体的スペック向上とその能力値テストのためだと聞かされている。
「まぁ、体は鍛えてるからな。それに一之瀬は軽かったし」
「にゃははは..........なんかそう言ってもらえて嬉しい反面恥ずかしいなぁ........って!そう言えばもしかしなくても綾池君って1年生で生徒会に所属してるあの綾池君だよね?」
「そうだぞ...........あぁ、もしかして一之瀬は生徒会に興味あるのか?」
そう言う知られ方をしてるからか一之瀬が言いたいことは何となく察しがついた
「うん。その事について星之宮先生.........担任の先生に聞こうと.........」
そう一之瀬と話していると後ろから声をかけられる。
「何やらかしたんだ綾池?」
俺達が振り返ると後ろには金髪でラフな外見の上級生..........そして同じく生徒会所属であり、拓斗と同じ副会長である男子生徒
「南雲先輩どうもです。と言ううか何かやった前提なの酷くないですか?」
彼は2年のAクラスで生徒会副会長であり、次期会長候補筆頭の南雲雅。カリスマ性に長けており、見た目の良さもあり女子には人気だが...............
「はっははは!冗談だ........それでそっちの可愛い子とそっちのぬぼーとした男子生徒は知り合いか?」
「そんなとこです。それよりも南雲先輩はどうしてここに?」
「この間先輩の威厳を傷つけた生意気な後輩の指導される姿を見に来た............ってのは冗談で生徒会の書類だよ。この間の奴」
「いやな冗談辞めてくださいよ.......そう言えば期限が今日でしたね」
「そう言う事だ。そうだ、今月もやるか?今度はもう少し面白そうなの考えとくぞ?」
「それじゃよろしくお願いします。先輩は大金賭けてくれるからやる気でますしね」
「おいおい俺はお前の金ずるじゃねぇぞ?まっ、楽しみにしてるよ........で、大方そっちの男子はお前と同件として女子生徒の方は違うよな?」
「あ、あの!私は.......「彼女は担任の先生に用があるみたいですよ。なんでも今後のクラス運営に関してだそうです。まぁ自分は他クラスなので詳細は効いてはいませんが」
一之瀬は南雲先輩の事を知っている。だから、パイプでも築いておきたいだろうが間に入らせてもらう。個人的に一之瀬を嫌っての嫌がらせではないが.........この子はちょっとこの学校の生徒達を甘く見てる。特に南雲先輩に対してはそれは拙い
「なんでお前が答えるんだよ?あれか?惚れたのか?」
この人はわかってておどけている。それは俺も同じで、この人の前では取り繕っている。最も彼のようなちゃちなそれではないが
「それこそまさか。俺、彼女いますよ?それこそとびっきりの........ね?」
そんな二人の様子を見ている一之瀬は、お互いの間の空気が幾分か冷たくなったように感じた。自分の間に入った綾池の行動に戸惑いを覚えたが、自身を助けてくれた相手だと言う事から恐らくは嫌がらせとは他の理由があるのだろうと頭を悩ませつつ、何か険悪な雰囲気にのまれそうになる。
(二人は言いたい〝何〟を話してるの?)
言外に何か言い合いをしているようだが全く意図はつかめない。一之瀬には見えないやり取りしているような不思議な感覚だ
「は~ん........まっ、そう言う事にしてやるよ。それじゃまた生徒会でな」
そう言って一之瀬を舐めまわすような視線を向け去っていく。
(たぶん彼女は俺が前に出てたから視線には気が付かなかっただろうけど、やっぱり狙ってた.........と言うよりターゲットにされたな。てか、俺には関係ないだろうに何で助けたんだか........最近やっぱ俺変か?)
去っていく背を見ながら一之瀬は拓斗の行動の真意を問う
「........ねぇ?どうして綾池君は私が南雲先輩と話すのを止めさせようとしたの?」
「そうだな.........それを言う前に、清隆は知らないだろうから表向きのあの人の事を軽く説明しとくと、あの人は元Bクラスの人で、現副会長。自力でAクラスに上がった人でもありカリスマ性もだが能力もある人で、当然あの容姿だから人気も高い」
「........表向き、ね.........つまり裏があるってことか」
清隆は耳聡く、その部分で正確に理解を示す。そしてやや遅れて一之瀬もそれがあまりよくないことを察しがついただろう
「そう言う事。................そうだな一之瀬はさ、学年全体を支配できると思うか?」
「え?それが何に関係があるかわからないけど............無理なんじゃ........ってまさか!?」
「流石Bクラスリーダだな。そう、すでに実例が1個上の学年で起きている。ここまで言えばだれが牛耳ってるかなんてわかるだろ?」
あの人が今の2年全体を支配している生徒...........正面からやり合えば清隆は勿論俺や坂柳でも対応できるだろう。が、あまりにも多勢に無勢すぎる。数と言うのは厄介な問題だ。
「一之瀬はちょっと優しすぎるのが長所であり、弱点だ。もう少し学校の裏掲示板で嫌な噂とかにも注意した方がいい。この学校ではptさえあれば〝なんでも〟買える。この意味.........わかるな?」
あの人は女性関係も結構奔放だ。学年全体を支配できるだけの能力があればそりゃほっとかないだろうし、言う事を聞かせるネタだってあるだろう。その為調べてみればかなり遊んでると聞く。
「.........そっか........改めてなんだか怖いね?でも..........そっか意地悪じゃなくて私を守ってくれたんだ.........またまたありがとうね綾池君」
「........まぁ、気分だ。気にすんな」
「それでもありがとう...........ってそう言えば私がBクラスのリーダー知ってたの?」
「ん?あぁ......名前だけならな。情報は時に何よりも優先されるからな」
「あははは..........これはDクラスも油断ならない感じかな?」
「そうとも限らないさ。俺はAクラスに興味ないからな.........楽しい何かを見つけて平穏に過ごせればそれでいい」
「へ?でもこの学校に進学したってことは何か目的があるんじゃないの?」
確かに理想の進路を叶えてくれるというのは魅力的なのだろう。だが、当然例外もいる。
「そうとは限らないさ.........確かにここは中学の担任に退屈しないからと勧められたのはあるけど清隆みたいに特に考えもないのもいると思うぞ」
「あぁ..........俺も拓斗と同じだ。平穏に過ごせればそれでいい」
「二人とも変わってるなぁ~」
そうして職員室に足を向けると、一之瀬はふと何か思い出したように拓斗に問う
「そういえばさっき南雲先輩が威厳どうのって言ってたけど..........何やったの?」
「ん?あぁ、その事なら二週間くらい前に生徒会の仕事で部活の視察してるときに南雲先輩とサッカーで一対一の三本勝負で完勝してきた」
「へ?」
素っ頓狂な一之瀬の声が聞こえるとともにいい金z.......ゴホン、もとい大金を掛けたサッカー勝負の事を俺は二人に話すことにするのであった
今回はここまでにします。サッカー勝負に関しては続けて書こうと思ったのですが長くなりそうなので若干変なきり方ですがここできろうと思います。
それにしても長らく更新できずすいません!他の作品書いたり、SAOの映画見てミトに惹かれて昔書こうとしてた設定いじってシリーズ化したり、自分の都合などなどで引き延ばしてしまいました。一応は辞めるつもりはないので、遅々たるペースですが続けていくつもりです。
それにしてもよう実もついに二期が決定しましたね!中々一期の兼ね合いもあってストーリとかどうなるのだろうとか色々と気になる点が多々ありますがそれはそれとして楽しみです。どこまで話が進むかわかりませんが、恵の可愛いシーンやアニメで動いてしゃべるひよりが特に楽しみで仕方ありません。できれば二期が始まるまでにはこのシリーズを一期終了まで書き進めたいです。
さて、今回もここまで読んでくださりありがとうございます。お気に入り登録、評価、コメントしてくださりありがとうございます。