ORZ   作:秘密研究所のコンピューター

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 こんばんは、二話目となります。


ACT②

 

 

 

 

 

 

 今日は何とツイている日であろうか。

 

 

 ワタシが、この世界に降り立ってから初めての生体エキスを吸収することが出来た。それも、レベル1の人族ではない。中級者……レベル50ほどのものを、しかも3人分だ。おかげで思った以上にパワーアップが出来た、更に言えば……生体エキスを吸い取る速度も目に見えて早くなっている。"私は5本指となった新たな手を開いたり閉じたりしながら感触を確かめた。"

 

 生体エキスの吸収は、"この最新のアップデートにて加えられた新種族の異形種にとって死活問題"……何せ、"この方法でしかパワーアップが出来ない種なのだ。"

 

「ね、過疎化スゴイでしょ」

 

「うんうん」

 

「ホントいないねー」

 

「あはは」

 

 ――森の中から脇の道を話しながら歩いている一団を見る……しめた、チャンスがまたもや舞い込んで来た。この女性プレイヤーの一団は、一人を除いてレベルが1のようだ……酔狂にも友達に誘われて観光として訪れた――と言うところか。

 

「この辺のモンスターって、強いの?」

 

「えー、ナイナイ」

 

「うん、あたしなら一撃で倒せるよ。レベル50だからねー」

 

 他の3人の連れと比べて見ても明らかに装備品の質が違う女がそう発言した。このMMORPGユグドラシルでは、レベル50迄ならたいして苦労せずに上げることが出来る……(逆に言えば、それ以降は大変な苦労を負うと言うコトなのだが)

 

「いいなー、上げられるならあげたい」

 

 それに関してはワタシも同意見だ――が、今回はその成長前に生体エキスをいただくコトとしよう。常に女性の一団の動きや視線の方向を観察しながら、油断しているが故の警戒心の無さを横目に……脇道を通り過ぎたと同時にもっともレベルの高い相手を前3人と同じように両手両脚で拘束、悲鳴を上げきる前に尾の先端を突き刺して生体エキスを吸い取り始める。

 

「ヒッ??!!」

 

「バケモノ!!」

 

「え!? なになに??!!」

 

 引率していた女が、仲間うちに向けて振り向いた瞬間に後ろから一気に決た。それにより生体エキスを奪う場面を直接見てしまったその他のレベル1プレイヤーたちは、その場にへたり込んでしまってる……。無駄口をたたいていた女は、まさか自身が襲われるなんて夢にも思っていなかったのだろう。場所も場所だったことが油断を誘ったと言える……また、おしゃべりに夢中になったタイミングを狙ったコトも実に効果的だった。そう思っている間に生体エキスを吸い切って、やはりと言うべきか女の身に着けていた物が地面に転がる。

 

「き、聞いてない! こんなの出るなんて……!」

 

「は、早く逃げなきゃ――」

 

「あ、あわわ」

 

 言葉を漏らしながら地面を這っている、そんな女たちに向けてワタシは……次々に尾を突き立てていった。

 

 

「フム……これで、7人か」

 

 あまりにも特異種な仕様の異形種である、かのキャラクター。成長、強化の仕組みが、他の異形種とはまったく違う。この異形種はかなり特殊であり、成長と強化を施すにはPK=プレイヤーキラーで"のみ"恩恵を受けることが出来ると言う作りなのだ。長い長い年数の間サービスを提供して来たユグドラシルだが……時が経てば、当然ながら最新のゲームには追い抜かれて古いものと言う扱いになっていく。そうなれば、必然的にプレイヤー離れが起こり……結果どんどんと過疎化して、この仕様の異形種は育てるコトがほぼほぼ無理となっている。

 

 だから誰も選ばないし、やらないのだ。

 

 どれ程の能力補正を得られるとしたとしても、強くなる為のターゲット=プレイヤーが減少し……狙えなくなっている現状で、だからと言ってレベルの上がり切ったプレイヤーを狙ったところで逆にキルされて終わりなのだから。

 

 

 ――故に

 

 

 この世界においてただの1体だけの存在。

 

 

 だからこその知名度の低さ=他のプレイヤーに特性を知られていない今がチャンス――そしてやり過ぎてこのコトが噂として広がりきるまでに、可能な限り生体エキスを吸収し……力を上げたい。その点に置いて、思うこともあった。この世界のプレイヤーはPKをなんとも思っていない、特に人族から異形種相手には……だから降り立った当初は本当に上手くいかなかった。そもそもが、人族は徒党を組んでいる奴らばかりであり……それに単身挑んでも良い結果にはとてもではないがなりはしないことは分かっていたのだ。

 

 それでも、ワタシはこの新たな異形種こそが自身の分身として相応しいと直感で思った。それは今でも間違いでは無いと思っている…………そしてそのことは今は置いておいて、それよりも一番気になるのは3人組みの人族からワタシを助けたあの異形種――髑髏のコトだった。現状のユグドラシル内に置いて、同系統の存在だからと助けるやからがいるかと聞かれたのならば……答えは多分ほぼほぼ居ない、と言うのが正解だと思う。何故ならば全体的にまんべんなく、全種族に置いてのプレイヤーが辞めていっている状況であり……そうなれば必然的にそう言った活動をしているプレイヤーとも会うことが先ず無いと言えたのだから。

 

 ――しかし、もしかしたのなら……その先ず無いと言える出会いをしたのかも知れない。そうであるのならば、あの髑髏の人物の協力を得られれば……高レベルプレイヤーの生体エキスを吸収するコトも夢ではなく、容易になるかもだ。

 

「……取り敢えずは生体エキスを吸収しやすいターゲットを物色しつつ、いた場合は襲撃をおこないながら……ついでに髑髏の人物も探してみるとするか――」

 

 行動の方針はこれで決まった、低レベルのプレイヤーを見つけることはなかなかに骨だが、決して居ないというわけではない。それと中層のプレイヤーや、ひさびさのログイン勢も。ワタシからすれば、すべてが生体エキスを吸い取るための対象でしかない。

 

 

 

 

つづく。

 

 

 




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