ガンダム00:Second Coming   作:九条ヤヤ

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第一話「来攻」

満天の星空が輝く夜。

森に住まう動物たちは、満月の明かりに照らされながら眠りについていた。

 

そんな中、ひと際まぶしい明かりを照らしている場所があった。

それは森林内に設置された軍事基地だった。滑走路に大型のMS輸送機が闇夜の静寂を乱す轟音を立てて着陸する。

 

輸送機からコンテナが格納庫へと運び出され、整備兵によるメンテナンスが始まる。

 

コンテナの中は新型のMS。この機体は現在、性能評価段階にあり、地上での運用試験の評価次第でこの機体の今後の行く末が決まる。

整備兵はいつもより、より一層気合を入れ、整備にとりかかっている。

 

ある者は仮眠室で横になり、ある者は愛機の側で仲間とコーヒーを嗜み、各々の夜を過ごしていた。

 

 

そこへ、ピンク色の閃光が降る。

 

 

轟音。衝撃。

仲間とのポーカーに負け、施設の外に出たオロフ・ヨーンソンが初めに感じたのは夜の涼しい風ではなかった。

 

けたたましく鳴るサイレン。

 

爆風に吹き飛ばされたオロフは頭をかかえ、顔を上げた。

 

「な、なんだぁ?何が起こったぁ??」

 

穴が空いた滑走路。黒煙をあげる輸送機。

再び閃光が降り注ぎ、的確に闇夜を照らす照明を破壊していく。

 

「こいつぁただ事じゃなさそうだなぁ」

 

俺は衝撃によって降ってくる小さな破片をかいくぐり、格納庫へと走った。

中ではメンテナンスを中断した兵士が新型のMSを地下へと下すエレベーターへと移動している最中だった。

 

明らかに間に合わねぇ。姿はまだ確認できていないが、おそらく襲撃しているヤツの目標はこのMSだ。()()()()()()()()()()()

 

俺は整備ハンガーを駆け上り、デッキに固定されている愛機に乗り込んだ。

パイロットスーツを着ている暇などない。

 

他のパイロットたちもそれぞれの機体に乗り込んだようだ。

 

新型MSを守り抜く。それが俺たちの任務。

 

四基のアイがX字に展開し、紫に発光する。

 

「オロフ・ヨーンソン。ジンクスⅢ。出撃する!」

 

固定されているデッキをMSの腕力で外し、主力武装のGNランスを装備する。

 

背面の擬似太陽炉から橙色のGN粒子が放出され、推進力なしで機体が宙へと浮かぶ。

この粒子は機体の稼動エネルギーのほかに、強力なビーム兵器、飛行用の推進剤など、さまざまな用途に利用されている。

 

GN粒子を使い、格納庫内で普通の戦闘機とは比べ物にならない加速をつけ、外へと飛び出す。

 

刹那、ピンク色のビームがオロフのジンクスⅢを貫いた。

 

 

「うそん」

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

カーソルの中で敵機が爆散する。

このまま目標だけを攻撃するのも良かったが、やはりモビルスーツが居たか。

 

俺は射撃トリガーから指を離し、ゆっくりと機体を降下させた。

 

格納庫からさらに機体が現れる。どちらも先ほどと同じ機体〈ジンクスⅢ〉だ。

ただし片方はGNバスターソードを装備した近接戦仕様。

もう片方はロングバレルのGNビームライフルを装備した支援型の機体らしい。

 

俺が地面に着陸した瞬間、GNバスターソードを装備したジンクスⅢがGNドライヴから粒子を放出し、こちらへと迫ってきた。

 

この間合いは俺の距離だ。

 

 

「レリエル、敵モビルスーツを駆逐する。」

 

 

〈ガンダムレリエル〉がこれまで射撃に使っていたGNソード改の刀身を露わにする。

 

そこへ、加速をつけたジンクスⅢが、GNバスターソードを振り下ろした。

 

しかしその機体にはすでに両前腕は存在していなかった。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

GNバスターソードが宙を舞い、私の真正面の地面へと突き刺さった。

敵機のガンダムエクシアらしき機体は、現在切り上げの体勢をとっている。

 

「今だ!」

 

通信が入り、両腕を失ったジンクスⅢの側頭部からGNバルカンが敵機の顔に向かい発射される。

破壊はできなくとも牽制程度にはなるだろう。

私はすかさず意図を読み取り、GNロングバレルビームライフルで敵機の右前腕に装備されている兵装を狙い撃つ。

 

命中。激しい火花を散らした後に、敵の武装が爆散し淡い緑の粒子を散らした。

 

右腕を一緒に持っていくことはできなかったが、見たところ射撃兵装らしきものはもう装備してはいないらしい。

 

勝てる。

 

私はそう確信し、カーソルを敵機の中央に合わせた。

 

すると、敵機は背面へと手を伸ばし、そこへマウントされている”得物”を取り出した。

 

刀身だけでも機体全長を超えており、先ほど破壊したGNソード改に比べて遥かに長く、その細身な機体には明らかに似合わない兵装。

 

GNソードメイス。

 

それが現在ガンダムレリエルが装備している武器の名前だ。

 

「超大型の実体剣?でも間合いに入らなきゃ意味がないじゃない。」

 

私は敵機をロックオンし、高濃度に圧縮されたGN粒子をライフルから放つ。

 

橙色の閃光は敵機に命中し、激しい煙幕をあげた。

 

手ごたえはない。だが、こちらから一方的に攻撃を続ければいずれは…!

 

煙が晴れ、第二射を叩き込もうと射撃トリガーに手をかける。

そんな彼女に衝撃が走った。

 

GNソードメイスを真正面に構えるガンダムレリエル。

その前には、淡い緑の膜が形成されていた。

 

「GNフィールド?!」

 

続けて二度、三度と、ライフルからビームを発射するが、それらは本体に届く前にすべて膜に阻まれ、無慈悲に辺りへと散った。

 

それなら…!

 

私はGNロングバレルビームライフルを投げ捨てると、格納庫の壁を破壊し、中からNGNバズーカを取り出した。

 

この武装は実体弾を射出する大型火器であり、「NGN」は「非GN粒子兵器」を意味する。

ただし、弾倉をGNコンデンサーに換装することでビームも発射可能となる、汎用性の高い武装だ。

 

現在この武器には炸薬式の実体弾が装備されている。

ビームが効かないなら実弾兵装で…!

 

素早く敵機をロックオンし、立て続けにトリガーを引く。

 

しかし、相手は大型の武器を装備している事を思わせないような動きで宙を翻り攻撃を避けると、一気に加速し、距離を詰めてきた。

 

GNソードメイスに内蔵されているGNコンデンサーから放出された粒子が刀身を纏う。

 

真横から大型の刃が迫り、遠心力も相まって凄まじい衝撃が彼女のコックピットを襲った。

 

NGNバズーカと一緒に左腕が根元から吹き飛び、ジンクスⅢも共に真横へと弾き飛ばされる。

 

「このォ!」

 

すかさず左腰部にマウントされているGNビームライフルを手に持ち、敵機に発射する。

 

しかし弾が到達する前に、ガンダムレリエルはジンクスⅢに飛び乗り地面へと叩きつけた。

慣性によって地面を滑り、激しい土煙を立てる。

 

次の瞬間には、ガンダムレリエルは片足をジンクスⅢの胴体に乗せ、機体を抑え込んでいた。

 

「うわぁぁ!」

 

しかし彼女は諦めない。唯一残った右腕の、鋭利なマニピュレーター、GNクローをレリエルに向かって突き出す。

 

だが、腰部に装備されたGNロングブレイドを抜いたレリエルによって右腕が切断され、彼女の最後の足掻きはあっけなく終わった。

 

GNロングブレイドをマウントしたレリエルは、GNソードメイスを逆手に持ち、反撃の手段を失ったジンクスⅢの擬似太陽炉へそれを深々と突き刺した。

 

動力を失ったジンクスの顔から光が消えた。

 

GNソードメイスを背面へ戻し、格納庫へ侵入したガンダムレリエルはNGNバズーカを手に取った。

 

そのまま屋根を破壊し、上空へと飛ぶ。

 

 

「レリエル、敵モビルスーツを撃破。これより目標を破壊する。」

 

 

コックピット内でそう報告した”燕・S・コウコク”は射撃トリガーを引く。

 

「お前達に夜明けは来ない。」

 

施設にはさっきとは違い、鋼鉄の雨が降り注いだ。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

「…あー、もしもし? 今お時間大丈夫っすか? 俺です。オロフです。 えぇ、こっぴどくやられちゃいましてね。 一応防衛目標は破壊されなかったんで成功判定にはなっているんですけど、えぇ、はい。 その、ミッションに記載されていない機体が乱入してきてですね。 はい。 なのでその、たしか募集といいうか、探していましたよね? これならとても手ごたえのある内容だと思いますよ。 えぇ、はい。 では、レナート兄弟の戦果を期待していますよ。 はい、では失礼します。 ハイ。」

 

ツー…

 

 

 

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