偽クラウド物語~FFⅦ×IS~ 作:シャントット帝国
俺は、バレットの援護射撃を受けながらガードスコーピオンに剣を振り下ろす。装甲は固いようだが決して破壊できないものではない。何回か斬りつけると傷がつき始め、もう一振り下ろすと足を一本切断することに成功した。
「よし。」
俺は一回剣を戻し、爪の攻撃を避けて距離をとってサンダーを放つ。破損した箇所に当てることによってダメージを大きくすることができるからだ。
だが、弱点を突こうとしたことに気付いたのかガードスコーピオンは、前足を勢いよく突き刺して光を発し始めた。放ったサンダーは、命中はしたものの威力が落ちて期待していたダメージにはならなかった。
「なんだありゃ!?」
「バリアか。まさか実用化されていたとはな。あれがある限り攻撃がほとんど通らねえぞ。」
「ちっ、使えねえな~。」
「だったら、アンタが何とかしてくれ。」
放たれるミサイルの弾幕を避けながら俺たちは、接近して攻撃を再開する。バリアを発生しているにしてもどこかにコアがあるはずだ。斬撃を当てているうちに俺は、尾の当たりのバリアが薄いことに気が付く。
「後ろのバリアが薄いのはこれが原因か。」
俺は、反転される前にサンダーを再度放つ。幸い、正面はバレットがうまく攪乱してくれているからこちらにほとんど攻撃は来ない。サンダーが命中するとガードスコーピオンは煙を吹き出し、バリアが発生しなくなった。
「これで一時的にバリアが出なくなった。」
「弱点知ってたんじゃねえか!?勿体ぶりやがって。」
「ここから反撃だ。近づきすぎて自爆するなよ。」
「行くぜ、行くぜ!行くぜ!!」
俺は、高くジャンプして動きが鈍りだしたガードスコーピオンに向かってブレイバーを仕掛ける。重い斬撃の一撃によりガードスコーピオンは右アームを失い、更にそこへバレットの銃撃が加わる。
ダメージが蓄積してきた奴は、戦闘モードから殲滅モードに移行したのかところかまわずミサイルを一斉発射する。天井からは瓦礫が落ち始めるが尾のレーザーがチャージをし始めた。あれをまともに受けたらまずい。
「バレット、レーザーが来る!どこでもいいから瓦礫を盾にして隠れろ!」
俺たちは双方に都合よくできた瓦礫を盾にして放たれたレーザーを凌ぐ。ガードスコーピオンは、最後の攻撃が失敗したと判断したのか今度は防御態勢を取り、体を光らせ始めた。
「おい、様子がなんか変だぞ!?」
「あの光・・・・回復マテリアを使った時の現象と同じだ。・・・!そうか。コイツ、マテリア溶液を加工したパーツを組み込んでいるのか!道理で強いわけだ。回復される前に叩き潰すぞ。」
俺は、バレットに雷のマテリアを渡して再び奴に接近して斬りかかる。さんざん攻撃したこともあって奴の装甲はもうボロボロで後一撃重い斬撃を喰らわせれば何とかなりそうだ。
「行くぞ!畳み掛ける!!」
俺は、剣を構えてまるで文字を書くかのように斬撃を仕掛ける。元々は3rd時代にザックスが『必殺技っぽいの出来たらカッコよくね!?』といった悪ふざけから編み出したものだが威力は、ロングソードの時とは比べ物にならないはずだ。
「凶斬り!!」
重い斬撃により装甲が斬り飛ばされ、内部の機械があらわになる。俺は、バレットに合図を出した。
「今だ、バレット!やれ!!」
「おう!ドカーン!!」
バレットは渡しておいた雷のマテリアを使いサンダーを放つ。雷は内部機器に直撃し、ガードスコーピオンは胴体に付けられているカメラアイを赤く発光させる。
「なんかやばくねえか?」
「兵器開発部門の奴ら・・・・・安全装置付けなかったな。」
俺とバレットは一旦距離を取り直そうとする。ガードスコーピオンは、尾のレーザーをチャージしたかと思いきや見境なく発射し、施設を溶断する。コントロールが効かないこともあってレーザーは俺たちの方にも向けられ魔晄炉の制御システムに直撃する。同時に時限爆弾も作動してしまった。
「ヤバッ!?」
俺たちは、スイッチを切ろうと近づくが倒れてきた機材で手が届かない。暴れまわったガードスコーピオンは、戦闘で足を何本か失っていたことでバランスを崩し、魔晄だまりへと落下。爆発しながらその姿を完全に消した。
「・・・・終わったか。」
「へっ、最後は自滅しちまうとはな。功労賞はあのサソリにでもくれてやるぜ。」
「冗談言っている場合じゃないぞ、バレット。さっさと脱出しないと俺たちも同じ運命になるぞ。・・・もっとも星と一つになりたいのなら構わないが。」
「けっ、脱出ルートならウェッジが確保しているはずだ。ドカンと吹っ飛ばされる前にズラかるぞ。」
バレットは、そう言うと雷のマテリアを俺に返す。
俺たちは、急いで元来た道を戻っていく。
途中の誘爆でジェシーが瓦礫の下敷きになったが怪我はなく、道中で待っていたビッグスとも合流し、俺たちは壱番魔晄炉爆破に成功するのであった。
アバランチが壱番魔晄炉から撤収する中。魔晄炉にセットされた爆弾は時間通りに爆発した。
爆発の威力で制御装置を含め、汲み上げるためのパイプのいくつかが破壊され、復旧には時間がかかる程度の損傷。
その様子をプレジデント神羅は、自室で確認していた。
もし、これが一般の企業の長なのならここで大いに怒り狂っていただろう。
しかし、彼にはそんな様子は見られず傍にいるハイデッカーに相づちを送る。するとハイデッカーは端末を操作する。
するとどういうことか付近に待機させていたスイーパーたちが破損した魔晄炉に集中砲火を浴びせ被害を甚大化させてしまう。そのせいで魔晄炉の爆発はより悪化し、このオフィスからも見えるほどの大爆発となった。
「・・・」
窓の外から見える壱番魔晄炉の爆発を見ながらプレジデントは、吸い殻を灰皿に置く。
「被害の出た八番街と壱番街に部隊を展開してくれたまえ。『救助目的』という名目でな。」
「はっ。公報担当にもこの件を『テロリストであるアバランチの仕業』と宣伝をさせておきます。」
ハイデッカーは、頭を下げるとそのまま部屋から去っていった。彼の後姿を見送った後、プレジデントは再び机に座り、新しい葉巻を口に咥えてライターで火を点けた。
「・・・これで市民はより我々神羅への依存するようになる。『市民をテロリストから守った英雄』として。」
彼は、そう言いながら次の重役会議の資料に目を通す。
壱番魔晄炉を脱出した俺たちは、薄暗い通路の中で爆発の被害を逃れていた。
「ふう、全員いるな?」
バレットは、僅かな照明を頼りに全員の安否を確認する。
「怪我はねえ・・・みてえだな。」
その間にも爆発の余波が辺りを揺らす。あのちっぽけな爆弾ってそんなに威力あるのか?
「爆発が派手すぎねえか?」
「爆弾はレシピ通りに作ったはず。でも、気化した魔晄が反応して誘爆したかも。」
予想以上の余波に疑問をぶつけるバレットに対して爆弾を制作した本人であるジェシーは、推測の域で仮説を立てる。顔を見る限り、この規模は彼女でも予想外だったようだ。
「こりゃあ、街にまでイっちまったかもな。」
「街より星だろ?」
会話をしている間にも周囲は揺れている。このままここにいたら落ちてくる瓦礫で生き埋めにされそうだ。
「とりあえず外に出よう。ここ、八番街でしょ?」
「でも、もう少し先のはずッス。」
「よし、ウェッジ。先導してくれ。」
「了解ッス!」
崩れ落ちた瓦礫を避けながら俺たちは、移動をし、爆弾で壁を壊して八番街へ出た。辺りは火災やら倒壊で確かに被害は甚大だった。
俺の前でジェシーたちは、予想以上の被害に唖然としていた。時間セットしたの俺だけど・・・もしかして同罪?
「予想・・・以上・・・」
「こりゃ、いくら何でも・・・」
「やりすぎッスね。」
「今更言っても仕方ないだろう。やっちまったんだから。」
ショックを受けている三人に対し、俺は言う。そんな俺の言葉に対し、バレットは肯定したように返事を返した。
「あぁ、その通り。だが、俺たちはこの先ももっともっと魔晄炉をぶっ壊す!星の命を救うためにな。」
流石リーダーなだけのことはあるな。こんなに堂々と言い張れるなんて。開き直っているわけでもなさそうだからすごいメンタルだ。
俺たちは、その後八番街ステーションで合流すると約束してバラバラに行動することになった。バレットに報酬をせがんだら「アジトに帰るまでが作戦」と言われて貰えなかった。ただ、ジェシーからは壱番魔晄炉の件でお礼に回復マテリアをもらうことができた。
また、ティファに会わなくちゃならないのか。
俺は、倒壊した家屋を避けながら駅へ向かって歩いて行く。
「ったく、ここもダメなのかよ。」
ハイウェイ近くを歩いていたら上の道路が崩壊して道が塞がれてしまった。周囲には被害者や通行人のあわただしい声が聞こえ、一刻も早くここから帰りたいと思った。俺はため息をつきながら倒壊したアパートの火を見る。
「・・・・・えっ?」
八番街にいるはずなのに俺の目にはいつのまにか5年前の悪夢の光景が広がっていた。
燃やされている友人の故郷。
村の住民の家がすべて焼かれ、その炎の中にはかつての上司の後姿がある。
長身の黒いロングコートに腰の辺りまである長い銀髪。
そして、自分の身の丈以上はある日本刀のような刀。
「・・・・はっ!?」
上司の顔が移ろうとした瞬間、俺の視界は現実に戻った。目の前はさっき見た瓦礫の山で奴の姿はどこにもなかった。
「・・・・・ふう。疲れてるんだな。」
俺は、目頭を押さえながらそう自分に言い聞かせる。
奴は、5年前に死んだんだ。三人揃ってボロボロになったとはいえ、それは偽りのない事実だ。緊張していたせいで幻覚でも見えたんだろう。あのニブルヘイムの光景もそうだ。
一旦落ち着いて、別の道を探そうと俺は後ろを振り向く。
幻覚で気づかなかったのか、そこには誰かが立っていたようだ。どうやら俺よりも身長が高いようでふと上を見上げる。
そこには見覚えのある顔が。
「えっ!?」
俺は、まだ夢を見ているのかと混乱しかけた。
奴だ。
別人ではない。
何年も下で働いていたのだから見間違えるはずがない。
奴は、俺の顔を見てうっすらと笑みを浮かべている。
俺は咄嗟に剣を構えようとした。だが、その瞬間倒壊した瓦礫の衝撃で一時視界が阻まれ、再び前を見ると奴は後ろを振り向いて去ろうとしていた。
「ま、待て!!」
俺は、急いで奴の後を追う。直後にまた激しい頭痛が襲ったがそれどころではない。
生きていたのか?
いや、そんなはずはない。奴は間違いなく5年前に死んだ。
俺たち三人の手で。
もしかして、宝条博士が魔晄だまりからうまく引き上げたのか?
俺は、痛みと混乱に耐えながら歩き続ける。しばらく歩き路地裏まで行くと奴は待っていたとばかりに俺の前に出てきた。
「う・・・・嘘だ・・・・・アンタはあの時・・・・死んだはずだ・・・・」
「ほう。」
奴は、不敵な笑みで俺を見る。
あの時もそうだった。
俺とザックスの目の前で奴は、同じ笑みでこちらを見ていた。
「俺が・・・・俺たちが・・・この手で・・・・」
「もちろん、覚えているとも。我々の大切な思い出だからな。」
そんな馬鹿な。
「さて、イチカ。お前に頼みたいことがある。」
「頼みごとだと?」
セフィロスは、俺を見ながら話しだす。
「この星が死のうとしている。悲鳴も上げず、静かに、ゆっくりとな。私たちの星が消えてしまうのだ。イチカ。」
俺は、痛みに耐えながらあの時のことを思い出す。
悲鳴を上げながら斬り捨てられる村人たち。
助けられなかったクラウドのお母さん。
ティファ。
クラウド。
ザックス・・・・
「我々をつなぐ絆の喪失は私自身の死よりも耐え難いんだ。なあ、イチカ。力を貸してくれ。」
あの時の裏切りのショックと怒りが込み上げてくる。
「なに、簡単なことだ。」
何故、この男はここまで清々しい顔でいられるんだ。
「イチカ、走るんだ。逃げて、生き延びて・・・・」
「ふざけるな!!」
俺は、怒りで我を忘れてセフィロスに向かって剣を振り下ろした。しかし、剣が当たった瞬間セフィロスは幻のように消えてしまった。
「なっ!?」
<そうだ。それでいい。>
奴の声はまだ聞こえる。
「セフィロス!どこにいる!?セフィロス!!」
<私を忘れるな、イチカ。>
「セフィロオォォォォォオス!!」
俺は、声を挙げながら奴を呼ぶがセフィロスは現れなかった。
呼吸を整えながら何とか落ち着こうと心がける。
「はあ、はあ・・・あれは幻だったのか?」
もし、本物なら逃げる必要はない。あの時のように挑んで殺しにかかるはずだ。
「・・・そうだよな。魔晄に近づきすぎたせいなんだ。だから、消えたんだ。」
考えてみれば魔晄炉の中に入るのは5年ぶりだ。
ソルジャーとはいえ、軽度の魔晄中毒になりかけていたのかもしれない。
こうしている間にも警備が厳しくなる。
急いで行こう。
俺は、その場から走り去っていった。
セフィロスがピカチュウと同じ体重って・・・マジ?