呪術師としてパーティーに貢献してたのに、裏切られて殺されかけたので呪いで復讐してやる。美人で優しい幼馴染だけは見逃してやろうと思ったけど、今さら告白されたってもう遅い   作:木村直輝

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「しん中の毒」の解説

 

【警告】

 

※第7話で申し訳程度の配慮によりあえてぼかしたものについて明言しますのでご注意下さい

 

 

 

 第7話のサブタイトル「しん中の毒」は、最初の「しん」が平仮名になっていますね。

 実はこの「しん」。変換の誤りではなく、ちょっと苦しい掛詞でした。

 

 

 まずこのサブタイトル、普通に読もうとすれば「心中」と読んで頂けるんじゃないかと思います。

 「心中の毒」、すなわち復讐に染まったアモールの心中の毒を現しています。

 これは、復讐心そのものもそうですが、復讐に生きるアモールに嘔気を起こさせていた感情もまた、復讐に毒された彼を苦しめる毒に他ならないでしょう。

 この「心の中の毒」を直接的に表したのが第7話のサブタイトルでした。

 

 次の読み方に触れる前に、第7話の最後にアモールの嘔気を呼び戻した食品について触れたいと思います。

 ※一応、本編では申し訳程度の配慮もあってぼかしたのですが、ここでは明言しますのでご注意下さい。

 ずばりそれは、第5話でも名前の出てくる、日本では古くから馴染みのあるあの食べ物。梅干しです。

 その種の中身である「(じん)」には、青酸という人体に有害な成分が含まれているそうです。

 ――成熟すると減少し、一般的な加工の過程で分解されるので、流通している梅干しなどの場合は致死量どころか中毒症状が出るほどにすら含まれていないらしいですが。

 

 というわけで、二つ目の読み方は「仁中」。

 「仁中の毒」というサブタイトルで、本文ではぼかした食べ物を暗に示していたのです。

 実際、その食べ物が、アモールにとって有害なもの「毒」になるわけですし。

 

 さらに、「仁」は儒教などの思想において美徳の一つとされています。

 「仁義」という言葉なら、聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

 この「仁」とは簡単にいうと、「真心」や「慈愛」、すなわち「思いやり」を示します。

 

 第5話の冒頭でクラースは、アモールを心配して声を掛けますが、嘔気をこらえて外の空気を吸いたかったアモールにはありがた迷惑でした。

 そして、最後にアモールを思いやって出した梅干し湯もまた、アモールの嘔気を呼び戻しこらえられなくさせてしまいました。

 つまり、「仁中の毒」とは、「思いやり」すなわち「仁」が、「迷惑」すなわち「毒」になっているという第7話のクラースの行いを表しているのです。

 

 さらには、アモールを苦しめていた「心中の毒」。

 あれも、彼の中に残る「仁」だったのかもしれません……。

 

 ――というわけで、「しん(じん)」には二つの読みがあったのです。

 

 

 ちょっと苦しい掛詞でしたね……。

 まあ、第5話はアモールが苦しむ回でしたし、クラースも思いやりが裏目に出て苦しかったでしょうから。

 そこも引っ掛けているということで、ここは一つ……(笑)。

 

 書いて公開しておいてこんなことを申し上げるのもなんですが……。

 苦しい掛詞を身代わりにして、陰惨な物語を読んで下さった読者様の苦しみが少しでも軽くなりますようにと、自分ごと呪っておこうと思います。

 

 皆様が幸せでありますように――。

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