時間停止の能力あるなら、他に能力いらなくない? 作:Firefly1122
眩い光が消えると、そこは教会というかそもそも建物ですらないような気すらする。空から差し込む明るい光、眼中に広がる青い空とまっすぐに伸びる大通り。道を歩く無数の人々と左右に立ち並ぶ大きな建物。振り返ると、そこには大きな天使の像がある。俺が天使の像を眺めていると、後ろから声をかけられる。
「もしもし、新しいプレイヤーかな?」
振り返ると、神官の恰好をした男の人がいた。
「……プレイヤー?」
「そうさ。神様から聞かなかったかい?ここはゲームのような世界だと。だから私たちはそれに合わせて自分たちをプレイヤーと呼んでいる」
「なるほど……それで目的はラスボス倒すことって聞いたんですけど……」
俺がそこまで言うと男はニッコリと笑い、提案する。
「ここではなんですから、この先にある私の家で話しましょう。こちらもいろいろ聞きたいことがありますから」
俺は男の誘いに乗り、男の家に行くことにした。家はあの少女が教会と言っていた建物から、出て階段を降り、すぐ左手にある建物だった。中は日本でもよくあるようなフローリングの床にダイニングキッチンとテーブルとイス。テレビなどはないものの、十分に充実した生活ができそうな内装だった。
俺は男に促され椅子に座って内装を眺めていると、男はコーヒーを俺の前に置き、椅子に座る。
「さて、まずは名乗ろうか。私の名前は斎藤一馬という。君は?」
「山口静流です」
「そうか。では静流君、君にさっそく質問なんだが」
一馬はコーヒーを一口飲んだ後、俺に質問をする。
「君の世界で一体何があったんだ?」
俺は一馬の質問の意味がよく分からなかった。が、恐らく前世のことを言っているのだと判断し、あったことを語る。一馬は神妙な顔をして頷く。
「なるほど、そんなことが……いやすまない。あまり思い出したくないことだったかもしれないな。なぜこんなことを聞いたのかというと、私の仕事上一日に数十人ほど新プレイヤーを見る。だが、今日に限ってすでに50人以上。普段から考えられない速度なんだ。君の世界で大災害があったということならば納得がいく」
一馬が納得したような顔でそう語る。俺はその言葉を聞いて一つ尋ねる。
「やっぱり、俺以外にも日本人がいるんですか」
「もちろん。ちなみに私も日本人だ」
名前からなんとなく分かってはいたが、やはり日本人だった。そして俺はさっそく質問する。
「あなたは生き返ることを望んでここに来たんですよね?」
「ああ、もちろんだ」
「じゃあなんでここでこんな仕事をしているんですか?」
俺は遠慮くなく一馬に質問する。一馬は苦笑いし、質問に答える。
「はは、やっぱり気になるか。理由は簡単さ。このゲームをクリアできる気がしないからだ」
「え?」
一馬は真剣な顔で語る。
「このゲームでのクリア条件は、10層ある空間を上り詰め、最後10層目のボスを倒すことでクリアになる。10層、たった10層だ。簡単だと思うだろう?」
俺は頷く。
「君の世界で、生き返った人という人はいたかい?」
俺はその質問ではっとする。生き返った人、そんな人などいるはずがない。
「そう、君が思った通りだ。このゲームをクリアした人は、今まで一人もいない」
「そんな……」
一気に俺の中に広がる絶望感。あのガキ何を考えてこのゲームを作ったんだ。
「私たちは騙されたと思う。だが、私はここの生活で不満はないんだ」
「え?」
「考えても見てほしい。ここでは寝る必要も食べる必要もない。自分のやりたいことをやって100年過ごせるんだ。これほど楽で楽しい生活はないだろう」
俺は一馬を見る。一馬は実際楽しそうに話す。考えれば確かに楽しいだろうが、眠らないし食べないってのはむしろ楽しみがないのではないか。
「本当に楽しいんですか?食べもしないし眠りもしないって」
「おっと、言い忘れていたな。別に食べる必要ないが、食べ物はあるし食べて満腹感を得られる。この世界での食べ物というのは自身の体力の回復を意味する。最もポーションがあるからそれを飲めばいいのだが。また、眠らなくてもいいが、眠ることもできる。ベットに横になればゆっくりと眠気が襲ってきて、心地よい眠りにつくことができる。夢というより前世の記憶を思い出したりできるよ」
「じゃあなんで仕事をしているんですか?」
「仕事をすることでお金を得られる。そのお金で娯楽を買ったりできるからだね」
俺は納得した。なるほどここでの生活も悪くないのかもしれない。一馬と同じようにこの世界で過ごそうという人はたくさんいるだろう。だが、俺は……。
「俺はここの生活より、不自由な前世が楽しいと思う。だから、俺はこの世界をクリアする」
一馬はたいして驚いた様子はなかった。
「そうか。そういう人は割といる。そんな人にこの世界のルールや注意事項を伝えるのが私たちの仕事だ。君にこの世界のルールを教えよう」
一馬はそう言ってこの世界のルールを説明し始める。
「君は神様にこの世界で死んだらどうなると聞かされたかな?」
「魂が霧散してこの世界から消えると」
「うむ。その魂というのは、この体そのものだ」
俺は驚く。なぜなら、目の前の一馬も、俺の手も、普通の人間に見えるからだ。
「驚くのも無理はない。この体は生前と同じ肉体に見えるし、ものは普通に触れる。だが、切られても穴が開いても血が出ることなく、代わりに光の粒子となる」
そう言いながら、一馬は壁にかけてあった剣を持ち、自分の腕に当てて引く。俺は思わず目をつぶる。恐る恐る目を開けてみると、腕が文字通り欠けていた。その傷口からは少しずつ光の粒子が漏れている。
「この通り血は出ないし、ダメージが低ければ痛みはない。この程度なら蚊に刺された程度の痛みだ」
そう言いながら剣を戻し、今度は棚から薬を持ってきて、それを飲み干す。みるみるうちに欠けた腕は回復し、元通りになる。
「そしてけがをした場合はポーションを飲んだり、食べ物を食べることで回復できる。たとえ腕がもげても回復は可能だ」
俺は渡されたポーションを見る。明るい緑色の液体で、メロンソーダを連想させる。
「また、町の中では怪我こそはするものの、一定以上のダメージは負わない。そのため殺人は起きなければ自分で自分を殺すことも不可能だ」
「だから町中は緊張感なく歩き回る人が多かったんですね。あ、でも盗みとかは……」
「それなら問題ない。お金は自分の魂に刻まれる。これはエレメンツと呼ばれるもので、ものを買う際に店に必ずある青いクリスタルに触れることで支払いが完了する。それを確認するにはあらゆる店に置いてあるこれを買えば今のエレメンツの金額が分かる」
そう言って見せてきたのは、腕時計のように巻かれたバンドだ。そのバンドに金額が表示される。
「また、ものを盗んでも、支払いが終わってなければ消滅し、元の場所に戻る」
俺は感心した。完全に犯罪対策されたこの世界に。
「あ、そういえば魔物とかもいるって」
「ああ、魔物にも2種類いる。私たちと同じ前世で死に生き返りを望んだプレイヤーと神様が作った魔物だ。神様が作った魔物は理性が無く、プレイヤーを襲う。その魔物は町には入れず、もし入ろうとすれば一瞬で消滅する。そしてプレイヤーの魔物は理性があり、話すこともできる。プレイヤーであるため、町の中にも入れるから、町中にいる魔物はいいやつだとすぐにわかるだろう」
なるほど。魔物の見分け方は町中に入れるか入れないかなのか。一馬はコーヒーを一口飲んで、もっとも、と話を続ける。
「もっとも、魔物よりいわゆるプレイヤーキルをするものの方が厄介だ」
「プレイヤーキル?でも町中にいる限り死なないって……」
「そう。町中にいる限りは死なない。だが、外に出たら例外だ。プレイヤーが振るった剣はプレイヤーを殺す」
俺はゾッとした。そんな奴が死後の世界でもいるのかと。
「さて、ここからは本題だ。最近始まりの町から出たところの平原、始まりの平原と呼ばれる平原に、レベル30のプレイヤーキラーがいると聞く。君たちは当然レベル1。どうあがいても29レベルの差は勝てない。何人も何も知らずに平原に出て、消えていった」
一馬は暗い顔をして俯く。俺は思ったことを尋ねる。
「レベル30って何層のプレイヤーなんですか?」
「確か2層だな。2層に上がれるだけの力を持ったやつが1レベルのプレイヤーを狩り続ける。何が楽しいかはわからんが、少なくともろくでもない人間であることは間違いない」
「それじゃあ俺がそいつら倒しますよ」
「は?言っただろう?レベル29の差だぞ?」
「レベルというのはただの数値。数値だけの差なんて関係ないことを教えてあげますよ」
俺は立ち上がり、お辞儀してその場から立ち去る。その間一馬は口をパクパクさせて驚いていた。
俺が外に出て少し歩くと、一馬が後ろから声をかけてくる。
「待て!」
「まだ何か?」
「……君の覚悟は分かった。私たちも実はあいつらに怯えていたんだ」
そう言いながら近づいてくる。
「君がどんな力を持っているかしらないけど、あいつらを倒してくれるというのなら、君にこれを渡そう」
そう言って俺の胸に手を置く。その瞬間内側に流れ込むものを感じた。
「何を?」
「エレメンツだ。少ないが、それで装備を整えてくれ。決して無理はしないようにな」
一馬は不安そうな顔をしていたが、同時に希望を見つけたような顔をして、俺を送り出してくれた。俺はありがとうございましたとお礼を言い、町中に入っていく。
さて、先ず買うものは武器だ。これが無いと何もならない。俺は武器屋を探しながら町を歩く。店の種類は豊富で、衣食住はもちろんおもちゃ屋、道具屋、家具屋、レストランやカフェまであり、下手な都会よりも揃っている。また、防具屋、武器屋の他にも鍛冶屋や魔法屋、魔法カスタム屋に能力カスタム屋などという店まである。このあたりはもはや現実ですら見たことない。
俺は目的の武器屋に入り、さっそく一つ買った。もちろんさっき教えてもらったエレメンツ計測器である。これが無いと自分の持っているエレメンツも分からないし、何が買えるのかもわからない。ちなみにエレメンツ計測器は必須アイテムなのか10Eと安い。さっそくつけてみて驚いた。俺のエレメンツは9990E、ここの武器で一番高い武器でも3000Eのため、かなりの金額であることがわかる。
エレメンツも分かったことだし、俺は武器を見る。武器の種類は豊富なようで、基本的な武器である剣や斧、槍に弓はもちろん鎌やダガー、クロスボウ、爆弾と多数ある。さすがに銃はないようだが、それでも武器は豊富だった。俺はその中で安定の剣を選ぶ。店員さんに許可をもらい、アイアンソードと書かれた剣を持ち、振るってみる。ブンと風を切る音が、その剣の力強さを物語る。アイアンソードを元に戻し、俺は剣の種類でも一番高いゴールドソードと書かれた剣を持とうとすると、
「おっと!?」
重すぎて持てなかった。店員さんは笑って言う。
「君来たばっかだろ?武器は筋力のステータスが一定以上ないと持てないものがあるんだよ。特にそのゴールドソードはレベル20くらいないと持てないぜ!もっとも、プレイスタイルによっては20レベルでも持てなかったリするんだがな」
「ん?どういうことですか?」
「例えば魔法ばっかり使っていたら、魔法の因果が巡り、ステータスも魔法使いよりになる。魔法使いは剣なんて必要ないから筋力は低いんだ」
「なるほど」
これは一馬も神様も言ってなかったことだな。恐らくプレイスタイルなんて性格によって決まるから、言わなかったんだろう。
俺はとりあえず剣を一つ一つ持ってみて、持てるギリギリの武器を買った。剣はブロンズソード、1500Eだ。店員のおっちゃんはニッコリといい笑顔で俺を見送る。
次に俺は魔法屋に行ってみた。魔法というのは前世にはなかったから気になっていたんだ。そこにいたのは魔女のような店員だった。内装は占いの館のような内装で、その前に深く帽子をかぶった女性がいる。その背後にはいくつもの本がある。
「いらっしゃい。どんな魔法がお望みですか?」
「どんな魔法があるんですか?」
俺は質問に質問で返した。魔女はニッコリと笑い、本を一冊渡してくる。それを受け取り、本を見ると、魔法の特徴と魔法の名前、そしてエレメンツが書かれている。
「そこに書かれている魔法を私に言ってもらえれば、あなたに魔法を授けるわ」
魔法ってレベルアップで覚えるものじゃなかったのかと思いつつ、俺は本を眺め続ける。すると、ふと一つの魔法が目に留まる。
ヘルフレア 黒い炎は触れたものを焼き尽くす 7000E
俺はチラッと魔女を見る。魔女はニコニコ笑っている。
「決まりましたか?」
「えっと……この魔法を」
俺はそのページを開いた本を渡す。
「はい、ヘルフレアですね。では授けます」
「え、あ、はい」
俺は何故か緊張し、姿勢を正す。数秒間魔女は水晶をいじると、ふうっと一息つき、言葉を紡ぐ。
「すみません。あなたは魔力が足らないのでこの魔法を使えません」
「えっ……と、何レベルくらいでそれ覚えられますか?」
「そうですね……魔法職で40レベルくらいですかね」
「あっはい」
どう考えても今の状況じゃ無理だ。魔法職でということは魔法メインで戦う必要があるということ。剣メインで戦って40レベルになっても覚えられないのに、レベル1が覚えられるはずがない。
「じゃあ、また来ます」
「いつでもどうぞ」
どう考えても冷やかしな俺に魔女は優しく見送ってくれた。ここの人はいい人ばっかりなのだろうか。俺は申し訳なさから、頭を下げる。
一通り店を周ると、いかにもな門の前に着く。恐らくここが出口であろう。門の左右には重そうな鎧を付け、槍を持った騎士風の人と、同じような装備をして剣を腰に携える騎士風の人が立っている。俺が門に近づくと、おもむろに俺に近づいてくる。
「ここから先は結界外だ。外ではモンスターに襲われるしPK目的の輩にも襲われる。命の保証はできないぞ」
「分かってます」
「ふむ。最近このあたりにレベル30台のPKがいる。そいつはなかなかの強者でな、我々ギルド騎士団も手を焼いているんだ。すでに4人ほどやられた」
「ギルド騎士団?」
「ああ、詳しいことはギルドで聞いてくれ。それよりも本当に外に出る気なのか?」
「もちろんです。そのために準備はしてきました」
騎士は俺が折れないのを見るとふうっとため息をついて諦めて通してくれた。
「わかった。くれぐれも無理はしないようにな」
俺は騎士に頭を下げて、門の外に出る。その瞬間、まるで景色が一変したような感覚に襲われる。よくゲームで町の中から外を見ると、作りが荒いように見え、実際に出てみるときれいな景色に心を奪われるということがある。まさしくそんな感じの感覚だ。
俺の顔を撫でる風は涼しく、目の前に広がる広大な平原に数本生える木は日本では見られないであろう。思わず駆けだしたくなるような広い平原にポツンポツンと魔物がいる。まっすぐ伸びる道の先には木々が生繁っており、その奥は見えない。森の中から伸びる大きな塔は恐らく次の層へ向かうためのものだろう。俺はさっそく1歩踏み出した。
その刹那、横から狼のような魔物が襲ってくる。体格は大型犬くらいだが、口元から見える牙とそのから垂れる涎は俺を食べたくて仕方ないと言っているようだ。俺は咄嗟に避けて剣を構えると、相手も体勢を低くし構える。この世界最初の相手だ。腕試しにはちょうどいいかもしれない。相手を見ると脳内に浮かび上がる文字。恐らくこいつの名前だろう。名前はデスハウンド、レベルは2だ。
俺が様子を見ていると、デスハウンドは弾かれるように俺に飛び掛かってくる。俺は体勢を低くし、その体にカウンターを当てる。勢いそのままに切断されたその体は、光の粒子となり消えていった。ふうっと一息つき立ち上がると、脳内に文字が浮かび上がる。スキル「縮地」を獲得。俺は唐突なことに困惑した。
「そんな簡単にスキルってゲットできんの?」
俺は縮地なるスキルについて考える。
「そういえばスキルの効果ってどうやって確認するんだ?」
レベルは道具屋にレベル鑑定紙なる物があったからこれで確認するのだろうと思うが、スキル確認についてはそれらしい道具もなかったしわからない。
「まあいいか。町に戻ればそれらしいものがあるだろう」
俺は考えるのをやめ、噂のPK野郎を探しに行くことにした。
歩くこと数分、襲ってくるデスハウンドや人型の緑色で醜悪な顔つきをしたゴブリンをいなしながら道沿いに進むと、木の陰から男が一人出てきた。
「おやおや、そんなに意気揚々とどこへ向かう気かな?」
「どこって、この辺に現れるPK大好きなプレイヤーを倒そうかなって」
「PK大好きプレイヤーとは俺のことかな。ふうん。お前みたいに自分の力を過信して俺を倒そうとするバカがいたが、そいつらは一人残らずあの世行だ」
「そうか。じゃあそいつらの仇を俺が取ってやろう」
俺は剣を構える。男は頭を掻きながら、余裕の表情で笑う。
「やれやれ。身の程知らずめ。まあ、もともと殺す気だったし、逃げられないことを考えるとむしろ好都合か」
男は剣を取り出す。それは先ほど町で見た、ダイヤソードだった。
「レベル差を覆せるなどという夢物語はゲームだけだ。ここはゲームらしい世界であってゲームでないことを教えてやるよ!」
男は無造作に剣を振るう。無造作に振るった剣の軌道が実態化し、まっすぐ俺に向かってくる。俺は体を逸らし、それを回避する。するといつの間にか詰めてきた男が上から剣を振るってくる。俺はそれを剣で受け止め、押し返す。
「なかなかやるじゃねえか!だが、こいつはどうかな!気剣、無限斬撃!!」
男は目にも止まらない速度で剣を振るうと、”先ほどまで俺がいた”場所は無数の斬撃により地面が陥没する。男は最後剣を振り払うと俺がいないことを確認し、不敵に笑う。
「ふん。口ほどにもないやつだったな」
「なるほど。これは怖いな」
男はぎょっとして、背後を振り向く。もちろん俺の方をだ。
「な、いつの間にっ!?」
「さあな。最初からかもしれないぞ?」
俺がバカにするように笑うと、激高した男は再び無限斬撃を使う。再び俺がいた場所を切り裂いた男は今度はきょろきょろとあたりを見渡す。
「何を探してるのかな?」
俺は後ろから声をかけてやる。男は訳が分からないといった顔で俺を見る。
「な、んで……」
「なんで?さあ、なんでだろうね?」
男は怒りよりも訳の分からなさからくる恐怖により、顔を歪ませる。そして男はスキルも使わずに叫びながら切りかかってくるがその刹那、腕は切断され、剣は真下に落ちる。
「うあああああああ!!!」
俺は俺に背を向けうずくまる男に対し言い放つ。
「いくら早く動こうと、いくら強力な技を使おうと、時間を止められれば一切無意味だ。お前が今までしてきたことをあの世で後悔しろ!」
男は涙目でこちらを見ると同時に、俺はその首を撥ねる。男は光の粒子になって消えていった。
「まあ、確かにステータスの壁ってのは厄介だな」
俺は無限斬撃以上の速度で、無限斬撃以上の回数切りつけたことを思いながらそう独り言ちた。