時間停止の能力あるなら、他に能力いらなくない? 作:Firefly1122
町に帰り真っ先に行くのは、スキルカスタム屋だ。だいぶ慣れてきたとはいえ、目が見えないというのはかなり不便なため、削除したい。また大量に獲得したスキルを統合することで、さらに強いスキルを手に入れられるかもしれない。俺は足音から発生される超音波を頼りにスキルカスタム屋に向かう。一度行ったため道は覚えている。難なく店にたどり着く。
「……文字が、読めない!」
店の前まで行くと、ドアにかけられている看板が目に入る。だが、超音波では文字は読めない。なんとなく嫌な予感がする。前回来た時はこんな看板はなかったはずだ。
「今何時だ?」
疲れもないし超音波では太陽や月などというものは見えない。空を見上げても常に真っ暗なため昼夜も分からないが、長い時間ダンジョン巡りをしていたはずだ。俺は改めて盲目者なるスキルを恨む。だがいつまでもここで落ち込んでいるわけにはいかない。看板は何かのお知らせかもしれないから念のためにドアノブを回してみるが、当然ながら開かない。諦めて宿へ向かう。
「おかえりなさいませ、山口様。夜遅くまでご苦労様です。しばらく戻られないなら連絡入れて下さらないと困ります。」
俺は係員の発言に苦笑しつつ、鍵を受け取り、自室に入る。やはり今は夜らしい。昨日客室が埋まるということがあったため、今日もう同じようになると考え引き続きここに泊まることにしていた。
この世界では家を持つ人が少ない以上宿の利用者は多い。そのためライバル店が物凄く多く、互いに値段を安くしたりなどして客の取り合いをしているそうだ。この宿はそんな流れについていけずにそこまで人気ではないが値段はそこそこ安く、1泊300E。しかも部屋は快適である。これはしばらく滞在しても問題ないと判断し、朝外に出る前に引き続き泊まることを伝えておいた。おかげで今日は夜遅くても宿に泊まれた。
「ふう、明日はまずスキルカスタム屋だな。それからギルドの規約通りダンジョンの報告、あと武器についても調べないと。ふふ、やることいっぱいだな」
ベッドに寝転がりながら、明日やることについて考える。それだけで思わず笑みがこぼれる。やることがつまっているというのは楽しいことだ。そういえばすっかり忘れていたが、今日一日ついて来てた”あの人”は何が目的だったのだろうか。まあいいや。俺はそのままゆっくりと眠りにつく。
さて、まずやることはスキルカスタムだ。これをしないと文字も見えないし時間も分からない。ということでさっそくスキルカスタム屋に来ている。統合をしたいと申し出ると、スキル一覧を作るときと同じように水晶に触れたのち、奥の部屋に案内された。スキルカスタムは奥の部屋でやるようだ。いくつかある部屋の一つに入り、自分たちでカスタムするらしい。部屋の中にある装置は、手のひらサイズの3つの水晶が埋め込まれており、その上に文字が掘られている。今回はしっかり掘られているため、その形が浮かび上がる。が、店員さんはしっかりと説明をくれた。
「左の水晶は統合、真ん中の水晶は分離、右の水晶は消去となっており、行いたい工程の水晶に触れることで頭の中にお持ちのスキルと工程を行うための式が現れます。頭の中でスキルを強く意識することで、指揮の中に指定したスキルを入れることができます。望みのスキルを入れられたら行いたい工程の文字が現れるので、それを強く意識することで開始されます。基本的な使い方はこれだけです」
「統合できないスキルとかっていうのはありますか?」
「もちろんです。ですが最初にいれたスキルに対し統合が可能なスキルのみ文字の周りが光り、わかりやすくなりますのでご安心ください」
「なるほど。ありがとうございます」
店員さんはぺこりとお辞儀すると、そのまま部屋を出て行った。俺はそれを見届けると、再び装置に向かう。
「さて、と」
右の水晶に手を触れてみる。するといくつものスキルが分かりやすく一覧となって出て来て、その上に四角い空欄が現れる。俺はそこに盲目者を入れて、ふと思った。
「盲目者は仮にもユニークスキルだ。もし他のスキルと統合できれば、もっと使いやすく、強いスキルになるかもしれない」
俺は消去を思い直し、水晶から手を放す。すると脳内に浮かんだスキル一覧は霧散する。これでリセットが可能なようだ。左の水晶に触れてみると、今度は四角い空欄が三つ現れ、左の空欄と中央の空欄の間に乗算記号、中央の空欄と右の空欄の間に等号が書かれている。簡単に言うと掛け算だ。俺はさっそく盲目者を入れてみると、何も光らない。つまりは統合できるスキルがないということだ。
「マジか……これだけあるのに……」
ダンジョンをいくつも攻略し、何種類もの魔物のスキルを手に入れた。かなりの数スキルを持っているのに、統合できるスキルはないというのは予想してなかった。
「まあ、ユニークだしな」
盲目者は視覚がなくなる代わりに聴覚は物凄いことになっている。かなりの距離まで音を拾い、音の発生源までしっかり感知できる。視覚がなくなるのが痛いが、聴覚だけはこれ以上のスキルはないだろうというレベルの性能のため、統合できるスキルはないのかもしれない。
「……もしかして分離させたらこの聴覚だけにできたりするか?」
俺は一縷の望みにかけて分離をしてみる。分離は消去と同じように四角の空欄が現れスキル一覧も出てくるが、表示されるスキルは分離が可能なものだけのようだ。そのため縮地や時間操作は表示されていない。だが、盲目者は表示されている。つまり、盲目者は分離できるスキルである。俺はさっそく分離してみた。分離という文字を強く意識し、盲目者を分離する。しばらくは何も起こらなかったが、四角の中に入った盲目者は消え、二つのスキルに分かれた。一つは目が見えなくなるスキル、盲目。そしてもう一つはエクストラスキル、
分離して盲目と聴覚師範に分かれたのはいいが、肝心の目が見えないのは残ったままだ。盲目の有用性がまるで分らないが、スキルである以上どこかで使える可能性があるかもしれない。とりあえず残したまま、俺は再び統合を行う。聴覚師範なるスキルがあるならば、視覚師範などもあるかもしれない。だとすれば目に関するスキルの集合体だろう。師範というくらいだし有用なスキルをかき集めたスキルだと予想できる。そこで俺は遠視を選択する。予想通りいくつかのスキルが光り始めた。
「えっと……暗視と盲目、複眼、色覚強化か」
盲目、暗視、遠視の他にある複眼と色覚強化はブラックパンサーのダンジョンに行く道中の森の中に出てきた、キラーバタフライという蝶のものだ。たいして強くなかったため特に気にしてなかった。とにかく、これだけの統合できるスキルがあるのに、入れられる空欄は1つだけ。一つ一つ入れていく必要があるのかもしれないと思ったが、それは杞憂だった。暗視を選択し入れてみるが、他のスキルはまだ光っている。他のスキルも選択してみると、空欄は増え、その中に選択したスキルが入っていた。結局光っていたスキルすべて入れることができた。そして式の下に浮かんできた統合の文字を押してみると、しばらくしたのちに一つのスキルへと変わった。エクストラスキル
視覚を取り戻した俺はスキル一覧を読む。スキルやレアスキルはもちろん、ユニークスキルとエクストラスキルがかなり増えている。とりあえず気になるスキルである、エクストラスキルの視覚師範と聴覚師範を読む。
視覚師範、あらゆる視覚に関するスキルの
聴覚師範、あらゆる聴覚に関するスキルの機能を持つスキル。このスキルを持つ者が望むがままに機能を操れる。機能は聴覚強化、音源感知、音波識別。
つまり盲目を持ちながら目が見えるのは、その機能を無意識のうちに切っているからということだ。俺は意識して盲目を発動させる。すると視界はたちまち真っ暗になり、先ほどまでのような輪郭のみの世界に変わる。俺は納得し、盲目を切る。そしてすごいのは聴覚師範の方だ。聴覚強化だけではなく、音源を感知し、音波を識別するという機能を持つ。音源感知は文字通り音の発生源を感知するもの。音波識別は音を聞き分けるスキルだ。魔物の鳴き声や羽ばたく音などがありながら超音波の音を聞き分けられたのはこのスキルがあったおかげということだ。
俺はこの二つをさらに強いものにできないかと思い、試しに聴覚師範を統合の空欄に入れてみる。すると視覚師範が光り始めた。この二つが統合されればどうなるのかとドキドキしながら入れてみるが、統合の文字が現れない。これはつまり、統合はできるがこの二つだけでは足りないということである。つまりこれらよりも高性能のものが存在するということだ。
「師範よりも上のスキルがあるってのか……やばいな」
師範でもとんでもスキルであるというのにそれ以上のものがあるということに俺は驚きと同時に期待を持っていた。
他のスキルも統合できるものをとりあえず統合していった。スキルと言いながら魔法も統合できるようだが、残念ながらまだ魔法と統合できるスキルまたは魔法が足りないようで、ストーンショットとロックブラストは入れられたものの統合はできなかった。スキルを統合したおかげでスキルの数は減ったもののその機能を持った強力なスキルが手に入った。
一通りスキルを統合したり分離させた俺は、改めてスキルを確認する。ユニークスキルは時間操作、殺人者、紡ぐ者、採掘者。ダンジョン巡りで手に入れたのは紡ぐ者、採掘者だ。紡ぐ者は召喚魔法を内蔵しており、望む場所に子蜘蛛を召喚。その子蜘蛛に意思伝達で糸を吐かせ、糸同士を紡ぎ合わせるという使い方次第では化けるスキルだ。そして採掘者は地面を掘り、アイテムを収集できるというものである。それだけならスキルじゃなくても可能だが、これのいいところは機能にある鼻が利くというもので、なんとなくだがいいものが埋まっている位置がわかる。いいものというのはいわゆるレアアイテムだ。収集系のスキルとしては使えるものだと思うが、俺には必要なさそうだ。エクストラスキルは無限斬撃、聴覚師範、視覚師範、嗅覚師範、再生、粘着糸、状態異常付与、吸血だ。エクストラスキルは統合したことにより名前を変えたものが多い。嗅覚師範は森の中にいたフォレストベアの嗅覚強化、4つ目のダンジョンにいたジャミングフライというハエが持っていた臭い感知。2つ目のダンジョンのベアアントが持つ匂い識別を統合したものだ。それぞれ嗅覚を強化するもの、臭いの発生源を感知するもの、匂いを識別するものだ。そして再生は3つ目のダンジョンのビビリトカゲのものだ。こいつと会ったときは驚いた。俺を見るなり尻尾を切り物凄い速度で逃げるのだから。再生とはもちろんこの尻尾を生やすためのスキルだろう。そして状態異常付与はキラービーという森の中に出てきた蜂が持っていた毒針とビビリトカゲの麻痺吐息を分離させ、毒付与と麻痺付与を統合したものだ。そして毒針、麻痺吐息の副産物の飛ばし針と吐息はキラーバタフライの鱗粉を統合して形態変化になった。
スキルとレアスキルは超音波、多段斬撃、空間斬撃、真空斬、縮地、高速移動、能力向上、粘着糸、透明化、
魔法はストーンショット、ロックブラスト、ファイヤショットだけだ。ファイヤショットはあのアスレの邪魔をするフレアファルコンの魔法で、木の中で炎とはいかがなものかと思うが問題はないのだろう。
とりあえずすべてのスキルの確認を終え、俺は外に出る。エレメンツを支払うことで統合したスキル等はすべて確定され、最初に触れた水晶に取っておいたバックアップは消えるらしい。ちなみに支払わなかった場合はバックアップが自動的に発動し、全ての変更をリセットするらしい。もっとも、この世界で支払わないという選択をするものはいない。スキルの統合等は何時間部屋に籠っていても1000E。普通は1時間程度で終わるため、俺みたいに長時間籠っていたのは珍しいらしい。
支払いを終えると、懐中時計を開き、時間を見てみる。99年360日10時間と表示されていた。
「あれ?なんでもう4日経ってんだ?」
俺は焦る。そして時間が経った原因を考える。そしてはっとした。ダンジョン巡りだ。ダンジョン自体そこそこ時間がかかる。それだけなら自身の疲れや空を見たりして時刻を予想することはできるが、この世界では疲れもないし空腹になることもない。さらに俺は目が見えず空を見ても真っ暗で時刻など分からなかった。つまりダンジョン巡りに夢中になっているうえに、環境の変化や自身の変化もなかったために時間の進みを把握できてなかったのである。生前であれば起こりえない現象に俺は恐怖した。
「……まあ、盲目も自由に切り替えられるようになったし今後はそんなことはないだろう。それよりも今はやることがあるし」
俺は気持ちを切り替えて、ギルドへ向かった。もちろん契約内容にあったダンジョン報告をするためだ。
受付は前に金をとられたカウンターとは違い、廊下を隔てた反対側の部屋のカウンターで行う。以前俺が金を取られたカウンターがある部屋は一般カウンターと呼ばれて、今俺が報告をしているカウンターはギルドカウンターと呼ばれているようだ。違いは依頼を出すまたはギルドの講習やギルドに入る手続きを行うカウンターか、依頼を受けるもしくはその依頼の報告やダンジョン、塔の攻略報告をするカウンターという違いだ。それぞれの部屋を隔てた廊下はT字になっており、奥に進めば応接室になっている。
その受付で俺は報告をしているのだが、その担当の人がやたら驚きまくる。
「ええ!?蟻の古城を突破したんですか!?そのレベルで!?」
「ええ!?獣の大木を登り切ったんですか!?あなた人間ですよね!?」
何やら侮辱されている気がするが、まあ、突破方法も方法だし、レベルについては何も言えない。ただ俺のスキルが優秀だっただけだし。無茶苦茶疑われてしまいには奥の部屋に連れて行かれそうになったところで、ギルド長がやってきた。
「何の騒ぎだ」
「ギルドマスター!この者が攻略の嘘を吐いてまして、奥の部屋で詳しい事情聴取をしようと思ったのですが」
ゼラチナは俺を見て、再び受付の女性に目を向けると一言。
「うん。まあ、気持ちはわかる」
そう言って肩を叩く。何?俺化け物か何かと思われてんの?俺はちょっと不機嫌になりながらそのやり取りを見ていると、ゼラチナは俺の身元保証と身の潔白をしてくれて、何とかその場は収まった。
報告を終えた俺は、エレメンツを稼ぐために依頼ボードを見ていた。その中に魔物のドロップを集めてほしいという依頼があり、それを剥がし、カウンターに持っていく。先ほど騒ぎを起こした女性とは違い、受付カウンターの女性は冷静に仕事をしてくれて、スムーズに依頼を受けれた。ボードの依頼に期限はないため、何日かかってもいいらしい。もっとも、その間に依頼者がいなくなるということもあるらしいが、その場合は依頼を受けた証である細くて小さいクリスタルが割れてなくなるからすぐにわかるらしい。まあ、それが分かったところで依頼者がいなくなれば依頼は失敗、報酬はなしのため意味ないのだが。
そうこうしていると、依頼を受けるのを待っていたゼラチナが話しかけてくる。
「ちょっといいかい?君の力を見込んで今度の作戦の打ち合わせをしたいのだが」
「作戦?」
「ここじゃなんだし奥の部屋で話そう」
そして結局俺は、応接室にいれられたのだった。
ソファーに腰を下ろすと、さっそく作戦の話をし始めた。
「作戦というのは塔攻略作戦のことだ。我々ギルドは定期的に大規模な塔攻略作戦を決行している」
聞けば大規模作戦は、先遣隊ギルドと騎士団ギルドが手を組む大規模な作戦で、総勢500を超える人数で塔に攻め入るという。その狙いは騎士団を上の階層に送るためのもので、上の階層のギルドの騎士の数を安定させるためのものらしい。騎士と言ってもやはりプレイヤーであり、100年経てば自然消滅してしまう。1層であれば代わりのプレイヤーは何人も入るが、2層、3層と階層が上がるにつれ、騎士の数はどんどん減る。そのためできるだけ多くの騎士を2層、3層に上げるための作戦だ。一度層を跨いでしまえば、階層移動は自由にできるため、下がピンチの時に助けを出すこともできるのだ。ちなみに小規模な作戦は先遣隊ギルドで頻繁に行っているようで、俺がこの世界に来る数日前にも塔に挑んだようだ。
「それで、それだけの人数いるなら俺の力なんて必要ないと思うんですが」
俺がそう思うのも当然だ。いくら硬い相手だといっても人数で押し切れば倒せるだろう。絶対守護者がどれほどのものか俺は知らないが、1層で一番難易度が高かった獣の大木のボスであの程度ならば、人数の差で余裕だろう。しかし、ゼラチナは首を横に振る。
「この大規模作戦は年に一度行っている。すでに10回、失敗しているのだ。それまでに小規模な作戦も何度も行われているが、誰も突破できてない。その意味が分かるか?」
「……10年、誰もクリアできてないってことですか」
ゼラチナは静かに頷く。そしてゼラチナは絶対守護者が絶対守護者と言われる所以を説明してくれた。
絶対守護者、アルティメットガーディアンは重鎧をし、右手に大剣、左手に大盾を持つ騎士だ。その大剣の一撃は、高レベルのプレイヤーを一撃で屠る高威力である。しかも体格と大剣の大きさ、そして振るわれる大剣の攻撃力により、数人まとめて薙ぎ払うことができる。ギルド騎士団はみな重鎧だが、その鎧すらも切断し、数人を一度に屠ることができるのだから、その攻撃力は桁違いだ。またこちらが攻撃をしても遠距離ならばその盾で防がれ通らない。近距離攻撃はユニークスキル絶対防御と重鎧のせいで通らない。攻撃を通せる唯一の方法が、鎧と兜の間の隙間に攻撃を入れることだけだ。アルティメットガーディアンは絶対防御以外のスキルを持たないが、そのシンプルさ故に誰も通さない。誰も倒せない強敵となっている。
「騎士団はみな重装備だ。本来ならば守ることに特化した者達なのだが、奴の攻撃の前では無力に等しい。そして重装備であるが故に近づくことすらままならないし、回避もできない。ならば頼れるのは先遣隊ギルドのものだ。彼らならば騎士団にできない動きができるため、頼りにしているのだ。だが、先も言ったように先遣隊ギルドの者でも突破できたものは少ないのだ」
「過去に大規模作戦で成功した事例は?」
「一度だけ。魔王カリュブディスの力を借りて大規模作戦を成した」
「魔王?」
「そう。魔王カリュブディスはギルドに所属してはいなかったが、彼の力ならばと頭を下げてお願いしたのだ。魔王でありながら快く受けてくれたよ」
聞けばレベル18でありながら、アルティメットガーディアンを倒すことに成功したという。さすがは魔王である。しかし、その作戦の犠牲者は多かったようだ。騎士団と先遣隊合わせて500と魔王カリュブディスのパーティーに加わった魔物プレイヤー2万が挑み、突破できたのはカリュブディスと一部の騎士、それから数人の魔物プレイヤーだけだったのだという。
「その魔王カリュブディスですらそれだけの被害を出して突破できたんでしょう?俺一人が入って何とかなるような奴なんですか?」
「正直分からない。わからないが、少なくとも君はカリュブディス並、いやそれ以上の力を持っていると思っている。どうか作戦の要になってくれないか?」
俺は考える。塔の攻略自体は別に構わない。だが、騎士団という足手まといを連れて戦えるのかという懸念があるのだ。俺は少しの思案ののち、ゼラチナに条件を付けたうえでの作戦参加の了承をしたのだった。