ライドウォッチ。
それは、数多ある平行世界に生きる人類の自由と平和のために戦う戦士“仮面ライダー”の歴史そのものを封じたもの。使用者には封じられたライダーにまつわる人智を超えた力と共に、彼らの運命に連なる忌まわしき業を背負わせる禁断のアイテムである。
「――で、俺を替え玉の王として擁立して仮面ライダーの歴史をまとめ上げ、平成をなかったことにしようとした歴史の管理者がいたんだ。そいつらは平行世界の俺と仲間たちが倒したんだけど、どうやらそのとき奴らが作った平成生まれだけを吸い込むワームホールが魂の均衡を崩してたこの世界の過去に繋がってたみたいで、奴らの使ってたウォッチがこっちの世界に流れて来ちゃってるみたいなんだよね。俺はそれを回収しに来たってわけ」
「なるほど、つまりあのオーマジオウという姿はソウゴが時の覇者として覚醒した姿なのですね! しかしとてもかっこよかったですよ! 古代文字や異国の言葉で変身を派手に演出するなんて最高にイカしてます。紅魔族の琴線にビシバシ反応してましたよ!」
「うん、二人とも中二病は早く卒業しなさい。じゃないと数年後、その妄想を思い出して毎晩枕を涙で濡らし身悶えすることになるぞ」
「あれー? 俺、説明下手なのかなぁ」
「どうしてわからないんですかカズマ! 世のため人のため、傷つきながらも人知れず戦うヒーローですよ! “時の魔王”……。んーっ、いい響きです……!」
魔王軍幹部ベルディアをオーバーキルした翌日。馬小屋で肌寒いながらも気持ちのいい朝を迎えたソウゴはカズマたちと朝食を共にしながら戦利品とも言えるロボライダーのライドウォッチを片手に自分がここに来た理由を大雑把に説明していた。
しかし、二、三度説明したところで突拍子もない話を信じるのは難しいのだろう。紅魔族特有の中二病感性に反応した無駄に高い知能と理解力を持つめぐみんや、平成などの年号の概念を理解している日本出身の転生者であるカズマならまだしも、日本のことなど何も知らないダクネスは早々に理解するのを諦めて思考を手放し、ただ静かに食事を口に運ぶだけの装置と化している。そんな彼らの様子に、先程からプルプルと震えていたアクアがテーブルにシュワシュワの入ったジョッキを叩きつけて怒りのままに口を開いた。
「とにかく! 仮面ライダーってやつらは最悪なのよ!!」
「何だアクア。こいつらのこと知ってるのか?」
「知ってるも何も、天界じゃ悪魔の次に忌み嫌われてる連中よ! 何が最悪って、人間のくせに世界を救うために世界をぶち壊したり、自分の世界の神と戦ったり、何度も時間をリセットしたり、何の許可もなく新しい世界作って年度末に人事異動ぶちこんできたり、死んだはずなのに天界の裁量もなく勝手に生き返ったり、生き返らせたり、人間やめて不老不死になったり、別の星で神様はじめたり、もうやることなすことめちゃくちゃのわけわかんない連中なんだから!! シュワシュワおかわり!」
「あー、その……、ごめん」
「何怒ってるんだよ。みんなのために戦ってるんだろ? それくらい寛容になってやれよ」
「そうよ! やってることは正しいしその辺の善人よりよっぽど徳の高いことしてるわ! たまに地獄行きの極悪なやつもいるけど、ほとんどが天国行きか地球で生まれ変わってるくらいにね。だからこそ、誰もこいつらを責められなくて担当の女神は泣き寝入りするしかないの! わかる!? 自分のせいじゃないのに勝手に生き返ったやつらのせいで何枚も何枚も始末書書かされる気持ち。思い出しただけでもムカついてくるわ! 謝って! これまでの全仮面ライダーを代表して謝って!」
「えっと……、ごめんなさい」
「誠意が足りないわよ! 一発殴らせなさい! それから今日の飲み代払いなさい!」
「仮にも女神を名乗ってるやつがカツアゲしてんじゃねぇよ!」
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食事を終えたダクネスとめぐみんがクエストボードに向かうのを見送ったカズマは、パンを飲み下しながらソウゴを眺める。昨日の、あの圧倒的な魔王としての姿を見てもまだこのへらへらとした男と同一人物だと信じられない。ベルディアですら一方的に嫐られたあのオーマジオウの力は、それこそ神器持ちの転生者の比じゃない強さがあった。そこでふと生まれた疑問を、魔王から強奪したソーセージをつまみにシュワシュワを煽るアクアに投げかける。
「でもそんだけ凄い奴らがいるなら、わざわざ日本から打倒魔王のためにチートまで渡して人を集める必要なくないか? そいつらに頼めばいいのに」
「……仮面ライダーになるような善人は基本的に天寿を全うするから転生はできないわ。早死するのは力に溺れた悪人ばかりだから、そいつらは有無を言わさず地獄行きよ」
「ふーん。じゃあソウゴが来たのは不幸中の幸いってやつか。でもお前ぐらいのやつが死ぬなんて、その世界はよっぽどピンチなんだろうな。元の世界が心配じゃないのか?」
「え? 俺死んでないけど?」
「「え?」」
話の流れ的なセオリーを根本から崩してくる発言に、カズマとアクアの動きが止まる。それを意に介する事はないソウゴは、平らげた食事に満足して手を合わせた。
「俺、門矢士っていう平行世界とか異世界に移動できるライダーに頼まれてこの世界に来たの。まあ元の世界は俺が壊して作り直したから帰れないんだけどね。……ごめんね、女神様」
「いや、いいわよ。私に迷惑かかってないし。すみませーん、シュワシュワおかわりー」
「さっきまで怒ってたのは何だったんだよ。情緒不安定かお前は。……じゃあなんで言葉とかわかるんだ? 文字も読めてたよな?」
「さあ? こっちに来てすぐは言葉も文字もわからなかったんだけど、カズマたちと会った頃にはなんでか理解できるようになってたんだよね」
「きっと、ソウゴには世界の移動と共にその世界にオートフィットするチートが元から備わってるのよ。時間を越えたり自力で異世界に行く力があるなら可能性はあるわね」
「……こいつら、何でもありの生まれながらのチート集団かよ。ホント、ゲームバランスがクソだな」
頭がパーになるリスクもなく平然とそういうことをやってのける規格外な連中を目の当たりにして、こんな奴らに振り回される女神たちに同情を禁じえないカズマだった。
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「カズマ。この、モンスターの血を少し回収するだけの採取クエストはどうだ?」
「なあアクア。このハブトマングースってなんだ?」
「マングースの下半身からハブの上半身が生えてるミミズみたいな大型モンスターよ。生まれたときから体の所有権をかけてどちらかが死ぬまで戦い続ける習性があるわ。気性が荒くて普段は殺し合うくらいに仲が悪いのに、共通の敵には見事なコンビネーションを見せることで有名よ。勇者候補が何人も餌食になってるけど、その血から作られる血清は服用するとあらゆる毒への耐性が得られるから高額の懸賞金がかけられてるの」
「一撃熊並みの爪攻撃と即死級の毒が同時に味わえるお得なモンスターだ! 一体私はどうなってしまうんだ……!」
「よし却下」
「そうです! こちらのデッドリースコーピオンの討伐にするべきです! あの硬い甲羅を爆裂魔法で木っ端微塵にしてやりますよ!」
「なあアクア。このデッドリースコーピオンってなんだ? いや言わなくていいや名前でわかる却下」
「どうしてだ!?」
「どうしてですか!?」
「その紙に描いてる髑髏の数が見えないのかバカ共! お前らの目は節穴か? 節穴に綺麗なビー玉がはまってるだけか!? そのお人形みたいに綺麗な顔からほじくり出して質屋に入れてきてやるよ面貸しやがれ!」
午前中だけでどっと疲労感が押し寄せる。周りを見渡せば、臨時収入を元手に冬籠りの支度を済ませた冒険者たちが談笑しながらシュワシュワを煽っている姿が散見していた。つくづくこの世の不公平さを呪いながら、カズマは大きくため息をつく。
「ったく……。そもそも、俺たちはソウゴのおかげでベルディア討伐の報奨金が上乗せされて大金持ちになれるんだぞ? なんでそんな危険なクエスト受けなきゃならんのだ」
「それとこれとは別だ。モンスターを倒し領民の不安を取り除くことは騎士の務めだからな」
「嘘つけ。自分の性癖のためだろ変態ドMクルセイダー」
「ん……っ! だ、断じてそんなことはにゃい!」
「私はお城よりも気持ちよく爆裂魔法を撃ちこめる相手が欲しいだけです! ソウゴに時間を戻してもらえば、毎日、何度でも、納得いくまで撃てますからね!」
「正直に言えば許されると思うなよ。ていうか、何発撃っても一発屋なことに変わりねぇじゃん」
「ほほう。それはこの私への挑戦ということですね? いいでしょう、売られた喧嘩は買うのが紅魔族の流儀。今ここでギルドごとお前を吹き飛ばしてやってもいいんですよ、カズマ? ……ところでソウゴは?」
めぐみんが時間を戻せる安全装置を探していると、カズマはギルドの受付を指差す。ソウゴは言わずとしれたアクセルの名物受付嬢・ルナの前でステータスを測る水晶を挟み何やら取り込んでいる様子だった。その姿を見て、めぐみんもダクネスも昨日のゴタゴタですっかり忘れていたことを思い出す。
「しっかし、ギルドもケチだよな。冒険者登録もしていない、身元のわからない冒険者のいるパーティーにはクエストの報酬が渡せません、なんてよ」
「ほんとよね。いくら後で払えるってわかっててもツケを増やすのは心苦しいわ」
「心苦しいやつはツケてまで飲まねぇよ」
「仕方がないだろう。過去に人間に擬態したモンスターがクエストの討伐対象と手を組んで報酬をだまし取った事例があるからな。これはその対策の一環なんだ。冒険者カードは持ち主の魂と結び付いた偽造不可能な身元証明書だしな」
「なんでモンスターがそんなことしたんだ?」
「確か、報酬をせしめることでベルゼルグ王国の財政を攻撃するためだったはずです。学校でも習う有名な話ですよ」
「この世界の魔王ってなんかこう、小狡いというかなんというか……」
そう溢したカズマは悪態をそこで切り上げる。そんな魔王も、オーマジオウの登場でさぞや震えているだろうことは想像に難くないからだ。ソウゴが単身で魔王城に乗り込んだとしても傷一つ付けられる姿が想像できない。心の底からお悔やみ申し上げる以外に、今のカズマができる心遣いはなかった。
そんなことをぼんやりと考えていると、手ぶらでソウゴが帰ってくる。報奨金があまりにも高額過ぎて手に持てないのだろうか。流石にそんな大金を馬小屋で管理するわけにはいかないよなぁ、などとカズマが脱貧乏生活の皮算用をしていると、彼に気がついたパーティーメンバーが各々口を開く。
「どうだったソウゴ。ステータスは変身する前と今とでどう表記されるのだ?」
「あの時を巻き戻すスキル! 爆裂魔法から浮気するつもりはありませんが、どの役職のスキルに該当するのか興味はあります!」
「いい? この女神様より高ステータスだったりしたら許さないんだからね!?」
「いっぺんに話しかけたらわからなくなるだろ。まずは報酬の分配からだな……」
賑やかになる卓で、へらへらとした態度のソウゴはまるでなんでもないように爆弾を落とした。
「俺、冒険者登録できないんだって」
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「ソウゴが冒険者登録できないってどういうことですか!?」
「すみません。何度も試してもらったんですが……」
そう言ってルナは申し訳無さそうに頭を下げる。絶望に沈むカズマが何かを訴えかける目でソウゴを見ると、彼はバツが悪そうにはにかみながら水晶に手を添えた。
光出す水晶、書き込まれていく冒険者カード。ここまではいい。これはカードを覗きこむ四人とも通過した行程だ。しかし、ここからが問題だった。
「これは! 古より代々伝わりし解読不可能な古代文字ではありませんか!」
「いや日本語だろこれ」
そう。カードに書き込まれていくのはこの世界の文字ではない。もう見ることはないであろうと思っていた懐かしい日本語だったのである。完成した冒険者カードにはきちんと名前、年齢、種族から、運以外は自分やアクアと比べてもかなり高い各種パラメーターまで問題なく記載されているようにカズマには思えた。オーマジオウとしてのパラメーターは記載されないんだなぁ、などと感想を抱いていると、ダクネスが腕を組み渋い顔をした。
「これでは読めないな。身分証として機能しないぞ」
「はい。水晶の故障かと思って他のもので試したのですが全滅で……」
「なるほど。それで登録不可というわけですか……」
「きっと冒険者カードが魂と結び付いているからね。ほら、ソウゴっていわゆる密入国みたいなものじゃない? いくらこの世界に順応できても、生まれ変わったわけじゃないし」
「えー、じゃあ俺、皆みたいに魔法使ったりできないの?」
「そうですね、この不備のあるカードをお渡しするわけにはいきませんので……。カードで可視化されているだけなので経験値は問題なく貯まりますしレベルも上がるでしょうが、スキルポイントの運用などは不可能かと」
「まあいいじゃないか。それ以上強くなったところでどうしようもないだろう」
「うーん。でも残念だなぁ」
「ソウゴはカズマより歳上なのに、やけに子どもっぽいところがありますね」
「そうかな? 俺のいた世界じゃ魔法ってみんなの憧れだったよ?」
和やかな雰囲気が場を包み、申し訳無さそうに眉を垂らしていたルナもクスクスと笑う。「じゃあクエストの話でもしましょうか」というめぐみんの提案に全員がクエストボードへと移動しようとしたとき、ゆっくりと挙手したカズマが全員の歩みを止めた。
「アノ、ヒトツヨロシイデショウカ」
「どうしたの、カズマさん」
「コノ場合、コレカラノクエスト報酬ト今回ノ報奨金ハドウナルノデショウカ」
「申し訳ありませんが、ギルドとしてはトキワソウゴさんに報酬をお支払いすることができません。これからのクエスト報酬は参加人数で等分した一部、そして今回のサトウカズマさんパーティーに支払われるはずだったベルディア討伐報酬は全て国庫へと返還されることとなります」
「よしソウゴ。時間を巻き戻してベルディアを生き返らせよう」
「ちょっと何言い出すのよカズマ!? あんた正気!?」
「そうだぞカズマ。報奨金が貰えなかったからといって自棄になるな」
「お前らこそ冷静になれよ! ベルディアを倒したのがソウゴだったから良くなかったんだ。もう一回戦って、いい感じに弱らせてから俺たち冒険者カード持ってる奴らでとどめを刺せば大金持ちになれるんだぞ!?」
「大金に目が眩みましたか。アンデッドとはいえ死者を弄ぶなど発言がクズマですよ」
「お前だって納得できないだろソウゴ! せっかく世界の平和に一歩近づいたのに1エリスにもならないんだぞ!?」
「え? 別にいいけど」
「ダメよカズマ。仮面ライダーって連中は元々、自分たちの世界で無報酬無対価、なんなら守るべき民衆にボロカスに罵られながらも命を懸けて巨悪と戦うボランティア戦士なの。諦めなさい」
「命を懸けてボロボロになりながら戦って、更に領民からも罵られるとはどんなご褒美だ……! 私もそのレベルの高い国に行ってみたいぞ……!」
「黙ってろエロセイダー! ていうか、お前はもうちょっと食い下がれよアクア! さっきまでザルみたいに飲んでた分も、ツケ分だって払えないんだぞ!?」
「よしソウゴ。時間を巻き戻してベルディアを生き返らせましょう。女神の私が許すわ」
「「アクア!?」」
「そんなことしたら、例え倒せてもパーティーの皆さんまとめて指名手配犯ですよ!?」
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「「お金が欲しい……」」
「ツケが払えなくて怯えることになるなんて……。私、女神なのに……」
「馬小屋生活で凍死なんていやだ……。せっかく転生したのに……」
「そう落ち込むな二人とも。冬場で高難易度クエストしかないからといって、仕事がないわけじゃないんだ」
「でも危ない仕事をソウゴ抜きでこなせるわけないじゃん……。せっかく即戦力の優秀なメンバーが入ったと思ったのに……」
「おい、誰が非戦力で優秀じゃないのか、その辺り話し合おうじゃないか」
協議の結果、ギルド側も化け物じみた力を持つソウゴが魔王軍の手先として最前線ではなく駆け出しの街にいるのはおかしいと納得してくれていたようで、次回のクエスト以降はソウゴをクエストに参加させない約束でカズマたち四人には今まで通り報酬が支払われることで落ち着いた。取り決めは王国からのお達しで曲げられないのが末端の辛いところなのかもしれない。
しかし、大金をあてにしていた二人の落ち込みようは凄まじいもので。カズマは到来する寒波に、アクアは迫りくる返済期限に震えていた。
「ねえ、どうして冬のクエストは高難易度のものしかないの?」
「冬場は弱いモンスターが軒並み冬眠してしまうからな。過酷な冬を動き回れるのは、強いモンスターしかいないんだ」
「だから基本的に冒険者は秋までにある程度の蓄えを作っておいて、冬は緊急クエスト以外で街の外には出ません。この時期に積極的にクエストを受けるのは、勇者や勇者候補と呼ばれる高レベルの冒険者くらいですよ」
「勇者かぁ。なんかかっこいいね」
そう呟くと、ダクネスとめぐみんは揃って非常に複雑な顔をした。まるで何か嫌なものでも思い出すような、例えるなら街中でしつこくナンパしてきた男の顔を思い出すような顔にソウゴは首を傾げる。まあ女の子だし色々あるのだろうとひとりごちたソウゴは、背後に人が迫る気配に振り返った。
「貴方がトキワソウゴですね」
「そうだけど……。誰?」
「私は王国検察官のセナといいます。署までご同行願えますか?」
憲兵を二人連れた黒髪ロングの眼鏡お姉さんは、釣り上がった目でソウゴを睨みそう言った。
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「へー! ここが取調室かぁ。俺、取調室って入るの初めてなんだよね」
「そうですか。まあ、普通の人は入る機会なんてありませんからね」
筆記のために控えていた書記にあいさつをしてソウゴは粗末な椅子に着席した。石造りの床と分厚い壁が物々しい印象を与える。窓という窓に鉄格子がはめられているところなどを見ると、犯罪者のための部屋であると嫌でも認識させられる。
「ねえセナ、このベルって何? 押してみてもいい?」
「それは嘘に反応するマジックアイテムです。ここでは本当のことを言わないと心象を悪くしますよ。では、聴取の方始めさせていただきます」
好奇心を事務的に返されたソウゴは、持て余した気持ちをそっと胸にしまう。何か悪いことしたかなぁと、彼女個人に対する態度と自身のこれまでについて思いを巡らせていると、セナは定型文らしき質問を繰り出してきた。
「貴方には現在、魔王軍の関係者ではないかという嫌疑がかけられています。突然現れた規格外の力の持ち主で、その上冒険者登録が正常に行われないバグなどのせいです。そのことを十分頭に置いて答えなさい。……それでは名前、年齢、出身地、職業を」
「常磐ソウゴ。歳は18。出身は日本。職業は……王様かな?」
「…………。では次に、アクセルに来る前は何を?」
「学生をしながら王様を目指してました」
「………………? 少し失礼します」
立ち上がったセナは嘘発見ベルを片手に退室する。扉の外からチーンという、間抜けなベルの音が響いてくるが何をしているのかさっぱりわからない。不思議そうな顔で呆けていると、すぐにセナは帰ってきた。
「お待たせしました。ではもう一度お尋ねします。ここに来る前は何を?」
「だから、学生をしながら王様を目指してました」
「…………いいでしょう。では、王様を目指すとは具体的に何をされていたんですか?」
「うーん……。クラスメイトで目ぼしい人を家臣に任命したり、どうしたら王様になれるのかなーって考えたり」
「………………質問を変えます。あなたの力はどうやって手に入れたものですか?」
「オーマジオウの力? そうだなぁ。平成ライダーの歴史を全部継承したあと、友だちを殺された怒りから? あんまり欲しくなかったんだけどね」
「…………あの、すみません。もう一度失礼します」
そう言ったセナはもう一度嘘発見ベルを手に、今度は書記も連れて外に出る。また廊下からチーン、チーンと間抜けなベルの音が響いてくると、書記はとても申し訳無さそうに、セナはとても沈んだ目で帰ってきた。
「……すみませんトキワさん。何か、嘘を言ってもらっていいですか?」
「嘘? いいけど……。『俺は王様になりたくない』」
チーン。
正常にベルが鳴ったことで、二人の表情はより悲壮感を増す。何がしたいのかわからないソウゴが首を傾げていると、二人は諦めたように自分たちの席に戻った。
「ふぅ……。お待たせしました、では続きを。この街にはどういった目的で来ましたか?」
「門矢士っていう人に探しものを頼まれて。ベルディアが魔王から貰ったって言ってたから、とりあえず魔王城に乗り込もうかなって思ってるんだけど……そうだ! こういうの見たことない? ライドウォッチ……ベルディアは〈オーパーツ〉って呼んでたんだけど」
そう言ってソウゴはロボライダーのライドウォッチをセナと書記に見せる。セナも書記も不思議そうな目でウォッチを手に取るが、二人ともが顔を合わせて首を横に振った。
「そっか……。まあそう上手くはいかないよね」
「お力になれず申しわけありません。それはいったい何なんですか?」
「えっと、簡単に言うと俺たちの歴史の一部、かな。使うと凄い力が手に入るマジックアイテムって言った方がわかりやすいかも」
「つまり、現在魔王軍が所持している可能性が高い危険な代物なんですね。それを集めてどうするつもりですか?」
「どうするも何も、元の持ち主に返すんだよ。じゃないと歴史が失われたままになるし」
「悪用する意思はないと?」
「そんなことしないよ」
セナは嘘発見ベルをチラリと確認する。全く堂々とした置物に慣れたのか嘆息した彼女は、諦めたように目尻を垂らした。
「では最後に伺います。あなたは魔王軍の関係者ですか?」
「違うよ。俺は魔王だけど、この世界の魔王軍のことは知らないな」
「そうですか。ベルも鳴らないし本当にかんけ……今なんと?」
「え? この世界の魔王軍のことは知らないよ?」
「いえ、その前です」
「俺は魔王だけど?」
「……魔王?」
「うん。時の魔王、オーマジオウ。正確には今からだいたい五十年後の俺がそう呼ばれるんだって。未来は変わったからもう消えちゃったけど、俺がその力を手にしているのは間違いないよ。それがどうかした?」
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「……どうしてこうなったのかな」
冷たい留置所の中、ぽつんとひかれたゴザの上でソウゴは思いを馳せていた。
あの後、流れるように拘束されたソウゴは弁解の暇もなくそのまま牢屋に押し込まれた。平行世界の自分が押し込まれた時にはベッドもあったが、どうやらこの世界の人権意識は中世並みらしい。オプションは掛け布団にも満たない薄い布と、丸めただけの枕が置いてあるだけだった。日が落ちて夜も更けてきたが、自分がいつここから出られるという話もされていない。そのくせ檻の鍵はダイヤルロック式という防犯意識なので、現代人感覚のソウゴにとってはなんともチグハグなものである。
「窓も高過ぎて外見えないし、暇だなぁ」
ゴザの上にゴロ寝したソウゴは緊張感もなく天井のブロック数を数え始める。建築技術は見上げたもので、固められてるブロックは綺麗に形が整えてあるものばかりだった。天井端で半分に切れているブロックは一と数えるべきか二つで一つと数えるべきか悩んでいると、お腹の虫も自己主張を始める。
「……そういやお昼食べてないんだけど、まさか晩ご飯もなしとか言わないよね」
朝食は難癖をつけてきた女神様にいくらか奪われてしまっている。冒険者登録の費用とご飯代まだ返してないなぁなどと考えていたとき、牢屋の奥が騒がしくなってきたのに気がついた。
「おいおい、主が帰ってきたのに茶も出ないのかよこの別荘はよー」
「黙れ。大人しくしていろ」
憲兵に連れてこられた身軽そうな男は犯罪者とは思えない軽口でソウゴの向かいの牢に投げ込まれる。そんな扱いに文句も言わない彼は、満腹そうに歯の間に挟まった肉を爪でこそいでいた。
「あ、確か冒険者ギルドにいた人」
「あ? ……ってなんだ、カズマのパーティーのデュラハンスレイヤーじゃねぇか。たしか……ソウゴだったか? なるほどな。だからあいつら外で守衛と揉めてたのか」
「何の話?」
「いや、なんでもねぇ。ここ出たらカズマたちに礼言っとけよ。ところで、お前何やらかしたんだ?」
「さあ? 俺が魔王だって言ったらいきなりここに入れられたんだ」
「お前、自分が魔王だって言ったのか? ハハッ! こりゃ傑作だぜ! 王国が何と戦ってるのか知らねぇのかよ! 女神の次に魔王とは、流石はカズマのパーティーメンバーだな!」
ケラケラと愉快そうに笑う彼に、馬鹿にするような邪気は感じない。一頻り笑い目尻に溜まった涙を拭った彼に、話し相手ができたソウゴは遠慮なく絡んでいく。
「そういう君こそどうしてここに?」
「牢屋仲間だしダストでいいぜ。……冬場の馬小屋は寒いだろ? だからちょっと無銭飲食をな。すると暖かい寝床をタダで用意してくれるんだから、この国は優しいよな」
「ダメじゃん」
「ハッハッハッ! 違いねぇ」
チンピラのような彼、ダストはこれまた愉快に大口を開ける。酒を飲んでいる姿しか見たことはないが、治安の良いアクセルの冒険者らしく快活な性格のようで口の悪さにも不快感などは感じなかった。そんなダストは不思議そうに疑問を投げかけてくる。
「でもよ、お前くらいの力があればこんな壁くらい楽にぶっ壊して外に出れるだろ。とっとと魔王ぶちのめして首持って帰ってくりゃ、無罪放免で王族入りまでできるじゃねぇか」
「……この世界は魔王を倒したら王様になれるの?」
「王様っつーか、そうだな……。ベルゼルグ王家は強い勇者の血を引き入れて強くなってきた一族だからな。だから魔王を討伐すれば王族の仲間入りは確実だろうぜ」
そうダストが言うと、「ふーん」と興味なさげにソウゴは返す。彼にとってあまり有益な情報じゃなかったのか、一瞬寂しそうな目をしたのをダストは見逃さなかった。少し思案したソウゴが口を開く。
「ダストは、王様って何だと思う?」
ダストは返す言葉に詰まった。いつもなら鼻で笑って、おちゃらけて、適当に返していただろう。でもそうしてはならないと、ソウゴの顔を見た理性が語りかけてくる。その真剣な言葉が心をざわつかせる。だからなのか、彼は自分でもらしくないと思う言葉を吐いた。
「……見知らぬ誰かのために泣けるやつ、かな」
「……俺、ダストのこと結構好きかも」
「やめろよ気持ち悪いな。せめてかわいい女の子に生まれ直してから同じこと言ってくれ」
話は終わりだと、ダストはぷらぷらと手を振って布に包まる。気分転換にはなったようで、ソウゴの瞼も重くなってきた。こんな立派な犯罪者となった姿を友が見たらなんと言うだろうか。今日はなんだかいい夢が見れそうな気がして、ソウゴは空腹を紛らわせるように眠りについた。
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「…………あれ? ここって……」
ソウゴが目を開くと、そこには壁などなかった。石造りの固い床は白黒のタイル張りに、オプションはペラペラの寝具からアンティークな椅子に、目の前にあるはずの壁は純白の椅子とドレッサーに、そして何より場所が檻の中から――
「――死者の世界、だったっけ?」
「はじめまして、常磐ソウゴさん」
気がつくと目の前の椅子には修道服に身を包む美女……いや、美少女が座っていた。透き通るような声が、名乗った覚えもないのに自分の名前を呼ぶ。どことなくアクアと同じ雰囲気を感じさせる彼女は、こちらをひどく警戒しているようだった。
「はじめまして。えっと、誰さん?」
「私はエリス。貴方の向かった世界で、死者の案内をしている女神です」
「あ。アクアと同じ女神様なんだ」
「はい。水の女神アクア様は私の先輩になります」
ふむ、とソウゴは考える。あのアクアの後輩と言うにはあまりにも落ち着きすぎている。出会ってまだ二日だが、酒を飲みカズマに怒られカズマをおちょくる姿しか見ていないので判断に苦しむ。が、女神と聞いてある結論に達したソウゴのやることは一つと決まっていた。
「すみませんでした」
綺麗な直角を維持して頭を下げる。誠意が足りないと言われたことを思い出して今度はきちんと礼を尽くしたつもりだが、当の女神は突然の謝罪にたいへん驚いた様子だった。
「ど、どうされたんですか!?」
「え? 全仮面ライダーを代表して謝らせるために神様パワーで俺を殺してここに連れてきたんじゃないの?」
「時の魔王にそんな恐れ多いことしませんよ!? あと貴方は死んでませんからね!?」
どうやらこのエリスという女神様はアクアとはだいぶ違う性格をしているらしい。そう分析を終えたソウゴは、謝られて慌てふためく女神というアクアでは絶対に見られない光景を前にしてゆっくりと椅子に座り直した。
落ち着きを取り戻し咳払いをしたエリスは、緊張が解れたのかじっとソウゴの目を見つめた。
「お休みのところお呼び立てして申し訳ありません。貴方の眠りが深くなったタイミングで、魂だけこちらに来ていただきました」
「それって大丈夫なの?」
「いえ、言わば貴方の体は仮死状態です。長引けば生命に関わりますので、手短にお話したいと思っています。よろしいでしょうか?」
ずいぶんと丁寧な女神様だなと感心する。はあ、と相槌を打ったソウゴを見て安心したのか、少し肩の力を抜いた彼女はこちらを探るように言葉を選んでいた。
「まず初めに。門矢さんから概ねの事情は聞いています。過去に繋がっていたとはいえ、この世界への介入を許してしまったことは私の責任です。ご足労いただき、ありがとうございます」
「いや、別に大したことじゃ。俺も元の世界にはいられなかったし逆に良かったというか……」
「そう言っていただけると幸いです。それでは、本題に入りたいと思います」
そう言うと、エリスは息を整える。軽く深呼吸しているが、あのわがままの化身のような女神の後輩がどうしてここまで緊張しているのかわからない。そんなソウゴを置いてけぼりにして、エリスは意を決したような、覚悟の宿る目にソウゴを映した。
「これは取引です。貴方にとっては不利かもしれません。ですがこの条件をのんでいただかなければ、この世界を預かる女神として今この場で貴方の魂を消滅させなければなりません」
重い言葉に、ソウゴの表情も険しくなる。士に頼まれるがまま何も気にすることなく世界を移動してきたが、女神にここまで言わせるのだからよっぽどの不都合が生じているのだろう。最悪、変身不可ということもありえる。その場合、いくら時を操るソウゴ本来の力を使えたとしても、ライドウォッチを使う相手には不利だろう。条件次第では魂を消滅させると豪語する神様と交渉、なんていう無茶なこともしなければならない。
時を戻しすぎたか、それともカズマの言うようにパワーバランスが崩壊したのか。緊張の面持ちで身構えていると、エリスもそれに合わせて一層険しい表情で口を開いた。
「はい。貴方を牢屋から安全に出す代わりに、二つほど守っていただきたいことがあります」
「二つ……。それって?」
「一つめは、この世界にいる全生命の魂を弄ばないこと。二つめは、…………この世界を破壊しないこと」
「……へ?」
「貴方の事は門矢さんから聞いています。未来の地球に君臨する最低最悪の魔王、オーマジオウ。世界をその手にし、荒廃した世を生み出した悪の権化、暴力の化身、理不尽の擬人化。気まぐれで世界を作り直し、怒りに触れれば存在を歴史から抹消され、暇つぶしで殺戮を楽しむ狂気のエンターt「待って待ってちょっと待って!」
どえらい風評被害が一人歩きをしていた。よくそんな話を鵜呑みにしたなと問い詰めたくなる気持ちを抑え、恐らく全ての元凶である士の顔を思い出してため息をつく。
「……門矢士から何を言われたのか知らないけど、それほとんど嘘だと思うよ」
「嘘!?」
「たぶん、何でも信じる女神様の反応が面白くてあれこれ吹き込んだだけだと思うから。それに俺、目指してるのは最高最善の魔王だし、この世界をどうこうしようなんて思ってないよ」
「そ、そんな……。世界の危機だと思って〈天啓〉の許可まで取ったのに……。お叱りと始末書覚悟で天界規定を破って貴方を呼んだのに……」
わななく彼女を見て、人間くさい神様だなぁと思う。原因はあの破壊者の悪ノリのせいなのだが。そもそも、あの何を考えてるかわからない自由気ままな男にこんな一面があったことに笑いがこみ上げてくる。女神様の耳が羞恥で真っ赤に染まる頃、ソウゴは自分の手が透け始めてることに気がついた。
「あ、これってもうお別れってこと?」
「……はい。そろそろタイムリミットです。これ以上長くここに留まると肉体への負荷が許容範囲を超えてしまい、〈リザレクション〉をかけないと帰れなくなりますから」
「その……ごめんね?」
「いえ、元はと言えば全てを信じた私の責任です。門矢さんは天界でも自由人だと有名ですし、貴方が大人しく牢屋にいる時点で気づくべきでした……」
「あ、門矢士って有名なんだ」
「はい。あの人は消滅した魂が人々の記憶の力で復活した唯一の成功例ですし、その影響なのか天界の存在でもないのに勝手に仮面ライダーのいる世界以外の異世界のゲートを開けて通るので上も頭を悩ませています」
「その、知り合いがいっぱいごめんね? 俺はちゃんと女神様との約束守るから」
女神様をなだめていると、とうとうソウゴの視界がぼやけてくる。体も意識ももう、あるのかないのかわからないところまで薄れてしまっていた。名残惜しいような気がしなくもないが、彼女の言葉を信じるなら自分は晴れて自由の身になれるはずだ。牢屋を出たら教会にでも行って感謝しようと考えていると、消える寸前のソウゴにエリスが慌てて声をかける。
「言い忘れていたことがありました! 貴方の探し物はアクセルの街のとうぞ――
⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱
「とうぞってなに!?」
「うひゃぁぁあ!!?」
飛び起きたソウゴの目の前には、昨日半日見ていた女性の顔があった。檻越しでも驚いたのかズレた眼鏡を直す彼女は、ソウゴの間の抜けた「おはようございます」に対して不服そうな顔を返した。
「出なさい。釈放です」
曰く、今日の朝になってエリス教徒のプリーストたちが揃って同じ夢を見たと言ったそうだ。それは王都にいるプリーストもアクセルにいるプリーストも例外はなく、『女神エリスが夢に現れて、今留置されている魔王を名乗る青年を釈放せよと言う』という内容だったそう。この〈天啓〉を重く受け止めたベルゼルク王国はすぐさま通達を出し、今に至る。
一日ぶりに外の空気を吸い、大きく伸びをする。意外と外も中も変わらないなと思いながらも、一度は言ってみたかったことを声にした。
「シャバの空気だ〜〜〜!」
「いったいどんな手を使ったかは知りませんが、これからは無闇矢鱈に魔王を名乗るのは控えてください。あと、これを」
「なにこれ」
そう言ってセナからブレスレットを受け取る。見たところ何の変哲もない銀製のアクセサリーのようだが、ソウゴの手首にはかなり大きいように思える。説明を聞く前にとりあえず腕を通すと、ブレスレットは手首がきつくない程度に自動で縮んだ。魔法っぽさにソウゴが喜んでいると、何食わぬ顔のセナは話す。
「それは、このアクセルの街から離れるほどに貴方の手首を締め上げるマジックアイテムです。我々の許可無く街の外に出れば手首を締め付け、遠出をしようものなら容赦なく手首を切り落とすことでしょう」
「あの、そういう物騒なものを気軽に渡すのやめてくれない? もう嵌めちゃったんだけど。取れないし」
「説明する前に着けたのは貴方です。真意はさておき、魔王を名乗る者を野放しにはできませんし、〈天啓〉によって釈放されたとはいえ我々が貴方を魔王軍のスパイとして疑っていることをお忘れなく」
そう捨て台詞を吐いて、セナは踵を返し戻っていく。当分は魔王城へ乗り込むことができなくなり、なおかつ街の外にライドウォッチを探しに行くことも困難となった。ソウゴがその気になればこのブレスレット程度なら破壊できるだろうが、これ以上騒ぎを大きくしてせっかく頑張ってくれた女神様の顔に泥を塗るのも、苦労をかけるのも、どちらも忍びない。
これからどうしようか考えながら警察署の敷地を出ると、守衛のそばで塀を背にして寝むりこけている四人が視界に入った。ボロ布一枚を四人で仲良く分けてくっついているが、馬小屋の方がまだ暖が取れただろうに。とりあえずはダストに言われた通り、この世界でできた新しい仲間たちに感謝を伝えよう。この寒空の下、ソウゴが一番初めにやることは決まった。
拝啓、若き日の俺へ
新しい世界、新しい日常はいかがですか? 俺は新しくできた仲間たちと楽しくやっています。一年ほど前、ようするに今頃のあなただった俺は、まさか世界を作り直して異世界に行くとは思っていませんでした。こちらのご飯も美味しいですが、おじさんのご飯が一番だなと思います。ゲイツやツクヨミとは仲良くやっていますか? ウールやオーラは同学生、流石にスウォルツに学生服は無理があるので教師にしておきました。王位が関係なくなりツクヨミとは他人にしておいたので無害だと思います。たまにウォズの「祝え!」が恋しくなります。たまにでいいので代わりに祝ってもらってください。
追伸。なるべく神様のことを敬ってください。葛葉紘汰のことではありません。またお手紙書きます。
俺より