この素晴らしい魔王に祝福を!   作:春野 曙

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よんでませんよ、悪魔さん。1992
この魔王がいぬ間に裁判を!


「うひょーー!! これは素晴らしい出来栄えですねアクア!」

 

「そうでしょうそうでしょう。私の変形機神クリスタルカイザーは素晴らしいでしょう」

 

「名前がギリギリアウトなんだが、雪でここまで細かい造形ができるとはな……。ッ! おいアクア、ここの穴ってまさか……!」

 

「いいところに気づいたわねカズマ。そうよ。そこにこのサポートメカ、スペクトルヘキサゴンを合体させることで、合体超神セイントカイザーになるのよ!」

 

「「か、カッコイー!!」」

「って、その名前はマジでアウトじゃねぇか!」

 

「何をやってるんだお前たちは……」

 

 警察署前に作り出した雪像ではしゃぐ三人を横目に、スコップを雪に突き刺したダクネスはため息をつく。掻いても掻いてもなくならない雪を相手に気だるさは見えるが、疲れは見えない。そんな彼女にカズマはキラキラと少年のように輝かせた目を向けた。

 

「おいダクネスもこっち来いよ! 名前はともかくすごいぞこれ!」

 

「合体ですよダクネス! なんとかして持って帰りたいものです……!」

 

「持って帰るなんてダメよ。芸術とは、儚いからこそ美しいの。太陽に溶かされて無くなるところまでが作品よ」

 

「そんな……! これほどの作品を手放しても惜しくないと……!?」

 

「帰ったらめぐみんには、牛乳パックで変形合体デンドロメイデンを作ってあげるわ」

 

「ほあー! 新作ですか!!」

 

 真紅の目をルビーのようにキラキラと輝かせるめぐみんは、さながらクリスマスにサンタを信じる子どもそのものだった。雪でこれだけ見事なロボを完成させるのだから、期待値が上がるのは当然だろう。きっと自分ですら手放しで褒めるような物を作り上げるのだろうと思ったカズマは、非常に残念なものを見る目をアクアに向けた。

 

「お前もうアークプリースト廃業してその道で食っていけよ」

 

「何よ! 私がアークプリーストじゃなかったら、毎朝屋敷に充満してる変な悪魔の臭いを浄化できないのよ?」

 

「お前まさかサキュバスさんを浄化してないだろうな!? ソウゴの前に俺たち男性冒険者がお前を血祭りにあげるぞ!」

 

「してないわよ! サキュバスと他の悪魔の臭いの違いくらいわかるわよ! カズマにはもう絶対何も作ってあげないんだから!」

 

「上等だ! お前のよりすごいやつ作ってやる! めぐみん! どんなの作って欲しい!」

 

「カッコイイ魔獣がいいです!」

 

「よしよし、じゃあスノーマンだな。俺が黄金比というものを教えてやろう」

 

「ぷぷぷー。大口叩いて作るのは雪だるまなのね。ぷーくすくす! ダスネスは何作って欲しい? 熱心な信仰心だし、アクシズ教の女神の御神体かしら?」

 

「いや、それならエリス様の……じゃなくて。我々は雪像を作りに来たわけではないだろう」

 

「そうだったっけ?」

「そうでしたっけ?」

「そうだったかしら?」

 

「お前たちな……」

 

 三人の反応に思わず眉間を抑えた。奔放な連中を纏めるのがこんなにも苦労することなのかと理解を深めたダクネスは、少しだけ自分を抑える努力をしようと決意する。しかし、カズマたちとて当初の目的を本当に忘れたわけではない。

 

「でもなダクネス。冬でも元気な熊と死物狂いで戦って、帰って来たと思ったら今度は通りの雪搔きだぞ? ちょっとくらい遊んだってバチは当たらないよ」

 

「そうよ。本当は家に帰って暖炉の前でゴロゴロしたいのに働いてるなんて偉いわ、私」

 

「無報酬でここまで真面目に頑張っているんです。現に監視の人も我々を注意しないのですから、大目に見てくれているのでしょう」

 

「まあ、確かにそうだが……。休憩は程々にな?」

 

「「「はーい」」」

 

 母親のようなダクネスの叱り方に、カズマたちは雪遊びを中断して作業に戻るため散らばった。だが、もう降っていないとは言え、重みで固まった雪は疲労の残る肉体には酷だ。圧縮され氷となった純白にスコップを突き刺せど、持ち上げようとすればカズマの腕は悲鳴を上げる。

 

「こんなとき、火の魔法とかで溶かせればなぁ。〈ティンダー〉じゃ火力不足だし」

 

「爆裂魔法は一日一回ですからね。今日はもう撃てませんよ」

 

「どう考えても火力オーバーだろ。雪どころか街が溶けるわ」

 

「なら、私が水の魔法で溶かしてあげましょうか? 洪水クラスの水を召喚すれば、こんな雪なんてあっという間に流れていくわよ」

 

「だから雪じゃなくて街が流れるんだって。お前ら加減って言葉を知らないのか」

 

「カズマはもっと体を鍛えるといい。私がメニューを考えてやるぞ?」

 

「タフネスの考えたメニューとか辛そうだから嫌だ」

 

「だ、誰がタフネスだ!」

 

 過酷な肉体労働続きで集中力など保つはずもなく、ダラダラと話をしながら無理ない程度にのんびりと奉仕活動に勤しむ。金を貰ってるなら話は別だが、命の危険がない無償労働ならば必死になって雪を掘り返す意味もない。後はいつも通り、暗くなったら切り上げて酒場で今日の疲れを癒やすだけ。こんな生活を始めてまだ数日だが、もう随分と長い間やっているような気がカズマはしていた。

 

「そういや俺たち、なんでタダ働きしてるんだっけ?」

 

「忘れてしまったんですか、カズマ。私達はテロリストの容疑が掛けられているんですよ」

 

「そういやそうだったなぁ」

 

「そのために、デストロイヤーの爆発で冬眠から目覚めたモンスターを全部倒さなきゃいけないのよ」

 

「そうだったそうだった」

 

「まあ、今日私が絞め殺した一撃熊は冬眠するモンスターじゃないんだがな」

 

「ダクネスは騎士から格闘家にジョブチェンジするべきだよな。なんで熊と握力勝負してんだよ」

 

「いくら不器用とはいえ、剣よりも拳の方が勝機のあるクルセイダーなんて世界中探してもダクネスだけでしょうね」

 

「いいじゃない、個性的で」

 

「個性で済むかよ。ところでお前らさぁ、なんで俺たち雪掻きしてるの?」

 

 ザクッ、と四本のスコップが雪に刺さる。

 

「それは……街の役に立って悪人ではないとアピールするためでは?」

 

「冬眠から目覚めたモンスターを討伐して無実を証明するという話だったはずだがな」

 

「いつの間にか日暮れまでの掃除もセットになってたよな……」

 

「なんか服役してるみたいよね」

 

 刺したスコップを手放して、四人は現状の確認のため小声でも聞き取れる距離に集まる。命懸けで日々をこなしていたせいか、まともに思考する力が失われていたのだろう。錆びついた思考能力をゆっくりと動かしていく。口火を切ったのはカズマだった。

 

「……もしかして俺たちって、三億エリスを餌にタダ働きさせられてるだけなんじゃないか?」

 

「奇遇ですねカズマ。私もそう思います」

 

「だよな!? 通達からかれこれ四日、カエルを倒したと思ったら次はミミズ、コウモリ、挙句の果てには冬眠しない一撃熊! おかしいよな!?」

 

「思い返してみれば、日に日に指定されたモンスターも強くなっている。真綿で首を絞められているようなものだな。……私は、楽しかったが」

 

「こんな時くらい抑えろ変態」

 

「ボロボロになって帰ってきたら、労いの言葉もなく当然のように街の掃除させられるし! 今日だって雪搔き押し付けられるし! 何が奉仕活動よ! 女神を顎で使うなんて許されないわ!」

 

「しかし領主に報奨金を差し押さえられている以上、我々は大人しく従う以外どうすることもできないだろう」

 

「それだよ! なんで国から貰ったものを領主で一旦保留にさせられてるんだよ! そこもおかしくないか!?」

 

「確かに変ですよね。テロリスト容疑のインパクトが強過ぎてあのときは疑いもしませんでしたが、落ち着いて考えてみるとおかしな話です」

 

「我々全員、そうすることが当然のように受け入れていたからな……」

 

「ストライキよストライキ! 労働者にはストライキ権を行使する自由があるわ!」

 

「だが、迎えを無視すればここまでの努力が水の泡だぞ。それでは遠征しているソウゴにも悪い」

 

 ダクネスの意見に三人は押し黙った。

 あと三日ほどこの生活に耐えれば、約束通りの大金が手に入る。しかし、また授与を先延ばしにされる可能性も十分にある。だが従わなければテロリストの疑いは確定してしまい、五人まとめて首をはねられるかお尋ね者として追われる日々が始まるだろう。回避できるなら、夜逃げという選択肢は本当に首が回らなくなったときに残しておきたい。

 

「……領主に直談判するのよ。それしかないわ!」

 

 立ち上がったアクアが力強く拳を握りそう言った。

 カズマは悪くない案だと考える。このまま流されてタダで命を危険に晒すくらいなら、一度くらい言い分を聞いてもらってもバチは当たらないだろう。こちらは既に半分以上の日数を言われた通り働いているのだから、交渉だってできるはず。

 しかし、そんな反抗心にダクネスは水を差す。

 

「だが領主のアルダープは悪い噂が絶えない人物だ。 そう安々と話を聞いてくれるかどうか……」

 

「ですがこのままでは明日以降、更に強力なモンスターの討伐を命じられるでしょう。失敗すれば直談判よりもリスクが大きいのでは?」

 

「見張りの騎士が証言してくれたとしても、負けて帰ればテロリストだもんな。もしくはその場でモンスターのご飯になっちまう」

 

「そもそも、私達は何も悪いことしてないじゃない! ここまで大人しく言うこと聞いてたんだから文句を言う権利くらいあるわよ!」

 

「一理あるが……」

 

「よし、じゃあ決まりだな。俺たちはこれから、領主の屋敷に行く。話をつけてこんな生活とはおさらばだ!」

 

「「おー!」」

「お、おー……」

 

 どうにも歯切れの悪いダクネスを置いて、三人はズカズカと雪を踏み抜いていく。上手くいって自分たちだけ先に切り上げることができても、ソウゴなら「困ってる民は放っておけないよ」と言ってモンスター退治を続けることだろう。もしかしたらモンスターと仲良くなってモンスターが自治できる区域くらい作りかねない。

 兎にも角にも、まずは自分たちの安全から。この死と隣り合わせの毎日に終止符を打つため、大金を手に入れ仲間たちと面白おかしく生きていくため、カズマは領主の居場所を聞き出しに勇んで警察署の中へと向かって行った。

 

 

   ⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱

 

 

「ここが領主の屋敷ね」

 

「たまたまこちらの別荘に来ていたとは、運が良かったですね」

 

 季節柄、日もかなり傾いてきた時間にカズマたちが訪れたのは、アクセルの街から少しばかり離れた別邸だった。

 本邸で無いとはいえ、門の作りも中庭も豪華そのもの。それでいて庭が広すぎて屋敷自体が小さく見える。自分たちの屋敷とは比べ物にならない本物の豪邸を前に、カズマは言葉が出てこなかった。

 

「本当に行くのか? やめるなら今のうちだぞ?」

 

 ダクネスが不安げに問いかけてくる。いつもは性癖も合わせて勇猛果敢に切り込んでいく前衛がこうも怖気づいているのを見ると、カズマとて気持ちが揺らいでしまう。

 

「そ、そうだな。今日はもう遅いし、明日改めて「何を日和っているのです! せっかく来たのですから、ガツンと言ってやりましょう!」

 

「そうよそうよ! 何かここ嫌な臭いがするし、さっきから変な感じもするし、さっさと終わらせて帰りましょ。すみませーーーん!! 領主に話があってきたんですけどーーー!」

 

 だが、そんなカズマの意思を汲み取ってくれる人員はこのパーティーにはいない。

 物怖じしないというか、ただ精神が図太いだけのアークプリーストが門をガンガンと揺らし騒ぎ始める。カズマが動物園の猿を思い出したせいで止めに入るのが遅れると、めぐみんまでがベル代わりに門を揺らし始めた。

 

「早く出てきなさいよー! どうせ暇してるんでしょー!」

 

「大人しく出てきなさーい! さもなくば後悔することになりますよー!」

 

「おいお前ら! 俺たちがテロリストだと思われてるって忘れたのかよ!?」

 

「そんなに騒いだら警備兵が来るぞ! 話し合いどころでは……!」

 

「君たち、そこで何をしている」

 

 ダクネスが言い終わる前に、背後から声をかけられる。嫌な予感をひしひしと感じながらカズマがゆっくり振り返ると、そこには指をボキボキと鳴らす屈強なマッチョを従えた衛兵が立っていた。

 

 

   ⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱

 

 

「えっと。名前と職業は? ここに何しに来たんだ?」

 

「……名前はサトウカズマです。冒険者をしています。今日は、領主様から頂いた特別クエストへの抗議に参りました」

 

「ほーん。アクセルでは、チャイムの代わりに門を揺らすのが当たり前なのか?」

 

「……すみません。うちのパーティーメンバーが、本当にすみません」

 

 マッチョたちに丁寧に詰め所へと案内された四人は、それぞれ別室にて取調べを受けることとなった。ノートに話を書き留める中年の衛兵とテーブルセットを挟んで対峙するカズマは、反省の意を見せるべく徹底して伏し目がちに頭を下げていた。

 正直カズマとダクネスはとばっちりなのだが、こうしている間にもアクアとめぐみんの二人が馬鹿な真似をしていないかと気になって仕方がない。頼むから話をややこしくしないでくれよと、祈りながら衛兵の質問に答える。

 

「アポイントメントは取ってあるのか? 我々は何も聞いていないが」

 

「はい。アポ無しで来させていただきました」

 

「連絡もなしでこんな時間に門の前で騒いでいたのか? 冒険者って職業には常識がいらないのか?」

 

「いや本当に。本ッッッ当にすみません」

 

 悪態をつきたいのを我慢してテーブルに頭を擦り付ける。そもそもの発端は、これの雇い主が自分たちに要らぬ嫌疑をかけてきたことだ。しかし正論で殴られては返す拳も見つからない。騒いだのは自分ではなくアホの二人なのだとしても、下手に出る他カズマができることは何もなかった。

 

(アクアとめぐみんは後でぶん殴るとして、今は落ち着け。落ち着いて、ピンチをチャンスに変えるんだ……!)

 

「あの、できれば領主様に取次いでいただくことはできませんか? 急ぎのご相談がありまして……」

 

 可能な限りごまをする。転んだからといってタダで起き上がるようでは、この世知辛い世界は生きていけないのだ。なんとか次に繋ごうと愛想笑いを浮かべてみるも、返ってきたのは少し驚いたような表情だけだった。

 

「ここは来賓を迎えるための別邸だぞ? アルダープ様はここにはいらっしゃらないよ」

 

「え、いない? ここにいるって聞いたから、報奨金の件で話がしたいと思って来たんだけど……」

 

 何故か話が噛み合わない。いつもの監視役に聞き、地図までもらったのだ。間違ってはいないはずだが、それでも目の前の衛兵が嘘をついているようには思えない。

 まるで狐に化かされたような気分だが、衛兵はカズマの言葉にまたも驚いたように目を開く。

 

「報奨金……。ああ、お前らが魔王軍のスパイって言われてる冒険者どもか。えらい功績だって聞いてたから勇者候補様かと思ってたが、その貧相な顔じゃ違いそうだな」

 

(こいつもぶん殴りてぇぇ……!)

 

 机の下で握った拳を震わせる。犯罪者扱いされていなければ氷結魔法でこの部屋の温度を下げる嫌がらせをしてやりたかったが、今は我慢。怒りを表情に出さないようカズマがわなわなと震えていることなど知らない衛兵は、ノートに記録するのをやめてペンを置く。

 

「なんだ、てっきりアルダープ様に因縁をつけに来たチンピラ共かと思ってたが違うんだな。いやぁ、悪かった悪かった」

 

 そういうと、中年の衛兵は大口を開けてガハハと笑い始める。先程までとは打って変わったような朗らかさを見せる彼は、悪意のなさそうな笑みを浮かべた。

 

「最近は王都の方で賊が出るらしいし、俺たちもピリピリしてるんだ。領主様がいないときは尚更な」

 

「は、はぁ……」

 

「今日は何か壊したわけでもないし、上には報告せず見逃してやるよ。こんなことで捕まりたくないだろ?」

 

「はい。嫌です」

 

「これでも俺たち下っ端はお前らに同情してるんだ。もう迷惑なことはするなよ」

 

 雰囲気は柔らかくなったが、腑に落ちないことは多い。話の齟齬がとてつもなく大きな見落としを招いているような気がしてならないのだ。歯車が一つ抜けているようなもやもやを抱えたカズマは、とりあえず仲間たちと合流してこのもやもやをはっきりさせようと腰を浮かせた。

 

「でもまあ、お前らも大変だな。貰えもしない三億エリスのためにそこまで頑張るとは」

 

 その一言で、カズマはもう一度席につく。

 

「それって、どういう……?」

 

「……絶対に俺が言ったって言うんじゃないぞ?」

 

 念を押した衛兵は、身を乗り出して声量を落とす。釣られるように身を乗り出したカズマにだけ聞こえるように、小さな声でぼそぼそと囁いた。

 

「(ここだけの話、アルダープ様は俺達の間でもいい噂がない。デストロイヤーに踏み散らされた農民に手当てすら出さないような方だ。きっと今頃、三億エリスだってあの人の懐の中だろうさ)」

 

「いやいやいやいや。それはおかしいだろ! なんで国からの報奨金を領主が着服できるんだよ」

 

「そんなこと俺たちが知るか。あれだけ好き勝手やっても許されるんだから、懐刀の握り方でも知ってるのかね」

 

「懐刀?」

 

「ベルゼルグ王国の懐刀、ダスティネス家さ。あそこから何も言われてないんだから、神にでも愛されてるんじゃないかって話だ。っと、無駄話はこれくらいだ。ほら、帰った帰った」

 

 衛兵に追い払われたカズマは、釈然としないながらも詰め所を出る。神と言われて真っ先に思い浮かぶのは、いつぞや出会った女神エリス様。しかし、あの優しい女神そのものな美少女がそんな蛮行を許すわけがないだろうと首を振る。懐刀なんていう仰々しい名家っぽい貴族の名前まで出てきたのだ、正直言って自分たちの手には余る案件だろう。

 突っ込みたくない面倒事に片足を突っ込んだ気分のカズマは、大きく白い息を吐いた。

 

「なんか、めんどくさいことになりそうな予感がしてきなぁ」

 

 仲間を待つため、門前でぼうっと来た道を見つめる。直談判は空振りに終わり、妙な話を小耳に入れてしまった上に話が噛み合わない謎のおまけ付き。無駄に疲れた気がしなくもない。

 今は家に帰ろう。カズマはそう切り替えて、明日の無茶振りに思いを馳せる。とっぷりと暮れた帰り道は、自分たちのこれからを暗示するかのように真っ暗だった。

 

 

   ⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱

 

 

「サトウカズマだな? 我々と一緒に来てもらおう」

 

「へ?」

 

 翌日。いつものように監視の騎士二人を待っていたカズマたちが来訪者を出迎えると、そこには見知らぬ男たちが立っていた。

 先頭に立つのは、ゴールドのラインが走るピシッとしたネイビーのスーツを着た壮年の男性。赤いネクタイに厳しい眼差しが、カズマを睨みつける。この衣装が我らが王様と温泉旅行に向かった王国検察官と同じだと気づいたとき、カズマの目は一気に醒めた。

 

「警察の方とお見受けする。礼状はお持ちか?」

 

 ダクネスがカズマの前に立つ。一触即発のピリピリとした空気に、思わず冷や汗が流れた。そもそも何故自分一人だけの指名なのか、まずはそこを解き明かすところから始めなくては。小さな犯罪に心当たりのあるカズマは、おずおずと問いを口にした。

 

「あの、俺何かしました……?」

 

「貴様らは昨晩、アルダープ様の屋敷を訪問したな?」

 

「ええ、行きましたけど……」

 

「その際、『出てこなければ屋敷を爆破する』という内容で領主を脅したそうだな。貴様らを聴取した衛兵が提出した報告書にそう書いてあるぞ」

 

「はぁ!?」

 

 バッ、と一番の心当たりへ振り返る。疑われたと思ったのかめぐみんは慌ててバタバタと両手を振り否定した。

 

「私じゃありません! 昨日は大人しく謝って許してもらいました!」

 

「じゃあアクアか!? なんてことしてくれたんだ! 謝って! 早く謝って!」

 

「私でもないわよ! 私がアクシズ教ってわかったらすぐに追い出されたもの! むしろ謝ってほしいのはこっちなんですけど!」

 

「無罪を証明する期間中に起こしたこの蛮行、領主様は温情をかけたことを深く後悔されていた。よって、主犯である貴様を国家転覆罪並びに国家反逆罪で起訴する。来てもらおう」

 

「え、ちょ、離せ! 俺は何もしてない!」

 

 身に覚えのない罪状に呆気に取られたせいで反応が遅れてしまい、カズマは騎士達に両腕を掴まれる。昨日の衛兵は見逃してくれると言ったはずだが、全員の話が本当なら自分達はハメられたことになる。しかし、嘘をついて心象を上げようとするようなタイプにも見えなかった。そこで、昨晩の彼の言葉が脳裏を過る。

 

『アルダープ様は俺達の間でもいい噂がない』

『あれだけ好き勝手やっても許されるんだから、懐刀の握り方でも知ってるのかね』

 

(まさか領主の野郎、三億を手にするために罪をでっち上げたっていうのか!?)

 

 一番ありえる可能性を手繰り寄せているうちに、カズマは二人に抱えられ馬車へと引き摺られて行く。アレに乗せられれば最期、このまま断頭台までドナドナコースは明らかだ。せめてもの抵抗として暴れてみるが、筋力差なのか脇を固めた騎士たちは微動だにしない。

 

「ちょっと待ちなさいよ! そんな紙切れいくらでも書き足せるじゃない! 証拠にならないでしょ!」

 

「邪魔をするな。国家転覆罪は主犯以外にも適用される。お前たちもまとめて捕まりたいのか?」

 

「それはちょっと……」

 

「仲間を見捨てるくらいならば、ここでお前たちと戦う!」

 

「その通りです! こんな権力の横暴に屈する冒険者ではありません!」

 

 怖気づいたアクア以外の二人は、各々の得物に手をかける。この世界の裁判制度がどれほどのものかはわからないが、展開として一番まずいと感じたカズマは無意味な抵抗をやめて声を荒げる。

 

「やめろダクネス! めぐみん! お前らまで捕まったら誰が俺の無罪を証明するんだよ!」

 

「し、しかし……!」

 

「俺なら大丈夫だ。無実なのに犯罪者にされてたまるか」

 

「……必ず、我々が助けてみせる!」

 

「頼んだぞ、お前ら!」

 

 放り込まれた馬車の中から、カズマは三人に向けて笑みとサムズアップを送った。歯を食いしばる彼女たちの表情を最後に、馬は走り始める。断頭台への階段を一段登ってしまったことを理解したカズマは、ここからどう巻き返していくかの思考に没頭した。

 

 

 

 

 

 が、一晩考えたところで妙案など思いつくはずもない。

 昨日めぐみんに爆裂魔法を撃ってもらって他の国に亡命しておけばよかったと後悔したカズマは、立たされた証言台にて心の中で悪態をついた。

 

(昨日捕まったばっかりなのにもう裁判なんて、展開早すぎるだろ!)

 

 まともな聴取もなく、一晩留置場で凍えたと思ったら次の日には裁判所に引き摺り出されていた。カズマ本人としてもあまり考えたくはないが、状況証拠だけで極刑にまで持っていかれる可能性があることに身震いする。

 

「インフラ整備とか便利なマジックアイテムのせいで忘れてたけど、この世界の文明レベルって中世並みなんだよな……」

 

 公開処刑が庶民の娯楽だった世界観を想起し、カズマは天を仰いだ。

 元の世界の司法制度に明るくないカズマでも、今いる法廷がドラマなどで見ていた日本のものとそっくりなのはわかる。転生してきた日本人の影響だとすぐに理解した。強いて違う所を挙げるなら、自分の立つ証言台の前に置かれた奇妙な形をしたベルだけ。これが、ソウゴが取調室で見たという嘘を検知するマジックアイテムなのだろう。傍聴席ではアクセルの街の冒険者や貴族らしい人物達がざわついており、この裁判が曲がりなりにも注目されていることを察する。

 肩にのしかかったとてつもなく重い現実のせいで項垂れるカズマに、弁護人としてこの審議に参加するダクネスが神妙な面持ちで呟いた。

 

「カズマ。この裁判、妙だぞ」

 

「妙?」

 

「普通は留置してから裁判までに、起訴できるだけの証拠集めや言質を取るための聴取がある。だが今回は、まるで最初から起訴する準備が整っていたかのような手際の良さだ。何かあるぞ、気を引き締めろ」

 

 脅しにも近いダクネスの言葉に、カズマは唾を飲む。もしダクネスの読み通りなら、今の自分達は背水の陣と言っても過言ではないくらい追い詰められていることになる。

 しかし、そんな緊張感を跳ね除けるようにめぐみんはローブをなびかせた。

 

「安心してくださいカズマ。我が灰色の脳細胞を以ってすれば、涙目になるくらい論破することなど造作もありません」

 

「ねえ、朝から何か変な感じしない? 違和感がすごいんですけど」

 

「安心していいのか……?」

 

 居心地が悪いのか挙動不審なアクア、どこにそんな根拠があるのか勝利を確信するめぐみん、そしてこの裁判に違和感を持つダクネス。約ニ名不安が残るが、それでもこのアウェーでは頼もしい味方なのは間違いない。間違いないはずだ。

 

(めぐみんはいいとして、問題はアクアだ。頼むから何もやらかさないでくれよ……)

 

 カズマが首を傾げる女神に祈りを捧げていると、扉が開き原告側が現れる。自分を起訴した検察官の後ろから、見知らぬハゲがふてぶてしい態度で出廷し席に腰を下ろした。もじゃもじゃと長いヒゲを撫でるタコのようなその男が恐らく、自分たちの罪をでっち上げた人物。

 

「(なあ、ダクネス。あれが……?)」

 

「(ああ。領主のアレクセイ・バーネス・アルダープだ)」

 

「(めっちゃこっちガン見してますね。薄着のダクネスを見るカズマより気持ち悪いです)」

 

「(あんな目で見てねぇし!?)」

 

 領主の姿は初めて見るが、カズマの印象はニヤけた好色爺だった。主観抜きにしても見た目だけは美人揃いの弁護側へ向けられた、特にダクネスへの視線がねちっこく、舐め回すようなその目はとてもじゃないが健全なものとは思えない。

 一通り状況の整理がついた頃、裁判長は声を張り上げた。

 

「これより、被告人サトウカズマの裁判を執り行う。検察官は前へ」

 

「はい」

 

 検察官の読み上げる起訴状の内容は、カズマたちがセナから告げられていた内容と差異のないものだった。デストロイヤー破壊時の爆発によって冬眠から目覚めたモンスターたちを利用したテロ疑惑。その根幹となるのは、ソウゴという謎の冒険者の存在だ。冒険者カードの発行できない規格外が“魔王”を名乗ったという事実が尾を引いているのは明らかだった。そこで思う。

 

(……俺、関係なくない? 全部ソウゴのせいじゃない?)

 

「――更に、被告サトウカズマには街中で女性の下着を〈窃盗〉していたという目撃情報もあり、素行の良い人物とはとても思えません。これらの情報を整理し、『被告は魔王を名乗る人物を外部より招き入れ、モンスターによる街の制圧を目論んでいた』という結論に達しました。よって被告人に国家転覆罪並びに国家反逆罪の適用を求めます」

 

「では、被告と弁護人に発言の許可を与える。反対意見をどうぞ」

 

 読み上げられた内容が事実であれ、最後の結論は検察官の推論だ。ターンが回ってきたのだから、ここから心象を良くしてその推論を崩せば勝てる。中世の裁判など最終的には印象操作が物を言うのだ。

 しかし、そう考えていたカズマたちを見てアルダープは鼻で笑った。

 

「裁判長。そいつらの発言なぞに今更何の意味がある。さっさと極刑にしろ」

 

「いやしかし、まだ被告側の主張すら聴いておりません。事前に聞いた話では、起こしてしまったモンスターはもう既に討伐してあると……」

 

「そこの青髪の女はギャンブルで街金に借金をしている。紅魔族の娘は爆裂魔法で生態系や地形を変えている頭のおかしいアークウィザードだ。報奨金欲しさと爆裂魔法を撃ちたいがためにその男に加担したんだろう」

 

「頭のおかしいと言うのはやめてもらおうか! 定着したらどうする!」

 

「お前、街金に借金してんの?」

 

「だって、カズマさんがくれるお小遣いだけじゃ勝てなかったんだもん!」

 

「開き直るんじゃねぇよ! 借金するくらいギャンブルにハマってるやつが偉そうにすんな!」

 

「これで疑う余地など無くなっただろう。おまけにこいつは猶予をやったにも関わらず、屋敷にやって来てワシを脅してきたのだぞ。この耳でハッキリと貴様の暴言を聴いたわ」

 

「待ってくれよ! 昨日のおっちゃんは、騒いだだけだから見逃してくれるって! そもそもお前いなかっただろ屋敷に!」

 

「諦めの悪い冒険者だな。お前が死刑になることは既に決まっているんだ。無駄な時間をかけるな」

 

「はぁ!? それどういう……!」

 

 ダンッダンッ! とガベルがカズマの言葉を遮る。

 

「静粛に! 許可した発言は反対意見のみです。全員、勝手な発言は慎むように!」

 

 裁判長の一喝で法廷は静まり返る。割り込んでしまったとはいえ、今のやり取りならアルダープの心象の方が悪くなったはずだ。十分巻き返せると踏んだカズマだが、その読みは大きく外れることとなる。ヒゲを撫でるアルダープは、心底面倒臭そうに頬杖をついた。

 

「裁判長、今のでわかったな? こいつは何一つ反省していない。死刑にしろ」

 

「ですからまだ主張を……」

 

「……もう一度言うぞ。()()()()()

 

 アルダープの言葉が、この場にいる全ての人間の頭に響いた。さもそれが世界にとって当然であるかのような錯覚が脳を混乱させる。認めたくはない、納得もしていない、しかし脳が抗えない。カズマたちが抗議の声すら出せずにいると、裁判長はどこか虚ろな目でアルダープに答えた。

 

「…………そうですね。確かに領主殿の仰る通り、被告には死刑が妥当ですな」

 

「待ちなさいよ! 死刑なんておかしいでしょ!」

 

 しかし、たった一人だけは違った。まるで親の仇でも見るような目で、憎らし気に顔を歪めるアルダープに牙を剥くアクア。この場で発せられた唯一の異議が、カズマたちを縛っていた『当然という思い込み』を跳ね除ける。

 

「今あんた、変な力使ったわね!? 女神の私を誤魔化そうったってそうはいかないわよ!」

 

「ど、どこにそんな証拠がある!」

 

「女神が不自然な力の流れを感知できないわけないでしょ!」

 

「お前にそんなソウゴの下位互換みたいな能力があったのか……!?」

 

「バカですか! 今はそんなことに驚いている場合じゃないでしょう! 早く止めないと!」

 

「待ってくれ裁判長! 貴方は今、とんでもない判決を出そうとしているのだぞ!?」

 

「さっさと判決を下だせ、裁判長!」

 

 カズマたちがいくら騒ごうと、虚ろな目の裁判長が喝を入れることはない。ガベルを振り下ろした裁判長は、まるで答えに導かれるように口を開いた。

 

「…………被告人、サトウカズマを――」

 

 終わった。抗議の声を上げる三人に囲まれたカズマがそう覚悟して目を閉じたとき、傍聴席の扉が大きな音を立てて勢いよく開かれた。張り詰めた空気を打ち破るように現れた二人が、この場の全ての視線を集める。

 

「異議あり、だよ」

 

 カズマたちは、聞き覚えのある声に振り返る。たった数日会っていなかっただけだが、密度の濃い時間を過ごしていたせいかとても懐かしく感じる顔。お土産なのか風呂敷を担いだ彼の姿に、カズマは安堵の涙を浮かべた。

 

「ソウゴ……!」

 

「ただいま、みんな」

 

 衆人の目を物ともせずゆっくりと傍聴席を歩き、柵を飛び越えカズマたちの隣に立ったパーティーメンバー最後の一人は、いつもとは違う怒気を孕んだ笑みを浮かべていた。

 

「アルダープ、だっけ? 裁判で()()はダメじゃない?」

 

「ど、どうして貴様が……!」

 

「どうしてって、終わったからだよ。ね、セナ」

 

 そう言って後ろに視線を送る。そこには、眼鏡をかけ直し厳しい視線を送るセナが立っていた。

 

「アルダープ様、これはどういうことでしょうか。サトウカズマ一行の件は私に一任してもらっていたはずですが?」

 

 セナの視線に、検察官は驚いた様子でアルダープへと振り返る。まるで初耳だったかのような驚きようと視線を受け忌々しげに表情を歪めたアルダープは、机を叩いて威嚇するように立ち上がった。

 

「裁判をめちゃくちゃにしよって! ワシに恥をかかせる気か!?」

 

「ふーん。じゃあ、領主は王様に恥をかかせてもいいんだ。この国の王様が実績を認めて報奨金を出したんだよ。それを死刑にするって、そういうことでしょ?」

 

 ドスの利いたソウゴの声に言葉を詰まらせたアルダープは、机の上でギリギリと拳を握る。悔しそうに歯を食いしばり青筋を立て、今にも爆発しそうな怒りの表情に顔は塗り替えられる。その姿に冷たい視線を送るソウゴへ、アルダープは吐き捨てるように声を漏らした。

 

「トキワソウゴとか言ったな……! 貴様の名前、覚えておくぞ……!」

 

「別にいいけど。俺、あんたのことちょっと嫌いかも」

 

「奇遇じゃな、ワシも貴様のことは嫌いだ!」

 

 椅子を蹴り飛ばしたアルダープは、当たり散らすように法廷を後にする。あまりの出来事に静まり返った室内で、ソウゴは裁判長へと向き合った。

 

「ねぇ裁判長。俺たちの罪を、教えて?」

 

 

   ⏱こ⏲の⏱す⏲ば⏱

 

 

「おいシロ! シロはどこに行った!」

 

 自分の屋敷に戻るなり、アルダープは機嫌が悪そうに怒鳴り散らした。無意味な怒りを買いたくない使用人たちがご機嫌取りをすることなく離れていく中で、シロと呼ばれた者だけが彼の背後に立ち歩幅を合わせる。芸術家のような白のコートに白のベレー帽、そしてどこか嘘くさい笑みを浮かべ手に薄い本のようなものを持つ彼は、何一つ悪びれる様子はなく芝居がかった動きで頭を垂れて見せた。

 

「ここに、領主殿」

 

「あのバケモノはあと二日は帰ってこないはずだっただろ! 貴様の進言通り裁判の日程も早めたのに死刑判決すら覆った! どうなっているんだ!」

 

「申し訳ない、領主殿。魔王はどうやら、私の未来ノートの攻略法を熟知しているようだ」

 

「そんなことはどうだっていい! さっさとララティーナの周りにいるあの男どもを始末するのだ! その本に書き込んでさっさと殺せ!」

 

「それはできない。この未来ノートは起こりうる可能性の未来しか導けないんだ。そのために、わざわざマクスウェルとも契約しているんだろう?」

 

「そのマクスの能力も、駆け出し冒険者のアークプリーストにすら効かなかった! あの神器は無能しか引き当てれんようだな! 冒険者一人死刑にできんグズ共が!」

 

 怒りを吐き散らしたアルダープは、自室に入るやいなや大きな音を立ててに扉を閉める。外に取り残されたシロは一人、困ったように大げさに肩を竦めてみせた。誰に対するアピールでもないが、ため息をついて廊下の窓から空を眺める。

 

「気づいているだろう、魔王。元の世界では我が救世主のためとはいえ散々手伝ってやったんだ。できれば早く、私を自由の身にしてほしいものだね」

 

 首輪を撫でるシロはノートに自分の希望を書き込まない。その未来が、まだ導けるほど近い未来ではないと知っているから。




監視対象に関する報告書 一日目



ドリスに到着後、拠点確保のため予約していた宿へ向かう。しかし、部下の手違いで一部屋しか予約できていなかったようだ。こちら側のミスなので一週間相部屋でも仕方ない。仕方がないことなのだ。説明すると監視対象も理解を示してくれた。
荷物を置き、早速討伐へ向かう。確かに森の中にはモンスターが多かったが、監視対象は問題なく討伐していく。帰宿すると宿の風呂に行こうとしたので、出発前に上長よりに渡された書類を思い出し読み返す。それに従い、初日の労いも兼ねて外の温泉へ向かうことを提案した。親睦を深めるために混浴を勧めたが断られた。何かやましいことがあるのかもしれない。上長からもチャンスだと念を押されている。失敗は許されない。引き続き監視の目を強めることとする。
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