The end of the journey 〜最果ての旅〜 作:カズめぐ
3号機起動実験の翌日。
私は加持さんのとこに来ていた。
「加持さん?お話しってなーに?」
私は加持さんに聞く。
「まあ、まず世間話でもしようか。そこに座ってくれ。」
私は加持さんに指さされた場所に座った。
「最近、調子はどうだい、アスカ?」
「別に普通ですよー。」
「そうか。まあ、普通が1番だ。」
「もー、加持さんたら変ですねー。あっ、もしかして、私に告白しよう思ってて緊張してますー??」
「はははっ。今の君からそんな言葉を聞いて驚きだよ。」
「どういう意味ですか??」
「今の君は俺なんか眼中にないって感じだからね。」
「そっ、そんなことないですよー。加持さんが私の相手してくれないだけじゃないですかー。」
「大人の観察眼を舐めちゃダメだよ。たしかに、こないだまでは俺に対して憧れから来る好意的な視線を送ってくれていたよ。でも、とある日からその熱い眼差しは別の人に向けられるようになった。」
「…。なんの話かわかりません…。」
「別に隠さなくていいんだ。何も悪いことじゃないからね。俺は嬉しいんだ。あのアスカが純粋に女の子としての楽しみをできているというのがね。」
「純粋なものじゃありません。私は…、歪です…。」
「…。そうだな。正直言って、純粋な好意の眼差しではない。何があったのかは聞かないよ。野暮だからね。」
「…。」
「でもな、アスカ。気持ちってのは言葉にしないと分からないんだよ。相手に伝わらない。」
「いいんです。伝わらなくて。」
「後悔するぞ。失ってからじゃ遅いんだからな。少しは素直に行動してみるといいぞ。」
「頑張ってみます…。」
「まあ、真面目な話はここら辺にしとくか。」
その後、私と加持さんは世間話を少ししてから別れた。
……
加持さんとお話ししてから2日後。
私は再び、加持さんのところに来ていた。
「加持さん。」
私はニコニコしながら加持さんを呼ぶ。
「ア、アスカ…。目が笑ってないぞ…。」
「そんなことないですよ。それとも、何かやましいことでもあるんですかー?」
「すまない、アスカ。出来心だったんだ…。」
なぜか、浮気した男を追い詰めている構図になってしまったが、私は気にせず加持さんの話を聞いた。
「まあ、それだけだよ。」
私は昨日加持さんがシンジに何を言ったのかを洗いざらい聞き出した。
「もう余計なことは話さないでくださいね。」
私はまた笑顔で言う。
「悪かった…。ちょっとした、お節介のつもりだったんだよ…。」
「あんまり、お節介ばかりしてると殺されちゃいますよ。」
「ははは…。肝に銘じておくよ…。」
「そうしてください。」
「でっ、実際はどんな感じなんだ。」
「何もないですよ。私、そういう感じじゃないので。」
「そっ、そうなのか…。」
実際そうである。
今の私の心は過半数がシンジへの憎しみで構成されている。
残りのものにまだ名前をつける気はない。
それは最後でいいのだ。
でないと…。
「そんな顔をするなら、素直になればいいんじゃないか?」
私は私がどういう顔をしていたかわからない。
しかし、今の発言的に寂しそうな顔でもしていたのだと察することができる。
「もう、茶化すのはやめてください!ほんとに何にもないですから。」
「そうか。でも、こないだ俺が言ったことは忘れるなよ。」
「そっくりそのまま加持さんにも返します。」
「あらら、二人揃って同じことを言うんだな…。」
「では、これで失礼しますね。」
「あぁ、気をつけて帰れよ。」
私は帰路につき、思考を巡らせる。
加持さんが言った言葉。
『失ってから大切なものに気付く。』
実際、加持さんは失ってから気付いたので、あのようなことを言えるのだろう。
シンジにしても同じだ。
シンジも一回全てを失っている。
対して、私はどうだろうか。
私は全てを失った時、シンジみたいにまた前を向けるだろうか。
分からない。
でも、分からなくていいのだ。
もう、失うことなんてない。
私の復讐が終わるまで絶対に離さない。
私はそう心に誓ったのであった。
次回は3月25日0時に投稿します。