The end of the journey 〜最果ての旅〜   作:カズめぐ

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第十一話

6月6日の朝。

僕はいつものように起きると、隣でアスカが眠っていた。

いつ忍び込んできたのかはわからない。

そもそも、ここ最近、毎日忍び込んでくる。

しかし、理由は本人の口から語られることは一切なかった。

 

「アスカ。起きて。ここは僕の部屋だよ。」

 

僕は毎度お馴染みの言葉でアスカを起こす。

 

「もう朝なの?」

 

「朝だから起きて。学校遅刻しちゃうよ。」

 

「シンジ。今日は学校休みなさい。」

 

「えっ?なんでさ?」

 

「出かけるわよ。」

 

「どこに??」

 

「いいから、黙って着いてきなさいよ。」

 

「さすがに、学校は休めないよ。」

 

「最低だ…。俺って…。」

 

「わかりました…。」

 

こうして、僕は学校をサボる羽目になってしまった。

 

「シンジまだー?」

 

アスカが僕の部屋の前で急かしてくる。

 

「もういけるよ。」

 

僕はそういうと、ドアを開けた。

するとそこには、こないだ僕が買った服を着ているアスカがいた。

 

「その服…。」

 

「なによ?文句あるの?」

 

「いや…。やっぱり似合ってるなって。」

 

「はぁ?アンタ何言ってんの?当たり前のこと言うんじゃないわよ。」

 

「ご、ごめん…。」

 

「ふんっ。いいから行くわよ。」

 

「わかったよ…。」

 

僕たちは家を出た。

 

「で、どこ行くの?」

 

僕はアスカに尋ねる。

 

「海よ。」

 

「海!?なんで急に…。」

 

「いいから着いてきなさい。」

 

僕はアスカにそう言われ、渋々電車に乗り、海に来た。

 

「海だね。」

 

「そうね。」

 

「ちゃんと青いや。」

 

「赤い方が良かったかしら?」

 

「青い方がいいよ。」

 

「そっ。」

 

僕たちは砂浜に座り他愛もない話をしている。

正直何をしているんだろうって感じだ。

 

「アスカ、今日はなんで突然?」

 

「アンタ、今日誕生日でしょ。おめでとう。」

 

「えっ?」

 

僕はアスカから驚きの言葉を聞き固まる。

 

「迷惑だったかしら。」

 

「いや、全然。むしろ嬉しいよ。覚えていてくれたんだね。」

 

「当たり前じゃない。私はエリートよ。」

 

「そっか。こうして、ちゃんと誕生日祝ってもらうの初めてかもしれないな。」

 

「アンタ人望薄いものね。」

 

「ひどいや…。」

 

貶されているものの、僕はあまり悪い気がしなかった。

今はアスカに誕生日を祝ってもらえたことの嬉しさが勝っている。

 

「これ、あげるわ。」

 

そう言うと、アスカは小さな小包を僕に渡してきた。

 

「これは?」

 

「プレゼントよ。」

 

「僕に?」

 

「アンタ以外に誰がいんのよ。」

 

「アスカが?」

 

「アンタ。殴られたいの?」

 

「ご、ごめん…。意外すぎて…。」

 

「ふんっ。ありがたく受け取りなさい。」

 

「うん。ありがとう。何が入ってるの?」

 

「DSSチョーカーよ。」

 

「…。アスカ、冗談でもそれは…。」

 

「揶揄いたくなっただけよ。中身は家に帰ってから確かめなさい。」

 

「わかったよ。」

 

どうやら、アスカは目の前で開けてほしくないらしい。

だから、僕は家まで楽しみに待つことにした。

 

「ところで、なんで海に来たの?」

 

「見たくなったのよ。青い海が。」

 

「そうなんだ…。」

 

「赤い海ばっかりだったから。」

 

「たしかにそうだね…。」

 

「そろそろ行きましょうか。」

 

「どこに?」

 

「家よ。」

 

「帰るってこと?」

 

「そうよ?」

 

「せっかく海に来たのに?」

 

「もう充分見たじゃない。」

 

「分かったよ…。」

 

こうして僕らは家に帰った。

僕は家に着くと、部屋に入り、アスカからもらったプレゼントを早速開封した。

すると中には、リング?指輪?みたいなものが入っている。

そして、そのリングの内側には何やら文字が彫られているみたいだ。

僕はそれを見る。

そこには、こう文字が綴られていた。

『I will never forgive you. But if you want, I give you all of me.』

何かの格言だろうか?

直訳すると、『私はあなたを決して許さない。しかし、あなたが望むなら、私は私の全てをあなたにあげます。』になる。

どういう意味だろう。

許せないけど、僕がお願いしたら協力してくれるということだろうか。

それとも、直訳通りの意味なのだろうか…。

アスカがそんなことを…?

わからない…。

今度、加持さんに聞いてみよう…。

こうして、僕の嬉しくもあり、謎にも包まれた誕生日は終わりを迎えたのであった。

 

 

 

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