The end of the journey 〜最果ての旅〜   作:カズめぐ

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第十七話

管制室にて。

 

「セントラルドグマ内に高エネルギー反応あり!パターン青!使徒です!」

 

「使徒!?一体どうやって!?モニター回せないの?」

 

「ダメです!モニター反応ありません!」

 

「くっ、埒があかないわね。」

 

「初号機及び、パイロットをセントラルドグマに向かわせろ。」

 

「しかし、状況がなにもわからないまま向かわせるのは危険すぎます!」

 

「構わん。行かせろ。」

 

「わかりました…。」

 

……

初号機内部にて。

 

セントラルドグマ内に使徒…。

まさか、カヲル君が…。

僕はセントラルドグマに降りながら、いろいろなことを考える。

もしかしたら、カヲル君じゃないかもしれない。

きっとそうだ。

しかし、現実は残酷だ。

やはり、目の前にいるのはカヲル君である。

 

「カヲル君どうしてだよ…。」

 

「その答えは君自身得ているはずだよ。シンジ君。」

 

「でも、カヲル君は僕の味方なんじゃ…。」

 

「そうだよ。シンジ君。でも、僕は使徒なんだよ。リリンと共存はできない。どちらかが滅びる運命なのだ。」

 

そう言いながら、カヲル君は後ろを向き、巨人を見る。

 

「やはり、ここにあるのはリリスだね。いったい、アダムはどこにあるのかな。」

 

「カヲル君。僕は君と戦わなきゃならないの?」

 

「戦わなくてはいい。僕を殺してくれさえすればね。」

 

「そんなこと出来ないよ!!カヲル君は僕にとって大切な友達なんだ!」

 

「ありがとう、シンジ君。でも、君には僕を殺さなきゃいけない理由がある。」

 

「そんなのないよ…。」

 

「あるさ。一つ目は僕が使徒であること。二つ目はまだ君がS2機関を取り込んでいないことさ。」

 

「なっ…。もしかして…。」

 

「そうだよ、シンジ君。僕を初号機に取り込みたまえ。」

 

僕はカヲル君の言葉を聞き、絶句した。

今までの違和感はこれだったのだ。

使徒がいないのにS2機関を取り込む。

それはつまり、使徒であるカヲル君を取り込むことでしか、S2機関を取り込めないのである。

もう少し、早く気付いていれば結末は違ったかもしれない。

しかし、今はカヲル君を取り込むことでしかS2機関手に入れることはできない。

 

「カヲル君は初めからこのつもりで…。」

 

「僕に任せてと言ったからね。」

 

「こんなのって…。」

 

「シンジ君。君は僕を取り込むしかないんだよ。」

 

「そんなことできるわけないだろ!?」

 

「出来るできないの話じゃないんだよ。やるしかないんだ。」

 

「嫌だ!」

 

「シンジ君。君の目的はなんだい?こんなとこで立ち止まってていいのかい?」

 

「くっ…。でも、君を…。僕は君にも幸せになって欲しいんだ…。」

 

「大丈夫だよ、シンジ君。君の幸せが僕の幸せだからね。だから、頼むよ。」

 

「君がいない世界なんて嫌だよ!もう、誰も失いたくないんだ…。」

 

「シンジ君。物事には優先順位が存在するんだよ。君はなぜ円環を繰り返す?それは紛れもなく彼女ためだろう?」

 

「確かにアスカを救うためだ…。でも…。」

 

正直、これ以外に方法がないということを僕は頭では理解している。

S2機関を取り込まないで、量産型に勝てるとは思えない。

しかし、カヲル君を自らの手で再び殺すなんていうことは絶対にしたくない。

 

「シンジ君。君たちの望む未来に僕はいられないんだ。だから、少しでも僕を役立てておくれ。」

 

カヲル君は真剣な眼差しでこちらを見てくる。

僕は…。

覚悟を決めなきゃいけない。

僕たちの未来のために。

 

「カヲル君、ごめん…。」

 

僕はそう言い、カヲル君を掴んだ。

 

「謝らなくていいんだよ、シンジ君。これは、僕自身の償いだからね。」

 

「ありがとう、カヲル君。そして、さようなら…。」

 

グシャッ…

肉体が潰れる音が響き渡る。

僕はカヲル君を捕食した。

守りたかった人を自らの手で壊した。

僕はこの事を、ずっと一人で背負い込む事を決めたのであった。

誰にも話さない。

僕とカヲル君だけのお話…。

 

……

管制室にて。

 

「目標のエネルギー反応消失。カメラ元に戻りました。」

 

「消失!?モニター回して!」

 

モニターには呆然と立ち尽くす、初号機の姿があった。

 

「シンジ君!?一体、何があったの!?」

 

「…。使徒がいたので、殲滅しました…。」

 

「えっ、倒したの!?」

 

「はい…。今から、そっちに戻ります…。」

 

「わかったわ。」

 

「碇。あれは…。」

 

「あぁ、S2機関を取り込んでいる。多少のずれは存在したが、結果的には我々のシナリオ通りだ。」

 

「まさか、あの少年を取り込んだというのか。委員会が黙ってないぞ。」

 

「構わん。もはや、委員会の存在は不要。来るべき日のために準備を進めればいいだけだ。」

 

「量産型はもう完成してるんだぞ。」

 

「それも計画通りだ。」

 

そこには、一人で不敵な笑みを浮かべている男の姿があった。

 

……

更衣室にて。

 

「シンジ君。何があったのか説明してちょうだい。」

 

「使徒と接敵して、死に物狂いで戦ってました…。」

 

「どんな使徒だったの。」

 

「いつものような感じです…。」

 

「そう。わかったわ。今日はもう帰っていいわよ。お疲れ様。」

 

そう言うと、ミサトさんは更衣室からでていった。

一人取り残された僕は帰りの支度をさっさと済ませ、帰路についた。

 

……

自宅にて。

僕は無言で玄関を通り、自分の部屋に入る。

そして、先程のことを思い出す。

カヲル君をまた死なせてしまった。

カヲル君の事を考えるだけで、自然と涙がこぼれ落ちる。

咽び泣く声が聞こえたのか、アスカが部屋に入ってきた。

 

「あんた、泣いてんの?」

 

「アスカ…。今日はほっといてくれないかな…。」

 

僕は枕に顔を押し当て、アスカの方を見ずに言う。

 

「嫌よ。あんたのケアはあいつから頼まれてんだから。」

 

「えっ…。カヲル君がどうして…?」

 

「こうなることを予想してたんでしょうね。」

 

「カヲル君…。というか、なんでアスカは今日のこと知ってるんだ??」

 

「少し考えれば、わかるわよ。もう、あいつしか使徒はいなかったのよ。」

 

「わかってたなら、どうしてもっと早く教えてくれなかったんだよ!?」

 

僕は興奮して、大声で怒鳴るようにしてしまった。

しかし、そんな僕にアスカは動じずに答える。

 

「知って、何ができたわけ。」

 

「他に方法があったかもしれないじゃないか!?」

 

「ないわよ。そんなのあんたでもわかってんでしょ。」

 

「…。」

 

確かにそうだ。

第14使徒を捕食できなかった時点で、こうなることは目に見えていたのかもしれない。

カヲル君がなんとかすると言っていたので、僕は深く考えていなかった。

思えば、あの時からこの結末は決まっていたのだろう。

 

「でも、カヲル君が…。」

 

僕の額に再び涙がつたう。

 

「今日は泣けるだけ泣きなさい。その代わり、明日からはあいつのためにもしっかりしなさいよ。」

 

僕は返事をせず、ひたすら啜り泣いた。

アスカの言う通り、今日だけは…。

でも、明日からはカヲル君のためにも僕は前を向かなければならない。

彼の死を無意味なものにはしてはいけない。

僕はそう心に決めるのであった。

 

 

 

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