The end of the journey 〜最果ての旅〜   作:カズめぐ

24 / 29
Another Side 6

とある日。

私の携帯に非通知の着信が入った。

こんな時にかけてくるのは十中八九あいつだろう。

そう思いながら、私は携帯を手に取った。

 

「もしもし。」

 

『やあ。僕だよ。少し、時間いいかな。』

 

「無理って言っても無駄なんでしょ?」

 

『まあ、そうだね。君は僕に借りがあるからね。』

 

「はいはい。で、なんの用?」

 

『明日、僕は初号機に取り込まれるよ。』

 

「そっ、ご自由にどうぞ。」

 

『相変わらず冷たいな、君は。』

 

「あんたに優しくするなんて死んでも嫌よ。」

 

『ははは。僕はとことん嫌われてるらしいね。』

 

「早く要件を言いなさいよ。」

 

『シンジ君のケアをしてあげて欲しい。それが出来るのは君しかいない。』

 

「まあそうね。それは、私にしかできないわね。でも、あいつが傷つく事を分かった上でやるんだから、あんたも本当に性格悪いわね。」

 

『仕方ないのさ。確かに、シンジ君の心に傷をつけるかもしれない。でも、シンジ君が望む未来に僕はいらないのさ。だから、必要な犠牲だよ。』

 

「まあ、そうね。あんたの言ってることは的を得てるわね。」

 

『ふふふ。君に肯定されるとは珍しいね。』

 

「はぁ?私だって正しいと思ったことは肯定するわよ。」

 

『確かに、そうだね。失礼したよ。』

 

「ふん。要はこれで済んだ?切りたいんだけど。」

 

『あぁ。済んだとも。あとは君に任せたよ。シンジ君を導いてあげて欲しい。』

 

「言われなくても大丈夫よ。ほら、さっさと切りなさい。」

 

『ふふふ。さようなら。セカンドチルドレン。』

 

そう言うと、あいつは電話を切った。

これでもう、あいつの姿を見ることも声を聞くこともないだろう。

寂しいとかそういう感情は一切浮かんでこない。

まあ、当然だろう。

そこまで関わりがない。

しかし、私は私がやらなきゃいけないことの重さを改めて認識する。

今の私に本当にやり遂げられるのだろうか。

私は幸せを知り過ぎた。

この幸せを手放したくないという気持ちがある。

でも、やるしかないのだ。

あいつと私の未来のために…。

 

……

自宅にて。

シンジの部屋から啜り泣く声が聞こえる。

どうやら、終わったらしい。

あいつがシンジのために死んだ。

でも、シンジからしてみたら大切な人を自らの手で殺したのだ。

傷ついて当たり前だ。

まあ、避けては通れなかった道なのだ。

私はあいつからの最後のお願いを聞くとしよう。

しかし、なんて声をかければいいのかわからず、ドアに手を掛けれない。

優しく声をかけ、慰めることもできる。

でも、それは逆効果な気がする。

きっと、シンジにとって今優しくされることは苦痛でしかないだろう。

なら、私は私らしく振る舞おう。

惣流・アスカ・ラングレーらしく。

そう、覚悟を決め、私はシンジの部屋のドアに手を掛けた。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。