The end of the journey 〜最果ての旅〜 作:カズめぐ
とある日。
私の携帯に非通知の着信が入った。
こんな時にかけてくるのは十中八九あいつだろう。
そう思いながら、私は携帯を手に取った。
「もしもし。」
『やあ。僕だよ。少し、時間いいかな。』
「無理って言っても無駄なんでしょ?」
『まあ、そうだね。君は僕に借りがあるからね。』
「はいはい。で、なんの用?」
『明日、僕は初号機に取り込まれるよ。』
「そっ、ご自由にどうぞ。」
『相変わらず冷たいな、君は。』
「あんたに優しくするなんて死んでも嫌よ。」
『ははは。僕はとことん嫌われてるらしいね。』
「早く要件を言いなさいよ。」
『シンジ君のケアをしてあげて欲しい。それが出来るのは君しかいない。』
「まあそうね。それは、私にしかできないわね。でも、あいつが傷つく事を分かった上でやるんだから、あんたも本当に性格悪いわね。」
『仕方ないのさ。確かに、シンジ君の心に傷をつけるかもしれない。でも、シンジ君が望む未来に僕はいらないのさ。だから、必要な犠牲だよ。』
「まあ、そうね。あんたの言ってることは的を得てるわね。」
『ふふふ。君に肯定されるとは珍しいね。』
「はぁ?私だって正しいと思ったことは肯定するわよ。」
『確かに、そうだね。失礼したよ。』
「ふん。要はこれで済んだ?切りたいんだけど。」
『あぁ。済んだとも。あとは君に任せたよ。シンジ君を導いてあげて欲しい。』
「言われなくても大丈夫よ。ほら、さっさと切りなさい。」
『ふふふ。さようなら。セカンドチルドレン。』
そう言うと、あいつは電話を切った。
これでもう、あいつの姿を見ることも声を聞くこともないだろう。
寂しいとかそういう感情は一切浮かんでこない。
まあ、当然だろう。
そこまで関わりがない。
しかし、私は私がやらなきゃいけないことの重さを改めて認識する。
今の私に本当にやり遂げられるのだろうか。
私は幸せを知り過ぎた。
この幸せを手放したくないという気持ちがある。
でも、やるしかないのだ。
あいつと私の未来のために…。
……
自宅にて。
シンジの部屋から啜り泣く声が聞こえる。
どうやら、終わったらしい。
あいつがシンジのために死んだ。
でも、シンジからしてみたら大切な人を自らの手で殺したのだ。
傷ついて当たり前だ。
まあ、避けては通れなかった道なのだ。
私はあいつからの最後のお願いを聞くとしよう。
しかし、なんて声をかければいいのかわからず、ドアに手を掛けれない。
優しく声をかけ、慰めることもできる。
でも、それは逆効果な気がする。
きっと、シンジにとって今優しくされることは苦痛でしかないだろう。
なら、私は私らしく振る舞おう。
惣流・アスカ・ラングレーらしく。
そう、覚悟を決め、私はシンジの部屋のドアに手を掛けた。