The end of the journey 〜最果ての旅〜 作:カズめぐ
全てが終わる日まであと数日。
僕は自分にできる事をするために動いていた。
「お久しぶりです。加持さん。」
「おや、久しぶりだね、シンジ君。ちょっとやつれたかい?」
「まあ、色々あったので…。」
「そうか。まあ聞かないでおこう。で、なんのようだい?」
加持さんはいつもの軽い調子で聞いてくる。
それとは、対照的に僕は真面目な顔で答えた。
「加持さんを解放しにきました。」
「えっ…?」
あまりにも突然のことだったため加持さんは固まってしまった。
「こりゃまた、急にどうしたんだい?」
「もうすぐ、終わりが近づいてます。じきにここも危険になります。」
「そうか。とうとうなのか。」
「はい。それに、ミサトさんも危険に晒されると思います。ですから、ミサトさんを守ってあげてください。」
「わかった。ありがとう、シンジ君。」
「いえ、今まで自分たちの都合でこんなことしてすみませんでした。」
「いやいいんだよ。俺もやっと気づけたからね。だから、シンジ君もがんばりたまえよ。」
「はい。わかりました。」
その後、加持さんはどこかに行ってしまった。
……
自宅にて。
「加持さんは?」
「どこかに行っちゃったよ。」
「そっ。無理しないといいんだけどな。」
「今の加持さんなら自分の命を軽く扱うようなことはしないよ。まあ、ミサトさんを守るために多少の無理はするかもしれないけどね。」
「そうね。」
「うん。」
会話が終わり、沈黙が流れる、
しばらくすると、アスカがボソッとつぶやいた。
「もうすぐ終わるのね。」
「うん。あと少しだよ。」
「怖い?」
「怖いよ。逃げ出したいくらい怖い。」
「じゃあ、逃げちゃえばいいじゃん。」
アスカが真剣な顔で言ってくる。
それに対して、僕も真剣な顔で答えた。
「怖いけど。逃げちゃダメなんだ。僕は君を守りたいから。」
僕は本心を告げる。
今まで頑張って来れたのも全部アスカのおかげだ。
アスカを救いたい一心で頑張ってきた。
一度は裏切り、傷付けたのに、アスカは僕のことを好きと言ってくれた。
今度はその気持ちに僕が答える番だ。
だから、命に変えてでもアスカは守る。
「まあ、死なない程度に頑張りなさい。」
「うん。」
そして、再び沈黙が流れる。
昔は嫌だった沈黙も今では少し心地よさを感じる。
話さなくても分かり合える気がするからだ。
僕が心地よさに浸っていると、アスカが話しかけてきた。
「海に行きましょう。」
「へっ?」
アスカの突拍子もない発言に変な声が出る。
「海よ。海に行きましょう。」
「どうしてさ?」
「なんとなくよ。ほら支度して!」
「今から!?ていうか、アスカはいま外に出ちゃダメでしょ!?」
「別に問題ないでしょ。リツコにバレてるんだから。」
「えー…。でも…。」
「うじうじしてないでさっさと行くわよ!即断即決すぐ行動!」
結局、僕はアスカのわがままに付き合わされ海に行くのであった。
……
海岸にて。
「綺麗ね。」
「うん。」
目の前には大海原が広がっている。
時刻は午後3時。
真っ青な海に心が浄化されていくようだ。
「海ってこんなに青かったんだ。」
アスカがボソッとそんなことを呟いている。
「だね。久しぶりに見たからかな?」
「そうね。ちゃんと目に焼きつけとかなきゃ。」
「どうしてさ?」
「なんとなくよ。」
「ふーん?」
アスカが不思議なことを言っていたが、特に気にしなかった。
「ねぇ。シンジ。」
「なに?」
「アンタは全てが終わったら何するの?」
「全てが終わったらか…。考えたことなかったな。アスカはしたいことあるの?」
「私はアンタがいればなんでもいいかな。」
アスカが海を見ながらすごく恥ずかしいことを平然と言ってくる。
「そ、そっか…。僕もアスカがいたらなんでもできる気がするな。」
僕も勇気を振り絞って言ってみたが、アスカは特に反応しなかった。
「そっ。まあ、先のことはその時に考えればいいわよね。」
「そうだね。だから、ちゃんと終わらせよう。今度こそ。僕たちの手で。」
「頼りにしてるわよ。」
「うん。アスカは絶対に守ってみせる。」
「そろそろ、帰りましょうか。」
アスカはそう言うと、腰を上げ、歩き出した。
僕はその背中に無言でついていく。
「ねぇ。また、全てが終わったら来ようね。」
僕がアスカに問いかける。
「そうね。今度、海に来たら大事な話をしましょ。」
アスカは振り返らずにそう答えた。
「大事な話?」
「そう。大事な話。」
「今じゃダメなの?」
「全てが終わってからね。」
「そっか。わかった。その時にはちゃんと聞かせてね。」
「うん。」
こうして僕たちは帰路についた。
そして、とうとうその日を迎えたのであった。
あと少しで終わらせられると思います。
長らくお待たせしてすいません。
あと少しだけ、お付き合いいただけると幸いです。