The end of the journey 〜最果ての旅〜   作:カズめぐ

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第三話

僕がこの世界に来てから三週間ほど経ったある日。

僕はリツコさんの部屋に呼び出されていた。

 

「何でしょうか、リツコさん。」

 

「先日の3号機のパイロットについてよ。」

 

「パイロット、決まったんですね。」

 

「ええ。ところで、今日はアスカいないのね。」

 

「えっ…?呼ばれたのは僕だけですよね?」

 

「ええ。その通りね。」

 

「はぁ…?それより、誰なんですか?」

 

「あなたがよく知ってる人よ。」

 

そう言うと、リツコさんは僕にとある資料を渡してきた。

そこにはフォースチルドレン鈴原トウジの情報が載っていた。

 

「パイロットはトウジなんですね…。」

 

「ええ。そうよ。ちなみにこれは機密情報だから漏らしちゃダメよ。

あなたの頼みで早めに公開してるのだからね。」

 

「わかりました。ありがとうございます。それでは、失礼しますね。」

 

そう言って、僕はリツコさんの部屋を後にした。

 

「ミサト。もう出てきてもいいわよ。」

 

「盗み聞きはあんましよろしくないわよね…。」

 

「あら、最初はノリノリだったじゃない。」

 

「あんたみたいに悪趣味じゃないわよーだ。」

 

「それより、シンジくんの反応見たかしら?」

 

「ええ。全然驚いていなかったわね。」

 

「その通りよ。驚くどころかやっぱりかみたいな反応してたわね。」

 

「シンジくん本当にどうしたのかしら…?」

 

「まあ、しばらくは様子見よ。」

 

場所は移ってミサト宅。

僕は今日の夕飯作りをしていた。

テーブルにはアスカが頬杖をつきながら座っている。

 

「アンタ、今日どこ行ってたの?」

 

「リツコさんとのところだよ。」

 

「じゃあ、聞いたのね。パイロットのこと。」

 

「うん。やっぱりトウジだったよ。」

 

「それ機密情報でしょ?私に言っていいわけ?」

 

「アスカだって元々知ってるだろ。」

 

「でも、私は知らないことになってるのよ。だから、ミサトあたりにちくればあんたは大目玉食らうわよ。」

 

「そんなことしないよね…?」

 

「さあね。私はあんたが苦しむ様を見るのが生き甲斐だからするかもしれないわ。」

 

「…。」

 

僕は神妙な面持ちでアスカを見る。

 

「はぁ。そんな顔で見ないでくれる?心配しなくても言わないわよ。邪魔はしないって言ったでしょ?あんたの好きにしなさい。」

 

そう言うと、アスカは部屋に戻ってしまった。

ところでふと思ったが、アスカはなぜ邪魔をしないと言い切ったのだろうか。

アスカは僕のことを恨んでるはずだ。

それなのに、邪魔をしてこない。

むしろ、人前ではいつも通りに振る舞ってくれる。

一体、何を考えているのだろうか。

しばらく、考えてみたが、答えには辿り着けなかったので、思考を放棄した。

それよりも、今はトウジのことである。

明日、学校に行ったら話をしてみよう。

 

……

次の日。

学校にて。

 

「トウジ。おはよう。」

 

「おう。おはよーさん。」

 

「ちょっと昼休みに話したいことあるから屋上に来てもらってもいいかな?」

 

「何や!?告白か!?」

 

「ちっ、違うよ!?」

 

「すまん。せんせ。わしは女子が好きなんや!」

 

「だから、違うって言ってるだろ!?」

 

ちなみにこれのせいで、僕はホモなんじゃないかという、噂をされるのであった。

 

……

昼休み。

屋上にて。

 

「それで、話したいことって何や?」

 

「最近変わったことなかった?」

 

僕は少し探りを入れながら聞いてみる。

 

「んー。シンジにここに呼び出されたことくらいやのう。」

 

「ほんとに??」

 

「嘘ついてどないすんねん。」

 

「確かにそうだけど…。」

 

僕がトウジのことを疑いの眼差しで見ていると、突然校内放送が流れた。

 

『2年A組鈴原トウジ君。至急校長室まできてください。』

 

「わしやないか。」

 

トウジが不思議そうな顔をしてる。

この放送を聴いて、僕はようやく合点があった。

トウジ自身はまだ、パイロットについて何も聞かされてないのだ。

この後、校長室でリツコさんから聞かされるのであろう。

 

「まあ、そういうことやから、話はまた今度頼むわ。」

 

「うん。わかった。」

 

こうして僕はトウジと別れ、教室に戻った。

結局、その日、トウジは教室に戻ってくることなく、学校が終わってしまうのであった。

 

……

ミサト宅にて。

 

「あんた、やっぱりホモだったの?」

 

「ぶふっ。」

 

アスカがとんでもないことを聞いてきたため、僕は水を吹き出してしまった。

 

「違うに決まってるだろ!」

 

「どうだか。フィフスといい感じだったじゃない。」

 

「カヲル君はそんなんじゃないよ!カヲル君は僕の大切な友達だ。」

 

「はんっ。まあ、いいわ。で、鈴原とはちゃんと話したわけ?」

 

「まだ、話せてない。でも、ちゃんと話すつもりだよ。」

 

「そっ。わかったわ。」

 

「ところでアスカはこの世界に来てから何してるの?もう結構経つけど?」

 

「急に何よ。」

 

「いや少し気になって…。言いたくないなら言わなくてもいいよ…。」

 

「ふん。まあ、大したことはしてないわよ。」

 

「具体的には?」

 

「お買い物行ったりとか、普通のことしてるわ。」

 

「そうなんだ。」

 

僕はアスカの行動が意外だったので驚いた顔をする。

アスカはそんな僕の顔が不快だったのか、キッと僕の顔を睨んできた。

 

「なによ。文句あるの?ちゃんと、あんたの邪魔はしてないでしょ?」

 

「そっ、そうだけど…。」

 

「ならいいじゃない。」

 

「でもさ…『ピーンポーン』

 

僕の言葉を遮るチャイムの音が鳴った。

僕は玄関に行き、チャイムを鳴らした主を確認する。

玄関の前には、なんと、トウジが立っていたのである。

 

「トウジどうしたの??」

 

「シンジ。ちょっと話したいことがあるんや。少し時間ええか?」

 

トウジは神妙な面持ちをしていた。

僕は当時の用件が既にわかっていたので、当時の提案を快諾した。

 

「アスカ。少し出かけてくる。」

 

僕はアスカに声をかけ、トウジと一緒に近くの公園に行った。

 

「シンジは、わいがエヴァのパイロットに選ばれたって知っとんたんか?」

 

「うん。先日、聞いたんだ。」

 

「そか。エヴァに乗るってどんな感じや。」

 

「僕は…。怖いかな…。」

 

僕は本当の気持ちを包み隠さずトウジに話すことにした。

そうすることで、少しでもトウジの気持ちが楽になればいいと思ったからだ。

 

「やっぱり、シンジも怖いんやな。」

 

「うん。でも、僕は守りたい人がいるから乗るよ。」

 

このセリフを聞いて、トウジが少し驚いた顔をしている。

確かに、本来の僕ならあまり言わなさそうなセリフではある。

 

「守りたい人がいるからか…。せやな、わいも守りたい人がいる。」

 

「それは妹さんのこと?」

 

「それもあるんやけど、それだけやない。ケンスケやいいんちょそれにお前や惣流もや。」

 

「そっか。覚悟はできたんだね?」

 

「あぁ。ありがとうな。おかげで覚悟できたわ。」

 

「もし、何かあったとしても僕が絶対に何とかする。約束するよ。」

 

「最近のシンジはほんま頼りになるなー。ほな、よろしゅう頼むわ。」

 

「うん。任せて。」

 

こうして、僕はトウジと別れ、再び自宅に戻った。

 

「ただいまー。」

 

「遅い。早く夕飯作りなさいよ。」

 

「ごめん。今すぐ作るよ。」

 

家に帰ると、お腹を空かせたアスカが不機嫌そうに待っていた。

 

「ちゃんと話できたのね?」

 

アスカが僕に聞いてくる。

 

「うん。できたよ。」

 

「乗らないことを勧めたの?」

 

「それも考えたけど、トウジはサクラさんのことを引き合いに出された時点で乗らない選択肢はないんだよ。だから、どんなことがあっても僕が何とかするって励ましてきた。」

 

「はっ。いいわね正義のヒーロー気取りで。本当ならあんたに何度も殺されてるのに。」

 

「それは僕が殺したわけじゃ…。いや、僕が殺したのと同義だよね…。

でも、今回はそれが起きないように手を尽くすよ。だから、アスカも少し手伝ってくれないかな…?」

 

「嫌よ、と言いたいところだけど、アイツが死ぬとヒカリが悲しむからね。今回は特別よ。」

 

「ありがとう、アスカ。」

 

こうして、僕らは実験日当日を迎えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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