The end of the journey 〜最果ての旅〜 作:カズめぐ
3号機起動実験当日。
僕は学校をサボってネルフに来ていた。
理由はもちろん、すぐエヴァに乗れるようにするためである。
今の僕たちなら今回の事故を未然に防げたかもしれない。
しかし、それをするにはあまりにも危険すぎる。
だから、トウジには申し訳ないが、今回ののような対策を取らせてもらった。
でも、その代わり絶対にトウジを助ける。
僕がそんなことを考えていると、ネフルの警報がなった。
『松代で事故発生。パイロットは至急本部に来てください。』
ついに来たか。
僕はその警報を聞き、走って奈良は本部に向かった。
……
初号機の中にて。
『総員第一種戦闘配置。地対地戦用意。エヴァ全機発進!』
『攻撃地点に全機配置完了』
『野辺山で防衛線を展開』
『目標確認』
僕はその声を聞き、ゆっくり前を見た。
やはり、3号機が使徒に乗っ取られている。
トウジ、今助けるから。
僕は3号機に向かって行った。
初号機と3号機はお互いの手を掴み、牽制しあっている。
すると、3号機の肩甲骨あたりからさらに腕が2本出てきて、初号機に襲いかかってきた。
これは予想通りだ。
「アスカ!!」
「言われなくてもわかってるわよ。」
肩甲骨から出てきた2本の腕をアスカが止めに入る。
今なら、首元がお留守だ。
「綾波!エントリプラグを引き抜いて!」
「わかったわ。」
綾波は僕の指示通りエントリープラグを引き抜いた。
よし。
作戦通りだ。
あとはこのまま3号機を倒せば全てが終わる。
そう思っていた。
しかし、運命は残酷だった。
『3号機から使徒の反応が消えました!?えっ、エントリープラグから零号機に侵食反応あり!パターン青!使徒です!』
「侵食タイプか。厄介だな。」
「あぁ。しかもそれだけではない。コアが零号機に移動している。」
「なんと。今度は零号機を乗っ取ったのか!?」
「零号機に緊急停止信号を送れ。」
「ダメです!反応ありません!」
「なら仕方あるまい。」
「碇。ここで零号機を捨てるのか?委員会が黙ってないぞ。」
「ふっ、構わん。代わりならそこに転がっている。」
「なるほど。3号機か。」
「あぁ、問題ない。」
「綾波!!どうしたんだよ!?」
僕は必死に綾波に問いかけるが反応がない。
すると、ネルフから通信が入った。
『現時刻を待って、零号機を使徒とみなす。』
「待ってよ、父さん!?綾波が乗ってるんだよ!?」
『シンジ。あれは使徒だ。早く倒せ。』
「出来るわけないだろ!?綾波が乗っているんだ!」
「やれ、シンジ。」
「嫌だ!待ってろ綾波!すぐ助ける!」
僕はそう言うと、綾波を助けるために零号機に近づこうとした。
「碇。いいのか。初号機を失うことになるぞ。」
「初号機パイロットとのシンクロを全てカットし、ダミーシステムに切り替えろ。」
「で、ですが…。ダミーシステムはまだ…。」
「構わん。続けろ。」
「わかりました。初号機パイロットのシンクロを全てカット。ダミーシステムに切り替えます。」
「父さん!待ってよ!?やめてよ父さん!?」
「初号機との通信をカットしろ。」
「わかりました…。」
その後、僕の叫び声は虚しく響き渡った。
零号機はダミーシステムを起動させた初号機により殲滅され、同時にパイロットの死亡報告が僕の耳に入ってきた。
僕はまた失ってしまったんだ。
綾波…。
……
ミサト宅にて。
「あんたいつまでそうしてるわけ?」
アスカが少し怒気を帯びた声で話しかけてくる。
「ほっといてくれよ。」
僕は今は誰とも話したくないので、そっぽを向いた。
「当初の目的だった鈴原は助かったんだし、少しはシャキッとしなさいよ。」
「でも、綾波が…。」
「綾波は量産型よ。明日にはまたひょっこり現れるわよ。」
「そういうことじゃないだろ!アスカの分からずや!」
僕は声をあらがアスカに言う。
「分からずやはどっちよ。あんた、ここに何しにきたの。こんなことで一々止まってどうすんのよ。ほんとに世界を変える気あるの。」
アスカの一言に僕の胸が痛む。
確かに、アスカの言う通りだ。
僕は本当の目的のためにこんなところで止まってるわけにはいかない。
でも、また綾波を助けられなかったんだ…。
「わかってる。わかってるよ…。でも、今日だけはこうさせて欲しい…。」
「ふん。勝手にしなさい。」
アスカはそう言うと、自分の部屋に戻って行った。
一人取り残された僕は、朝まで声を押し殺しながら泣くのであった。
……
次の日の朝。
僕はトウジのお見舞いに来ていた。
トウジは右脚を骨折してしまっていたが、それ以外は特に外傷はなかった。
また、使徒による精神汚染もなかったため、骨折した箇所以外は概ね健康体である。
「シンジ。ありがとうな。わいを助けてくれて。」
「僕だけの力じゃ無理だったよ。」
「そうやな。あとで、惣流にも綾波にも礼を言わなあかんな。」
「綾波…。」
「綾波には悪いことをしたな。わいのせいで大怪我あってしもうたみたいやから。」
綾波は量産型のため、一人が死んだとしても死亡扱いにならない。
怪我扱いにして、次が出てくる。
だから、トウジには怪我をしているという報告がされている。
「そうだね。今度お見舞いに行ってあげようよ。」
「せやな。」
「ところで、今日惣流はどうしたんや?癪やが、礼を言おうと思ったんやが。」
「アスカはどこかに出かけてるよ。」
アスカは僕が泣き疲れて寝てから起きるまでの間に出かけてしまったいたため、どこにいるか僕にも分からない。
「そうか。なら、また今度会った時でええか。」
「そうだね。じゃあ、僕はそろそろ帰るよ。」
「おうよ。じゃあ、また学校でなー。」
「うん。また学校で。」
トウジの見舞いを済ませた僕は特にすることもなかったので、とりあえず自宅に戻った。
……
ミサト宅にて。
「ただいまー。」
しかし、返事はない。
アスカはまだ帰ってないみたいだ。
いったい、どこに行ってるのだろうか?
まあ、アスカがいないのであればお昼ご飯を作る必要もないので、少し寝ることにした。
昨日は全然眠れてないので、僕はほんの数分で眠りにつくことができた。
……
数時間後。
目を覚ますと、隣に誰かの気配を感じた。
隣を向くと、何故かアスカが寝ている。
ほんとになぜ。
とりあえず、このままでは埒があかないので、アスカを起こすことにした。
「アスカ起きて。ここは僕の部屋だよ。」
「んー。あんた起きたのね。」
「うん。ところでなんでここで寝てるの?」
「あんたと話そうと思って部屋に来て、気持ちよさそうに寝てるあんた見たら私も眠くなっちゃったのよ。」
「それで、僕の横で寝てたの?」
「そうよ。そもそも、あんたが悪いんだからね。」
「えっ?なんで僕?」
「あんたが昨晩メソメソ泣くもんだからうるさくて眠れなかったのよ。」
「ごめん…。」
「まあ、いいわ。その様子だと立ち直れたのね。」
「完全にではないけど。うん。もう大丈夫だよ。ありがとう、アスカ。」
「ふん。あんたのためじゃないわよ。私のためよ。」
アスカはそっぽ向いてしまった。
「ところでアスカはどこ行ってたの?」
「ヒカリのところよ。」
「どうして?」
「あんたバカァ?鈴原のこと伝えに行ったに決まってるでしょ。いま、鈴原のところにはネルフ関係者しか行けないんだから、私が言わなきゃ鈴原の状況はわからないのよ。」
「なるほど。そういうことか。」
「で、なんで、そんなこと聞いたわけ?」
「トウジがアスカにもお礼を言いたいんだってさ。」
「ふーん。まあ、アイス一本で手を打ってあげるわよ。」
「僕に言われても…。」
「あんたが伝えときなさい。私は特に何もしてないわって。」
「何言ってるんだよ。アスカだってトウジのこと助けたじゃないか。」
「あんたと違って、私は自分のために動いてるんだから礼を言われる筋合いはないのよ。」
「…。わかったよ…。そう伝えとくよ。素直じゃないんだから…。」
「だって、事実だもの。」
「はぁ。」
「それよりあんた。次はどうするの。あいつ倒せるの?」
「次は確か…。」
「第14使徒。最強の使徒よ。」
「確か、覚醒してやっと勝てたんだよね。」
「でも、自分の意思で覚醒を操ってたら、あんたの父親が黙ってないわよ。」
「そうだね。でも、S2機関も取り込まなきゃ行けないし…。」
「そうね。」
「だから、不足の事態も予測して、作戦立てるよ。
「まあ、死なない程度に頑張りなさい。」
「アスカもがんばんないとやばいからね?」
「そうかしら?無敵のシンジ様がいれば余裕でしょ。さてと、私はまた寝るから起こさないでね。」
そう言うと、アスカは再び寝てしまった。
ここ、僕の部屋なんだけど…。
まあいいや。
アスカとあそこで長い期間過ごしてきたせいか、アスカもこういうことをあまり気にしていない。
それよりも、今は第14使徒の事だ。
あの、無茶苦茶な攻撃力にあの鉄壁のATフィールド。
近づこうにも、あの伸びる腕のようなもので中々近づけない。
遠距離攻撃はATフィールドによって無効化。
考えれば考えるほど最強すぎる。
でも、今は一人じゃない。
アスカもいる。
…。
アスカを頭数に入れてもいいのだろうか。
前回は委員長のこともあり、協力してくれたが、今回はどうなのだろうか。
邪魔はしないと言っていたが、協力するとも言ってない。
綾波は…。
正直、顔を合わせづらい。
僕が殺してしまったのだから…。
しかし、今はそんな私情で行動してる余裕はない。
今後の作戦に支障をきたさないためにも、今度綾波とちゃんと話しておこう…。
そんなことを、考えてるうちに僕はいつの間にか寝てしまっていた。
第14使徒が来るまであと3日…。
次回更新日は3月21日0時を予定しています。