The end of the journey 〜最果ての旅〜   作:カズめぐ

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第五話

次の日の朝。

僕は綾波の部屋に来ていた。

 

「碇君、どうしたの。」

 

僕が部屋を訪ねると、右目に眼帯をつけ、左腕に包帯を巻いてる綾波が出迎えてくれた。

 

「その、君に謝りたくて…。」

 

「どうして、碇君が謝るの。」

 

綾波が無機質な視線を僕に向けてくる。

しかし、僕はそれに臆することなく言った。

 

「君を守れなかったからだよ。」

 

「そう。でも、碇君が守れなかった私は私じゃないわ。」

 

「そうかもしれない。でも、綾波は綾波だよ。」

 

「そう。私は私なのね。」

 

「うん。綾波は綾波だ。今度こそは絶対に守る。約束するよ。」

 

「ありがとう。碇君。私も碇君を守るわ。」

 

「うん。ありがとう。」

 

こうして僕は、綾波の部屋を後にした。

次に僕は加持さんに呼び出されたため、ネルフに向かった。

 

……

ネルフにて。

 

「よっ。シンジ君。久しぶりだな。」

 

「お久しぶりです。加持さん。今日はどうしたんですか?」

 

「ちょっと、君と話したいことがあってな。」

 

「なんでしょうか?」

 

「いや。最近、シンジ君が逞しくなったと葛城から聞いてね。少し話してみたくなったんだよ。」

 

「そんなことないです。僕は変わらず、臆病なままです。大切な人すら守りきれない弱いやつですよ。」

 

「いやいや、大切な人がいることに気付けるだけでも素晴らしいものだよ。人は大抵、失ってからその大切さに気付くからね。」

 

確かに僕は全てを失ってから、気付いた。

なので、あながち加持さんの言ってることは間違っていないだろう。

 

「それはミサトさんのことですか?」

 

「これはまいったな。シンジ君にはなんでもお見通しのようだ。」

 

加持さんは困った笑みを浮かべている。

 

「今からでも遅くないと思いますよ。」

 

「いや、もう遅いんだよ。運命の歯車は止まってはくれないからね。」

 

「そうかもしれません。でも、結局は自分がどうするか次第なんですよ。だから、遅いなんてことはありませんよ。」

 

「こりゃ、まいったな。シンジ君の方が大人みたいだ。」

 

「僕は子供ですよ。」

 

「そうだな。まあ、長話もなんだ。最後に質問を一つだけして終わりにしよう。」

 

「なんでしょうか?」

 

「君にとって、アスカはどういう存在だい?」

 

「へっ?」

 

よくわからない質問に僕は固まる。

 

「その質問の意図はなんでしょうか…?」

 

「特に意図はない。純粋な興味だよ。」

 

「そっ、そうですか。」

 

「まあ、この答えはすぐに出さなくてもいい。出たら教えてくれ。」

 

そう言うと、加持さんはどこかに行ってしまった。

一人残された僕は先程の質問について考える。

僕にとって、アスカはなんなのだろうか。

よくわからない。

家族のようなものだが、家族と呼ぶには違和感がある。

この感情の正体がなんなのか僕はまだ知らない。

 

「よくわからないよ。」

 

僕はボソッと独り言を呟き、家路に着いたのであった。

 

……

自宅にて。

 

「ただいまー。」

 

僕が家に帰ると、アスカが仏頂面で待っていた。

 

「あんた、どこ行ってたのよ。」

 

「綾波のところだよ。」

 

「ファーストの?今までずっとファーストのところにいたの!?」

 

「あとは加持さんのところだよ。」

 

加持さんの名前を出した瞬間アスカの顔がすごく引き攣った。

 

「なんで、あんたが加持さんのところに行ってんのよ!?」

 

「加持さんに話したいことがあるって呼ばれたんだよ…。」

 

「何話したのよ。」

 

「最近、変わったねって言われたくらいだよ。」

 

僕は話がややこしくなるのを避けるため、最後の質問は伏せておくことにした。

 

「ほんとにそれだけしか話してないのね。」

 

「話してないよ。」

 

「そう。なら、いいわ。」

 

「なんで、アスカに一々報告しなきゃいけないんだよ…。」

 

「なんか文句あるの。」

 

「別にないよ…。」

 

「そう。で、作戦は立てたわけ?」

 

「まだ立て終わってない…。」

 

「あんた、それなのにファーストのところ行ってたわけ!?人類とファーストどっちが大切なのよ!?」

 

「仕方ないじゃないか!綾波にはちゃんと謝っておきたかったんだ。」

 

「あの人形女のどこがいいわけ??」

 

「綾波のこと悪く言うなよ!」

 

「事実を言って何が悪いのよ。」

 

珍しく、アスカがすごく噛み付いてくる。

 

「アスカ。どうしたんだよ。」

 

「別に何もないわよ。あんたには関係ない。」

 

「僕のことが嫌いなのは分かるけど、他の人の悪口はやめてよ。」

 

「ふん。まあ、いいわ。とにかく、作戦をさっさと立てなさいよ。」

 

 

「わかってるよ。でも、そんな適当に立てていいことではないと思うんだ。」

 

「そんなグズグズしてると、タイムオーバーになるわよ。」

 

「そんなに言うんだったら一緒に考えてくれたっていいじゃないか。」

 

「嫌よ。それにどうせ、追い込まれれば初号機が覚醒するんだし、私が手伝わなくてもいいのよ。」

 

「なら、作戦作戦って急かさなくてもいいじゃないか。」

 

「はんっ。もう勝手にしなさい。」

 

「あぁ、勝手にするよ。」

 

僕とアスカはしばらく睨み合っていたが、僕が怖気付いたため、自分の部屋に退散した。

部屋に戻った僕は冷静になり、先程のことを考える。

今日のアスカはこっちの世界に来てからは初めてと言っていいほど、気が立っていた。

しかし、気が立って、語気が荒くなってはいたものの、根本的にはいつまでも作戦が立てられない僕のことを心配して、話題を振ってくれたのではないだろうか。

…。

わからない…。

アスカが果たして僕にそのようなことをするのだろうか。

これは、僕にとっての都合の良い妄想なのではないだろうか…。

 

「わからないよ。加持さん…。」

 

僕は虚空にそう呟き、ベッドに横たわった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は3月22日0時に更新します。
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