Over Your World   作:Satellite WE'RE

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【注意!】
二話同日投稿です。また、ここから近年の仮面ライダーのネタバレを含む事をご了承下さい。

【追記】
後書きがごっそり抜けていたことをここに謝罪します……
どうか見ていって下さい……


第十四話

 

 

 

 

 

 

 

「──お前は、『仮面ライダー()()()()()』を利用したのか!? バグスターのお祭りゲームを!」

 

「いかにも。そこからゲムデウスをサルベージし、私の身体で屈服させた。全知全能の力は今やここにある。あらゆるバグスターの思考ルーチンも意のままに。そして──最も強大なプログラムも例外ではない」

 

 ノアは当初から亡きクロニクルではなく、幻夢コーポレーションが開発したVRゲームを狙っていた。

 その為、今までは音声や不安定な仮の姿で受け応えるしかなかった。なんせ本体は、()()()()()()()C()R()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 機会を伺い続け、小星作を呼び出し、あらゆるバグスターウイルスが保管されていると言ってもいいゲームデータをまんまと強奪したのだ。

 そこから心を持ったゲムデウスなど多くのダストデータを復元し、最も求めたものは──

 

「私でも取り込めない程の膨大な器。例えお前にムテキの力が戻っても、問題などなかったのだ」

 

 ゲムデウスが邪心のままに、幾度となく対抗することで生まれたアナザー。抱くは世界を、仮面ライダーを滅ぼす悪意。

 天敵を憎むが故に走る髪刃は銀色。血走った眼、オリジナルにないローブ。堕ちる星の残光が如き、最悪の戦士。

 

「……ゲムデウス、ムテキ──!」

 

 最凶のバグスター、ゲムデウスムテキがその邪心のままにライダーたちに迫りゆく。

 

 

 

 

 

 

      ●●●●●●

 

 

 

 

 

 

「この感じ、敵は仮面ライダーカーニバルを改竄したのか……?」

 

「パラド! 大我が何かしようとしてるからフォローして!」

 

 人々を食い止めていたポッピーが大我たちと合流した。

 しかし今、その大我は人々に声が届く壇上に登っていた。

 

「おい、お前ら何惑わされてるんだ。本気でこんなもんに取り入って自分捨てる気なのか!」

 

 天国の切符を握り、空に魅せられ続けていた人々。幸福な夢に見惚れていた人々。

 ほとんどが大我の怒号に驚き、その目線を向ける。

 

「お前らは! どいつもこいつも、どうでも良くなることばっか考えやがって!」

 

 声をどこまでも届くように張る大我。羞恥などは捨て、陰気に充てられる自分への戒めの意味も込めてその言葉を届けようとする。

 

「あんなあ、あんた。そう言うってことはわかってんだろ。私みたいなのが大勢、この夢見てる奴らに誘われて此処に来てんの」

 

「そうだ! 別に俺らの何を知ってるわけでもないのに、何演説家ぶってるんだよ」

 

 当然、いきなり現れた白黒頭に非難をぶつける者もいる。

 知ってるわけでないと言いながら主語が大きいことに少しむず痒さ感じつつも、そこか本質なのではないかと大我は思った。

 此処にいるほとんどが、帰属するべくして来たものたちなのではないかと。

 

「違う。分かる分からない、知る知らないとかじゃなくてだ。何もかもどうにかなれだなんて思うのは人間幾らでもある。それで自分すらも投げ出しそうになることも。所詮自分一人の命だからって全部無茶苦茶にしたいと思うかもしれない。色んな理由が、経緯があっただろう。でもな、全員が変わらないものがあるから、今ここにいるんだろ!」

 

 当然の事だ。人の数だけ事情はある。

 ひとえに淡々と勤めている者もいれば、直ぐに悪感情に苛まれる者もいる。

 だからこそ、今ここに同じような嫌悪や破滅、堕落の願望を持ったものが集まっていることに、何か意味があるはずだと大我は諭す。

 

「今ここで、まだ生きてるんだ。どうでもいいって思って、無茶苦茶なっちまえって思っても今、なんか生きてんだよ! 全部投げ出したって構わないと思ってるはずなのに、なんで生きてんだろうなって思う。何かが、何かがあるから此処でまだ生きてるんだ。まだ自分の大きなもので葛藤して、戦ってるから悩んで、苦しんでも生きてるんだ」

 

 解放されたい、楽になりたいと零しながらもその身をまだ投げ出してない。ゴッドスピードが誘惑する天国の門は直ぐそこにあるというのに。

 何かに突き動かされて人は生きている。まだ見つけていないものがある。此処に誘われて尚、堅く持っているものがある。

 すべて失ってもドクターを忘れられなかった大我は、そう断定した。

 

「そんな、そんな理由一つに決まってる! 死にたいとかどうにでもなれとか思う前に―――失いたくないものがあるからだ」

 

「―――!」

 

「自分の心の中にあっただろ、今も絶対に譲れないもんが! 趣味とか苦手とか癖とかこだわりとか、他人に言えないくらいの何かを持ってるだろ! その誰しもが心の奥底に持ってる何かが、俺たちを生かして突き動かしてるんだ。苦難ばかりでも、一つの命であがいてるからこそ! 譲れない、失いたくないもんがあるんだよ!」

 

 ふと、目線が揺れた。その先にいるのは、真剣に耳を傾けている一人の大事な患者で。

 どれだけ絶望に叩き落されても、少なくとも即座に身を投げたりはしない。それは、誰もが心の中に願いを抱いているから。まるで、宝箱にしまってあるように煌めくほのかなもの。

 

 かつてはその具体的なものが分からず、忘れない程度に押し込んでいた。

 しかし今は煩いほどにはっきりとした、守るべき形がある。

 どん底に埋もれても、確かに得た形があるから。こんな自分でも、此処にドクターとして在るのだから。

 

「それが何なのか、自分でわからないこともある。此処に行き着いた論理的な理由だってない。でも、本当に何も心になかったら、お前らは此処にすら来なかった。ホントに投げ出す気なら、天国なんかに惹かれることすらねえんだよ。何もなかったとしたら、誰にも気づかれず、自分すら分からなくなって孤独に消えていくだけだ」

 

「…………」

 

「でも、此処にいる。自分と同じような奴らが。苦難の中で、何かを求めてここに来た。自分の失いたくない何かに引っ張られて。そんなエネルギーを持ちながら、志すら近しい奴らが大勢横にいるってのに! 自分の心すら分かんねえまま夢なんかに身を投げ出していいのか? 生きて自分の心を知らなくていいのか!」

 

 まして、此処にいる彼らは孤独でもない。バグスターウイルスが蔓延して、命の生きようとする力と大切さを身に染みて実感してきた人類だ。

 本当は、生きる尊さを知っているはずだ。

 

「お前らは一人なんかじゃない。此処に行き着いたのがその証拠だ。砂漠に一輪で寂しく震えてるわけじゃねえ。周りの生き様に充てられて、なんか生きてるなら! …………まだがむしゃらやるのも悪くねえんじゃねえか?」

 

 そう言い切って、大我は舞台を後にする。

 医者は理不尽に脅かされる命を救うものだ。その後のことはあくまで自分で考えなければならないこともあると、大我は思っている。だが、彼らはもう独りではない。

 

 大我の話を聞いていた彼らは一様に周りに目を向ける。

 決して同じではないが、苦悩してこの世界に辿り着いた者達。それは心を打ち明けられる仲ではないが、その困難は共有できる程のもので。

 

「…………わ、たしは―――」

 

 程なくして、人間関係が上手くいかなかった者が吐露し始めた。呼応するように、職場で隅で消耗している者が言葉を紡ぐ。

 写真を撮られて居場所がなくなった者が。職場が潰れて行き先を失くした者が。いじめにより自分が分からなくなった者が。詐欺にやられて信用を失ったものが。

 プレイヤーが次々と己の経緯を吐き出していく。しかし、ただ怨嗟を重ねるだけではなかった。

 共感し、自分の経験や知識からアドバイスする者。同じような境遇に涙ぐみ、思いを交わす者。自分一人では気付けない、具体的な解決策まで提示する者。

 共に堕ちていくわけではなく、紡ぎ合って心を交わす。画面越しではなく、VRMMOという確かな実感を伴って。

 

 多くの世代の悩める人々がいる。ずっと独りで抱える者もたくさんいる。

 しかし確かに今、此処はそんな者を孤独にしない、生きるままに繋がれる場所だった。

 それはまさに独りを越えた世界(Over Your World)

 確かにノアの思惑とは違う、次元を、世界を越えた希望のコミュニティとなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

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「は? …………意味が分からない。何故自分の理想を、願望を! 直ぐそこに希望があるというのに! 何故腐敗だけの世界を逸脱しようとしない!」

 

「お前本当にわかってなかったのか? お前は生きてきた命を、育んできた心を無視して、全部奪い去ろうとしてるんだ。例え永遠だとか、尊いとか……命無き地獄を、人々が選ぶ訳が無い!」

 

「だから生きてきたから、苦しんできたからこそ次の世界に進むべきなのに! 命なら永遠だ! 奪うのではなく、潜在的に育った願いをかなえられるんだぞ!」

 

「それは命なんかじゃない! ……彼らの願いは、失いたくないものは、現実(リアル)にある! それを叶えられるのは、必死に―――一つの命で生きている世界だけだ!」

 

 宝生永夢は叫ぶ。

 どれだけ困難に見舞われても。どれほど苦しみに襲われても。命が生きようとする輝きを止めることなど出来ない。

 生きてきて心に描いた証があるから。絶対に乗り越えられるから。運命を変える力が、人間にはあるのだから。

 

 一切の曇りなき眼で、一つの命を抱く人類を讃美する。

 ……その輝きに魅せられ、一つの命を賭する覚悟を決めた者がいた。

 

「だが、天国へ導かれればそれからだ。人類を誘う門の番人が直に到来する。これで、世界は!」

 

 ノアはカーニバル産のバグスターを使役していく。そのやり口は皮肉にも自身が嫌う強制だった。

 ―――それを、そんな醜態をライダーを認めた()が許すはずもなかった。

 

「それが、お前の夢と希望の末路か。その熱意だけは、次の人類に発散するがいい」

 

「え?」

 

「な、か、らだが―――!? これは、なん、だこれは!」

 

 突然、ゲムデウスeXX(エクス・マキナ)の身体に異常が奔った。

 ノアの内部で何かがラグと共に蠢いている。まるで彼の所業に憤懣しているかのように。

 直後、何かが噴出した。

 

「ああああ! …………そんな、バカなぁ!」

 

「お前は―――」

 

 それはノアが思考を書き換えたはずのバグスターウイルス。

 心まで書き換えられるはずがないことは彼の前で永夢たちが証明している。ましてカーニバルでそれを見届けた彼を制御することなど、不可能だったのだ。

 全能の役割を全うするため、彼は確かに形作られた。その手にはVRXが収まっている。

 

「……クロニクルではなく、『仮面ライダー()()()()()』のラスボスとして、奇跡を体現しようではないか。永遠なる夢を全うする人類達よ!」

 

「―――ゲムデウス!」

 

 人類とバグスターの架け橋、仮面ライダーカーニバル。そのラスボスが役目を全うするために躍り出る。

 命を持って駆け抜ける彼らを迎え入れる、バグスターの頂点が―――ゲムデウスが降臨した。

 

 

 

 

 

 

 

 

      ●●●●●●  

 

 

 

 

 

 

 

 

 クサい演説を終えた俺は、かつてクロニクルに挑んでいたという青年と話していた。

 都築隼人、クロノス攻略クエストにいた奴だ。

 

「俺、またあいつに会えると思ったら居ても立ってもいられなくて…………自分の夢で、自己満足でしかなかったのに。クロニクルの時と同じように、自分が勇者にでもなったつもりだったのかもしれない。躍らせれてただけだってのに」

 

「結局のところ、それは夢だ。お前が今まで大事にしてきた人とは違う。どれだけ充足してて甘美なもんでも、生きて実感できないんだから思うつぼだ」

 

 勇者、か。

 クロニクルを突破したエグゼイド。恋人の命を、すべての命を守るブレイブ。

 

「ライダークロニクルの悲劇は忘れちゃいけない。消滅してしまった人々は全員最後まで命のままに必死に生きようとしたんだぞ! それが未来で必ず戻ってくるってんのに、お前が待ってやらなくてどうする。全部投げ出してお前すらも消えたら、必死に生きる奴の心が忘れ去られていっちまうぞ」

 

「はい、はい―――ッ!」

 

 涙をこらえた青年は、踵を返した。後はこのゲームをぶち壊して脱出するだけだ。

 結局、俺なんかの妄言が響かない奴もいる。早々にログオフした奴もいれば、吐き捨ててログオフした奴もいる。

 まあ、冷めたにしてもこんな危ないトコに留まらないならOKだ。ただ普通にゲームしに来た奴らには悪い事しちまったな。

 

「何よ大我。かっこいいこと言っちゃってさ~! 録音しとけばよかったな~」

 

「おい、ロクでもねえこと言うな! ……お前らやってねえよな」

 

「いやいやいや! 絶対やってないよ私! 寧ろ聞き入ってたし! ねえ、パラド!」

 

「……ポッピー。リアクションでかいからどっちか割とわかんないぞ、お前」

 

 問題なのはついさっきプレイヤーがログオフすら出来なくなってしまったことだ。ゴッドスピードもとうとう本性を現したか。

 ……勇者か。あんなこと言った俺にはせめて此処から進めることぐらい、示す義務がある。

 

「てか、大我。いつもあんなあっついコト考えてんの? やっぱポエマーの名は伊達じゃないね!」

 

「……そうかもな。俺は身勝手な奴だ。ドクターでありたいと願いながら、やることなすことすべてが無茶苦茶だった。俺があっちにいてもおかしくなかった。お前が、お前らがいたから俺は…………」

 

「え、こっからダウンしていくの!? もしかしてさっきので燃え尽き気味?」

 

「……やっぱり、上からバグスターが降ってきてる。ポッピー、この感じはやっぱり……」

 

「うん。あの、ゲムデウスムテキが、来てる」

 

 どうやらここからが正念場らしい。

 ここがこいつらの言う通り仮面ライダーカーニバルなら、俺たちのプレイデータも残ってるはずだ。それを利用すれば俺は……

 

「きっとここまで来たのは間違いじゃなかった。だからこそ今も、命を懸けて戦えるんだ」

 

「え? ちょっとタイガ!?」

 

 俺はポッピーピポパポからバグヴァイザー(ツヴァイ)を強奪した。そしてもう片方の手に宿ったのは……

 

「大我そのガシャットって――!」

 

「仮面ライダーカーニバルのセーブデータに残ってたのか。お祭りゲームを利用したノアの悪手だったな」

 

「大丈夫なのタイガ!? ──仮面ライダークロニクルガシャット!」

 

 クロノスは、クロノスの力はただ蹂躙するだけのものじゃない。

 俺はその、力の強大さに惹かれ続けてた。

 でも、本来は違う。

 

「あいつらプレイヤーにあんなこと言っちまったんだ。示し合わせつけねえとな。この少しの道を示せる、伝説の勇者の力で」

 

 それは脅威のゲームに挑むプレイヤーの希望の星。

 ……もちろん俺はそんなガラじゃないが、此処まで来たからにはやるしかねえ。

 

「VR、特にカーニバルは何でもありだな……誰だ」

 

 俺たちの背後に新たなログインの反応が現れた。プレイヤーがSNSで情報を流したから反対活動があるはずだってのに、まだ入ってくるのか?

 

「──格好ついてるじゃないか、開業医。この俺を差し置いて勇者(ブレイブ)を名乗るなど」

 

「ブレイブ!」

 

 何とアメリカ行きのおぼっちゃんが参入してきた。

 忙しいはずなのによく来たもんだ。

 ……だが、もっと物騒でビリビリと気配が近づいてきた。

 

「! 何だ? 何か近づいてる!」

 

 さらに空からバグスターたちが迫るスピード遥かに上回る速さで何かが迫ってくる。

 そいつは急に粒子に分解されたと思ったら、バグヴァイザー(ツヴァイ)に入り込みやがった!

 

「何よ、何かヘンなもん入っちゃったk『変ではない』~~きゃっ、喋った!?」

 

「え? ……これって、ゲムデウスゥ~~!?」

 

「何?」

 

 ポッピーピポパポが言うにはゲムデウスが直接入り込んだらしい。見ればヴァイザーの画面にゲムデウスが映り込んでる。

 まさかこんな形で直接妨害してくるなんてな……どうする?

 

「案ずるな、永遠なる夢を抱く仮面ライダー達よ。お前達のゲームに挑む姿勢はよくわかっているぞ」

 

「お前、仮面ライダーカーニバルで倒したゲムデウスか!? でも、あれは邪悪な心に飲まれて……」

 

「……ふん、もっと邪悪で愚かしい偽神が私を良いようにするのは気味が悪いものだ。どうした、伝説の勇者になるのだろう?」

 

「は? だってこのまま大我がそれを……え?」

 

 まさかコイツ、俺達に加勢しようってのか!?

 

「直接介入するのはラスボスの名折れであるからな。授けるのは制御可能なこの力の一端に過ぎない。さあ、勇者よ。二つの伝説の力、使いこなせるかな?」

 

「大我、危ないって! VRだからってどうなるかわかんないよ!?」

 

「そうだよ、タイガ!」

 

 ……上等だ。俺はこんなところで倒れるつもりは微塵もねえ。

 クロノスでもゲムデウスでも、何でもなってやる。

 

「どうせお前は止めても実行するんだろう、開業医。だが忘れるな。俺たちはここにいるぞ」

 

「ブレイブ……ああ。安心しろお前ら。別にここでくたばるつもりはねえよ。それに、本当に危うかったら、な?」

 

「そう言われたら、俺たちに出来るのはチームプレイだけだな、ブレイブ」

 

 そう言ったパラドの手にはゲーマドライバーとマイティクリエイターVRXが握られている。パラドもエグゼイドの力の一端を持つ以上、VRXの力を少しは扱えるのかもしれない。

 ゲムデウスもやってくれたものだ。

 

「……大我。絶対飲まれんなよ! ……大我はあたしの主治医で、仮面ライダーなんだからね」

 

「──ああ」〈ガッチャ―ン!〉

 

 こいつも、プレイヤーも俺が守り通す。

 俺はバグヴァイザー(ツヴァイ)を装着し、仮面ライダークロニクルを構えた。

 

〈仮面ライダークロニクル!〉

 

「…………変身ッ!」

 

〈ガシャット! バグルアップ!〉

 

〈天を掴めライダー! 刻めクロニクル! 今こそ時は極まれり!〉

 

 時針の音が鳴り響き、開戦の刻が告げられる。

 毒々しい紋様が全身に浮かび、その眼は充血したかのように奔っている。イメージカラーはゲムデウスに染め上げられた。

 

 現実には及ばないが、ゲムデウスウイルスの負担が強くのし掛かってくる。

 ……だが、俺は檀正宗とは違う。俺は、守るものがある限り──

 

()()()()()()ゲムデウスクロノス―――ミッション、開始!」

 

 ──ライダーであり、ドクターだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・ゲムデウス・エクス・マキナ
 機械仕掛けの名を冠する通り、世界の行く末を決める全能の力を奮う。
 完成像は唯一無二の想像力を持つ宝生永夢を取り込み、VRXを完全にモノにすることだった。

 だが、そのキーであったマイティクリエイターVRXとゲムデウスが離れたことでフルパワーを出せる可能性はなくなった。
 残留したウイルスが彼の身体を構成し続ける。
 
・仮面ライダーゲムデウスクロノス
 花家大我が変身する仮面ライダー。

 檀正宗が変身した際は『天を掴めライダー!』が使われなかった。それよりライダーで無くなった事が察せられたが、彼は違う。
 
 失わないために、守り通すために。
 生命を、自由を守る彼は、まごうことなき仮面ライダーだった。











 
 ゲムデウスはカーニバルで倒されてデレた。

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