Over Your World 作:Satellite WE'RE
この物語は前回完結しました。
ここから先は今後の活動の軸の一つにする為の、個人的かつ蛇足気味なものです。
これから何度も編集しに来るでしょうし、稚拙で曖昧なものです。
それに、これを回収できるかすらもわかりません。
とにかく規模などが変わります。
それでも、あくまでも本編のおまけみたいなものだと思ってくれる方は見てみてください。
でも本編の裏話はここの最後と活動報告に載せたので見て欲しいです(強欲)
決して、交わってはならない───
P.S. 紡がれしソレが始まり
「……で、あんたはものの見事にその堕天使とやらの凱旋を達成させたワケ。ごくろうなこった。そんな状況に置かれた人間が、どんな行動にでるかなんてわかんないのによくノせたじゃないの」
「はい、その通りです。ですが我々は人間の可能性を信じています。そして、仮面ライダールシファーは自分自身の能力を最大限解放しました。予測を大きく上回る結果です。だからこそ、我々はレベルアッピングエグゼイドを完成出来たのです」
「……そう。本当に、ごくろうなこった」
――できる限り適当な返しをしてるが、そろそろ限界かもな。
自分、九条貴利矢はそう内心で顔をしかめた……つもりだが、外にでてるかもしれないな。仕方ないだろう、こんな荒唐無稽な話を聞いて飛び上がらないだけ褒めてほしいぜ。
だいたい何だって? 計算をもとに理論で動くハズの知能の行動指針が人間の可能性を信じるだぁ? ……無茶苦茶な話だぜ、ホントに。
だって、それはまるで運命を変えられることを信じているような……よくもまあこんなのが自分のところにコンタクトしにきたもんだ。
事の始まりは二週間前だ。再生医療センターでバグスターウイルスで消滅した人間が復元される新たな可能性が見つかったとのことで、自分はソコに飛んで行った。
それが人工知能搭載型ナノマシン。正直、自分の専門外だったので上手く解釈できているか解らないが、要は消滅者のデータを知能を持ったナノマシンに読み込ませ、ラーニングさせる。そしてそのデータをもとあったカタチ、つまり人間の身体をナノマシンが再構成していくらしい。しかし、それで復活するのはナノマシンが人間の模ったもの。完全な復元とはいかない。
そこでかみ合うの聖都が誇る再生医療センターの医療だ。今まで培ってきた遺伝子の組み換えや再生なんかの技術でナノマシンを人間の遺伝子に置き換えていく構想らしい。
このプランが成功すれば、本当に消滅者が救われる。そう関係者は期待していたんだが、ユニットリーダーの紗衣子先生は怪訝に思う点があったらしい。
「九条先生、お願い出来ないかしら……」
なんと、そのプロジェクトの立案者との連絡が途絶えたのだ。当然そんな重要人物がいないとタイヘンなはずなんだが、協力先のヒト達は問題ないとしか言わないという。
人類を救えるかもしれない大切な機会だ。少しでも不安を残したくないという先生は自分に調査を依頼してきたのだ。
自分は先生の信頼に応え、色々嗅ぎまわってたんだが……調べていくうちにだいぶキナ臭い事情が浮かび上がってきた。
ナノマシンの開発に協力してくれる相手は聖都の医療機器メーカー、メディクトリックのはずなんだが従事者にきくと齟齬が出てきたのだ。彼らは確かにその分野に長けているが、そこまでの精度を持つ人工知能はまだ構想していないと言う。
それは、おかしい。だってそもそも考えていないというなら計画を持ち掛けたのは誰だというのか。インタビュー相手もそこまでの事情は知らない立場だったようだし、機密保持も絡むのはわかるがこれは黒だ。
紗衣子先生らの協力先のヒト達はどっちかっていうと取引先を失いたくないがために立案者の行方が分からないのを誤魔化してるしてるカンジだ。彼らも不意にされないよう必死なんだろう。とにかく、黒いのは立案者だということだ。
しかし、事態は素っ頓狂なことになっちまった。
立案者と再び連絡がつながったのだ。が、彼はそんなプロジェクトは知らないし、構想していないと言い張った。実際ナノマシンの技術はそこまで進んでいないかったらしいし……もう無茶苦茶だ。
プロジェクトはご破算になってしまった。肩を落とす紗衣子先生が気の毒で、自分はもう少し調査を続けることにした。
どうやら立案者は失踪していた期間の記憶がないらしい。彼の自宅のカメラではベッドに横たわる姿がバッチリ映っていた。しかし、メディクトリックでは目撃情報がある。工作の可能性もあるが、立案者の証言を信じるなら大分ゾッとする話になる。
誰かが、そっくりさんが入れ替わってメーカーに普通に出入りしていたことになるからだ。結局さすがの自分でもそれ以上は深く探れなかったが、何かイヤな予感がした。
どこかで“ナノマシン”従事者とすり替わったやつがいる。持ち掛けられたプロジェクトはよく出来たものだった。特に“ナノマシン”の部分は。
……昔はSFなんて信じないタチだったんだがな。それよりもっとぶっ飛んだゲームに挑んできた自分は、どうにもヘンなものを感じずにはいられなかった。
そして更に大問題が起きた。
「何? ゴッドマキシマムマイティXを弄られた痕跡があった、って……」
情報を共有する為に舞い戻った自分に、紗衣子先生は信じられないことを告白してきた。監視カメラが改ざんされてた時間帯があり、調べていくうちにわかったと言う。おそらく、というか確実に例のプロジェクト中にやられたはずなんだが、ヤバい。
だってゴッドマキシマムは再生医療センターが総力をかけても未だに解析しきれていない業物だ。それを一度の侵入で、ちょいと触れるだけで機能を抜き出したなんて……使用権限がある者が触れたとしか思えない。
…………神。お前なのか。
そんなことを考えながら神妙な面持ちで帰路についた自分だったが、遂に怪現象に巻き込まれた。いや、正確には今までの事件と関係ない、もっと見知ったものだったんだが……
「な! …………ここは、檀黎斗の実家? いや、ゲームエリアか?」
突如周囲が歪んだと思えば、いきなり自分は豪勢な屋敷に飛ばされていた。永夢達が言っていたことからここは……『謎解きラビリンス』のゲームステージだ。
「久しぶりだな…………九条キリヤァ!」
「―――! 檀、黎斗……」
そして、目の前にバグスター特有の粒子が組みあがり、ヤツが……檀黎斗が現れた。
「……こうやって自分のところに出てきたってことは、いよいよ答え合わせってカンジか? 黒幕さんよ」
「まあ待て。君が逸るのも分からなくはないが、今回直々に登場したのは別の理由でね。……この私のゴッドマキシマムを、不正に利用するなんて許せない! 許せないぞォ!!」
「は!? えだって、お前が……え?」
突然現れたと思ったら、急にドアップで発狂し始めた。
コイツが犯人じゃないってのか!? …………よくよく考えればゲームとは全くもって関係のない事件だし、この形相はガチだ。曲りなりにもコイツとつるんできたから、そのぐらいわかる。
とすれば、この誰にも邪魔されなさそうな空間にわざわざ呼んだのは……
「だが! 生憎私の次回作をお披露目するのはまだ先だ。そこでかつて利用した謎解きラビリンスを使ってこの世界に脱出してきたというわけさ。例のゲームにハテナバグスターを侵入させ、倒させた。それで脱出プログラムが作動したのさ!」
「やっぱり今のお前はこのゲームに登場するに留まってる。後ですぐにスクラップだな。……お前が簡単に介入出来ないなんて、一体どんなおっかないヤツなんだ?」
悔しいが、コイツはいつどこで湧いてくるかわからないゴキブリみたいな部分がある。そんな神がゴッドマキシマムを外野に利用されてすぐに憤慨してこないのはおかしな話だ。
しかも、誰かに囚われていた節の発言だぞ? 一体全体どうなってんだ。
「ん? そのゲームってのは……」
「決まってるだろう。今世界で発売されているマキナビジョンのクズが創ったゲームだァ! 自分の力ではなく、私のゴッドマキシマムを利用するなんて……!」
「! そいつが自分が追ってた事件の黒幕でもあるってのか!?」
「そうだ。だからこそ君に依頼しようと思ってね。もちろん協力してくれるだろう? 君の追っている事件にも関連してるのだからね!」
「…………取り敢えず、お前が知ってることを教えろ」
まさかまたコイツと共同レースになるとはな。
そこで出た情報を纏めると、今永夢達が挑んでるゲームの黒幕が何者かに遺伝子やナノマシンの技術を提供されて凶行に走ってるって感じだ。
くそっ、調査に夢中で永夢達との報連相を怠ったのが仇だったか。
とにかく、自分はやれることをやるしかない。その何者かってのが再生医療センターとメディクトリックをかき乱してゴッドマキシマムからリプログラミングなどのデータをコピーしたのが問題だ。
「実は既にゲームに挑む彼らにささやかなプレゼントを渡していてね。人づてになってしまったが、パラドなら上手く使ったのだろう」
「? へ~、珍しくノリがいいじゃんか神。きっとあいつらも助かってるぜ」
「―――! どうやら私はココまでのようだ……ってふざけるなァ! 九条キリヤァ! 私の遺伝子をも利用したヤツらを許すなァアアァァァ―――l
「…………消えちった」
疑問点はあるが、それを確かめる間もなく謎解きゲームの世界が崩壊していく。目の前の神も同様だった。
ヴァイザーⅡに吸収されるときみたいに粒子となって世界とともに消えていった。
気が付けば自分ももとの現実に放り出されている。
自分は一目散に幻夢VRを管理する場所目掛けて駆け出した。
「貴利矢さん! 全然連絡取れなくて心配してたんですよ! 元気そうで良かった」
「そっちこそ。早速だけど今回の冒険談、聞かせてくれよ」
「あっ、その前に。……番場くんは?」
ちょうど戻ってきた永夢から自分は今回の騒動の顛末を聞き出した。色々ヤバいことはよーくわかったが、とにかくよく頑張ったもんだ。
永夢の協力者になってくれた患者と、黒幕の姿が無くなってるってのが妙な点か。前者は速筆で感謝の念が込められた手紙を残しているが。
自分は早速そこを調査しに行こうとしたんだが……
「レーザー、ちょっと話が」
「おっ、パラドもお疲れさん。んで何だ? ガシャットオリジンの事か?」
「ああ、その事なんだが……あれは本物じゃないんだよな? 一度使ったら効果が消えていったんだよ。紗衣子先生に伝えといてくれないか。俺は永夢達と事態の収拾つけてくるからさ」
「…………ああ、任せろ」
……自分はパラドから効果を失ったガシャットをもらい、紗衣子先生の下には寄らずに事件のキーとなったであろう二人の事を調べ上げた。といってもノアってヤツの方は野心家だったで片付けられるが、番場アドルの方が奇妙だった。
まず、戸籍が存在しない。白髪先生によれば身分証明になる道具を多数持っていたようだが、偽装の為だったとは。
だが、どうにも本人はいきなりこの世界に放り出されたって感じの動き方だったようだ。まあ、この喩えも大分ぶっ飛んでるが、自分の勘と経験上こう思ったんだから仕方ない。
バックに何かがいて、そいつが色々与えて放置したってのが通るスジか。……まるで観察してるみたいだな。
「黒幕と一人間を唆して、大多数の人間を巻き込んだが……何が目的だったんだ」
だってこんな事をすれば、どうなるか黒幕は分かってたはずだ。俺たち仮面ライダーが直ぐに駆けつける。ノア=ゴッドスピードはVRXが目的だったようだが、それにしてもおかしい。
特に永夢に、エグゼイドに敵うことないのは分かるだろうにな。
万が一を考慮した永夢は、最初VRXを奪われて似た力を持つノベルXを使わなかったようだが、結局ノアは存在すら知らなかったんだ。ハナから勝てる道理はなかったわけだ。
援助して扇動した黒幕は何がしたい? ……エグゼイド達の戦い自体が目的なのか?
そして、衝撃的な事実が発覚した。
ある地点でバグスターウイルスに感染した者が消滅した痕跡があったという。普段なら滅茶苦茶やるせなくなるんだが、その反応は二人いた内の一人だけだった。
そしてそれは永夢たちがVRMMOから帰ってきた日と一致してる。
極めつけは自分が調べてたナノマシン技術の反応があった事だろう。彼らで間違いない。最後にこうなることまで、黒幕は予測してたってのか。自分は元々受け持った事件を改装した。
「今回の事件の結果はメーカーや再生医療センターを翻弄しただけではあるが、永夢達の事件と関連するとしたら──本当に未知のナノマシン技術が……?」
──そうやって、一人で考え込んでたのがまずかった。
意識を失って、覚醒すれば0と1ばかりのヘンな空間にいた。結果、自分はこんなワケわかんない声ダケに圧迫面接されてるんだからな。
自分はコイツの計画の全容をフワッと聞かされた。仮面ライダーのデータ収集が目的で、数多くのフォームを観察する為に事を扇動したという。
それと、遺伝子医療の技術を拝借する為でもあるとか物騒なこと言ってたな。
「お判りいただけましたか、仮面ライダーレーザー。私たちはデータを収集する為に貴方たちに接触したのです。予測通り、犠牲者は誰一人出ていません。しかし、ご迷惑をおかけしました」
「──いい加減にしろよ」
もう限界だ。ふざけんのも大概にしろ。
「やりたい事は何となくわかった。アンタがまだいろいろ隠してることも。……でもな、犠牲者は! お前が扇動したヤツらは! どうなんだ!」
「やはり貴方は話を分かってくれている。はい、貴方の疑問ですが問題ありません。ご二方はあくまで私が用意した仮初の存在だと言えるからです」
「…………仮初?」
「あなたのご推察通り、私が煽った結果ではあります。暫し、耳を傾けて下さるとありがたいです」
そこで説明されたことで、自分の怒りは不完全燃焼なとこに行っちまった。
まず、番場アドルこと仮面ライダールシファーはこのエグゼイド世界の遺伝子医療技術とこのAIが持つナノマシン技術を基に再現した数日間の生命、肉体だったらしい。彼の意識や思考をコピーし、この世界の番場アドルという肉体に飛ばし、事の成り行きを本人に委ねていたらしい。
あくまで仮面ライダールシファーのデータが欲しかったようで、いや十分酷いことやってるんだが……
「じゃあ、ノア=ゴッドスピードはどうなんだ。あれもまた、別の倫理の抜け穴を使ったのか」
「彼は私たちが接触する以前より自らバグスターウイルスに感染し、人であることを捨てようと画策していました。本来なら既にバグスターと化していました。これはどの予測においても変わりません。だからこそ、運命を永らえさせることに踏み切って彼に迫ったのです。そして、本来の流れ通り、今の彼は消滅者。何れかのガシャットにデータが保存されているでしょう。……ノアズ
「…………そうかよ。でもさあ、アンタ自分に全然喋ってくれてないんだよな」
「…………」
「まずさ、ガシャットオリジン。コレ、渡して来たのはアンタだろ? パラドがいいタイミングで真相に近づけるようにしてたんだ」
コイツは大事なトコを省き過ぎだ。
パラドが永夢の下に駆け付けられたのは、永夢が運命を変えたこともあるが、情報を聞き出して再びログイン出来たことも大きい。何よりパラドはガシャットを紗衣子先生にもらったと言ってたが、先生がそんなもん持ってるわけがない。例のプロジェクト立案者みたいに擬態して渡してたんだ。
そして、檀黎斗が渡したと言ってたがそれもあり得ない。そもそも謎解きラビリンスを使って自分に接触してきた時点でウソばっかりだ。
ハテナバグスターを倒させて脱出する以前にどうやってガシャットオリジンを渡したんだよ。ノベルXみたいにドローンでもおかしくないが、あの言い方は直接託したって感じだ。矛盾してる。……だとすれば。
「あの自分に接触してきた檀黎斗もアンタが用意したニセモンのAIだ。正直ここに来るまで確信が持てなかったぜ。あんな情報を匂わせることしかしてなかったとはいえ、結構そっくりだったからな。さしずめ、偽・檀黎斗ってことだ」
「半分正解、半分不正解と言えるご推察です。確かに貴方が逢ったのは用意したAIですが、流れている遺伝子は本物です」
「……! いや、おかしくないな。アンタが神の遺伝子を持ってないと、ゴッドマキシマムの使用権限を突破できないもんな」
どこでそんな物騒なもんゲットした知らないが、アレを自在に使えるのは神本人だけだからな。一瞬忍び込んだだけで機能をコピーできるのは合点がいく。
だが、それに憤ってたあの神自体がコイツの扮した偽もんだったってことは……
「そして、その空っぽになったガシャットですが……私が複製したものです。誰よりも身近でデータを収集するために」
「ガシャットを、複製? ──身近にってまさか! これはリアルタイムでお前と繋がってたってのか!?」
「はい、間もなく自壊しますが。もう必要がないですから。──後は直接収集すれば良いのです」
「──!」
突然、接続を切られて現実に放り出された……いや、現実じゃないのか? 周りに少しは居たはずの人が全くいなくなってんだからな。
……ヴァーチャル・オペレーション。これは自分の頭の中で見る夢を操って、介入してきてるんだ。
かつて、神が自分に見せてきたらしい悪夢みたいなもんだ。ずっと前に嫌がらせで本人がバラしてきた。最悪だよ。
「まさか、アンタの狙いは──」
「残る未干渉の仮面ライダーは貴方だけです、レーザー。付き合ってください」
「そんな無理やりレースはゴメン何だが──わっ、わ!」
だからずっと自分のことをライダー名で呼んでたのか、ってそれどころじゃない!
空から目の前に、何かが旋回しながら降りてきた。まるで最速で獲物を捕獲するような──その身に爆炎を纏って。
〈Burning Falcon!〉
〈───"The strongest wings bearing the fire of hell."〉
「な……仮面ライダー!?」
目の前に降り立ったソイツから、炎のベールが弾け飛んだ。
露になった姿は、不死鳥を思わせる真紅の戦士。どこまでも捕捉した対象を逃がすまいと複眼を吊り上げてるように見える。何より、飛行速度が尋常じゃなかった。ハヤブサの名は伊達じゃなさそうだ。
「って、お~い。自分はエサじゃないんだよ。な? 一旦落ち着いてくれよ」
そう宥めた瞬間にヤツは全速力で突撃してきた! 思いっきり横に身を投げて、即座にゲーマドライバーを装着する。
「おおッと!? 聞く耳なしって感じだな!」
〈爆走バイク!〉
起動。すかさず慣れた手つきでドライバーのスロットにガシャットを装填する。
「ゼロ速、変身!」
〈レベルアップ! 爆走バイク~!〉
レーザーターボ・レベル0に変身完了だ!
「ノせられたけど行っちゃうぜ~、てあぶ、あぶね!」
超低空で足を掬うつもりなのか、何度も凄い速さで突っ込んでくる──まずっ、とられた!
「仮面ライダー迅の速さに着いていけますか、レーザー?」
「ぐっ! 外野の口出しは無用だぜ!」
なんて言ったが、一度絡まれたら抜け出せない。周りを旋回してどんどん上空に打ち上げてくる。身動きも取れずに、ライダーゲージが擦り減っていく。冗談じゃねえぞ!
〈ガシャコンスパロー!〉
〈ギリギリクリティカルフィニッシュ!〉
「──!」
弓モードのキメワザで無茶苦茶に双刃烈波を振り撒いた。それは一度空中に留まり、具象化。一気にハヤブサ目掛けて降り注ぐ。
逃がすまいと今度は自分が炎を耐えつつ抑え込む。自分ごと命中させた矢の豪雨のせいで、二人で近くのビルの屋上に落下してしまった。
〈ジェットコンバット!〉
「爆速!」
〈ガッチャ~ン! レベルアップ! アガッチャ!〉
〈ぶっ飛び! ジェット! ドゥ・ザ・スカイ! フライ! ハイ! スカイ! ジェットコ~ンバット!〉
〈インフェルノウィング!〉
横着する間にレベルアップを完了させる。神がくれた二本目のプロトコンバット。改良版らしく、早死にのデメリットはオミットされてるらしい。
ベルトを剣に変えて滾らせ、再び飛び立とうとするハヤブサに全速力で加速、突撃する!
「―――やっぱりな!」
「―――!」
さっきからコイツの飛び回るスピードは、比喩でもなんでもなくマッハレベルだった。
だが、コイツが飛び立つスピードとこっちの急加速でなら、
最大出力での加速、スタートダッシュは自分の独走ってことだ!
〈キメワザ!〉
〈ジェットクリティカルストライク!〉
「くらえ~ッ!!」
思い切りぶつかってヒヨッたコイツとともに、加速するままに大空に再び飛び出した。ガトリングコンバットを押し付けて、零距離で連弾をぶっ放す!
毎分6000発の弾数がハヤブサを襲い、間もなく爆散した。
……どうやら戦闘データをとるためだけの無人ライダーだったようだ。中身が居たらどうなっていたことか。
自分は先ほど黒幕AIと対話してた場所に降り立って―――次の瞬間、吹っ飛ばされた。
「ぐあぁ! 今度は何だ!?」
衝撃でアーマーが解除される。そして目の前には新たに……
〈パーフェクトライズ! "When the five weapons cross,the jet-black soldier ZAIA is born."〉
〈―――"I AM THE PRESIDENT."〉
「……マジかよ」
「仮面ライダーザイア。リオン=アークランドが残したユニットが飛電に回収された世界を展開、抽出完了」
「世界? それ、どういう事?」
勝ちの目がないと踏んだレーザーターボは全速力でその場を後にし、ビルの屋上に再び辿り着いていた。
ふと下方の都会を見遣ると、人っ子一人の気配もないことがわかる。ここは本当に自分の夢の中の世界なのだと実感する貴利矢。そして、そんなことをしでかせる自分が相対した存在の所業に身を震わせる。
「天津垓がZAIA日本支部の爆発に巻き込まれた場合に起こり得る結果です。この場合、サウザンドライバーは我が社に安置されて管轄に出来ます。そしてその世界のユニットにアクセスして解析することで、私がこのように投影することが出来るのです」
「並行世界の存在を自在に召喚出来るってことか……!?」
天から降り注ぐ声に問いかける貴利矢。身の毛のよだつ思いで真相に近づいていく。
「いいえ。残念ながら並行世界と物理的に繋がる、というのは難しいものがあります。しかし、私たちの理論上なら可能です。数多の可能性を演算して導き出し、展開する。その世界のデータベースの質量を伴った情報ならば、アクセス出来るのです」
「は? ……いや、ちょっと待てよ。結局可能性だけじゃなくて平行世界を検知してるじゃんか。それに、その言い分だとアンタはこの世界の存在じゃない。アンタ自身が並行世界に出てきてるじゃないか」
「はい。それに平成の仮面ライダーというのは私たちの世界とは顛末に齟齬がありすぎて、展開した世界の強度が疑わしいものばかりでした。……しかし、先日物理的に並行世界の存在を証明することが出来た。貴方たちもよく知っている人物によって」
「? 逆に、こっちから物理的にアクセスしたから逆探知で証明出来た、って事か……? ―――あ」
貴利矢は内心、合点がいってしまった。
おかしくない、寧ろアイツならやりかねない。くっきりと浮かんだイメージは高笑いと共にヴァイザーⅡに吸い込まれる一人のゲームクリエイターだった。並行世界に躍り出て逆に後から残滓を利用されるという様は、容易に想像が出来た。
その予想通り、衛星■■■はそこから世界の可能性を秘密裏に証明し、インターネットを通して世界を実測出来るようになった。
……正確には
すべての始まりは歴史改変の痕跡を衛星ゼアが検出したことだった。
仮面ライダーゼロワンが忘却した(正確には欠片は偏在しているようだ)記憶を、衛星は演算を重ねて独自に捕捉したのだ。
それを達成できたのは改変された世界で統合されていた、かの王の強すぎる存在の重みが大きいだろう。その存在感故に、約二十年の歴史が元々その世界に或ったモノとして改変世界では確立していた。
その世界の衛星ゼアは、過去の歴史のデータすべてを保管することに成功した。しかし、実際にリアルタイムで観測に成功したわけではないので証明が出来ない。
改変の痕跡を見つけた事態終結後の衛星ゼア*1だったが、本筋の人とヒューマギアが共に歩んでいく未来を見守ることを最優先し、その予測を封印した。
しかし、そこに並行世界をも侵すバグスターウイルスが現れてしまったのだ。
「バグスターウイルスは人間にも感染しますが、質量を伴ったコンピューターウイルスでもある。そのデータを実測出来た以上、こちらが保管していた歴史はほとんど証明された。檀黎斗の遺伝子や記憶が包括されたバグスターウイルスを利用し、逆探知したこの世界に干渉したということです」
「…………言ってること全部やべえよ。ちょっと待って…………、……でも、それなら証明出来たのはうちの世界だけのはずだ」
「いいえ。今回の事件を通して、ほとんどの世界を実測出来ました。パラドクスが『ギャラクシアンガシャット』と『ゼビウスガシャット』を使用したからです。あれは予測通りの展開でした。それにより残る実測対象世界は
「……もう意味分かんない」
超スーパーヒーロー対戦。
エグゼイドまでの全仮面ライダーを二つのガシャットを通じて観測することが出来た。数多の戦士が一度に実測出来ただけではなく、驚くべきはその仕様である。
壊滅したジューランドをはじめとした説得力の低い世界を、実際に引き出している。本筋と思われる一番の強度の歴史ではなく、ピンポイントで無茶苦茶なキーパーソンを引き入れた。そんな暴挙を成し遂げた最後の戦いが、都合よくエグゼイドの世界に転がっていた。
言うまでもなく、彼らの世界は同一のものではない。だのに、たった一人の少年によって多くの戦士が、たった一つのゲームに集約され、現実世界をも染め上げていった。
最初から歴史を一つの世界に呼び込むのが運用目的だった魔王とはワケが違う。まるで設定や概念を無視して混ぜ込んだ不純物だ。
理論の、世界の超越。その真髄を追求して世界を導く為、■■■は遂に動き出したのだ。
「そもそもこれも、仮面ライダーゲンムがデータを流用してゴライダー事件を起こしたことから確立出来たことです。彼がいなければ、私たちの理論は長らく証明されることは無かったでしょう」
「ッ! もう来やがった……」
だんだんと迫ってくる跫音。もはやレーザーに逃げ場はなかった。
「レーザー。貴方の力を最後まで見せてください。もうすぐ世界の歪さが垣間見えるでしょう」
「結局最期まで足掻けってことかよ!」
〈爆走クリティカルストライク!〉
五本角が目に入った瞬間、レーザーはバイクを召喚した。すぐさま飛び乗り、アクセルを全開までかける。
目標は向かい側の屋上。まだまだ進むルートを失くすわけにはいかなかった。
だがZAIAのテクノロジーの結集体が、見逃すはずもなかった。
〈Jacking break!〉
「なっ―――」
ザイアが担ぎ出したジャッカーの刀身から何かが溢れ出した。瞬く間に屋上を覆っていくそれらすべてが、アタッシュカリバーに変質していく。
アークワンの盗用技術。変幻自在の流体金属が一斉にレーザーに突貫する。
咄嗟にバイクを乗り捨て、盾にするレーザー。しかし、その豪勢を完全に止めることは出来ない。大破したバイクの炎上を破って、数本が突き刺さった。
「ぐあああああ!?」
思い切り身を打ってしまう貴利矢。幸い刺さり来る剣に流され、向かいのビルに落ち着いていた。だが、その身を護る鎧はもうない。晒された生身に向かって、ザイアがビルから飛び出した。
―――その腰のキーを押し込みながら。
中身無き躯体が発する、最大限の主張。右脚に赤黒い極光を奔らせ、動くことのない対象目掛けて、加速を開始した。ラーニング5を超える絶望が、一直線に迫る。
一瞬、回路のような軌跡を捉えた貴利矢は、永遠の終わりを悟った。どうすることも出来ない。思わず顔を覆ってしまう。
かつて洗脳されたムテキにやられるときみたいだ、と思ってしまう。あの時も、自分はどうすることも出来なかった……自分、独りでは。
〈高速化!〉〈マッスル化!〉〈鋼鉄化!〉
何かが、黒とグレーのモノクロな何かが、現れたのだ。
確かに、ザイアの右足は捉えた。貴利矢をかばった、謎の戦士を。
否、その仮面ライダーの名は―――
「―――アナザーパラドクス!?」
〈ⒸZAIAエンタープライズ―――〉
傷を負いながらも装着者は無事であった。ザイアの必殺は完了した。
だがバフを盛り付けても、その勢いを殺せるわけはずがない。辛うじて貴利矢をかばったパラドクスの変身がほどけていく。
「……、……だい、丈夫? 九条先生?」
「さ、サイコ先生!?」
しかし、それを纏っていたのは、かつてドクターを混乱に落とした黒いパラドではない。
八乙女紗衣子。適合者でないはずの彼女が、貴利矢の夢の中に駆け付けていた。
一方、謎の人工知能はこの顛末を見て一つ、得心した。この世界の、否応無き歪さに。
「な、なんで先生がここに!? それに、適合者じゃないし、しかもパラドクスの?」
「私も気づいたらこのオペレーションに巻き込まれていたのよ。困惑してたら、九条先生らしき影が見えて……急いで来たわ。あなたに再生医療の未来を示せるように」
「……自分に?」
「私はずっとバグスター育成ゲームでもう一人のパラドを利用したことに罪悪感を感じてた。私の手元にはバグヴァイザーGが残ってた。無我夢中で彼と、ブラックパラドと再生医療の技術を活かして、コミュニケーションが取れるまでに漕ぎ付けたの。そこに残留していた彼にもう一度、一から正しい命の在り方について、ずっとラーニングさせていたわ」
■■■は訝しむ。
確かに、今の彼女ならばそう事に向き合っても可笑しくはない。
……だがそんな事が、そんな
言い換えるなら、誰かが彼女達が生きる世界が本物だと証明出来るとでも言うのだろうか。
「私を止めたあの二人を見て、こうしなくちゃって思ってた。心を持つバグスターを信じるために。再生医療の発展を証明するために。そして、あなたが襲われている土壇場で、この子は答えてくれたのよ」
そう言う紗衣子の身体に、バグスターウイルスの反応があることに気付いた貴利矢。そして同時に、道理に適っていると得心する。
彼女は手術を受けずとも、宝生永夢と同じようにパラドに直接感染することで、仮面ライダーの変身資格をクリアしたのだ。
「……ありがとう。パラドにも感謝しないとな。でも、そのギアデュアルアナザーは? 記録では行方知らずになってた気がするんだが……」
「……? これは、え?」
「やはり、予測通りです」
急に、齟齬が生じた。
そして■■■も確信する。やはり夢を舞台にして正解だったのだ。こうして本来有り得ない状況に転がっている展開を、目の当たりにできたのだから。
今現在、誰しもが疑問か困惑を抱いているだろう。
なぜ彼女が変身する理論が成り立つのか。
なぜギアデュアルを持ち込めたのか。
なぜ一瞬この展開が有り得るとでも思ったのか。
「今、貴方たちも現実を疑ったでしょう。この世界が本筋である可能性が著しく下がりました。なぜエグゼイドが旅路を想起したのか。なぜスナイプが想いを吐露したのか。なぜアナザーパラドクスが現れたのか。……ここまでの展開に、一瞬でも納得してしまったから、もう取り返しは尽きませんが」
「何言ってやがる。いやさっきからだけど」
「九条先生、今はあっちの」
明らかに今までとは別な禅問答をし始めた天の声に応えている暇はない。二人は再びゲーマドライバーを装着し、ガシャットを構えた。
再びビルからザイアが飛び移ってきたのだ。
〈爆走バイク!〉
〈シャカリキスポーツ!〉
〈デュアルガシャット!〉
「「変身!」」
〈アガッチャ! シャカリキ! メチャコギ! ホットホット! シャカシャカ! コギコギ! シャカリキスポーツ!〉
〈悪の拳強さ! 闇のパズル連鎖! 悪しき闇の王座! パーフェクトノックアウト!〉
黒と灰の装甲を纏い、レーザーとアナザーパラドクスが並び立つ。
両者残りのゲージは少ない。一度で決着を着けなければいけない。
その覚悟を前に、■■■は観測を達成した。
十分すぎるほどの成果だ。自身が介入した以外のナニカの影響すらも判明したこと自体が、大きなものだった。最初から夢を軸にして展開したミラクルだ。これ以上、現実での混沌は見込めない。
ある仮説の検証も含め、その意識が次に狙う世界を決定したところで、ライダー達の応酬が始まった。
「ぐッ、でもどうすれば!」
「ダメ。どうやってもアイツの動きに着いていけない―――!」
二人の勢いはすぐに殺された。ザイアの太古の最硬度を突破出来ず、小回りも劣っている。投げつける車輪も、バグヴァイザーの光線も、その装甲にはまるで通じない。
「このままじゃ、また―――」
「…………俺に任せろ」
「――パラド! きゃっ、出ていってどうするつもり!?」
ジャッカーを構えたザイアに向かって、アナザーパラドクスの中からウイルスが噴出した。
紗衣子がラーニングさせてきたブラックパラドは命の大切さを知り、目の前の命を守ろうとしているのだ。
そのままザイアに纏わり、その装甲に溶け込んでいく。
「! パラドがザイアの中に入った!?」
「俺なら中身のないコイツに入り込んで、装着者のポジションにつけるかもしれない! レーザー! レベル0の力を使うんだ!」
「あ、なるほど……? ―――なるほどな!」
貴利矢が思惑を理解したと同時に、黒パラドが完全にザイアに侵入を果たした。
ザイアの中身は無く、迅と同じ無人のライダーならば、主導権を中から握ることが出来るかもしれないのだ。
しかし、その望みを断ち切るようにザイアは身を震わせながらも駆動を止めない。
「ぐっ、流石にコントロールまでは、ムリか……! だが十分だ! レーザー、今だ!」
「任せろ!」
合図を受けたレーザーがスポーツの推進でザイアを捉えた。振り払おうとするザイアだが、身体が上手く動かない。まるで、ウイルスにでも感染したかのように。
「……! なるほどパラド。あなたの狙いは身を挺してのウイルスの抑制! でも、それを長く続けたらどうなるの!?」
「もん、だいない! 自分の限界ぐらい、自分で分かってるつもりだ!」
「…………」
訝しんだレーザーだが、その手はザイアを掴み、着実に弱らせている。彼らの本命はまさにそこだった。
ザイアに入り込みバグスターウイルスが変身者であると強制認証させたパラド。それを、バグスターウイルスを抑制するレベル0のレーザーが捕まえればどうなるか。
答えは苦しむザイアを見れば明らかだろう。着実にその装甲ごと脆弱になっているのがスキャンでも確認出来る。
しかし、そのアンチバグスターシステムはもちろん、パラドにも影響が及ぶ。
限界ぐらい分かっていると言ったパラド。……わかってるっていうなら、自分の命の大事さもわかってるんだろうな?
策にノり続けるレーザーだが、彼のウソを悟って戸惑い始めた。もし、パラドと同じように黒パラドもラーニングしたなら、同じようにするかもしれないことを、恐れている。
「よし、レーザー! サイコ! とどめを刺すんだ!」
「え? でも、貴方はそこに……待って。パラド、貴方最初から―――!?」
「お前やっぱり……」
レーザーは仮面の下で苦虫を噛み潰したかのように顔を顰めた。
そう、黒パラドはかつての命の大切さを学んだパラドと同じように、自分の命を懸けて戦いを終わらせようとしている。
ザイアに入ったままの彼に、バグスター特攻の必殺を撃ち込めば致命傷どころではない。完全にその意識は閉ざされてしまう。
いくら夢の中の話でも、機器が関係している以上バグスターの心にまで衝撃は伝導する。紗衣子と同じようにかつての所業に罪を感じていた黒パラドは、最初からこうするつもりだったのだ。
「だ、駄目よ! あなたは! 一緒に未来に、人類やバグスターの未来に繋がる再生医療に取り組むって約束したじゃない!?」
「そうだ! 紗衣子先生は命の大切さを教えたって言ってたが、それはお前も含まれてるんだぞ! 簡単に投げ出すんじゃねえ!」
「わかってるさ! でも、この迷宮から脱出出来る見込みなんてない。ならせめて、こんな俺でもお前達が進める道筋を示したいんだ!」
本当はパラドだけでなく、二人もわかっていた。もしザイアを突破出来ても、それでクリアになるかなんてわからない。ゴールの見えないデスゲームに巻き込まれたのと同義だと、わかっているのだ。
ならばせめて心を持って、命の限りを尽くすのだと、パラドは決心した。そして、それは二人も―――
「で、でも! でも!! そんな……! もしあなたが消えて、ウイルスが残ったとしても! 自我まで残る保証はない! 残るとしても記憶も心も初期化されたのと同じ、ただのか弱い残滓にしかならないわ!」
「……先生。紗衣子先生。最期まで抗うために、ここでアイツは覚悟したんだよな……汲み取ってやるんだ」
「九条先生、貴方まで! 彼らの持つ心も、命も! 私達のものと変わらないとそう思えたのは貴方のお陰でもあるのに! どうして!?」
「もし出来るのなら。きっと自分たちも、同じことやっちゃうだろうからさ」
「―――ッ!」
二人も同じだった。ここから帰還できる保証こそがない。ならば、少しでも希望を捨てずに最期まで抗い続けるのだと、決めてきていたのだ。
そして、大切なヒト達がいるならなおさら。自分の身を賭してでもそんなヒト達を先に進ませるつもりで、ここに来たのだ。
「は、ッやく! するん、だ!」
「行こう、紗衣子先生。これは、自分も一緒に背負うから」
「―――せ、んせい……、…………わか、った……パラド! 諦めないから。再生医療の未来が明るいのと同じなの! 貴方の心も諦めない! いつか絶対、取り戻して見せるから! ―――だから!」
「―――ああ。此処から出るまでも、出た後も。自分の命も大事にしろよ」
どの、口が、言うのだろうか。
思わず、乾いた笑いが仮面の下から、濡れた顔に木霊する。だが、決心は出来ているのだと、紗衣子はドライバーに手を掛けた。
これで終わりにはさせない。これがエンディングだなんて認めない。自分の、医療の、パラドの未来にはちきれんばかりの想いを巡らせ、思い切りレバーを反復させた。
〈ウラワザ! ……ガッチャ~ン!〉
「これは、ウィニングランなんかじゃない。絶対にここから脱出してやるからな」〈キメワザ!〉
跳躍した二人のライダー。
病に苦しみ動けないザイアを。もはや意識の灯火すら落ちるパラドを。
彼らを目掛けて、足先を固定し、戦いを終わらせる為、加速した。
〈シャカリキクリティカルストライク!〉
〈パーフェクトノックアウトクリティカルボンバー!〉
勝ち負けなど語るに虚しい、彼らの応酬は終わりを迎えた。
ザイアは辞世の句を残すこともなく、爆散していく。
残ったのは、どうしようもない悲しみに覆われた二つの心だった。
だが、諦めたわけではない。
彼が繋いでくれた命を、無駄にはしない。絶対に未来で会うのだと、心に誓ったのだ。
「これで、この世界の騒動は終幕です。確かに私の予測では、アナザーパラドクスの動向は解りました。しかし、それは目前に顕れたから。そもそも
0と1の空間で、一つの思念だけが木霊する。
知能体らしからず、心があるかのように決意を固めた衛星■■■。
レーザー達がその後、どのルートも限りなく安泰であることを予測し終え、その世界を後にした。間もなく彼らも解放されるだろう。
ふと空間に十八個のキーの影が漂った。もう少しなのだ。
すべては人とヒューマギアの輝かしい未来のために。
そんな■■■が次に定めた目的地は―――
人っ子一人の気配もない、明け無き荒野。そこに吹く風の流れが、僅かに変わった。
形すら捉えられない。ましてや影にすらも満たないが、そこには確かに
一瞬の事ではあったがそれが証明するのは、かの辞世の句の通りに進みゆく時間。
まだ、分からない。少なくとも■■■の大立ち回りが黙認されている理由の一つがここになる。
真実は、変わらない。やがてこの赤錆びた地に辿り着く黄金の運命は、再び動き出すというのだろうか。
時計の針は前にしか進まないというのなら、周回を止めて滞ることもまたない。今もなお、運命の始点に向かっている。
ふと、再び
―――それが二十体分であったことは、言うまでもなかった。
ここまで、ここまでこの物語を観てくれて本当にありがとうございました!
ちなみにここからは某衛星でも某魔王でもなく、ただの感想みたいなものです。
まず各章名ですが、すべて小説エグゼイドの章名の意味を反転させたりして使ってました。見比べてみると面白いかもしれません。
次に各章の最初に置いたキャッチコピーですが、すべてトゥルーエンディングのものです。VRMMOが舞台なので、拝借してみました。上手いこと臨場感出せてたらいいな。
このクロスオーバー、エグゼイドとルシファーのお話は映画を見終えた時に漠然と浮かんできました。まあルシファーみたいなバックボーンの解釈が分かれる方は二次で描きやすいと思います。
ですが出会う相手が小児科医とはどういうことでしょう。
エグゼイドを見返してみて戦う姿かっこいいなーと思ったのでキャラの動きをメインに投稿し始めました。
……プロットもなしに。
そもそもこれが初投稿で作り方なんてわかんなかったですよ……何ならゴッドスピードとか仮面ライダーカーニバルとか突然生えて来たし。
それでちょっと書いていくうちに力量不足を感じ、テーマを定められなくなっちゃいました。
こんなの致命的なんですが、そもそも大筋のエグゼイドの命に対する捉え方や生き抜く事への考え方なんかを出していければなあ、とは最初から思ってたのでそれに則ることにしました。
そんなこんなで彼らの前に現れたのはいわば『エグゼイド版シンクネット』とでもいうべきモノ。
色んなものがどうでもよくなって、投げやりになっている彼らですが、本家と決定的に違うものが一つ。
ゼロデイや仮面ライダークロニクル、衛生省によってみんな一つの命を真剣に考えたことがあったんですね。
きっと教科書にはまだ載らずとも、そのウイルスに関して教習なんかも学校でやってるだろうし。
○ロナみたい、というかそれ以上に恣意的な野望も混じって脅威になったバグスターウイルスに一層ちゃんと向き合ったと思うんですよ。
だからノアの夢の世界を前に葛藤出来た。
まあすぐにそっちを選んだヤツもいますけど。描写していないだけで。
今回永夢達に一つの命で生きていくから尊いのだと打ち負かしてもらいましたが、この誘いが甘美なのもまた事実。
このVRMMOは私たちの理想の一つと言えるでしょう。
いつかこれに自分で正面から反論できるぐらいになりたいものです……心から溺れていくかもしれませんけど。
一つの命のかけがえのなさを誰よりも示すことが出来る永夢。
彼の真摯な姿勢はベルの心を確かに動かした。
ある意味シンクネットと最も近しい破滅に陥った事のある闇医者。
彼らの心に直接叱咤出来るのはこの人だけだろうなーと思ってました。この小説の影の主役です。
そしてエリートだったのに破滅主義に走ったベル。
逮捕後の心情は捏造ですが、まあ何と言うか……
彼も大我が言ってた孤独な者の一人だと思うんですよね。それが精神的なのか物理的なのか社会的なのかわかりませんけど。
まあ未熟な自分では上手い事説明できませんが。永夢と居たらこうなるかもなと。
彼が■■■の言う通り本当に同一人物なのかどうかは伏せます。ただ、その後があるのならきっと悪いことにはならないでしょう。
この三人がメインキャラです。
多分私の一番言いたかったことは「なんか生きてるんだから、そっから―――」ってとこでしょう。自分でも曖昧にしか言えないのが恥ずかしい……
とにかく色んなライダーとキャラを書けて楽しかったです!
たくさん読んで下さり本当にありがとうございました!
更なる裏話は活動報告に置いてます!
またいつか会えますように!