Over Your World 作:Satellite WE'RE
「ログイン成功です! 上手くいきましたね、皆さん。番場くん、ちょっとの間だけどよろしくね。大丈夫、君を危険な目には合わせないから」
「はい、わ……ボクも大丈夫です。それに進んで協力したのは自分です。何とか力になれるようにします」
「よっぽどのことがない限り、怪しいお前の力なんて借りねえよ。今回俺達が遂行するミッションはチート同然なんだからな」
「もう、大我さん……。パラド、作戦は大丈夫か?」
「ああ、エムがVRXでこの世界にバックドアを創る。俺がサポートして、スナイプがアドルの護衛な」
「――本当にパラドもログインできるなんて……凄いなバグスターは……」
「だろ? まあ、人間だってちゃんといいところがあると俺は思ってるけどな。……さあ、いくぜ、みんな」
最初は驚かれたけど、番場くんはパラドを受け入れてくれた。むしろバグスターについて興味深々の様子だ。
遂に『Over Your World』介入作戦が始まる。このゲーム一機の最大ログイン人数は三人だったけど、パラドは僕の中に潜んでその縛りを突破。そしてここからは、
〈マイティクリエイターVRX!〉
VRXのスターターを押し込む。そして、その力によってまず、『仮面ライダーがゲームに参入するゲーム』を創造展開。これでスナイプとパラドクスも変身可能だ。
〈デュアルガシャット! The storongest fist! What's the next stage?〉
〈バンバンシミュレーション!〉
「マックス大……」 「だーい、」
「「「変身!」」」
〈赤い拳強さ! 青いパズル連鎖! 赤と青の交差! パーフェクトノックア~ウト!〉
〈スクランブルだァ! 出撃発進! バンバンシミュレーショ~ンズ! 発進!〉
〈天地創造の力! Get Make! 未来のゲーマー! マイティクリエイターVRX!〉
「やっぱりゲームは心が躍るな!」
「ミッション開始!」
「ノーコンティニューで、ゲームを創るぜ!」
未知のゲームに降臨した三人の仮面ライダー。そして俺は早速ゲートを創造する。向かう先はもちろん、このゲームの最上階、ファイナルステージだ。
待ち構えてるのがヤバいステージギミックなのかラスボスなのかはわからないが、多分黒幕はふんぞり返ってることだろう。気を引き締めていかないとな。
「よし、ゲート完成! 行くぞみんな!」
そうして、俺達はゲートに飛び込む。ゲートの中は一直線で、光になって進んでるみたいだ。周りには木々がうねっていてより不気味さが増して……ッて、俺はそんなもん創ってない!
「みんな、干渉されてる!」
「そんな、なんで気づけたんだ! でももう到着するぞ!」
【……それはワタシが心待ちにしていたからですよ。マイティクリエイターVRX、アナタをね!】
……そんなバカな! 俺達がVRXを使ってくるって読めてたのか!? いや、それを待ってたってなんだ!?
その疑問も、この声の目的もすぐにわかるのだろうか。数舜して、俺達は最上階に到達した。
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運営に導かれ、今、私達は天守閣の最上階にいた。そこはゲームのラスボスやステージギミックはなく、ただ真っ暗な空間。完全に誘い込まれたのだ。そばには花家さんがついてくれているが、そもそも私に危害が及ぶことはないと思う。運営……ゴッドスピードの目的は
しかし、本当にM先生があのVRXを使うことを予期していたのなら、狙いはもしかしたら……
「お前が黒幕だな。そしてお前が持っているそれは……」
「マスターガシャットだな。やっぱりクロニクルとハリケーンニンジャをパクって制作してたのか。バグスターウイルスが垂れ流れてるぞ、それ」
「黒幕、てめえがマキナビションの社長か? ……図星みてえだな。さっさとガシャット壊してミッションコンプリートだ」
〈キメワザ! バンバンクリティカルファイヤー!〉〈6連鎖!〉
【そんなものは、ワタシに届かない。……やはりデータ通りだ】
「なっ!? 跡形もなく消えた……? てめえなにしやがった!」
「スナイプだけじゃなく俺まで……? データ通りってどういうことだ、影カゲ野郎」
まさか二人の攻撃を無効化するなんて。失敗に終わったスナイプを見てあざ笑うのは、パラドクスの言う通り影のマントを何重にも纏ったような姿をしている人外。くぐもった、まるで逆探知するときに使うような声。
「本当にお前はゴッドスピードなんだな。プレイヤーを感染させるゲームを作って、俺達をここに呼び込んで、一体何のつもりだ!」
【簡単なことですよ。この仮想世界を完成させ、相応しき人間を救済し、ワタシがワタシのまま君臨する。わかりやすいでしょう。もちろん、アナタたちにも選別の機会はあります。ただし、正攻法ならね!】
そう言ってヤツが手?を掲げると、吸引する小型ホールを出現させる。さらに私達が使用したゲートが再び開かれてしまった。ホールに吸い込まれるのはVRX。さらにスナイプとパラドクスの変身が……
「何ッ!? グッ!? へ、変身が解けて……」
「それだけじゃない、ゲートに引き戻される! こっ、これはログアウトの!」
「あッ! VRXが! お前、最初から俺のVRXを狙って!?」
【何度も言ったでしょう。VRX、アナタを待っていた、と。そしてあなたの推察通り、ライダーの力は使わせません。……フフッフフフ、ハハハッハハッハァー!!】
「うわぁ~~~!?」
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……そうして、私も含めて元居たステージまで引き戻されてしまった。幸いなのは私がプレイした地点まで戻ったのであって、最初からリセットなんてことにならなかったことだろう。しかし……
「そ、そんな。パラド!?」
「クソッ、風魔が見合ったスナイプとVRXと俺、全部ブロックルーチンを組まれてたのか……永夢、意味はわかるよな? どうやら俺は早くも、ここまでだ。俺だけは絶対、追放したいらしい。ムテキをメタって、きてるんだ」
「パラドがログアウトしていく……こっからは俺達で進むしかねえのか」
「くッ、パラド、大丈夫だ。僕達は絶対負けない。必ずゲームクリアしてくるからな」
「いや、俺だってこのm、じゃoわ、れnい、mど、、、くるかrな……」
そう言い残してパラドはログアウトしてしまった。これからはノアの目論見通り、
「VRXは奪われて、風魔と戦った俺達は知らぬ間にマキナビジョンにデータをとられてて、直接枷をかけられたってことか。ふざけやがって」
「……はい。ヤツはVRXを悪用するつもりだ。そんなことされる前に、僕達で進みましょう。さっき創った『仮面ライダーがゲームに参入するゲーム』はまだ残ってます。これで僕らはまだ変身できる。……番場くん、出鼻を挫かれてごめんね。もうしばらく一緒についてきてくれるかな」
「はい、大丈夫です。永夢先生がいてくれればきっと」
きっと、大丈夫だ。私はなにかを見つけられる。となりの花家先生に警戒されてる気がするけど多分大丈夫だ。そう信じよう。
そうやって私達は進む。ボスが望むままに作り替えた
*********
これまた厄介なミッションになりそうだ。
俺達は進むエリアでの動き方についてカンファレンスしていた。現在挑んでいるのは、中学校エリア。徘徊する眼鏡をかけた生徒会役員みたいなエネミーに見つかって、追い付かれたら即ゲームオーバーというものだ。そいつらを撒きながらアイテムを使ってルートを切り開いていくらしい。つまりかくれんぼや鬼ごっこみたいなもんだ。決してお化け屋敷とか、あんな恐ろしいもんじゃない、はずだ。
今は空きの教室ゾーンで身を隠しながら計画を練っている。エグゼイドやアドルが言うには、この場所はゲーム的に敵に見つからないセーブポイントらしい。
結局、レベル50は使えなくなっていた。エグゼイドはパラドクスと断絶されたせいか、ムテキが使えないという。……待て、こいつが使えない理由は本当にそれだけか?
しかし、それは今分かることじゃない。俺は嫌な予感を一旦置いておいて他の事に思考を割くことにした。ずっとやけに冷静、というか馴染んでる一般患者サマについてだ。
番場アドル。俺が拾った患者とは別口でCRに連れてこられた人物。他の感染者と違うのは意識が初めて目覚めたこと、持ち物がやけに少なかったことぐらいだ。やたら身分証明に使うもんばっかり持ってたな。そして、協力者にさせているわけだが……そう、この目だ。
俺に対してだけ、観察するような視線をかけてくる。いや、それだけじゃない。随分とエグゼイドを気にかけてる、ように見える。
それに今のこの展開は、なにか違和感を覚える。コイツは俺達にこのゲームの情報を提供したが、感想は主観ばっかりだ。パニクって連結しない証言ならまだしも、ずっと落ち着いてたコイツは言葉を選んでたんじゃねえか?
今すぐにでも洗いざらい吐かせたいところだが、もし本当に敵とつながってたら追放されちまう。今はなあなあにしてでも前に進むことが先決だ。
というか、普通の手順を踏んでたら通常版発売まで間に合わねえ。ここからは第弐戦術だ。
「あっ、ちょっと大我さん! いきなり変身して……相手が干渉してきたらどうするんですか!」
「ロックかけられてないガシャットがあった。少なくとも今、レベル2は脅威とみなされてねえんだ。それにてめえの方が慎重にすべきなんじゃねえのか」
「あ、そうですね。VRXにちか……奪われることがないよう慎重に見極めないと」
口を滑らせかけたな、エグゼイド。
こいつが見極めると言ってるのはガシャットの使い時だ。VRXはブロックルーチンをかけずに直接奪われた。ピンポイントでだ。それがどういう条件で奪い取れたのかはまだわかってない。それに観察されてる可能性もある。
ゴッドスピードは最初からあのガシャットが目的だった。どんなゲスい使い方したいのかは知らねえが、似たガシャットを使えば二の舞になる可能性がある。だから相手の絡繰りがわかるまで使用は控えるべきなんだ。
「さあ、道をあけやがれ! エネミーども!」
そう言って、俺はガシャコンマグナムライフルモードをぶっ放す。敵対者はまとめてぶっ飛んでいく。……なまじリアルな眼鏡野郎な分、嫌な感覚が伝うが関係ねえ。
いつの間にか、優位の立場が逆転してしまっている。もうジャンルは鬼ごっこどころかゾンビものみたいだ。向かってくる奴らをどんどん返り討ちにしていく。
しばらくして俺達は次のセーブポイントに到着した。しかし、そこで予想外の事態が発生した。
「あれ? ……そんな、永夢先生、花家さん。セーブが出来てません!」
「そんな! っ、なんの衝撃だ!?」
「おい、エネミーが入り込んできてるぞ! ここは安全地帯じゃねえのかよ!」
「……やっぱり。『Over Your World』のゲームがリアルタイムで書き換えられ始めてる!」
――ハッ、望むところだ。相手が無法ならこっちも容赦しねえ。
俺はガシャコンマグナムをハンドガンモードに切り替え、迫りくるエネミーへ迎撃態勢をとった。