今日はクラスがいつもより賑やかだ。なぜだろうかと考えていると不破から声を掛けられる。
「修学旅行一緒の班にならない?」
そう言えば今日は修学旅行の班を決める日だった。オレはそれを承諾する。そして奥田も誘おうかと思ったら茅野という先着がいたようだ。
「すみません綾小路君。同じ班になりたかったのですが・・・」
「いいんじゃないか?お互いに友達を増やせる機会だ」
「そうですね。お互い楽しみましょう」
オレは不破の班に入る。
「なんでオレを誘ったんだ?オレとはそこまで仲よくない」
修学旅行という大きなイベントで自分と仲がいい人と過ごしたいはずだ。
「そんな固いこと言いますか~。まあ、これを機に絆を深めようとおもってね」
それならありがたい。変に同情とかされてたならこちらの気が重くなる。
オレは不破の班に入る。メンバーは前原、岡島、千葉、速水、岡野、中村、不破、オレの8人班だ。
オレたちは京都で暗殺を手伝いすることになる。
鳥間先生から聞く話だと、プロのスナイパーを手配したそうだ。殺せんせーは各班に付き添う予定のようだ。
旅行をしながら任務をする暗殺旅行だ。
オレたちは回るコースを決めている所に殺せんせーが教室に入ってくる。そしてマッハで辞書みたいのをオレたちに渡す。
「一人一冊、修学旅行のしおりです。」
辞書かと思ったらしおりだった。分厚すぎだろ・・・
「ヌルフフフ、先生は皆と旅行をするのが楽しみで仕方がありません。」
殺せんせーはウキウキしながら言う。そしてオレたちも修学旅行にテンションが上がっていた。
翌週の修学旅行当日。オレたちは新幹線のホームで集まっていた。
オレたちが集まっている所に先生たちも到着する。
「ご機嫌よう。生徒たち」
そして遅れて優雅に歩いて来るビッチ先生。なぜかハリウッドセレブみたいな格好で来ている。
「女を駆使する暗殺者としては当然の事よ。良い女はファッションにも気を遣わないと」
それはそうなんだが・・・目立ちすぎだと思うんだが。
「目立ちすぎだ。着替えろ、どう見ても先生の格好じゃない」
鳥間先生も同じことを思って注意する。
「堅いこと言ってんじゃないわよ鳥間。ガキ共に大人の旅のーーー」
「脱げ、着替えろ」
鳥間先生が反論を言わせないような警告をする。
ビッチははしゃいでいたテンションを落とし、着替えに行った。
そして新幹線の出発の時間になり、オレたちは乗り込む。
電車が出発し、オレたちは席に座る。京都まで時間がかかる。それまで何をするか・・・
そう考えていると前原が言い出す。
「人生ゲームやろうぜ。俺この為にボード持ってきたからよ」
「いいね」
「やろやろ」
班の皆も賛成してた。オレも賛成する。
オレは人生ゲームをルールを知らないのでルールの説明書を前原から借りて読む。
「綾小路、お前人生ゲームしたことないのか?」
オレが説明書を読んでいるのを疑問に思ったのか前原が聞いてきた。
「そうだな・・・聞いたことはあるがやったことがない」
オレがそう言うと皆が驚く。どうやら誰しも一度は経験するゲームのようだ。
不破が言う。
「じゃあ今日から極めて人生ゲームマスターを目指そう」
いや・・・そこまでやるつもりはないんだが。
そうしてオレたちはゲームを始める。
やってみると楽しくて夢中になってしまう。
そしてゲームが終わり、オレは4番という中途半端な順位だった。
「あ~楽しかった。綾小路君は楽しかった?」
1番になった中村がオレに聞いてきた。
「ああ、楽しかった。また機会があればやってくれるか?」
それを聞いた皆は笑っていた。
「そんなに固くならなくていいって、綾小路君って面白いよね」
「そうそう私たち仲間なんだし」
オレはクラスに馴染み始めている気がした。これだけで修学旅行を経験して良かったと思った。
「そう言えば殺せんせーは?」
オレたちが遊んでいる時殺せんせーはいなかった。
「うわ!!!」
すると渚たちの班の所で叫ぶ声が聞こえてきた。
「なんで窓に張り付いている殺せんせー」
「ヌルフフフ、
「いやぁ、疲れました。目立たないように旅をするのは大変ですねぇ」
「てか外で国家機密がこんな目立っちゃ駄目じゃない?」
「その変装も近くで見るとバレバレだし」
ヅラと付け鼻で変装しているが、鼻の方はすぐに取れてしまう。すると菅谷が新しい付け鼻を殺せんせーに渡す。
「おお!すごいフィット感!!」
「俺こういうの得意なんだ。」
「すげーな菅谷」
皆が菅谷に注目している。確かに美術の才能とかはこの学校では表に出にくいからな。
「修学旅行でみんなの意外な一面とかこれからも見れるかもね」
茅野がそんなことを言う。
確かにそうかもしれない。オレは修学旅行が不思議なものだと思った。
オレたちは旅館に辿り着いていた。
「(ぐったり)」
「殺せんせー、一日目で瀕死なんだけど・・・」
「新幹線でグロッキーとは」
殺せんせーは乗り物に弱いようだ。今にも吐きそうな顔色をしている。
岡野がナイフを振り下ろしても当たらない。酔っていてもナイフは難なく避けれるようだ。
「・・・神崎さん、どう?日程表見つかった?」
「・・・ううん」
その近くで何やら困った様子の茅野と神崎のやり取りが聞こえてきた。
「神崎さんは真面目ですからね~、独自に日程表をまとめていたとは・・・でもご安心を。先生手作りのしおりを持てば全て安心」
「「それ持って歩きたくないからだよ」」
あんな重いもの持って歩く人はほぼいないだろう。
「確かにバッグに入れてたのに・・・どこかで落としたのかな?」
そうして、修学旅行一日目がおわる。
二日目班行動、オレたちは班行動だ。オレたちは映画村でチャンバラショーを見ている。
「間近だと刀の速度すげーな」
「早く魅せるよく練られた動きですねぇ。先生こういうの大好きなんです」
オレもこのチャンバラショーを見ていて面白いと思っている。ゆっくり見たいがオレたちにはスナイパーの暗殺のサポートをしなければならない。
「敵が優勢になった。先生危ないからこっち」
中村が殺せんせーをナイパーが打ちやすい場所に誘導する。
しかし殺せんせーは突然マッハでチャンバラに参加し始めた。チャンバラの衣装も着ていて、殺せんせーを知らない人から見てバレていない。
激しく動いていることにより、さすがのスナイパーも打つことができず、失敗に終わった。
暗殺が失敗し、殺せんせーは別の班の所へ行ってしまった。ここからは自由時間だ。
そしてオレたちは京都を満喫した。
「お土産屋によっていかない?」
中村が提案する
「いいね」
皆賛成しお土産を買おうと店に入る。オレも何を買おうか考えている時、電話が掛かってきた。奥田からだ。
オレは店を出て電話に出る。
「大変です。高校生の不良に襲われています」
奥田が小声で言う。恐らく奥田は隠れているのだろう。
他の人たちが殴られていることが電話の音で判断できた。
「隠れていることはいい判断だ。今は動かないほうがいい。落ち着くまで待っていろ」
しばらくして不良たちは去った。
「他の人は無事か?」
「カルマ君と渚君と杉野君は無事ですが、神崎さんと茅野さんが連れ去られてしまいました」
電話越しだが、赤羽がキレている。赤羽がやられるということは不意打ちでもされたんだろう。
「綾小路君どうしましょう、私何をすればいいのか」
茅野と神崎が連れ去られたことに慌てている。
「慌てることはない。誰か殺せんせーが作ったしおりを持っていないか?」
「はい。渚君が持っています」
「なら良かった。確かそれに拉致られたことについて書いているはずだ」
「・・・本当だ。僕達のやるべきことが書いてある」
潮田が少し安堵したように言う。
声だけでも少し落ち着いてきてることがわかる。
オレのできることはもうないので電話を切る。
電話を終え不破がこちらを不思議そうに見ていた。
不破も店から出ていたようだ。
「綾小路君って・・・」
「なんだ?」
「私と同じ種類の人だったのか?」
・・なんだ?突然何を言い出すかと思えば・・・
「なんのことだ?」
「今の電話の話を聞く限り他の班、綾小路君に電話をするということは奥田さん班が何かトラブルにあっている。」
どうやらオレの声を聞いてたようだ。しかもいきなり高レベルな推理を披露する。
「普通の人はそんなことがあれば慌てたり同様したりする。しかし綾小路君は何事も無かったように指示を出していた」
「つまり不破は非常事態の時に同様したりしないと?」
「そうよ。私漫画が好きでね、普段から漫画を読んでるとね、普通じゃない状況が来ても素早く対応できるのよ。つまり綾小路君も漫画が好きなんだね?」
同じ種類ってそういうことか。しかしオレは漫画というのをあまり知らない。人生ゲームとかもそうだがホワイトルームで切り捨てたものだからだ。
「悪いが不破、オレとお前は違う。オレはたまたま殺せんせーのしおりで見ただけなんだ。それが無ければ冷静でいられなかったさ。それに漫画というのも今まで少ししか読んだことがない」
「・・・そっか残念」
不破が少しがっかりした。しかしオレは漫画というのを読んで見たいと思った。漫画を読めば素早い判断ができるのかどうか気になった。
「もし良ければオレにおすすめの漫画を教えてくれないか?」
「いいの?やったーこれで仲間ができる」
不破の表情が明るくなった。
オレたちがそんな会話をしていたら中村たちが店から出てきた。
「あれ?二人はもう買ったの?」
そう言えば買ってなかった。
「ああ、ちょっと電話をしていてな。直ぐに買うから待っててくれないか?」
中村から許可を得てオレと不破は急いで買う。とていっても結局どれを買うか迷って時間がたつ。それを見ていた中村たちが笑っていた。
結局映画村のチャンバラのストラップを買うことにした。
奥田からメールがきて茅野と神崎が無事だということもわかった。
そしてオレたちは旅館に戻る。風呂から上がり、皆のいるところに行くと神崎がゲームをしていた。
「すごい手さばき、プロなみだ」
杉野曰わく相当上手いようだ。神崎も楽しそうにしており、先ほどの出来事が無かったかのようだった。
「「綾小路君」」
後ろから奥田と潮田に話しかけられる。
「先ほどのことはどうもありがとうございました。」
「皆無事だったんだな」
「綾小路君のおかげでパニックにならずに済んだよ」
「大したことはしていない」
オレは神崎や茅野を救ったり、不良たちを返り討ちにすることもしていない。
「でも普通あんな状況になったら慌てると思うけど」
赤羽も話に入ってくる。
「そんなことはない。しおりを見ていなかったらパニックになっていたところだ」
「でもすごいページ数だったよね?それを全部読んだの?」
「ぱらりと読んだだけなんだけどな」
「ふ~ん、そっか。」
赤羽は中間テスト以降オレを探るような目で見てくる。
一度に5人停学したことについて何か疑っている。
「まあいいや。おかげであいつらをボコボコにできたし」
赤羽が満足しながら言い他の皆のところに行ってしまった。不良たちが少し可哀想だと思ってしまった。
それからオレは奥田と潮田から先ほどの状況を詳しく聞いた。殺せんせーが助けにきて10人くらいの不良たちを難なく倒したらしい。マッハ20だから余裕か。
オレは思ったことを言う。
「殺せんせーはお前たちが連絡してからどのくらいの時間で来たのか?」
「一分くらいかな、なんか増援する不良たちを手入れしていたからね」
ということは連絡をしてすぐに来たということか。
やはりオレたち生徒を大切にしているということがわかる。
「やっぱり、殺せんせーはすごいな」
「そうだね。殺せるといいね。卒業までに」
「はい。絶対に殺しましょう」
殺せんせーは化け物だ。目も鼻も耳もいい。オレたち人間以上の機能をしている。
しかしさすがの殺せんせーも目の届かない所では助けることは出来ないということか・・・
これはいい情報だな。使えるかもしれない。
必ずあんたを殺すさ、殺せんせー。
読んでいただきありがとうございます。
誤字などがあれば訂正します。