「おはようございます」
今日は二人目の転校生が来る。
「ヌルフフフ、前回の律さんの時は甘く見ていましたが、今回はそうはいきませんよ」
殺せんせーも十分警戒していた。
「同じ暗殺転校生として何かしらないの?」
原が律に聞く。
「本来私と2人で同時に転校する予定でした。しかし二つの理由で予定が変わりました。」
律が皆に説明し始める。
「一つ目は彼のメンテナンスにより時間が遅れたこと。そして二つ目は・・・私の性能では彼のサポートに不十分だから」
殺せんせーにダメージを与えた律でさえその扱いとは・・・皆の表情が強ばる。
いったいどんな転校生がくるのか。
すると突然ドアが開く。オレたちは全員教室にいる。
つまり転校生だ。
入ってきたのは全身真っ白の着物。頭も同じく白い布で覆われていて、眼光だけが見える。
彼は教室に入り、すっと手を前に伸ばす。そして鳩が出た。身構えていたほとんどがそれに驚いていた。
「ごめんごめん、驚かせたね。転校生は私じゃないよ。私は保護者、まあ白いし・・・シロとでも呼んでくれ」
その男は軽く笑っていた。
転校生ではなかったようだ。彼は自己紹介を終え立ち止まった。そして誰かを見つめている。
ここからじゃよく見えないが渚たちがいる方を見ていた。
「何か?」
「いや~皆、いい子そうですな~。これならあの子も馴染みやすそうだ。では紹介します。おーい!イトナ、入っておいで」
シロがそう言うとちょうどオレの席の後ろからの気配が大きくなっていく。まさかな・・・
ドカンッ!!
すると転校生はドアからではなく、後ろの壁を粉砕して入って来た。
「「いやドアから入れよ!!」」
「俺は勝った。この教室の壁より強いことが証明された」
イトナがブツブツとつぶやく。また癖の強い転校生が来たものだ。
「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。あぁそれと、私も少々過保護でね。しばらくの間は彼のことを見守らせてもらいますよ」
それにしても・・・
「ねぇイトナ君、ちょっと気になったんだけど。今外から手ぶらで入って来たよね。外どしゃ降りの雨なのに・・・なんでイトナ君は一滴たりとも濡れてないの?」
そうだ。大雨なのにイトナは全く濡れていなかった。
するとイトナは回りをキョロキョロ見てから赤羽に言う。
「・・・お前はたぶんこのクラスで一番強い。けど安心しろ。俺より弱いから、俺はお前を殺さない」
イトナはクラス全体を見て赤羽が一番強いと思ったようだ。それにしても妙に殺気立っている。
「俺が殺したいと思うのは、俺より強いかもしれない奴だけ」
席から立ち上がり、殺せんせーへと近づいていく。
「この教室では、あんただけだ」
「強い弱いとはケンカのことですか?力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ」
「立てるさ」
手が届く距離まで迫り、イトナは殺せんせーを見上げた。
「だって俺たち、血を分けた兄弟なんだから」
「「き、き、き、兄弟ーーーー!?」」
「負けた方が死亡な、兄さん」
衝撃的な発言を残し、放課後に勝負だと言ってからみんなの視線は彼に釘付けになっていた。
昼食事・・・
イトナは凄い勢いで甘いものを食べていたり巨乳グラビア雑誌を読んでいた。殺せんせーと同じか・・・。
兄弟が真実なのか、それとも殺せんせーを動揺させるためか、それはまだわからない。それにイトナが雨で濡れていないのも無視できない。
まあどちらにせよ放課後になればわかることだ。
放課後
机が並べ変えられ、四角い枠となって、教室の中心に闘技場が出来上がった。
オレたちは教室の隅っこで中心にいるイトナと殺せんせーを見守る。
「まるで試合だ。こんな暗殺仕掛けたのは初めてだ。」
「ただの暗殺は飽きているでしょ殺せんせー。ここはひとつルールを決めないか?リングの外に足が着いたらその場で死刑!!どうかな?」
シロがルールを提案した
「なんだそりゃ負けたって誰が守るんだよそんなルール」
「いや、皆の前で決めたルールを破れば先生としての信用が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだ、あのての縛り」
杉野の言った言葉を赤羽が否定する。殺せんせーの性格を考えたら赤羽の言う通りで間違いないだろう。
「良いでしょうただしイトナ君、生徒に危害を加えてはいけませんよ」
「分かった。では、試合…開始!」
その瞬間、何かが弾け飛んだ。そしてオレたちの目は、ただ一箇所に釘付けになった。
弾け飛んだ殺せんせーの触手ではなく。イトナの生やしていた触手に。
なるほどな。兄弟とはそういうことか。
全部触手で弾けるから雨の中でも濡れていなかったという訳だ。
殺せんせーから殺意を感じる。
「どこで、どこでそれを手に入れた…、その触手を!」
殺せんせーは顔を真っ黒にして怒っていた。
「君に言う義理はないよ殺せんせー。でもこれで分かっただろう。生まれも育ちも両親も違う。けれど君とイトナは正真正銘の兄弟さ。しかし、随分怖い顔をするねえ。嫌な事でも思い出したかい?」
全て知っているような口でシロは言う。
「シロさん、どうやら貴方にも話を聞く必要がありそうだ。」
「聞けないよ。死ぬからね」
シロの袖口から紫色の光が放たれる。その光が殺せんせーに放射された瞬間、硬直した。
「!?」
「この圧力光線を至近距離で照射すると、一瞬全身が硬直する。全部知っているんだよ、君の弱点はね」
そして硬直した殺せんせーをイトナが攻撃する。
「殺ったか?」
「いや、上だ」
殺せんせーは天井にいる。脱皮で回避したようだ。
だがシロは予想通りといった顔をしている。
「でもね殺せんせー、その脱皮にも弱点があるのを知っているよ」
そして再びイトナによる攻撃が始まる。殺せんせーはギリギリで避けている。先ほどよりもスピードが落ちている。
「その脱皮は見た目よりもエネルギーを消耗する。自慢のスピードも低下するのさ。加えて腕や足の再生も結構体力を使うんだ。」
シロの言っていることは本当のことだろう。事実殺せんせーはかなり焦っている。
「また触手の扱いは精神状態に大きく左右される。今現在どちらが優勢か、一目瞭然だろうねー」
潮田は対先生ナイフを強く握りしめて悔しがっている。他の皆もそうだ。当然だろう。自分たちの手で殺したいのだから。
「さて、次のラッシュにも耐えられるかな?」
「ここまで追い込まれたのは初めてです、一見愚直な暗殺ですが実に周到に計算されている。あなた達に聞きたいことは多いですが、まずは試合に勝たねばなりませんねー」
殺せんせーは当然のように勝つつもりでいる。先生の残りの体力的に勝つ方法・・・あるにはある。
「まだ勝つ気かい?負けダコの遠吠えだねー」
そう言うシロに殺せんせーは指をさす。
「シロさん、この暗殺方法を計画したのはあなたでしょうが・・・ひとつ計算に入れ忘れている事があります」
「無いね。私の性能計算は完璧だから」
シロは自信満々に言う。今のやり取りで確信した。勝つのは殺せんせーだ。
「殺れイトナ」
シロの指示でイトナが殺せんせーに攻撃をするが殺せんせーは避ける。すると次の瞬間イトナの触手にダメージが入った。
床に対先生ナイフが落ちていたからだ。マッハで潮田のナイフを奪って床に置いたのだ。同じ触手だから同じようにダメージを受ける。
殺せんせーは触手を失い同様しているイトナに脱皮した皮を被せて外に放り投げた。
ルール上、イトナが敗北したことになる。
「先生の勝ちですねぇ。ルールに照らせば君は死刑。もう二度と先生をやれませんねぇ」
殺せんせーは舐めた顔をしながら言う。
そしていつもの表情に戻る。
「生き返りたければこのクラスで皆と一緒に学びなさい。性能計算では簡単に計れないもの、それは経験です。この教室で経験を盗まなければ君は私には勝てませんよ」
「勝てない・・・俺が、弱い・・・?」
殺せんせーの言葉でイトナの様子がおかしくなった。
黒い触手。完全にキレている。そしてイトナが勢いで殺せんせーに向かっていく。
しかし殺せんせーの所までたどり着くことはなく、イトナは倒れてしまった。シロが麻酔針を撃ったからだ。
「すみませんねぇ、殺せんせー。どうもこの子はまだ登校できる精神状態じゃなかったようだ。転校初日になんですが、しばらく休学させていただきます」
イトナを抱えながら言うシロを殺せんせーが止めようとする。シロの白衣に触手が触れた瞬間、殺せんせーの触手が溶ける。
「対先生繊維、君は私に触手一本も触れられないよ。じゃあね、殺せんせー」
そう言ってシロとイトナが教室をでた。
皆は静まっていた。恐らく聞きたいことがあるからだ。
オレは鞄を持ち廊下に向かって歩き出す。
「何処へ行くの?綾小路くん」
「用事があるから帰る」
今は放課後、授業は終わっている。竹林とかも帰っているしな。オレも情報を得たいが、後でいくらでも聞ける。
それよりも優先することがある。
オレはシロを追いかけるため教室を出る。
そして外に出てシロを見つけ、オレは話かける。
「どうしたんだい?綾小路・・・だったか。先ほどのことで怒っているのかい?」
「いや、そうじゃない。少し確認したいことがあってな」
「なにかな?」
「あんた、殺せんせーを作った人だろ?」
オレがそう言った瞬間、少し動揺したのがわかる。
「・・・どうしてそう思ったのかい?」
「単純ですよ、あんたは殺せんせーの触手の性質や性格などを詳しく知っていた。それにイトナが触手を出した時に殺せんせーがキレていた。過去に何かあったとしか思えない」
そして先ほどのシロの自信、自分が絶対だと思っている人だ。月を爆破させた失態を殺せんせーを殺すことで取り戻すといったところか。
シロが黙っている中オレは話を続ける。
「安心してください。それを他人に言うつもりはありません」
「なぜだい?」
そう言うオレにシロは不思議そうにしていた。
まあ、話したところで意味がないからな。
そしてオレは本当の狙いをシロに話す。
「ふはははは、綾小路君、君も本当に面白い生徒だね。そんなこと言うとは思わなかったよ」
先ほどまでとは違い、シロが笑いながら言う。
「いいよ、その話、乗ってあげるよ」
答えは決まっていたかのようにシロは言い、去っていった。
それにしても『君も』か・・・。シロが言うオレ以外の『面白い』人とは一体誰なのだろうか。
恐らくシロが教室に入った時にジッと見ていた人だろう。
そして、一目見ただけでそう言える理由はなんだ?
それを明かすためにもオレはシロを利用する。
オレは殺せんせーを殺すたの一手を打った。
読んでいただきありがとうございます。
こうしたら面白いなどのリクエストがあれば感想の所などに言ってください。(それを実行する保証はありませんが)
誤字などがあれば訂正します。