七月、もう夏になる。今のこの状況は地獄だ。なぜなら‥‥‥
「暑い、これじゃ勉強に集中できねぇ」
「だよね〜エアコンがあれば快適なのにな〜。」
「冷房があって快適な本校舎が羨ましいぜ…。」
「エアコンがないとか干からびそう……。」
E組の教室はボロボロの校舎だ。クーラーなんて付いているわけがなかった。
「……温暖湿潤気候で暮らすのだから諦めなさい。ちなみに先生は放課後には寒帯へ逃げます。」
「ずりぃ!」
「俺らも連れてってくれよ殺せんせー!」
「分かりました。……と言いたいところですが、マッハ20でも出来ないことは有るんです!!」
いくらマッハの先生でもできないことはある。それは仕方ない事だ。
「でも今日プール開きだよね?楽しみ~!」
場を明るくさせようと倉橋は発言する。しかしそれすらも地獄なのだ。プールは本校しかない。つまり往復であの道を歩かなけらばならない。
「行きと帰りのどちらか、もしくは両方で誰かが倒れそうだがな。」
皆もそれがわかっていて、ため息を吐く。
「仕方ない。全員水着に着替えてついてきなさい」
オレ達は殺せんせーの言われるままについて行く。
するとその先には殺せんせー自作のプールがあった。
皆は勢いよくプールに飛び込んだ。
皆が遊んでいる中、オレは泳ぐ気分でもなかったのでベンチにすわる。すると隣で狭間が本を読んでいた。
「泳がないのか?」
「私あんまり泳ぐの好きじゃないんだよね」
オレが聞くと狭間が本を読みながら答える。泳ぐのが好きじゃないというより、本が好きと言うべきか。‥‥いやそれよりも‥‥‥
「それは何の本なんだ?」
オレもよく本を読むが、狭間が読んでいたのはオレが読んだことないものばかりだった。
「ククク、これが面白くてね。綾小路君も読む?」
狭間が読んでいるのは復讐小説だった。なんというか、狭間の闇を感じた。
オレが戸惑っていると笛が鳴る。
「木村君、プールサイドを走ってはいけません!!転んだら危ないですよ!!」
「あ、すいません」
殺せんせーが木村に注意する。それで終わりかと思ったら再び笛が鳴る。
「原さんに中村さん、潜水遊びは程々に、長く潜ると溺れたかと心配します」
「岡島君のカメラも没収!!」
「狭間さんも本ばかり読んでないで、それに綾小路君も泳ぎなさい」
注意されてしまった。
次々と笛を鳴らす殺せんせー、笛の音がうるさい。
「いるよねー。自分が作ったフィールドの中だと王様気分になっちゃう人」
「うん‥‥ありがたいのにありがたみが薄れちゃうよな」
「ヌルフフフ、景観選びから間取りまで自然を活かした緻密な設計、皆さんにはふさわしく整然と遊んでもらわなくては」
確かに工夫してプールを作ったのはすごいが、やたらとマナーに厳しいな。
「堅いこといわないでよ殺せんせー、水かけちゃえ」
倉橋が殺せんせーに水をかける。
「きゃんっ」
すると殺せんせーが乙女チックな反応をする。
‥‥え?
「ゆゆゆ揺らさないでください、赤羽君!」
赤羽が殺せんせーの監視台を少し揺らすと、彼は派手な反応を見せた。
「まさか……」
とみんなが呟いたことだろう。
この反応で気づかない者なんていない。
殺せんせーは泳げない可能性が高い。
「いや別に泳ぐ気分じゃないだけだし。水中だと触手がふやけて動けなくなるとかそんなんじゃないし」
震える口笛を吹きながら、殺せんせーは誤魔化そうと手を顔に当てる。その手が、異様にふやけていた
どうやら触手には水を吸ってしまうようだ。
殺せんせーが泳げない事がわかり、授業が終わる。
次の水泳の時間、オレ達のプールが壊されていた。
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