暗殺教室へようこそ   作:あやよ

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寺坂の時間です。因みに綾小路はラッシュガードを着ているため体型がバレる事はありません。


17:寺坂の時間

プールが壊されていた。

 

「誰だよ、こんなことしたやつ」

 

 

 

「あーあー、こりゃ大変だ」

 

 

 

「ま、いーんじゃね?プールとかめんどいし」

 

 

 

皆がプールの惨状に目を向けている中、そんな軽い声が後ろから聞こえてきた。吉田と松田だ。当たり前のように寺坂も横にいた、三人は他の皆とは違いプールの惨状を見ても笑みを浮かべている。

 

吉田と松田は寺坂とは違い、無理に笑ってる。罪悪感が表れているということだ。つまり主犯は寺坂で間違いないだろう。

 

なるほどな‥‥動き始めたということか。

 

「ンだよ渚。何見てんだよ。まさか、俺らが犯人とか疑ってんのか? くだらねーぞ」

 

寺坂が潮田に向かって言う。確かにくだらない。なぜなら‥‥

 

 

「やめてください。犯人探しなんて時間と手間の無駄です。」

 

そして、あっという間に、本当にあっという間に全て直した。

 

壊された椅子は前より頑丈に、浮かんでいたゴミはちゃんと分別されてゴミ袋の中へ。

 

「はい、これで元通り。いつも通り遊んでください」

 

あまりの速さで全てを無駄にされ、寺坂は眉間にしわを寄せる。

 

何を言っても負け惜しみになってしまうと感じたのか、舌打ちしてどこかへ行ってしまった。

 

 

 

昼休み、あれから何事もなくオレ達は昼飯を食べている。

 

 

 

 

うぉ、マジかよ殺せんせー⁉︎」

 

「この前、君が雑誌で見てた奴です。丁度プールの廃材があったんで作ってみました」

 

「すげー‼︎ まるで本物のバイクじゃねーか」

 

吉田がウキウキしながら殺せんせーと話している

 

「ヌルフフフフ、先生は大人な上に漢の中の漢!この手の趣味も一通り齧ってます。しかも、このバイク、最高時速300km出るんですって、そこいらのとは段違い、先生一度本物に乗ってみたいモンです」

 

「アホか、抱き抱えて飛んだ方が速えだろ」

 

違いない。

 

 

吉田と殺せんせーが盛り上がると、寺坂は更に機嫌が悪くなる。寺坂は怒りのままに模造バイクを蹴り飛ばす。

 

「あぁー!!!先生のバイクが!!」

 

「何てことすんだよ寺坂!」

 

「謝ってやんなよ!大人な上に漢の中の漢の殺せんせー泣いてるよ!?」

 

先ほどまで『漢』とか言っていた殺せんせーがオイオイと泣いていた。

 

 

「テメーらブンブンブンブン、虫みたいにうるせぇな!駆除してやんよ!」

 

 

そう言った寺坂は殺虫剤のスプレーらしき物を床に叩きつけた。

 

 

「うわっ、何だコレ?」

 

 

「殺虫剤!?」

 

教室の中が白い煙で充満する。窓を開けていたおかげで、すぐに風が連れ去ってくれたが・・・何人かはげほげほと咳き込んでいた。

 

「寺坂君!ヤンチャするにも限度ってものが…」

 

「さわんじゃねえよモンスター。気持ちわりーんだよ、テメーも、モンスターに取り込まれて仲良しこよしのテメーらもよ!」

 

嫌悪感丸出しの顔のまま、寺坂はずかずかと教室を出ていった。

 

「‥‥何なんだアイツ」

 

「一緒に平和にやれないもんかねぇ‥‥」

 

ギクシャクする中1日が終わる。

 

次の日の朝、寺坂が学校に来ることはなかった。

 

昼休み、オレ達が昼ご飯を食べていると寺坂が教室に入ってきた。

 

「おお、寺坂君!今日は休むのかと心配でした!昨日のことはご心配なく!」

 

そう言って同意を求める殺せんせーの顔はグシャグシャだった。涙かと思われたが、鼻水のようだ。

 

「昨日一日考えましたが、やはり本人と話すべきです。悩みがあるなら相談してください」

 

そう言う殺せんせーに対して寺坂は勝利を確信したような目をしながら言う。

 

「おいタコ。そろそろ本気でぶっ殺してやんよ。放課後プールに来い。てめーらも手伝え! 俺がこいつを水の中に落としてやるからよ」

 

「‥‥寺坂、お前ずっと皆の暗殺には強力して来なかったよな。それをいきなりお前の都合で命令されて皆がはいやりますかって言うと思うか?」

 

前原が呆れながら言う。もちろん彼の言うことは正しい。

 

「別にいいぜ、来なくても。そん時は俺が賞金を独り占めだ」

 

言うだけ言って、笑い声を発しながら、寺坂はまた姿を消した。

 

昨日の今日で反省はしていないみたいだ。そんな態度は吉田と村松さえも呆れさせた。

 

「もう無理。ついていけねーよ」

 

「俺も」

 

当然あんだけ勝手なこと言われたら皆は手伝う気も起きない。

 

「オレは参加するつもりだ」

 

皆が寺坂の暗殺を拒否する中オレは言葉にする。

 

「「なんで!?」」

 

当然オレの発言に皆が驚く。

 

「寺坂には悪いが、恐らく失敗する。オレ達が手伝おうが手伝わなかろうがそれは関係ない」

 

当たり前の事に皆は頷く。オレは言葉を続ける。

 

「だが寺坂は本気で暗殺しようとしている。これをきっかけで何か変わるかもしれないと思っただけだ。オレはこのままのクラスの雰囲気が好きじゃないからな」

 

寺坂にいつまでも妨害されるのは鬱陶しいからな。

 

「彼と打ち解けれる可能性があるのなら、私も参加します」

 

神崎が言う。神崎の言葉に杉野が反応する。

 

「俺も参加するぜ」

 

‥‥先ほどまで嫌がっていたのに急に変えたな。

 

「まあ、今回だけだからな」

 

前原もオレの意見に賛成してくれたようだ。そして次々と賛成する人が増えていく。まあ、大半の人は仕方ないという感じだがな。

 

 

「先生嬉しいです。寺坂君の暗殺に協力してくださって‥‥みんなで一緒に暗殺して、気持ちよく仲直りしましょう」

 

鼻水どころか全身の体液をドロドロと流す先生、そしてその鼻水によって動けないオレ達。

 

「「まずあんたが気持ち悪い!!」」

 

 

こうしてオレ達は水着に着替えてプールに行く。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

殺せんせー視点

 

 

 

放課後、寺坂君の暗殺のためにプールに行きます。

 

するとそこには寺坂君以外の生徒の皆がプール全体に散らばっていました。寺坂君はピストルを持ちながら指示を出しています。

 

 

「なるほど、先生をプールに水に落として皆に刺させる計画ですか。それで君はどうやって先生を落とすんです?ピストル一丁では先生を一歩すら動かせませんよ」

 

私がそう言ったら寺坂君は銃口を私に向ける。

 

「覚悟はできたかモンスター」

 

「もちろんできてます、鼻水も止まったし」

 

「ずっとテメーが嫌いだったよ、消えてほしくてしょうがなかった」

 

彼が私の事を嫌いな事は知っている。それでも私は寺坂君をクラスの皆と仲良くさせたいと思っている。

 

私は舐めた表情をする。寺坂君の暗殺の後でどう手入れしようか考えています。

 

「ええ知ってます、これの後でゆっくり先生と話しましょう」

 

私の煽りが効いたのか、寺坂君は引き金を引く。

 

しかし弾が出ることはなく、次の瞬間プールの堰が爆破された。

 

まずい!!この先は険しい岩場、溺れるか落下するかでしんでしまう。私は急いで皆を引き上げる。マッハでは生徒が耐えれないから慎重に。

 

誰がこんな事、何のために!?

 

触手が膨れ上がっているが関係ない。次々と皆をプールから引き上げる。

 

彼で最後、全員救助したと思ったら触手が私の足をつかんで川に突き落とした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

オレ達は殺せんせーによって助けられた。それにしても派手にやってくれたもんだ。

 

‥‥さて、オレにはやることが残っている。

 

オレは寺坂の方に近づく。そこには赤羽がいた。赤羽は寺坂の暗殺に協力していないからな。爆発した音を聞いて様子を見にきたようだ。

 

「‥‥おれは、何もしてねぇ」

 

消えているプールを見て呆然としている寺坂が弱々しく言う。

 

「話がチゲェよ‥‥イトナを呼んで突き落とすって聞いてたのに‥‥」

 

イトナの名前が出た瞬間赤羽は一瞬驚き、そして納得した。

 

「なるほどね。自分の立てた計画じゃなくて、まんまとあの2人に操られてたってわけ」

 

流石は赤羽、今のでほぼ理解したようだ。

 

「言っとくが、俺のせいじゃねぇぞ!こんな計画させる方が悪りぃんだ。みんなが流されたのも、全部奴ら」

 

<ゴッ!!>

 

赤羽に焦って言い訳している寺坂に、赤羽がその頬を殴る。

 

「標的がマッハ20で良かったね。でなきゃお前、大量殺人の実行犯にされてるよ。流されたのはみんなじゃなくて自分じゃん。人のせいにするヒマあったら、自分の頭で何したいか考えたら?」

 

赤羽はそう言って皆が流された方へ向かう。その時オレの方を向いてきた。

 

「綾小路君、今回寺坂をシロが操ってたんだ。皆の所に行こ」

 

「赤羽は先に行っててくれ、オレは寺坂と話をする」

 

「ふ~ん。寺坂のことなんかほかっておけばいいのに、じゃあ先行くね」

 

そう言って赤羽は行ってしまった。

 

オレは座り込んでいる寺坂に話しかける。

 

「今の話を聞いていた。シロ達に操られたそうだな」

 

「そうだよ、お前も俺の事を殴るのか?」

 

「いいや、それは赤羽ので十分だ」

 

オレは寺坂の隣の岩に座り寺坂に聞く。

 

「お前はこれからどうするつもりなんだ?」

 

「タコがいなければ俺は大量殺人犯だった。そんな俺が皆の前に顔を出せねぇる訳がねぇ。それに元々俺はこのクラスに必要とされてない。退学した方が皆の為になるだろ」

 

今回のでかなり反省したようだ。そして退学するつもりのようだ。

 

しかし想像以上に自分を責めているな。確かにお前は殺人未遂を犯した。それは変えようのない事実だ。だが寺坂、お前は操られた被害者でもあるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シロ‥‥‥‥いやオレ達によってな。

 

 

 

「寺坂、お前は退学する道を選ぶのか。だとしたらそれは逃げの選択だ。お前は逃げずに皆の所に行くべきなんだ。そうした上でどうするか自分で考えるべきだ」

 

 

「綾小路‥‥」

 

オレは立ち上がる。

 

「それに一つだけ間違いを正さないといけない所がある。それはお前はこのクラスに必要な存在ということだ」

 

そう言ってオレは皆のいる所に行く。

 

 




読んでいただきありがとうございます。

寺坂を原作より自分を攻めています。

こうしたら面白いなどのリクエストがあれば感想の所などに言ってください。(それを実行する保証はありませんが)

誤字などがあれば訂正します。

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