小テスト中
いつもなら集中できるのだが今日は無理だった。理由は殺せんせーが壁パンしているからだ。触手が柔らかいから壁にダメージはないがパンチの音がうるさい。
先ほどの体育の授業の後赤羽におちょくられてムカついるようだ。
「ブニョンブニョンうるさいよ殺せんせー!!小テスト中なんだから」
「こ、これは失礼!!」
殺せんせーは無意識で壁パンしていたようだ。よほどムカついていたようだ。
「よォカルマ、あのバケモン怒らせても知らねーぞー」
寺坂は赤羽のことが気に入らないのか、煽り始める。
「殺されかけたら怒るのは当然じゃん。しくじってちびっちゃった誰かの時と違ってさ」
しかし赤羽には効かず逆に煽り返す。
「ち、ちびってねーよ!!ケンカうってんのか?」
「こらそこ!!テスト中に大きな音立てない」
さっきまでうるさかった人が言うことだろうか。
「ごめんごめん俺もう終わったからさ、ジェラート食って静かにしてるわ」
「駄目ですよ授業中にそんなもの・・・ってそれ昨日先生がイタリアで買ったやつ!!」
((おまえのかよ))
「で、どうするの?殴る?」
「殴りません、残りを先生が舐めます。」
もはやコントをみてる気分だ。
殺せんせーがジェラートを取りに赤羽の席に向かう。
次の瞬間殺せんせーの足が溶けた。そこには対先生用BB弾が床に仕掛けられていた。
「あは、また引っかかったー。」
「何度でもこういう手使うよ、授業の邪魔とか関係ないし。それが嫌なら俺でも俺の親でも殺せばいい」
「・・・」
赤羽は席を立ちジェラートを殺せんせーの服に押し付ける。
「でもその瞬間からもう誰もあんたを先生とは見てくれないただの人殺しモンスターだ。」
「あんたという『先生』は俺に殺された事になる」
凶悪な笑みを浮かべながら先生に言う。
「多分全問正解。じゃね『先生』明日も遊ぼうね」
先ほどまでの凶悪な笑みがなかったように柔和な笑みでテストを渡して赤羽はかってに帰ってしまった。
赤羽は頭の回転が早い。先生が先生であるために越えられない一線を見抜いた上でギリギリの駆け引きをしている。
しかし『先生』を殺すか・・・
先ほど赤羽が言っていたことに少し引っかかる。
帰りのときオレは奥田と一緒に帰ることになった。
「綾小路君また明日」
「ああ、じゃあな奥田」
奥田と駅のホーム別れ乗車の前まで行くとそこには潮田と赤羽がいた。
「俺さあ嬉しいんだ。ただのモンスターならどうしようかと思っていたけど、案外ちゃんとした先生で、ちゃんとした先生を殺せるなんてさ。前の先生は自分で勝手に死んじゃったからさー」
「・・・?」
赤羽は夕日に照らされながら不気味に笑っていた。
次の日の朝教室に着くと教卓の上にナイフで貫かれた本物のタコがあった。周りの反応から見てどう考えても赤羽の仕業だろう。
オレは赤羽に聞く。
「なあ赤羽、あれは何のつもりだ?」
「あー綾野くん、いたんだ。」
影が薄いのは認めるが、名前を間違えられ少し落ち込む。
「先生タコ好きらしいじゃん。だから怒らせるためにさ」
「そうか・・・」
先に精神的に攻撃するんだろう。そう考えながらオレは席に座ると殺せんせーが教室に入って黙り込む。
刺されたタコを見たんだろう。
「あ!ごっめーん。殺せんせーと間違えて殺しちゃったー。捨てとくから持ってきてよ。」
「フム、わかりました」
赤羽はナイフを隠しもっている。同様してる先生が来たところを刺すんだろう。
オレがそう分析していると触手の先端がドリル状になった。さらにその瞬間殺せんせーは超スピードでミサイルと小麦粉や卵などの食材や調味料を持ってきた。
「見せてあげましょう、カルマ君。このドリル触手の威力と、自衛隊から奪っておいたミサイルの火力を。」
「・・・」
さすがの赤羽も予想外だったのか驚いている
「先生は暗殺者を決して無事には帰さない!」
殺せんせーは何かを作り始める。
そうして出来上がったのはたこ焼きでそれが赤羽の口に入れられていた。
「あっつ!!」
熱かったのか赤羽は口に入れられていたたこ焼きを吐き出す。
「その顔色では朝食を食べていないでしょう」
「!」
「カルマ君先生は手入れするのです。錆びてしまった暗殺者の刃を。今日一日本気で殺しに来るがいい。その度に君を手入れする。」
「ッ!!」
「放課後までに君の心と体をぴかぴかに磨いてあげよう」
こうして赤羽業の暗殺が始まった。
一時間目~三時間目の赤羽の暗殺が全て失敗している。仕方ないだろう、完全に警戒してる殺せんせーを一人で殺すことは不可能だ。しかしそれでも赤羽の心が折れない。
まだ殺す気でいる。
四時間目
オレたちは家庭科の授業で調理自習をすることになった。オレの班は潮田と杉野だ。
「よろしくね綾小路君。」
「ああ、でもオレはあまり料理上手くないから足を引っ張ると思う」
「大丈夫だ綾小路、俺もだ」
杉野も料理は未経験のようだ。仲間がいて良かった。
調理している最中にオレは潮田に聞きたかったことを聞く。
「赤羽って何で停学になったんだ?」
「そりゃ暴力でしょ」
杉野がそう答えるがオレの言いたいことはそういうことじゃない。
「それはそうなんだが、杉野はいなかったが昨日赤羽が前の『先生』は勝手に死んだとか言ってたからな。もしかしたらただの暴力沙汰じゃないと思ったんだ。」
「綾小路君も聞いてたんだ。僕もわからないんだ。この学校に先生が自殺したということはないからね。カルマ君は中学二年まで成績はトップクラスだった。だから暴力を振るっても何も問題にはならなかったんだ。」
「それまでは問題なかったのか!?」
杉野が驚く。確かに暴力を振るって問題にならないなら前の『先生』が赤羽の見方だったんだろう。
・・・詳しいことはわからないが裏切られたということか?。
勝手に死んだというのはきっと赤羽の中での話なのだろうか。
今オレが考えている中でも赤羽は暗殺をしている。
もちろん成功するはずもなく授業が終わる。
五時間目も終わり皆が帰る中、赤羽はいつも帰る逆の方向へ行く。潮田も何か思うのかオレと一緒に赤羽の向かった場所へ追いかける。
着いた先は崖だった。ダメージすら与えられないことに苛立っていた。
それにしても崖か・・・
オレは赤羽がこの先する事を確信する。
確かにオレもその方法を考えたことがある。しかしオレは実行しなかった。なぜなら一つだけ大きな欠点があるからだ。
それは必ず自分の命を落とすことだ。オレは自分を犠牲にしてまで殺す手段は絶対にしない。相打ちだろうが最終的に死ねば、それは負けなのだ。
しかしそれをオレ以外がするなら欠点が無くなる。
それに先生がどの選択をするのか・・・。
「・・・カルマ君。焦らないでみんなで一緒にやってこう。普通の先生とは違うからさ」
「『先生』ねぇ・・・」
やはり『先生』に関して何か思うことがあるんだろう。
「やだね。俺が殺りたいんだ。変なとこで死なれんのが一番むかつく」
赤羽がそう言うと殺せんせーが来て声をかける。
「さてカルマ君。今日はたくさん手入れされましたね。まだまだ殺しに来てもいいですよ。もっとピカピカに磨いてあげます」
「確認したいけど、先生って命をかけて生徒を守ってくれるの?」
「もちろん先生ですから」
赤羽が銃を取り出した。
「そっか良かった。なら殺せるよ、確実に」
そう言って赤羽は崖から飛び降りた。
「「カルマ君?」」
殺せんせーと潮田が同時に叫ぶ。
音速で助ければ肉体は耐えられない。かといってゆっくり助ければ撃たれる。そして見捨てることもできない。
オレは崖の上から落ちていく赤羽を見下ろす。
この状況をどうするのか・・・。
殺せんせーのとった手段は触手を蜘蛛の糸みたいに粘りを出して赤羽を下からキャッチすることだった。赤羽は殺せんせーに守られ無事だった。
それにしても粘りも出せるのか、さすがに予想できない。もはやなんでもありだな。
「ーーー君。・・・聞こえてる?綾小路君」
オレが考えていると潮田の声が聞こえてきた。
「あ、ああ。まさか飛び降りるとは思えなくてな」
「でも綾小路君あまり表情を変えてなかったよね」
そう言った潮田は納得のいかない表情だった。
どうやらオレは潮田の洞察力を少し甘く見ていたかもしれない。殺せんせーだけを見ているかと思っていたが、この状況にも関わらずオレを観察していたようだ。
「まあ、オレは表情が変わりにくいからな」
そう言って誤魔化すことにした。
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渚視点
カルマ君が飛び降りた。
僕が慌てて崖の端まで駆け寄る。あまりにも予測不能なことをしたからだ。
カルマ君の方を見ていると、少し遅れて綾小路君も来た。こんな状況にも関わらず表情が変わってない。
結局カルマ君は先生に助けられた。ホッとして綾小路君に声をかけた。
「綾小路君」
何かを考えてるのか返事が来ない。
「聞こえてる?綾小路君」
「あ、ああ。まさか飛び降りるとは思えなくてな。」
「でもあまり表情を変えてなかったね」
さっき綾小路君を見たとき表情一つ変えてなかった。
「まあ、オレは表情が変わりにくいからな」
少し綾小路君は不気味だ。僕は人を観察するのが得意だが綾小路君は何を考えているのかわからない。
殺せんせーがカルマ君連れてを僕たちがいるところまで来た。
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「負けたよ、殺せんせー。少なくとも『先生』としては殺せないや。」
赤羽は考えていた手を全て使い切ったようだ。
「でも殺すよ、明日にでも」
先ほどまでとは違い晴れやかな殺意だった。殺せんせーは生徒を見捨てないと知ったからだろう。
こうして、赤羽は殺せんせーに手入れされてしまったのだった。
初めて違うキャラの視点で書いてみました。