中間テストの時が来た。オレたちはテストを受けるために本校にいる。
監督の先生はDクラスの先生だった。イライラしているのか貧乏揺すりや指で机を叩いたりしてオレたちの集中力を乱している。
オレは問題を一問目から見る。やはりこの学校の問題は普通の学校に比べたら遥かにレベルが高い。だが、殺せんせーの授業で解き方を教えてもらっているから冷静でいれば全員解ける問題が多い。
オレは二問目、三問目と次々に解く。そして十問目にしてオレはペンを置く。そしてオレは悟った。
なるほどな・・・あんたも手を打っていたということか。
この問題は授業で教わっていない。つまりテストの範囲内ではないということ。これで全員50位を取ることは不可能となった。
オレは何点とるかを考え、調整する。
テストが終えて、結果発表までE組の空気は重たいままだった。
そして結果発表の時が来る。皆は自分の順位の低さを覚悟してるようだった。
・・・しかし
「あれ?思ったより高い」
「俺50位以内に入っている」
クラスがざわつく。皆自分が思っている以上に順位が高かったようだ。磯貝、片岡は50位以内に入っていた。
殺せんせーが言う。
「どうやら本校で一度に五人の生徒が停学したようです。向こうは集中が乱れて良い点数が出せなかったようですね。」
一度に五人もテスト前に停学することなんて滅多に起こらない。停学した知り合いや友人などは特に全力で挑めなかったようだ。
しかしそんなことがあったにも関わらずオレたちは全員で50位以内を取ることができなかった。
「先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見ていました。君たちに顔向けできません。」
殺せんせーも予期していなかったのかオレたちから背を向ける。
殺せんせーは悪くない。テストの範囲を変える事なんて予想できるはずもない。
しかし後ろを向いている殺せんせーの頭へナイフが迫る。
「にゅやっ!?」
突然来たナイフをギリギリでナイフを避けた。
「いいの~?顔向けできなかったら、俺が殺しにくんのも見えないよ」
ナイフを投げたのは赤羽だった。そして自分の点数を殺せんせーに見せる。妨害されたにも関わらずすべて90点以上。数学は100点だ。総合得点は494で学年で4位という偉業を成し遂げた。
「あんたが先々まで教えてくれたおかげだよ」
暴力行為でE組に来ただけで成績はこの学校のトップクラス。テスト範囲より先へ進んでいたようだ。
「だけど俺はE組出る気ないよ。前のクラス戻るより暗殺の方が楽しいし」
磯貝と片岡も頷く。彼らもE組から出る気はないようだ。
「・・・で、どーすんのそっちは?全員50位以内に入れなかったって言い訳つけて、ここから逃げちゃうの?」
赤羽が挑発する。
「結局さぁ、殺されんのが怖いだけじゃないの?」
先ほどまでの落ち込んでてた空気が変わり始める
「な~んだ先生怖かっただけなんだー」
「それなら正直に言えばよかったのに」
「にゅやーー」
先ほどの様子が無かったかのように勢いよく触手を上げる。みんながニヤリと笑うのに対し、殺せんせーはやる気を出す。
「逃げる訳ではありません!期末テストでリベンジてす」
「「あはははははは」」
殺せんせーの言葉に皆が笑う。とにかくこれで殺せんせーが逃げることはなくなった。
みんなが笑っている中一件のメールが来る。
「どう?上手くいった?」
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今回オレがテストまでにした事はE組が50位以内に入れる可能性を上げるために、本校の生徒全体の点数を下げたことだった。
テスト4日前
オレはA組の軽井沢と連絡を取る。
「今までのテストの順位を見せてくれないか?」
「いいよ」
オレは軽井沢から今までのテストの順位表を見る。やはりA組が一番成績がいい。
「今まで嫌がらせをしていた人って誰なんだ?」
オレは軽井沢に聞く。そして軽井沢は答える。
そいつらの成績はあまり成績がよくない。条件はそろっている。
「明日そいつらを呼び出してほしい!?」
「なにをするの?」
「オレが説得するさ。まずはそいつらをオレたちの見方にさせる」
「わかった、なんかよくわかんないけどあんたならなんとかしてくれそう」
「ああ、場所は人の目が無いところで。人目があると難しくなるからな」
そう言って連絡を終える。
さて、もう本校の生徒はほとんど家に帰ってるころだろう・・・オレはもう一つの用を済ませる。
テスト3日前
<軽井沢視点
あたしは昨日綾小路君の言われた生徒を話があると言って呼び出した。
「なんだよ、話があるって」
「私早く帰りたいんだけど」
なぜ呼び出されたかわからない5人の生徒たち、あたしを疑いの目で見ている。
あたしは早めに切り出す。
「ちょっと待っててね。もうすぐ来るから」
「来るって誰だよ」
「E組の綾小路って人なんだけど」
次の瞬間生徒たちの態度が急に悪くなる。
「やっぱりお前だったのか」
呼び出された生徒の一人である男はあたしに詰め寄り突然言い出す。
「お前が裏切り者だったんだ」
「俺たちをE組に落とす為に」
皆何を言っているのかわからなかった。
「あそこに落ちたらもう終わりだ。お前のせいだーーー」
皆がE組に落ちる可能性を感じ恐怖している。
そして焦っているのかあたしを殴ってきた。今まではいくら何でもそこまではされなかった。
しばく時間が過ぎた。結局綾小路が来ることはなかった。
「やばいな、ついカッとなったわ。まあ誰にも見られてないだろ」
先ほどより落ち着き始める5人の生徒。
「こんなことしてる場合じゃない勉強しないと」
そう言って帰っていく。
あたしはその場に倒れ込む。するとある人が来た。
「大丈夫か?」
綾小路だ。なぜこのタイミングで現れたのだろうか?
まさか・・・
<綾小路視点
目の前で倒れている軽井沢、オレがこのタイミングで現れることによって全てを察する。
「すまないな。オレはお前を利用した」
オレが説得すると言ったことは嘘だ。本当は軽井沢を利用して本校の生徒を停学させること。
オレは昨日本校に行ってあるメッセージを生徒のロッカーに置いた。それは『この学校にE組を味方する裏切り者がいる』だ。
誰も最初は信じないだろう。しかし軽井沢がE組の名前を出すことによって信憑性が増す。
この学校の仕組み的に誰かがE組を抜けたら必然的に本校の人がE組に落とされる。
だから成績が低い生徒であれば焦る。E組に落ちれば『死』と考える人ならなおさらだ。そして衝動的に動いてしまう。
オレは写真を見せる。軽井沢が殴られた瞬間に取った写真だ。それを見た軽井沢は恐れるような目でオレを見る。
「・・・それをどうするの?」
「これを学校に送る。そしたら一気に停学だ」
この学校はA組の価値が高い。赤羽の暗殺の後から聞いたが赤羽はいじめられている人を守るためにA組を殴り、受験に影響するぐらい負傷させE組に落とされたそうだ。
軽井沢はA組だ。赤羽ほど問題にはならないが、停学にはされるだろう。
「別にオレはこいつらをE組に落とすつもりはない。オレの狙いは本校の生徒の集中力を乱すためだ。そしてオレたちE組が全員50位以内を取る。そうすればE組を認めざる得ない」
「とんでもない人ね、あたしを利用して・・・」
「二度と関わりたくないと言われても仕方がないことをした。」
それくらいのことをオレはした。もうオレたちは関わることはない。
そう思っていると・・・
「・・・いいわ、この学校を変えるためならこのくらいのことをしないといけないのかもしれないのね。ジュースのおごりで許してあげる」
・・・ずいぶんと安いな。
「なんかあんたがいればいける気がしてきたんだ」
軽井沢もこの学校を変えたいと強く思っているのだろう。
許してくれたのはありがたいが、仕上げが残っている。
「お前はテストが終わるまで休んだほうがいい」
軽井沢は軽く怪我をしている。無理をしないほうが良いだろう。
そして軽井沢が休めば写真の信憑性が増す。テストを受けなくても、再び学校に来たときに受けさせてくれるだろう。
こうしてオレたちの妨害計画を実行した。本来はこんなことするつもりはなかったが、殺せんせーの宣言で動かなければならなかった。
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テストの結果をメールで軽井沢に伝える。
「あの人自分の教育のためにそこまで・・・」
理事長の妨害のことを言っている。向こうも手段を選んでいないからな。
「だがオレたちE組から3人50組以内だ。妨害されてこれなら上出来だろう。」
そしてE組から出ないから印象が少し変わるはずだ。E組が地獄なら残るはずがないからな。
「あたしはあんたに協力する。何かあったら連絡するから」
そう言って連絡を終える。
理事長はオレをA組に上げたいと言っていたがそれはこの合理的な教育が成り立っているからだ。そして自分の教育を成功させるための条件はE組が底辺でなければならない。だから今回それを阻止する狙いもあった。
だが理事長は2日前にテストの範囲を変えた。オレや軽井沢が知らないのは仕方がなかった。
E組もA~D組も痛み分けということで中間テストを終えた。
軽井沢は綾小路の駒となります。
暗殺には関わらないけどA組との戦いで活躍させるつもりです。
誤字があれば訂正します。