この素晴らしいウルトラ戦士に祝福を!   作:黄青

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UA10000超え、ありがとうございます。

アンケートは6月1日の昼12時に終了致します。

カズマさんのキャラ崩壊注意になると思います。

ここでのカズマさんは、原作をベースに劇場版ガイアの主人公である新星勉の要素を入れたイメージになってます。

冒頭の一部のセリフは、かつて私自身が言われた事のある実話を元にしてます。


第五章〜その③

 

聞いたぜカズマ、小学生になってもウルトラマン見てるだって?

 

おいおい何だカズマ?中学なのにウルトラマンの商品見て、まさか今も見てんのかよ?

 

ハッ!やっぱガキだな!

 

や〜いや〜いこのウルトラオタク〜!

 

 

「…なにを今更ぶり返してんだよ俺は…ちっ…あ〜イライラするなぁ!」

 

怒りに身を任せたまま飛び出したカズマはしばらく自室にこもり、深夜になった頃再び目を覚まし二階のベランダから外を眺めてると、浮かび始めるかつての記憶に対し愚痴をこぼす。

 

「イライラは健康の敵ですよ、カズマ」

 

すると後ろから声を掛けられ振り向くと、寝間着姿のめぐみん、ダクネス、クリスの三人がそこに居た。

“どの口が言えるんだよ”と、主に爆裂魔法によるストレス発生源の一人に対しツッコミを入れようとするも、心境的にその気になれず一息吐くだけに留めた。

 

「あの後どうしてた?」

「アクアさんをじゅんが慰めて余計に泣き喚いたりして大変だったけど」

「泣き疲れたのか今は自室で眠っている。あとじゅんはゆんゆんとクリスと一緒の部屋だから安心しろ」

「そっか…一応はアクアに謝っとくか、返事は期待しないけどな」

 

そう言って暗闇となった景色を再び眺めるカズマに、めぐみんが尋ねる。

 

「カズマ、私達がゆんゆんの様に偶然を装ってここにやって来たと思いましたか?」

「(何かツッコミてぇんだけど…やめとこ)じゃあ何しに来たんだよ?」

「質問で返す行為はあえて目を瞑ろう…あれだけなる程、カズマにとってウルトラマンとは何なのか、それが知りたくなったからだ」

「………」

「二人は兎も角あたしは無理強いはしないつもりだよ…たださ、抱えて溜め込むよりも吐き出す方が少しは楽になると思うんだよね。難しく考えないで愚痴る事だと思ってさ」

 

そう言われるカズマ自身も、あんな事をした以上は訪ねて来るだろうと予想していたが、めぐみんとダクネスはまだしもクリスまで来るとは。

果たしてどうしよう…と思った所で自分には拒否権はないだろうし、クリスの言う事には一理あると考えたカズマはなるようになれと開き直って語り出し始めた。

 

「ふぅ…なんて事はねぇよ、ガキの頃からウルトラマンて言うヒーロー物を見聞きして来ただけの男だよ俺は。んでもってその事を周りの奴等にイジられたりバカにされたりしたから卒業する事にしたんだ…表向きはな。ネトゲを嗜むがてら新しく出る度に周りに気付かれない様コソコソして見てたもんさ。アクセルに来るまでずっとな…まったく…ガキ専用の道楽物だって言うのに全然卒業しねぇなんてほんっとなさけねぇよなぁ〜…ははは」

『……』

 

ヘラヘラと笑いながら言うカズマ。

だがめぐみん達三人から見て分かりやすい程力がなく、自虐的な言い方をするカズマの姿がとても小さくそして痛々しかった。

 

「オレさぁ…本当は今でもウルトラマンが大好きなんだよな。物心がついた時に初めて見たのがウルトラマンだった。怪獣や宇宙人の侵略から地球や人々を護る姿や活躍はほんっとに格好良くて、でもそれだけじゃない。人間側に落ち度があったり害のない怪獣や友好的な宇宙人には手を差し伸べる優しさもあって…俺の理想で憧れの存在だった。大きくなったらウルトラマンみたいなヒーローになるって言う無邪気な夢を持つ位に」

 

“あのカズマにも無邪気なころがあったとは”等と、何時もならそう指摘しツッコまれるやり取りになるのだが、こればかりは野暮にしかならないと考えたダクネスとめぐみんは聞き取りに専念する。

 

「けどまぁ、さっき言った事をされたりあらかた現実を見られる程の歳にもなったから“所詮は子供騙しの娯楽物”って割り切ってたところで本物様ご登場と来たもんだぜ?今思えばホント馬鹿だよな、マジモンのが現れ我ながら結構興奮したんだから。別にじゅんが…巨人が俺の知る“ウルトラマン”じゃないかも知れない、姿形が似てるだけの別物かも知れねぇのに一方的に重ねちまってさ〜」

『……』

「確かにアクアの言う様に俺らしくねぇよな。トラブルは勿論魔王討伐何て面倒事は他の奴等に任せてのんびり暮らす、それがこの俺カズマさんなんだ。この際背に腹は代えられない、使えそうな物はとことん利用しないとな。朝にでもなってじゅんに旨いものをたらふく食わせてやって、何ならある程度の金もあるからそれを担保に条件を持ち掛けても悪くは」

「…無理はなさらないでください、カズマ」

 

そうして合理的な事を呟くカズマに、めぐみんから待ったをかけられる。

無理とは一体どういう事なのか、見当がつかないカズマは首を傾げる。

 

「無理って何の事だよ、別に何時もの事じゃねえかよめぐみん。んじゃ聞くけどよ、お前等から見て俺は何なんだ?」

「姑息でヘタレで小心者で、カスでクズでゲスな行いばかりする」

「巨乳や美女に目がなく、直ぐに鼻の下を伸ばすろくでなし変態野郎です」

「オマケにあたしからパンツを剥ぎ取ってお金を要求する徹底した鬼畜っぷり」

「オメェら容赦ねぇな!?少しは気を使っても良いんじゃないの!?もう泣いちゃうよ俺ぇ!」

 

遠慮なくコレでもかとボロクソに評価する3人に激しくツッコむカズマ。

けれどこのままガヤガヤ騒ごうとする様子はなく、寧ろ思い詰める様な雰囲気を醸し出す。

 

「はぁ〜…ハハハ、でも同時に良く分かってるじゃねえかよ。ああそうだ、俺は小心者のヘタレで打算な事ばかりしか考えない自分の保身優先の最低なダメ人間さ、でもそれの何が悪いんだよ?嫉妬や妬みを持って何が悪いんだよ?他人を羨んで茶々入れて何が悪いんだよ?卑怯な事やって何が悪いんだよ?………好き勝手にやって何が悪いんだよ!!!」

『………』

 

嫌見たらしい笑みを浮かべブツブツ言いながら、突然叫び出すカズマ。

しかしそれはアクアの時の物と違い、溜まりに溜まったストレス含めた憤りのそれであり、当たり散らすかの様に吐き出し始める。

 

「今更迷惑なんだよ!そんなヒーロー物の展開なんざよ!只でさえ俺はこの世界で一時期借金背負わされて散々な目に遭ったってのによ!トラブルメーカーのアクア!爆裂狂のめぐみん!ドMのダクネスに毎度振り回されてばっかりでさ!そんでもっていつも理不尽で不都合ばかりのロクな結果にしかならねぇ事ばかりだ!だったらこれから先を生き抜く為なら他人任せだろうが汚い手を使おうが構わねぇじゃねぇか!咎められる筋合いなんかねぇんだよ!何だってんだよ!?どいつもこいつもこっちの気も知らねぇで!俺はなぁ!」

 

あぐらをかいて癇癪を起こした子供の様に叫び散らすカズマ。

そんな彼に近付き屈んだめぐみんは、拳を丸め強く握る手の内の左手の上にゆっくりと乗せた。

 

「…すみませんでしたカズマ…何時も私達のワガママに付き合わされ振り回し続けて…でも同時にそんな貴方に対して感謝の念を抱いてるのは確かですよ、少なくとも私にとっては」

「…んな聞こえの良い事を言ったところで、今更止めるつもりはねぇんだろ?」

「否定はしません、先程のカズマへの評価も含めて…だからこそ貴方の思いの上を、抱えている本心を知りたいのですよ」

「今のカズマが普段と異なる事はイヤでも分かる…そして私達の知らない面を覗かせてる以上、仲間として放ってはおけない。これ迄の迷惑の罪滅ぼしと言う訳ではないが…遠慮なくぶちまけてくれないだろうか?」

「………これから先も俺は変わる事なんてねぇぞ、小心者のクズで迷わずゲスな鬼畜行為もやり続けるぞ、綺麗でスタイル抜群の女性を前にすりゃ鼻の下伸ばしてカッコつけるぞ、必要ならじゅんの事だって利用するし何なら羨ましい事される度に妬み狂うぞ」

「…カズマの思うがままで良いんです、私達は受け入れますから」

「だから…もう自分を責めるのはやめるんだ」

 

宥める様に言う二人の言葉を聞きカズマは思う。

自分のエゴを最優先するくせにこんな時だけ仲間面する態度に怒りとも呆れとも取れる感情を抱いてた…また何時もの様に残念な態度で答えようものかと考えたが今回ばかりは素直に止めた。

ただそれでも自分の中に湧き上がる区別や判断のきかない感情が押し寄せるのを感じ、そこへ羞恥心か現れ始め止めようとするも“ウルトラマン”と言う憧れの存在が顕にし、結果カズマは震えながらも呟き始める。

 

「…さ…最初にゼファーになって暴れて…ウィズを攻撃して…俺はベリアルやザギの様な邪悪な存在だって決め付けた…でもその後にまた現れて…全く違う戦い方して惨めにボロボロにされて…なのにそれでも這い上がって何度も立ち上がかってさぁ…」

「…うん…」

 

頷くクリスの声を耳にしながらも、カズマは更に続ける。

 

「あ…あれは俺の知ってる“ウルトラマン”だった…どれだけ倒れても、傷付いても、泥塗れになっても立ち向かうウルトラマンその物だったさ。それなのにアクアが魔王を倒す為に利用する事を聞いて…あんな事を言っておいて心の何処かで“良いな”って思ってる自分が居て…益々腹が立って…だから俺は…俺は…!」

 

口だけでなく握り拳からも震えを感じるめぐみんは、それでも手放す事はせずに置き続ける。

そんな光景を同じく無言で見詰めるダクネスとクリス、そして。

 

「俺は俺自身が許せなかったんだよっ!!!」

 

限界に達したカズマは、自身に湧き上がる最も強い想いを曝け出した。

 

「じゅんは本当にすげぇ奴で良い子だよ。怖い中でもゆんゆんやクリス…そして俺達を守ってくれてさぁ、今までテレビやDVDで見てきたウルトラマンや変身する主人公達と同じ事をして…尚更自分がどうしようもなく惨めで情けなくて…アクアの提案する姿がこの世界に来てからの俺自身と重なっちまって…まるでウルトラシリーズに時々出てくるひどい人間、特にウルトラマンメビウスでラスボスのエンペラ星人にメビウスを売り渡そうとニヤケ面で賛成したあの人間…人類の面汚しのゴミカス蛭川の様に思えて…そんな奴にどんだけ俺は腹が立ったのか覚えてる筈なのに…なのに今の俺はそんな奴と対して変わんない事をし続けて…!」

『………』

「空想だから、作り物だからって割り切ってたさ。でもじゅんが…ゼファーの姿やアクアの言葉を聞いて今ここにはいないけどあの“ウルトラマン”が現実に存在してるって思うと…エースの願いの言葉やガキの頃の夢がチラついて…なのに今の俺はどうだよ?真逆の生き方をして…けど今更変える事なんて出来ねぇし…それが益々苦しくてよぉ…!」

 

これまで顕にしない程の苦痛の声を出しながら、カズマは顔を上げ三人を訴える様に見た。

その瞳には後悔やら無念やらの想いが込められた涙を流していた。

 

「俺だって…俺だって本当はウルトラマン達ヒーローの様な胸を張る生き方をしたかったさぁ!誇り高くて目標の的になれる様なカッコイイ人間になりたかったさぁ!けど俺は本当に弱くて情けないウルトラオタクでぇ!後ろ指指されたって文句も言えねぇクソッタレな事ばかりしかできなくてぇ!………なんでぇ俺はこんな風になっちまったんだよぉ…ちくしょう…ちくしょう…ちくしょうちくしょうちくしょう!チクショォォォオオオ!!!…うぅ!…ぐぅ!…ひっぐ!…うぅ!」

 

胸の中の全てを曝け出したカズマは、仲間や知り合いでも三人の女性が居るのにも関わらず空いた片手を顔に付けながら遠慮も見栄もかなぐり捨て子供の様に泣きじゃくる。

そんなカズマの姿を見た三人の内、彼のパーティーメンバーであるめぐみんとダクネスは思う。

カズマの口から聞き慣れない単語が所々出ることもあって全てを理解したとは決して言えない。

それでも、そんな中でも理解できた事が確かにあった。

“カズマはウルトラマンを心から敬愛してる”と言う事を。

だからこそ彼は悔やんでた、敬愛してたウルトラマンに対し相応しい生き方が出来なかった事。

それどころか、カズマ自身も自覚する程に真逆の人生を歩んでしまった事。

それを“空想”と言葉で割り切り辛うじて保ってたが、ゼファーと怪獣の存在によって彼のウルトラマンへの想いが再び目覚めた事を。

故に止めようの無い後悔や自責の念、何処かにいるやも知れぬウルトラマンへの罪悪感が湧き上がり押し潰された事を。

目の前のカズマは年相応且つ貧弱で脆弱などこにでもいる青年…だからこそ、めぐみんはそんなカズマの苦しみを少しでも和らいで欲しく無言のまま彼の俯く顔を抱き締め撫でる。

同時にダクネスも、何も言わずカズマに寄り添い彼の小さくなった震える背中を優しく擦り始める。

 

「くぅ!…っくしょう!…ひっぐ!」

「(カズマ…私達を前にも関わらずこんなに涙を流す程、貴方は今もウルトラマンを愛してるのですね…)」

「(目標の存在が現実にいるともなれば己を責めるのも無理はない…辛かっただろうカズマ…)」

 

様々な呼び名を持ってもカズマもやはりただの人…ましてや憧れの存在の1つや2つを胸に抱く至って普通の男。

これまでも愚痴や弱音を吐く機会は当たり前のようにありながら何だかんだで頼り甲斐があったカズマ。

けれど今の彼は何処までも小さくそして痛々しい。

そんなカズマが泣き止むまで、二人は彼を慰め続けた。

そんな中、人知れずその場を離れたクリスはひと目の付かない所の壁に寄りかかり、カズマの独白を思い出しながら心の中で呟く。

 

「(…カズマくん…ありがとう…例え空想越しだったとしても…いや、だからこそキミがあの御方達の存在を今も尚も思ってくれて…きっとキミなら、あの子をウルトラマンとして導く事が出来る筈…()()()()()()()()()()()()()())」

 

 

 

めぐみん・ダクネス・クリス「…このすば…」

 

 

 




思った以上にシリアスだったので、切りの良い形にしたいので次で五章を終えるつもりです。

因みに、あれから眠ってたウィズはエレキベムラーを倒した翌日に目覚め、且つ彼女の店はダクネスが言った援助によって既に元通りになってます。

活動報告に書いたプロットを載せてみます。

思い付き2のダイジェスト的な続き。

なんやかんやで離れろと言うカズマ達の抗議に渋々従う紅魔族の面々

肩に乗ってた者達の中にねりまきがおり、滑って落ちる所を手の平でキャッチされ優しく降ろされる

その光景を見たカズマはかつての自分もあんな風にしてもらいたいとしみじみに振り返り、あれくらい後で頼んでも良いかなと考え始める

その矢先、肩に乗ってる紅魔の女性達が、あからさまにあざとく怖がりながらゼファーに降ろして貰う様に頼む

「ええからはよ降りれやおどれらぁあああ!」激しくツッコむカズマ
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