この素晴らしいウルトラ戦士に祝福を!   作:黄青

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お気に入り40、ありがとうございます。

総集編的と言っときながら、4つも区切ることになりました。

使ったことのない機能も今回挑戦して使ってみました。


第五章〜その④

あれから泣き続けたカズマは、それなりの時間をつやしながらも漸く落ち着きを取り戻した。

 

「…わりぃ、みっともなく泣き喚いたりして」

「良いのですよカズマ、仲間なんですから」

 

日より気味な返事にめぐみんは素直に答える。

尤も冷静になり且つ恥ずかしい思いが湧き上がった為、それを隠す目的でカズマは何時もの調子で余計な一言をあえて呟く。

 

「…できればダクネスに抱いて貰いたかったな~」

「お前と言う奴は〜!慰められて置きながら何なのだその言い草は!」

「ほ〜ほ〜!何時ものカズマに戻ってきた様ですしこのまま私の素晴らしい“胸”の中で永眠させてあげましょう!」

 

そう言いながらめぐみんは離さないままカズマの顔を本当に潰す勢いで力強く抱きしめる

 

「あだだだだ潰れる!?潰れるっつうかロリっ娘のお前の何処にんな力があるんだよ!」

「言ったな!?言いましたねぇ!?言ってはならない禁句を口にしましたね!?」

「どどどうせ永眠するならダクネスの様な自慢のグレネードの中でぇ!」

「ななな何を言うカズマ!?“グレネード”が何なのか分からずとも如何わしい事なのは容易に分かるぞ!お前如きにはコレで充分だ!」

「あーだだだやめろー!の、脳がいてぇえええ!」

 

めぐみんのベアハッグにダクネスのダブルアイアンクローも加わって、ミシミシと鳴ってはいけない音が出始めたところに。

 

「あはは、3人揃って何時もの調子に戻ったみたいだね」

 

タイミングを見計らった様にクリスは三人のやり取りを笑いながら現れる。

カズマの事で頭がいっぱいの二人は少し驚き、カズマへの制裁を一旦中断する。

 

「クリス、そのすまないな、お前の事を忘れてしまってて」

「良いよいいよ、あたしは気にしてないからさ…それとさカズマくん」

 

親友ダクネスからの謝罪をおおらかに許すクリスは、カズマの方へと向ける。

そこから発する言葉は、クリス並びに本来のエリスとしての本音でもあった。

 

「まず先に言うけどね、キミは自分の事を軽蔑してる人物と同じなんて言ったけど…あたしはハッキリと“違う”て言えるよ」

「え?」

 

クリスからの返答に間の抜けた声を出すカズマに構わず、更に続ける。

 

「確かにきみは狡賢いし、小心者なのに見栄を貼ってカッコ付けて、挙げ句あたしのパンツをスティールで剥ぎ取って返す代わりにそれに見合う金額を要求する程の徹底ぶりだけどさ」

「………俺また泣いて良いですかな?」

「ダメです」

「いいから黙って聞いていろ」

 

二人からのダメ出しに散々に思うも、取りあえずは聞き手に回っておこうと割り切る。

 

「ダクネス達に何だかんだで付き合って、アクセルで度々起こる事件を解決する貢献をしたし…なによりも命懸けでじゅんを助ける為に協力してくれた。オマケにあたしがキミ達の借金を肩代わりする事を断ったし」

「……」

「上手く言えないし無責任かもしれないけどさ、もしカズマくんの言う“ウルトラマン”が本当に居たらさ…きっとキミの良い面悪い面も受け入れた上で…尊敬したり誇りに思うんじゃないかなって思うんだ」

「…だと良いんだけどな」

 

カズマからしてクリスはこの世界の住人の筈なのに彼女の言葉には妙な説得力を感じた為、変に突っ掛からず自虐を込めた力の無い笑みを浮かべ呟く。

それに対してクリスは頬傷を掻きながらも、カズマに送った言葉に絶対の自信と確信を持っていた。

その根拠とも言えるかつて女神エリスとして経験した出来事を脳裏に思い浮かべる。

 

 

-クリス「このすば!」-

 

 

「(数千年前、かつて宇宙を支配していた究極生命体レイブラッド星人が引き起こした大事件“ギャラクシークライシス”。それが収まって暫くの年月が経った時、私とアクア先輩の上司である“テラス様”が現世に降りその際こっそり付いて行ったのが全ての始まりでした)」

「(私は邪悪な宇宙人を目にした途端、テラス様の制止を聞かず悪魔相手と同様に神の本能のまま滅ぼそうと徹底的に交戦しました…ですが相手の方が1枚も2枚も上手だった為に私とテラス様は捕まり…そこで待っていたのは壮絶なる地獄の日々でした…)」

 

“い、いや!こないでこないでこないでこないで!来ないでぇええええええ!”

 

“スペースビースト完全消滅、細胞ノ残留ヲ確認セズ、超次元生命体カラ放出サレシエネルギーヲ、今後セイクリッドエネルギート呼称”

 

“痛覚含メシ感覚ハ我々ヲ始メ、地球人等ノヒューマノイドタイプトホボ同等、更ナルボルト上ゲヲ実行セヨ”

 

“ア"ア"ア"ア"ア"!痛いイタイいたいいだいよぉおおおお!テラスさまぁああああ!アクアせんばぁあああい!もういやだぁあああ!あ、悪魔でも誰でもいいからぁ!た、たすけてぇええええ!ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!”

 

「(私達を超次元生命体と呼ぶ奴等によって繰り返される実験と拷問の日々の中、私はイヤでも思い知らされました…神は完全無欠なんかじゃない…個の存在でしかない…痛みがある以上小さな生命と変わらない…なによりも神の本能に身を委ねたばかりにこの様な事態を引き起こしてしまった私は愚か者であった事を…)」

「(テラス様と共に一生飼い殺し扱いにされると思う中、突如何者かの襲撃に遭った様で、私は好機と思いテラス様を連れどさくさに紛れて懸命に逃げ出しましたが、無情にも見つかってしまい今度こそ終わりなんだと空笑いと共に絶望に苛まれた…まさにその時でした。私達の前に突如として赤い球体が降り立ち、そこから現れたのは)」

 

“あ…あなたさまは?”

 

“チィッ!宇宙警備隊隊長カラ筆頭教官ト共ニ我ラノ邪魔ヲスルカァ!ウルトラ兄弟ガナンバー2!ウルトラマンヨォ!”

 

「(決して忘れる事などできはしません…真紅のブラザーマントを靡かせながら雄々しく堂々とそびえ立つ後ろ姿…私とテラス様をお救い下さった偉大なウルトラ兄弟のお一人であるウルトラマン様の勇姿を)」

「(ですが相手も最後の手段と称して、自身の命を生贄に怨念の塊であるおぞましい怪獣“グランドキング”を依り代の器にし…宇宙の悪魔“ジュダ”を不完全な形でこの世に再び降臨させました…もはやそれは神や悪魔等では括られない超越した存在でした)」

「(けれども…不思議と恐怖を一切感じなかったのです。理由は勿論ウルトラマン様を始めとしたゾフィー様・セブン様・ジャック様・エース様・タロウ様の存在がありましたから。そしてタロウ様を中心に兄弟の皆様は一体化し、ジュダが乗り移ったグランドキングを圧倒し再び消滅させたのでした…その時のやり取りを今もなお覚えています)」

 

オノレェ!忌々シイウルトラ兄弟共ォ!イズレ再ビ必ズヤ復活ヲ遂ゲル事ヲソノ胸ニ刻厶ガイイ!

 

ならば、我らの決意と覚悟をその胸にしかと刻むが良い!

 

光があれば闇もあるならば、闇もあればまた光もある!

 

矛盾と共に光を抱き、生きとし生けるもの達の矛と盾となって守り抜く!

 

それが宇宙警備隊、それが我ら“ウルトラマン”の名を背負う者の宿業であり使命だ!

 

この宇宙に真の平和がもたらされるその日まで、我々は戦い続ける!

 

何度も蘇るのならば何度も葬り去るまでだ!この宇宙から再び消え去れ!ジュダ!

 

 

-タロウ「コスモミラクル光線!!!」-

 

 

「(…大丈夫だよカズマくん、あの御方達はきっとキミの事を認めてくださるから…ね)」

 

地獄の日々でもありながら、同時に偉大なるウルトラ兄弟のファーストコンタクトでもあった忘れられない出来事をクリスは人知れずに思い出していた。

 

「なぁカズマ」

「ん?どしたダクネス」

 

そんなしんみりする中、徐に尋ねるダクネスにカズマが反応すると。

 

「何時でもいいから…是非アクアにしてやったあの剣幕の表情と怒鳴り声を私にも向けてほしい!そのままも悪くはないが、少し手を加えてとことん蔑み尚かつ下劣でイヤらしいダメダメなセリフに改変して欲しいのだ!ハァ、ハァ、ハァ!」

「「「………」」」

 

薄っすらと頬を赤らめながら、発情した雄改め雌犬の如き笑みを浮かべる我らがドMクルセイダーのダクネス。

良くも悪くも空気を読まない彼女に対し、クリスとめぐみんは呆れ果て、カズマは何時もの様にツッコミを入れた。

 

「あいっ変わらずオメェはブレねぇよなぁ〜!」

 

 

-カズマ「このマゾヒストがぁ!」-

 

 

そして翌朝。

リビングに全員が集まる中。

 

「つう訳で、悪かったなアクア」

「な〜にが“つう訳で”よ!女神であるこの私が危うくちびりそうになったのよ!?もっともっと謝って!それでシュワシュワをたんまり奢って私をとことん甘やかしてぇ!」

「(やっぱし謝るんじゃなかった〜!)」

 

大方予想してたとは言え、下手に出た途端喚き散らして要求するアクアに謝罪した事を直ぐに後悔し始めるカズマ。

そんな何時ものやり取りをしながらも、昨夜の出来事もあって今回はカズマ側に肩を持つ事にしためぐみんとダクネスはアクアを宥める。

 

「まぁそう言うなアクア、ぶっきらぼうながらもカズマはこうして素直に謝罪をしてるのだから」

「そうですよアクア、自称とは言え水の女神らしく水の様に寛大な心を持って許してあげてください」

「なんか二人してカズマの肩を持ってる様に見えるんですけど?て言うか私は自称じゃなくて本物の女神アクアなんだってば〜!」

 

別の事で喚くアクアだが、いつもの事とはいえへそ曲がりになった彼女には正攻法では収まらない。

付き合いの長い中でこの様な場合の対処は熟知してるカズマは、早速行動に移す。

 

「ま〜最初から返事は期待してなかったけどな〜、都合の悪い時にウルトラマンを頼る様な女神様にはな〜」

「んなっ!?」

 

驚愕するアクアを他所に、カズマは更に追い打ちをかける為にまくし立てる。

 

「あれだけ散々ウルトラマンなんか大嫌いってほざいてたワリには魔王討伐にすがり付いて任せちまうなんて、曲がりなりにも水の女神であらせられるアクア様がそのように女神のプライドを簡単に放り投げるなんざ、信仰してるアクシズ教の連中が哀れでしかたねぇ〜よな〜。まぁそれも致し方がな」

 

口調も表情も嫌味たらしいそれは正に“ゲスマさん”と呼ばれしそれであり、まだまだ言おうとした次の瞬間。

 

「ゴッドブロォオオオオッ!」

「ぶべら!?」

 

女神アクアの必殺技その1“ゴッドブロー”。

本人曰く“女神の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳相手は死ぬ”…なのだが、ジァイアントトード等の一部には効果が無い。

ただやはり物理な事や不意打ちな事もあり、ゴッドブローをモロに受けたカズマは吹き飛ばされてしまう。

 

「言ったわね!?言ってはならない事を言ったわねカズマ!麗しくそして気高いこの私に限らず、純真無垢で信仰者の鏡とも言われる私の可愛いアクシズ教の皆まで貶す様な事を言ったわね!?良いわよ!ウルトラマン如きに頼る様な女神アクア様じゃないわ!魔王やその他の幹部なんてこの私がボコボコのケチョンケチョンにしてやるんだから!」

 

怒り心頭に宣言するアクアだが、それこそカズマが狙っていた事でもあった。

魔王絡みで困ってる人達に申し訳なく思うもウルトラマンの持つ力並びに活躍の場は宇宙規模が当たり前であり、そう言う観点からしたら人間と魔王軍の戦いは惑星に住む住人同士による派閥争いとも言える。

ウルトラマンとして干渉できるのはあくまで怪獣の様な脅威が現れた場合なので、どちらか片方に向けるのは頂けない。

故にアクアには自立して貰うべく、元々ウルトラマン嫌いな部分を煽って頼らない様促したが効果は覿面であった…のだが、そこはやはりアクアなので効き過ぎてしまったらしい。

 

「そう言う訳だがらガキンチョ悪魔!アンタなんかに頼るまでもないわ!寧ろ今すぐこの場で女神の力を思い知らせてやるんだから覚悟なさい!」

「…ん?」

「いやいやいやいや!ちょっとアクアさん!?」

「勢いがてらにじゅんくんに噛み付かないでください!」

 

怒りの矛先を再びじゅんに向けるアクアにツッコミを入れるクリスとゆんゆんだが、こうなった以上その勢いが止まることはない。

 

「問答無用よ!ガキンチョ悪魔なんかに慰められた屈辱を晴らす為にもここで成敗してやるんだから!」

「子供相手に大人げないぞ…」

「子供相手に大人げないですねぇ…」

 

幼い善意でした事なのにこの仕打ちをするとは。

悪魔関連があるとは言え一応は年上なのに理不尽な事を言うアクアに呆れながら呟くダクネスとめぐみん。

それなら止めるべきなのだろうが、二人は既にこの事態を終わらせる人物が動き出してる事に気付いていた。

 

「さぁ!その間抜け面の眼でしかと刮目なさい!女神アクアの自慢の拳をぉ!ゴォオオオッドォオオオ!」

 

右拳を天高く振り上げ守られてるじゅんにいざ打ち込もうとした直前。

 

「『ドレインタッチ』ッ!」

「ブんぎゃああぁあああぁあああ!!!」

 

少し鼻血を流しながらアクアの首筋を鷲掴み彼女の力を吸い尽くす我らがカズマさん。

その表情はさながら、ヤクザの如き勢いと凄みを持つとある銀行員のそれであった。

 

「ぬふふふ!俺は真の男女平等主義者のカズマさんだぞ、このままやられっぱなしじゃ終わらせねぇ!やられたらやり返す…倍返しだぁっ!

 

 

-アクア「しゅ〜わ〜れ〜りゅ〜…」-

 

 

朝から騒がしいやり取りを一旦終えた面々。

ふてくされるアクアを他所に、カズマは今後の課題を口にする。

 

「さて、漸く話ができるけどまずは今後もあの様な怪獣が現れないとは言えないし、もしまた現れて本当に駄目なその時はじゅんの出番だが…問題はどうやって信頼を得るかだよな」

 

カズマの言った内容を耳にした一同は押し黙る。

最初の出来事がじゅんの意思ではなく操られてた事は既にカズマ達も理解している。

しかし、だからと言って建物を破壊した事実は変えようもなく加えてアクセルの人々は怪獣もゼファーも共に同じ恐怖の対象物となってしまっている。

このまま何もせずに放置してしまえば怪獣は勿論、最悪ゼファーとなったじゅんすらも攻撃対象となってしまうのは目に見えている。

果たしてどうしたら…せめて信じてみようと言う切っ掛けがあれば良いのだが、あるだけの頭で絞る中、ふとめぐみんが徐にダクネスへ質問をした。

 

「ダクネス、あれがじゅんじゅんの意思じゃないのは承知の上で尋ねますが、壊れた家や建物を建て直すのにどれほどの費用が掛かりましたか?」

「そうだな…アクセルの街全体のおよそ1〜2割程が壊滅したようだから、丁度カズマが背負ってた借金の半分と下になる約6億エリス相当になる」

『ろ、6億エリス!?』

「ふっふ〜ん!どうやら私達の勝ちのようねガキンチョ悪魔!」

「お前バカじゃねぇか!なに勝ち誇ってんだよ!て言うか勝ちどころの話じゃねぇだろが!」

 

返済してるが背負ってた借金の額が多い事を自慢するアクアのアホっぷりにツッコまざる負えないカズマ。

 

「…ダク、ネスさん」

「どうしたんだじゅん?あと私の事は今後呼び捨てでも構わないからな」

 

そこへ無言だったじゅんがダクネスに声を掛けると、彼の口から驚きの提案をする。

 

「その…お、かね…ぼく…はら、う」

『ええ!?』

 

まさか6億エリスを自分から返済すると申し出たのだ。

いくら冒険者とは言えじゅんはまだ子供、しかも額の規模を考えれば払い切る事は到底あり得ないし、百歩譲って出来そうでもそれには途方もない時間を掛けなければならない。

余りの無茶振り過ぎる内容にゆんゆんとクリスは思わず異議を唱える。

 

「ま、待ってじゅんくん!いくらなんでも貴方一人じゃ到底払い切れない額なのよ!?」

「うん…でも…そう、しないと…みんな…ぼく…ひどい、こと…した、から」

「…償いたい気持ちは分かるよ、でもこればっかりは…まさかじゅん、キミは()()を使ってまでお金を稼ぐつもりなのかい?」

「………」

 

ソレとは即ちZLとメモリの事であり、クリスからの指摘に俯き何も言い返さない以上どうやら図星のようである。

じゅんの気持ちを理解しつつもそれだけは決してやってはならない、少なくとも私利私欲…までとは言えなくとも考え無しで闇雲に使ってはならない。

注意して言い聞かせねばと考えたクリスだったがそれよりも先にカズマが動き出し、じゅんの肩に手を置いて彼と同じ目線になる様に屈んだ。

 

「じゅん…“大いなる力には、大いなる責任が伴う”」

「…え?」

 

カズマの口から発した台詞にじゅんは少し目を見開き、その間にもカズマは更に続ける。

 

「この言葉はな、俺の故郷にあるウルトラマン以外のヒーロー…正確にはそのヒーローの叔父が言った言葉で結構印象に残ってたんだよな…その叔父の最期も含めて、な」

「………」

「カズマさんってば、ガラにもなく臭いセリフをはい、むぐむぐ〜!?」

「アクア」

「少し黙っててもらうぞ」

 

空気を読まずに茶々を入れようとするアクアを強引に口止めをするめぐみんとダクネス。

そしてカズマは、自身の言った言葉や叔父の最期等をここに居る面々にかいつまみながら合わせる形で語り出す。

 

曰く、そのヒーローはカズマに近い年頃の青年で、ある事が原因で超人的な力を手に入れた。

彼には惚れた娘がおりその娘を振り向かせたく、ある物を買う為に必要な大金を手に入れようとその力を使ってとある格闘大会に参加する事にした。

大会だけじゃなく彼が力を授かった事を知らない叔父だったが、彼の事を心配して先の言葉を送るも年相応の思春期な事もあって鬱陶しい思いを態度に表しながら別れてしまう。

その後大会に参加して優勝するも、向こうの屁理屈でケチった為に約束のお金を貰えず、その直後に強盗犯が現れ襲撃をしたが意思返しによる憂さ晴らしでその強盗犯をわざと見逃した。

そして叔父と再会しようとしたが、その叔父は何者かによって瀕死の重傷を負い…彼の目の前で息を引き取ってしまった。

殺された叔父の敵討ちをする為に自身の力を使って犯人を見つけそして追い詰めた。

でも叔父を殺したその犯人が…よりにもよって憂さ晴らしの為に見逃した強盗犯だった。

結局そいつは彼にのされ捕まったが、それで叔父が蘇る事などなく…彼やもう一人の家族である叔母と共に深い悲しみと一生消えない傷を負ってしまった。

 

『………』

「(なんですかソレ…彼にも非はあるでしょうが…だからと言ってこんな結末…)」

「(これも空想なのは分かっている…だが、余りにも残酷過ぎるではないか…!)」

 

カズマが語ったその救いようのない内容にじゅんやゆんゆんにクリス、アクアでさえも黙り込んでしまい、そう言った話にそれなりに興味のあるめぐみんとダクネスは物語とは言え英雄となる彼の経緯を聞き、やるせない思いを抱いてしまう。

 

「彼は本当に後悔したんだと思う。あの時強盗を捕まえていたら…いや、もっと言えばお金欲しさにその大会に参加しなかったら…家族の叔父が死なずに済んだ筈なのにって」

「………」

「じゅん…お前はその時の彼と同じ事をするつもりだったんだ。彼はその後、叔父の遺言に従って人々を守る為にその力を使う事を誓ったんだ。お前には自分の持つ力を彼や他のウルトラマン達の様にちゃんと使って欲しいって思ってるんだ。“じゅんじゅん”と言う一人の人間として精一杯頑張って、それでも駄目で自分や誰かが死にそうだったり守らなきゃならない時に使う様な心構えを持つべきだと思う…俺の言ってる事、分かるか?」

「…うん…」

 

尋ねられたじゅんはカズマの語った内容も含め、重々しくも理解を表すように頷く。

それでもやはり償いたい気持ちもあってお金を返済する思いは変わらず抱いてたが、ここでカズマが思い付いた妙案をじゅんに語る。

 

「そこでだじゅん。お前が言ったのを参考に、とりあえずは皆が信じてみようって言う切っ掛け作りを思い付いたんだ」

「…きっかけ?」

 

 

-カズマ「このすば!」-

 

 

カズマの思い付きはこうだ。

正門にゼファーとなったじゅんが現れ、その際に自身に敵対意志がない事とアクセルの皆への謝罪と償いを行う為の声明文と共に、前金としてのお金を提供すると言った御芝居を行うとの事。

因みにそのお金は、流石に全部と言う訳にはいかないもののカズマが所持する4000万の内の1000万を自ら提供するとの事だったが、これにはアクアが猛反対し少しながらの騒ぎを起こした。

そうして揉めながらもゆんゆんやクリスも返済に協力する等で、結局半分の500万エリスで収まる事になった。

 

「目星が付いたところで、私から一つ申出があるのですが」

「ん?やぶからぼうにどうした、めぐみん」

「これを機会にですね、巨人となったじゅんじゅんの名前を一変されてはどうでしょう?そこで新しい名称の名付け親は是非ともこの紅魔族随一の天才である私が与えましょう!」

『はぁ!?』

 

目をキラキラ輝かせるめぐみんからの突然の物申しに一同が驚く中、めぐみんは更に続ける(因みにじゅんは普段通りだがアクアに関してはそれはもう面白そうに眺めていた)。

 

「いえですね、“ウルトラマン”や“ゼファー”と言った名も大変よろしいのですが、あとも〜ひと押し魂を揺さぶる様な捻りが必要ではとの所存の元に、この我が直々に丹精込めて」

「却下だ」

「ちょっ!?待って下さい!既に決めた魂魄名をまだ口にしていませんよ私は!」

「聞くまでもねぇだろ!どうせお前なんかが考えた名前なんざ聞くに耐えない奇天烈なもんがオチに決まってんだろうがぁ!」

「おいコラ!聞く前から一方的に奇天烈と決め付けるなど、随分心外な事を言うじゃありませんか!」

「まぁまぁカズマさ〜ん、折角めぐみんが丹精込めて考えたそうなんだから聞くだけ聞いてみましょうよ〜」

 

言い争う二人の間を珍しくアクア自らが仲裁するが、その笑顔からは明らかに企む何かが目に見えていた。

 

「ふっふ〜ん!分かってるじゃありませんかアクア!では早速ですが、しかとその耳と魂に刻むが良い!漆黒の黒き巨人ゼファーから新生されし気高くも雄々しき真名!名付けて“えんえんじろすけ”です!」

「却下却下大却下だ!んな泣いてる様なイメージしかないフザケた名前なんかに変える訳にいかねぇだろが!ゼファーだゼファー!ウルトラマンゼファーでとっくに決まってんだよ!」

 

思った通りの紅魔族らしいネーミングに断固反対するカズマであったが、このチャンスを逃す訳にいかないアクアはじゅんに指を指す。

 

「じゃあさ~、そこのガキンチョ悪魔に直接聞いてみるのが手っ取り早いじゃないの~?」

「ちょ!?アクアさんなに振っちゃってんですか!?」

「だ、ダメよじゅんくん!めぐみんのあんなセンスの欠片も無い名前を受け入れちゃ!」

「そ、そうだぞじゅん!こればっかりは真に受けずにそのまま聞き流してしまうのだ!」

「(こんの腐れ女神ぃ~!めぐみんの提案を出しにしてじゅんの名前をダサくする魂胆なのはわかってたが、よりによってじゅんの素直さに漬け込みやがってぇ~!)」

 

年相応ながらも些か素直過ぎな面もあるじゅん。

彼から見て善意の提案をしてると思ってる事に加え、一般と紅魔族双方の感性を余り持ち合わせていない。

もし頷き受け入れてしまえば今後から“えんえんじろすけ”と言うフザケた名前を自ら名乗る可能性も大いにある。

ある意味最悪過ぎる事態を何としても回避すべく必死になってじゅんを説得する。

 

「皆の者静まりなされ!ここではじゅんじゅんの自由と自主性を尊重すべきかと思われます。ですのでまずハッキリと訪ねますよ、如何でしょうかじゅんじゅん?これを機に我が特注で唯一無二の名前を是非名乗ってみてはどうでしょう?」

「…めぐみん…な、まえ…うれ、しい…あり、がとう」

『じゅん(くん)!?』

「お〜!と言う事は!」

 

恐れた展開にいよいよ持って焦り始める中、ニヤニヤ顔で見守るアクアと受入れると思っためぐみんは嬉しそうに目を再び輝かせた、が。

 

「でも…いい…ぼく…“ゼファー”…がいい」

『え?』

 

首を横に振ってめぐみんの提案した名前を丁重に断るじゅん。

 

「な、何故なのですか!?私の最高傑作で歴史に名を残すに相応しい気高き真名をどうして断ると言うのですか!?」

 

まさか断られるとは微塵に思っておらず、思わずじゅんに近付き両肩を掴みながら必死の表層で問いただす。

そんなめぐみんに少し驚きながらも、じゅんは断った理由を述べ始める。

 

「ゼファー…それ、が…てが、かり」

「て、手掛かり…ですか?」

「うん…ぼくが…なん、なのか…どう、して…ちから…ある、のか…どこから…きた、のか…わからない…すくない…てが、かり…しり、たい…だから…ぼく…“ウルトラマンゼファー”…にする」

「(…そっか、そうなんだなじゅん)」

「(キミは自分の事が…どうしても知りたいんだね)」

「(確かにその名は数少ない手掛かりの一つ…無理もないか)」

 

あれだけの出来事を経験した以上、そのルーツを知りたがるのは至極当然。

じゅんはじゅんなりに自分自身と向き合ってるのだなとしみじみに思う中、それでもめぐみんは納得出来ずにいた。

 

「あ、貴方の心情は理解致しました…のですがねじゅんじゅん。巨人となった貴方の新生した名が今後とも全世界に轟いて行くのですよ?それにカズマの話ではウルトラマンと言う名の戦士は他に御存在する様ですし貴方だけが名を変えても別に大して」

「ねぇめぐみん」

「何ですかゆんゆん!先程センスの欠片も無いと言う紅魔族にあるまじきフザケたことをお…しゃ…る…」

 

何時もの強気で負かそうとするめぐみんだが、彼女は見てしまった。

ゆんゆんの真紅の瞳が赤く輝くばかりか、光を宿さず濁らせながら背後から漆黒のオーラを静かに醸し出し口だけを笑顔にする彼女の姿に、思わず掴んだ肩を手放してしまう。

 

「貴女さっき言ったわよね?“自由と自主性を尊重すべき”って…じゅんくんが決めた以上この子の考えを手厚く尊重させてあげるのが私達の役目じゃないのかしら?」

「い…いやしかしで」

「んん?」

「ひぃ!?わわわわかかかかりりりりままままししししたたたた」

 

一瞬ゆんゆんの首があらぬ方向*1に傾いた様な錯覚を目の当たりにし思わず土下座をするめぐみんと、谷間の間に挟まれながらの背中越しで見えないじゅんを除いた面々は戦慄し震え上がる。

 

「ま、まぁまぁゆんゆん。折角のめぐみんのご厚意を無化にするのもそれはそれで」

「なにか言いましたかアクアさん?」

「ヒェッ!?い、いえいえ何でもありませんとの事ですよ〜。オ〜ホホホホホ〜……………ちっ」

「お前いま“ちっ”て言ったな?“ちっ”て言ったよな?」

「言ってない」

「いや確かに“ちっ”て聞こえたぞお前」

 

 

-アクア「言ってない!」-

 

 

翌日。

指定された時間の正門前に集まって欲しいと言う巨人からの文がギルドに届き、発見したルナがギルド内の面々に報告。

冒険者や一部の住人を混じえた人々が正門前に集まりざわづく中、指定時間に達したと同時に空から巨人事ウルトラマンゼファーが現れ人々から少し離れた場所に降り立った。

 

「おいおい、マジで来やがったぞあの巨人」

「どうしよう…先手必勝に撃ってみる?」

「やめとけ、下手に刺激を与えたらあっと言う間に皆殺しにされるぞ」

 

ゼファーの登場にざわつきがより一層強くなる中、ゼファーは片膝を地面に付けると右手を開いて何かを差し出す。

手のひらに袋の様な物が置いてあるが、相手が相手なだけに取りに行くことを躊躇する中でカズマが前に出る。

止めに入る皆の言葉を振り切り手のひらの物を手にし戻ったカズマは袋を開けると、中には500万エリス相当のお金が入ってると同時に1枚の手紙が同封されていた。

カズマはそれを開け、その場の皆に伝わる程の声で読み始める。

 

「“アクセルの皆様初めまして、私はウルトラマンゼファーと申します。

此度は私の行いで皆様を恐怖に陥れてしまい、大変申し訳ございませんでした。

無論、謝罪だけで済まそうとは思っておりません。

壊してしまった街の復興に協力したく定期的にお金を払う所存の元、前金として500万エリスを提供致します。

取り返しのつかないご迷惑をかけてしまった為に、今後は皆々様の為にも精一杯の償いを致します。

それで全てが赦されると思っておりませんが、いつか皆様の信頼や期待に応えられる様この身を捧げてでも務めさせて頂きます。

最後にもう一度言います、皆様を恐怖に陥れてしまい…大変申し訳ございませんでした

漆黒の黒き巨人、ウルトラマンゼファー”…」

 

読み終えた途端、周囲の人間達からひそひそ話をし始める。

“今更謝られても”“あれだけの事をしといて”“図々しいじゃないのか”“信用できるのか?”。

疑心暗鬼な内容を呟くものの、こうなる事はカズマも既に予測済みだった。

何だかんだで自分は魔王軍幹部のベルディアとバニル、そして機動要塞デストロイヤー討伐に貢献したアクセル内で良くも悪くも有名な存在だ。

そんな自分の発言には少なからずの力や影響力もある筈だ。

勿論自分だけでなく、ダスティネス家のご令嬢と知れ渡ってるダクネスや爆裂魔法で活躍しためぐみんと、トラブルメーカーだが一応は活躍したアクア、そして誰よりもじゅんの理解者であるゆんゆんとクリス。

彼等の支援も加われば押し通せる筈だ…その様に踏んだカズマは早速それらしい台詞を吐こうとしたのだが。

 

「みんな聞いて…くれ?」

 

直後にゼファーになってるじゅんが、何故か両膝を地に付きながら少し後退る。

おかしい…自分はこんな指示なんてしてなかった筈だ。

突然の行動に頭が真っ白になる中、尚もじゅんは行動をし続ける。

両膝をそのままに両手を前にだし地面に付けながら少しずつ屈み。

 

「(おい…冗談だろ?)」

「(え…ちょ、待ってよじゅん?)」

「(ま、まさか…じゅんくん嘘でしよ?)」

「(いやいやいや、何故その様な行いを?)」

「(そ、それは流石にどうかと思うぞ?)」

 

アクアを除いた全員が困惑する中、ゼファーになったままのじゅんがした行い。

それは完全敗北を認め、尚かつ許しを乞う異世界でも共通の証…屈服の象徴“土下座”であった。

 

『ん〜…!』

 

唸り声と目玉が飛び出しそうに見つめる*2中、オデコを地面に密着する程の土下座をするゼファーの姿に人々は感服をし始める。

 

「な、何という見事な土下座だ!」

「この様な美しい形の土下座は見たことがない!」

「角度、姿勢、丸み、どれを取っても完璧だ!」

 

冒険者並びに町人達が次々と褒め称える度に、嫌な汗をダラダラ流しまくる一同。

そんな状態など露知らず、一人の冒険者が未だ微動だにせず土下座を保つゼファーに声を掛けた。

 

「顔を上げてくれ!ウルトラマンゼファー!」

『………』

「確かにお前は俺達アクセルの皆を怖がらせたし沢山の家を壊しやがった、その行いは決して許される事じゃねぇ」

『………』

「けど、差し出した金とその土下座で罪滅ぼしの意志がある事はよ〜く分かった!俺達の期待や信頼を決して裏切らない為にも、今後とも償いの意志を怠らない様に精一杯精進してくれよな!」

 

その冒険者の言葉に賛同する様にカズマ達を除いた全員が一斉に首を縦に振り頷く。

ゼファーも釣られる様に頷き、徐に立ち上がると目に映る人々に腰を曲げて挨拶し、体を向いて背中を見せながら。

 

『シュワッチ!』

 

掛け声と共にゼファーは天高く飛び去って行った。

 

「なんだ〜、見た目の割に話の分かる奴じゃねぇか〜!」

「そうね〜、彼から見たら私達なんてアリンコ同然の筈なのに」

「にも関わらずお金と共になんの躊躇もせず土下座をするんだから」

「いや〜ゼファーと言ったか?アイツの活躍を大いに期待しようじゃね〜か!」

「その身は漆黒されど心は純白、まさか奴は…いやよそう。今言える事は唯一…奴の贖罪の旅に幸あらんことを」

 

モヒカン頭の機織り職人の意味深が有るような無いような呟きと共に散り散りに去って行く人々。

誰も居なくなり、その場に佇むカズマ一行は完全にお通夜ムード状態で肩を落とし続けていた。

そんな中、この状況を作り出したであろう諸悪の根源がコソコソ離れようとしてる所をカズマは見逃さなかった。

 

「ア〜ク〜ア〜さぁあ〜〜〜んっ!!!」

「はひっ!?な…なななんでしょうカズマさ~ん?」

「俺はた〜だ!呼び止めだだけなんですけどぉ、どぉ〜してコソコソ一人で帰ろうとするのかなぁ?かなぁ!?

「べべべ、別にコソコソだなんて〜」

 

威圧を込めて問い詰めた途端あからさまな挙動不審と共に目をそらすアクアに、カズマ含めた全員が犯人が誰かを瞬時に悟った。

 

「な〜んも後ろめたい事がないんだったら、いつも通り一緒に帰る所なんじゃねぇ〜の〜?」

「も、勿論後ろめたい事なんて何一つやってないわよ!まさかこの私があのガキンチョ悪魔に土下座をする様な入れ知恵をした訳じゃ」

「そう言えば〜!じゅんを除いて正門前に俺達含めた全員が集まる中で最後に来たのはお前だったよな〜?」

「ギクギクギクッ!」

 

カズマに指摘され分かりやすく動揺するアクア。

有耶無耶にも出来る筈だが、知恵も忍耐も無くメンタルが豆腐並の構ってちゃん故に逆ギレしながら勝手に白状し始める。

 

「だ、だってだって〜!あれだけの事をやらかしたんだからこの際お芝居なんかより、恥でもなんでも良いから潔く土下座の一つくらいした方がアクセルの皆が凄く納得すると思ったからよ〜!」

「(んのやろ〜!アクアのくせに尤もらしい言葉並べやがって!だがどうせ腹の中では真逆の事を魂胆にしてるだろうけどな!)」

 

当然このまま逃がす訳にいかないと思うカズマは、果たしてどの様にアクアの腹の内を露にしてやろうかと考えたところで。

 

「言いたい事はそれだけですか、アクアさん?」

 

アクアに声を掛けるゆんゆんだが、既に彼女は逆鱗状態に陥り、昨日と同じく目を輝かせどす黒いオーラを発する。

加えてその表情は、某白い悪魔・魔王・冥王等で呼ばれる魔法少女のソレになっていた。

 

「うひぃ!?」

「どう取り繕ってもじゅんくんを晒し者にした事実は変わりませんよ?…ですから」

「あ、あわわわわわわわわ!」

「少し、頭冷やしましょうか…『ライト』」

「わー!ゆんゆんストップストップ!」

「おおお落ち着いて!落ち着いて下さいゆんゆん!」

「は、早まるなゆんゆん!気持ちは分かるが冷静になるのだ!」

 

既に殺る気満々で魔法を放とうとするゆんゆんを必死になって止めるクリス達。

そこへカズマが待ったをかけた。

 

「待った!ゆんゆん、お前が激しく怒るのはごもっとも…だがアクアが指示した事で俺が予想した以上の結果をもたらしたのは紛れもない事実なのを俺は認めざる終えないと思うんだ」

 

アクアの仕出かした事を肯定するカズマ。

その事に文句を言う前に、めぐみんが小声で伝える。

 

「ゆんゆん、あの様に仰ってますが内心アクアに腹が立ってる筈ですのでここはカズマに任せましょう」

 

カズマやめぐみん達に留められた事もあり少し冷静になったゆんゆんは、渋々ながらも言われた通り彼に任せ静観に徹する。

 

「カ、カズマ?」

「全く大した女神様だよ…俺の完敗だ」

「そ、そうでしょそうでしょ!この私の華麗なるファインプレーが功を奏したんだから感謝なさいよカズマ!」

「おう!今回ばかりはお前の、いや女神アクア様のお陰で大成功だ!」

「ふっふ〜ん!もっとも〜っと褒め称えて崇めなさ〜い!」

「「わ〜はははは〜!」」

 

よいしょよいしょと持ち上げるカズマにすっかり気を許したアクアは肩を組んで高らかに笑い声を上げ、そして。

 

「んで、土下座したじゅんの姿をみた感想は?」

「そりゃもうとてつもなく最高だったわ〜♪あの天下のウルトラマン様がアクセルの皆の前で深々と土下座なんかする姿はほんっと傑作物よ〜♪も〜お陰で笑いを堪えるのに必死だったんだから〜プ〜クスクスクスクス〜♪………は!」

 

毎度の様に調子に乗って本心を暴露してしまったアクア、だが時既に遅し。

 

「………」

「(アクア先輩…それはあんまりですよ〜…)」

「大方の予想はしてましたが…まさかこれ程とは…」

「巨人になってるとは言え…子供の土下座をこうも笑って楽しむなど…」

 

アクアの性格を後輩としても仲間としても把握してる彼女達ですらドン引きしてしまい、ゆんゆんに至っては怒りを通り越しまるで汚物でも見るかの様な表情*3となって見つめていた。

そんな冷たい視線を向けられアクアがオロオロする中、カズマは彼女の肩をガシッと力強く掴む。

 

「カ…カズマ…さん?」

 

恐る恐る尋ねると、俯いてた顔を上げたカズマの表情は屈託のない満面な笑顔で溢れていた。

 

 

 

-カズマ「アハッ♪」-

 

 

 

“よ〜く聞きなさいよガキンチョ悪魔、カズマが手紙を読み終わったと同時に私が手本として見せたポーズをしっかり行うのよ?”

“大丈夫!なんてったって私は水の女神アクア様なのよ?必ず上手くいくって!” 

 

変身する前にアクアから指示され、それを実行したじゅん。

昨日めぐみんがしてた事がそれでもあって直ぐに理解していた為に覚えも早かった。

そしてアクアの言った通り、街の皆が信じてみようと思ってくれてじゅんは安心と同時に喜びを感じていた。

“他の皆も含めアクア様にお礼をしよう、料理を振る舞おう”…そう考えながらじゅんは、合流しやすい様に正門前で待ってると言った皆の所へ向かい、その後ろ姿を目にしたのだが。

 

「…ん?」

 

アクアが居ないばかりか、何故かその場から離れず立ちっぱなし状態の面々に違和感を感じたじゅんは、ゆんゆんとクリスの二人に近づきスカートと短パンの裾を掴みクイクイと引っ張る。

 

「「じゅん(くん)?」」

「どう、したの?」

「あ〜…いやそれがねぇ」

 

尋ねるじゅんに対して言い辛そうに頬の傷を掻くクリスはある方向に視線を向けた。

それに釣られてじゅんもその方向に視線を向けると、そこでは。

 

「ぶばぁ!ごぼごぼ…カジュマ!ごぼごぼ…さばあ!ごぼごぼ…おだずげぇ〜!」

 

何故か巨大カエル事ジャイアントトードに食われ、粘液塗れでカエルの口から出たり入ったりの繰り返しをされているアクアがそこにいた

 

「うるさぁあ〜い!てんめぇ!よくもじゅんにくだらねぇ入れ知恵をしやがったなぁ!」

「でもそれで!ごぼごぼ…上手くいっだ!ごぼごぼ…がら!ごぼごぼ…結果オーライ!ごぼごぼ…じゃないのよ〜!」

「それはソレこれはコレだぁ!あと30分、そうやってカエルに弄ばれていやがれ!この腐れ駄女神がぁ!」

「ぞんな!ごぼごぼ…ごむ!ごぼごぼ…たいな〜!ごぼごぼ…」

 

泣き叫んで助けを求めるアクアを怒り心頭のカズマは聞く耳持たずにバッサリ切り捨てる。

 

「うわぁ…アクアは当然の報いとしても…カズマもカズマで容赦が無さ過ぎますよ…」

「あ〜…これ程見事な冷徹と外道と鬼畜っぷり…流石はカズマだ!そ、それにアクアのあの弄ばれ具合…非常に羨ましいぞ!あ、後で私にもあの様に出し入れさせてくれるだろうかあのジャイアントトード、うへへへ」

 

カズマのその鬼畜っぷりに方やドン引きし、方や褒めながらだらしない笑みを浮かべる。

そんな状況の中、危険な目に遭ってるアクアに誰も助けようとしない事にじゅんは疑問を投げ掛ける。

 

「アクアさま…たす、けない…なんで?」

「気にしないでじゅんくん。あの脳味噌3グラムのおバカさんは悪い事をしたから、懲らしめる為のお仕置きを受けてるだけなのよ」

「そう、なの?」

「えっと〜…まぁやり過ぎな所もあるけどゆんゆんの言う“お仕置き”に関しては事実だけどね…それとさじゅん」

「…なに?」

「キミの素直な部分は良い所だけど、素直過ぎたら悪くもなるから…これを機会にそれなりに考える様にしようね?」

「…うん、がんばる」

 

毒混じりに吐くゆんゆんとは対象的に注意を促すクリスにじゅんは頷く。

じゅんとしては余り良い光景ではないが、彼女が悪い事をしてしまった以上はいか仕方なく反省の為のソレならばと、皆と同じ様に傍観に徹する事にしたのだった………めでたしめでたし。

 

「めでたく!ごぼごぼ…なんかぁ!ごぼごぼ…なぁ〜い!」

 

 

 

第五章「謝罪-DOGEZA-」

 

 

 

-アクア「このす!ごぼごぼ…」-

*1
ひぐらしのなく頃にから竜宮レナ。心臓の弱い方は閲覧注意。https://livedoor.blogimg.jp/kinua03/imgs/3/0/305e4b13.jpg

*2
イメージ図はこの素晴らしい世界に爆焔を!第2話から。https://img.anitubu.com/imgs/2023/04/13/TmdckGlDLioTCBq.jpg

*3
イメージは鬼滅の刃から竈門炭治郎。https://img.animanch.com/2019/06/dadf6ff0.jpg




これで第五章は終わりになります。

色々と詰め込み過ぎて長くなりました。

最後のオチに関して、元々はカズマに狙撃やらウィズ魔道具からポーションと言う名の爆弾を投げ付けられながら逃げ惑うENDだったのですが、このすば的なオチで尚且つアクアと言えばカエルだと思い、アニメ2期の第2話でのアレの様にしようと思い変更しました。

それと、時間軸を出来る限り原作寄りにしてましたが、5章以降はこのファン要素に加え、本筋を交えた初代やマックスの様なオムニバス形式に近いストーリーにし、季節や月日等が夫々の話に合わせて変わる感じになると思いますので、あまり深く考えずに頂けたら幸いです。
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