この素晴らしいウルトラ戦士に祝福を!   作:黄青

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久しぶりの小説、書くの大変、けど面白い


第一章〜その②

「はぁ〜…何とかなったよ、やったねじゅんくん!」

「…やった」

「取り敢えず登録にこぎ着けたけど、ここからが本当の始まりだよじゅん」

「はじ…まり?」

 

じゅんの冒険者登録を終えた3人は隅っこの席に腰掛け労いながら今後の事を話し始めていた。

 

因みにだが、じゅんの歳を14だと教えたクリスだがこれは真っ赤な嘘であり、そもそもじゅんの本当の年齢は彼女達にすら全く分かっていないのが現状である。

 

最も見た目や性格から5歳前後と推測できそれなら施設に入居したらと思うだろうが、それをせず嘘や無理を通してでもじゅんを冒険者にしなければならない理由があった。

 

「キミの持つ力を物にできるようにし、かと言ってソレに頼ってばかりはいけないから基本は自分の力で切り抜ける様に強くなる必要がある。その為にも沢山経験して学んで鍛えていかなきゃいけないんだよ、わかったかい?」

「…わかった」

「……」

 

クリスの説明に頷くじゅんに対し、ゆんゆんは思いつめた表情でじゅんを…正確にはじゅんが身に着けている物に着目していた。

それはクリスが見つけたあのペンダントと2つの箱であり、それぞれ首と左右の腰に掛け付けていた。

クリスはそんなゆんゆんの心境が顔に書いてあることに気付き、声をかける。

 

「ゆんゆん…」

 

案じてるクリスに理解しながらも、ゆんゆんの脳裏にアクセルに来る数ヶ月前の出来事が蘇る。

 

ある巨大モンスターに丸飲みされたじゅん、目の前で起こった出来事にパニックを起こすゆんゆんを必死に止めるクリスだったが、直後にそのモンスターが勝手に苦しみだし倒れるとそのまま絶命してしまった。

いったい何が起こったのか、屍となったモンスターに困惑する二人だか今度はモンスターの腹が独りでに揺れだし“ブシャッ!”と生々しい音と共に腹が内側から破られると、中から現れたのは。

 

…ゆん、ゆん?…クリ、ス?

 

首をかしげながら二人を呼ぶ異形の姿のじゅんであった。

 

「分かってます、もうあんな思いをしない為にも…じゅんくんのこれからの為にも私精一杯頑張りますね!」

「あはは、気の張り過ぎは身体に毒だよ。それとゆんゆんもあたしもそうだけど一番頑張るのはじゅんなんだしさ」

「そ、そうでしたね、えへへ」

「…?」

 

笑い合う二人の顔を交互に見ながら、じゅんは首を傾げる。

 

──────────じゅん「このすば?」──────────

 

「さってと!堅い話はここまでにしてじゅんの冒険者入りのお祝いも兼ねてご飯にしようか!」

「ごはん…たべ、る」

 

決意を新たにしたと同時にお祝い事と称した昼飯を頼もうと張り切るクリスと、ご飯に対し希薄ながらもどこか嬉しそうな反応をするじゅん。

それに対しゆんゆんは先の事とは別の意味で思い詰めた表情を表す。

 

「あのクリスさん…お金、大丈夫ですか」

「…あーまぁそのー…まずメニューを見てからにしようか」

 

先程の勢いは鳴りを潜め少々戸惑い気味のクリスはメニュー表を開き右へ左へと泳がし始める。

するとある項目に載ってある宣伝料理…という名のチャレンジメニューが目に写り読み始める。

 

「えっとなになに?…『食えるものなら食ってみやがれチャレンジ!。お一人様限定且つ制限時間30分以内に、ジャイアントトード肉の唐揚げ2㌔・ライス2㌔・パスタ2㌔・ミートソース1㌔・各種の野菜1㌔・ハンバーグ1㌔・オムレツ1㌔の総重量10㌔の定食、通称“クエクエプレート”を完食したお客様には代金無料に加えスキル1000ポイント分を得られる特殊ポーションを贈呈。チャレンジ失敗の場合は罰金30000エリスをお支払頂きます』」

 

数人でのシェアならまだしも一人だけとはもうクリアさせる気無いだろうと思えるあからさまなチャレンジメニュー。挑戦者の少なささは勿論、居たとしても土産話の一つとして失敗を前提に挑むくらいしかおらず結果今現在でも成功者は誰一人としていない。

 

「きっとこれは女神エリス様からの祝福ですよクリスさん!」

「え?あぁ、そうだね(…身に覚えが無いんだけど、まぁいいか)」

 

だがクリスの朗読したチャレンジ内容に何故かゆんゆんが大喜びし、クリスもゆんゆん程ではないにしろ好都合と言わんばかりな笑みを浮かばせた。

 

そうと決まればなんとやら、手を上げたクリスを見つけたスタッフの一人が近寄り注文を確認する。

 

「お待たせいたしました、ご注文は何でしょうか?」

「えっとあたしは昼のA定食と食後にシュワシュワを一杯ね」

「わ、私には昼のB定食を」

「かしこまりました、そちらの子…ああ先程なられた新人冒険者さんですね。何をお願い致しますか?」

 

二人の頼んだ定食のどちらかそれとも単品料理か、いくつか予想したスタッフだがじゅんの代わりに答えたクリスの、予想を裏切る言葉に唖然とする。

 

「彼にはこの“食えるものなら食ってみやがれチャレンジ!”のクエクエプレートお願いね」

「………えっともう一度お伺い致しますが、何をお願い致しますか?」

「“食えるものなら食ってみやがれチャレンジ!”のクエクエプレートを彼に」

「いやいやいや!いくら何でも無理なのは目に見えてるじゃないですか!しかもお一人様限定のチャレンジメニューでシェアなんて出来るのは精々失敗した後くらいなのですよ!?」

「も、勿論分かってます!失敗したらちゃんと此方で支払いますのでどうかお願いできませんか?」

 

ゆんゆんの後押しもありう〜んと唸るスタッフは一旦離れ他のスタッフに話を持ちかけ始めた、何人かで輪となり話し合っていると結論が出たのか再び戻り結果を話す。

 

「協議しましたが自己責任なのをご了承の上でしたら、受付致します」

 

──────────スタッフ一同『このすば!』──────────

 

注文を受け付けてから約30分後…遂にその姿を現す。

 

「お待たせ致しました“食えるものなら食ってみやがれチャレンジ”からクエクエプレートでございます」

「「「お〜…」」」

『お〜…』

 

二人係で運ぶ巨大皿をじゅんが座る席の前にドスン!と置かれる。

唐揚げ・ハンバーグ・パスタ等などメニュー通りの品が惜しげも無く敷かれたその光景は圧巻の一言であり、3人だけでなく面白半分で見物する冒険者達も感服の声を漏らす。

因みにクリスとゆんゆんは先に来た定食を食べ終えただけでなく、これから来るプレートが巨大な事もあって隣のテーブルへと移動している。

そんな中、少しでも刺激を求めようと一人の冒険者がじゅんを使った賭け事を持ち込んできた。

 

「そうだ、折角だから賭けしねぇか?あの新人ガキンチョが食い切るかどうか」

「なにバカな事いってんだ?はなっから無理なのは目に見えてんだろ?なぁクリスさんよ」

 

別の冒険者が同意を促すのに対し、クリスの返答は。

 

「…イイね〜、その賭け乗ってあげるよ。勿論じゅんがクリアする方に全部ね」

 

そう言うと腰に掛けてある有り金全てをテーブルの上に置き、それが合図となったのかゾロゾロと参加者が集まりポンポンと金を置き始めた。

 

「ク、クリスさん!じゅんくんを賭け事に使うなんてそんなの」

 

根が真面目で優等生気質なゆんゆんには受け付けられずクリスに注意をするのだが。

 

「何だ何だ?紅魔の嬢ちゃんは乗らねぇのか?」

「まぁ無理もないよな、負けの結果が見えてる勝負事に突っ込みたくもないしよ」

「いくら仲間内(パーティーメンバー)でもやっぱ我が身が可愛いもんだし仕方ないよな〜」

 

まるで焚きつける様な口振りをする冒険者達にカチンと来たのか、ゆんゆんも有り金の入った袋を取り出しドンッ!と叩きつける様に置いた。

 

「う、受けて立ちます!私のともだ…仲間(パーティーメンバー)を置いて自分だけ逃げるなんて事…絶対にしませんから!」

「…へっ!気に入ったぜ紅魔のお嬢ちゃん!」

「そうでなくちゃ面白くねぇよな!」

 

ゆんゆんの参加によって周りのボルテージが上がり更に参加者が増えた結果、合計50万エリス以上の賭け金が集まり、割合は成功2、失敗8となった。

 

「それでは“食えるものなら食ってみやがれチャレンジ!”を開始いたします、開始5秒前」

『5!4!3!2!1!ゼロー!!!』

「いた…だき、ます」

 

周りの声とスタッフの手に持つ懐中時計のスイッチが合図となって開始された。

 

まずジャイアントトードの唐揚げをフォークで刺し口を大きく上げパクリと食べる。

 

「…おいしい」

 

口の中で広がるジューシーで塩コショウの効いた唐揚げを味わうと、今度はデミグラスソースのかかったハンバーグにナイフを入れ一口サイズに切ると先と同じように入れ込む。

 

「…ムグモグ」

 

こってり濃厚なソースと唐揚げとはまた違ったジューシーな味わいを堪能し、お次はミートソースを絡めたパスタを口に運ぶ。

 

「ズルジュル…ングング」

 

トマトの酸味と挽き肉のコクが上手く溶け合ったお陰でほぼ味が無いパスタとは相性抜群となり啜る量も増えていく。

 

「いや〜中々どうして美味そうに食うよなあのガキンチョ」

「まぁそれも最初の内だろうさ、すぐにでも手が止まるだろうぜ」

「あ〜ん食べる姿はやっぱり可愛いわぁ〜、後で労いのナデナデしてあげよう」

「…もっと早く目覚めるべきだった」

 

外野の事はさておき、パクパクと口に運ぶじゅんを見る冒険者の殆どは“やっぱりこれは失敗(むり)だろうな”と言う心境であったが、唯一クリスとゆんゆんだけはじゅんが成功する事を確信していた。

それは時間が経過する毎に表れ始めた。

 

〜5分経過〜

 

「ガツハグ…ングング」

「1…いや2㌔近くは食ってんじゃねえか?」

「あの体型でそれだけでも大したもんなのに、さてさて何処まで行くのやら」

 

〜10分経過〜

 

「ゴクゴク…ぷはぁ…ハムハム」

「やべぇ…アイツ半分に差し掛かるぞ!」

「ん〜私が直接たべさせてあげたい!」

 

〜15分経過〜

 

「ガブ…モキュモキュ」

「マジかよ…全然ペースが落ちてねぇ」

「それどころか少しずつ上がってるぞ」

 

〜そして、20分経過〜

 

オムレツ・ハンバーグ・野菜・パスタ・ミートソース・ライスを平らげ残すは唐揚げたった1個。

それをパクリと口に入れモグモグとよく噛んで味わいゴクンと飲み込んだ、そして。

 

「ごちそう…さま、でした」

「た、タイムは23分10秒……チャレンジ成功です!」

『うぉおおおおおおおお!!!』

 

窓ガラスが割れるのではと思う程の興奮混じりの喝采の声が上がる。

 

「やった!やりやがったぞあのチビ助!」

「賭けには負けちまったがしかたねえか、マジでやり遂げたんだからな」

「あ〜んじゅんく〜ん!抱っこさせて〜!」

「…新しい世界に導いてくれてありがとう」

 

賭けの結果に負けたのにも関わらず刺激的な番狂わせを目撃した事への喜びが強く、誰一人悔しがる事なく素直にじゅんのチャレンジ成功を称えていた。

 

「おめでとうございますじゅんさん!こちらが成功報酬の特殊ポーションになります!」

「…どうも」

「フッ…俺には分かってたぜ、お前さんの可能性をよ」

 

ずっと見ていたルナが興奮気味にポーションを差し出しそれを受け取るじゅん。

そんな二人のやり取りを柱に背を掛け腕組みしながら眺め呟くモヒカン頭の荒くれ者(機織り職人)。

 

皆がワイワイガヤガヤ騒ぐ中、じゅんはからっぽの大皿を両手で持ちルナに差し出した。

 

「どうしましたかじゅんさん?」

 

単なる返品なのだろかと思われるが念の為に聞き返すルナに対し、じゅんの口から出た言葉は。

 

「おか、わり」

 

どんがらがっしゃーん!!!

 

苦笑いを作るゆんゆんとクリスの2名を除いたその場の冒険者と受付スタッフ全員が壮大にコケてしまった。

 

──────────ルナ「勘弁してくださ〜い!」──────────




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