見せ付けられたじゅんの超人的な食欲は後にアクセルの人々の耳に入り、“
「うぅ、思わず賭けに乗っちゃった…じゅんくんゴメンね」
「モグモグ…きに、しない」
「まぁ結果的に食費もかなり浮いてお金も倍になって返って来たんだからさ、結果オーライじゃないか」
「先に乗ったクリスさんに言われたくないんですけど」
先の賭けはこちらが勝った事で一人あたり約10万エリス前後のお金を分け与える事になり、じゅんはその金の幾つかで再び食事にありつけていた。
恨めしそうに睨むゆんゆんに対し頬の傷を掻きながら苦笑いするクリスはふと思った事を口にする。
「そう言えばさっきあたし達を友達って言おうとしてたけどどうして言い改めたんだい?」
「ふぇ!?えっとですね〜…友達と仲間は似てるようでそうじゃないかなと言いますか…あ!だだだからって二人が嫌いなわけじゃないんですよ!?むむむしろこんな私とパーティーを組んで頂いて大変感謝して!」
「わかったわかったって!前々から思ってたけど“友達”って言葉に過剰に反応し過ぎだよ」
「うぅ…すみません」
「はぁ…まぁキミの性格を考えたら無理もないかもね、紅魔族の中でならなおさらさ」
あの変わり者集団の中で考えが常識的なゆんゆんには窮屈この上なかっただろうと些か同情するクリス。
ゆんゆんもまたこれから沢山の経験や学びが必要だろうと思いながらも、それを共有していく事を示す為に笑顔で答える。
「けど、あたしは少なくともゆんゆんの事を友達…いやまだなってないから“友達になりたいな”って思ってるよ。じゅん、キミはどう?ゆんゆんと友達に、仲良くなりたい?」
「ゴクン…なり、たい」
「クリスさん…じゅんくん…ふ、ふつつか者ですがよろしくお願いします!」
「言葉の使い道が違うんだけど…まぁいっか、改めてよろしくねゆんゆん!」
「よろ…しく」
二人の差し出す手をそれぞれの手で握り、目に涙を貯めながらも「はい!」と
笑顔で答えるゆんゆん。
この麗しき流れのまま終わればどれ程良い事なのだろう…が!然うは問屋が卸さないのが駆け出し冒険者の街…“今のアクセル”なのである。
チュドーーーーーン!!!!!
突如として鳴り響く巨大な爆発音。
思わず3人が外に出ると前方から煙が立ち昇っているのを目撃する。
「これってアレだね…カズマ君のところの」
「めぐみん!?」
「…めぐ、みん?」
このアクセルのある意味名物となっている爆発音の正体、それはゆんゆんと同じ紅魔族の人間である“めぐみん”が持つ唯一無二の魔法“
その威力はクレーターを作るだけに留まらず、威力次第では地形や生態系を変化させてしまう程の極めて強力な魔法なのだが、その余りの破壊力から使える場所が極端に限られるだけでなく使用すると全ての魔力を消費し立つことすら出来なくなる程のハイリスクでハイリターン(?)な
通称“ネタ魔法”とも呼ばれている。
「あの煙の方角からして北側の門か…けど確かカズマ君の所は今ダクネスが居ないから3人だけだけど大丈夫かな」
「…私、めぐみんの所に行ってきます!」
「それならあたしも一緒に」
「いえ、ともだ…ライバルの事は私に任せてクリスさんはじゅんくんの事をお願いします」
「何がなんでも彼女のこと友達とは言わないんだね…わかった、ゆんゆんの実力なら大丈夫だと思うけど油断せずにね」
「ゆんゆん…気をつけ、て」
「…ありがとうじゅんくん、クリスさん。行ってきます!」
身を案じてくれる二人に感極まって涙目になりながらもそれを拭いめぐみん達がいるであろう北側の門へと走るゆんゆん。
背中が小さくなってくゆんゆんを見つめる二人だが、その時じゅんだけが自分を見る様な視線を感じ取りその方角へと顔を向けた。
「……」
「……」
白黒混じりのローブを被って顔は見えないが間違いなくその人物はじゅんの事を見つめていた。
「どうしたのじゅん?」
「あ、そこ……あれ?」
じゅんの様子に気付き尋ねるクリスに自分を見る謎の人物がいる方へ指を指すじゅんだったが、たった数秒しか反らしてなかった筈なのにその場所には誰も居なかった。
「あそこに誰か居たのかい?」
「…?」
クリスは再び尋ねるも、じゅんはただ首を傾げるだけだった
「思った以上に退屈しない
──────────???「
夕暮れ時となり辺りがオレンジ色で染め始めた頃。
「ひっぐ…えっぐ…」
何故か全身ヌメヌメ状態のゆんゆんが、泣きながら二人の元へ帰ってきた。
「い、いったい何があったのさゆんゆん」
「うぅ…あのですねぇ…」
曰く、駆けつけると冬眠してる筈のジャイアントトードが数匹飛び跳ねながらその場にいる人達を襲っており、男性冒険者の“カズマ”が逃げ惑う中、既に捕食されてるめぐみんに加え女神アクアと同じ水色の髪と名前の“アクア”と王国検察官の“セナ”達も捕食され始めておりカズマもその仲間入り直前となっていた所を。
〜『ライト・オブ・セイバー!』〜
ゆんゆんが得意とする上級魔法“ライト・オブ・セイバー”を放ちジャイアントトードからめぐみん達を助け出す事に成功した。
無事を確認したゆんゆんは早速ライバルとして決着を着けようとめぐみんに勝負を申し込み。
〜イヤですよ〜
キッパリと断られてしまう。
〜お、おねがいよぉ勝負してよ〜!〜
彼女的には威風堂々とした態度で言ったつもりが速攻で崩れ駄々をこね始めてしまう。
仕方ないと言わんばかりのため息を吐いためぐみんは、体術勝負でならば良いと持ちかける。
何故めぐみんにとって不利な体術をと一瞬思うも、勝負を受けてもらった事への嬉しさから疑問はすぐに消え早速お互いが構えを取り始めた…のだが。
〜っ!?め、めぐみん…まさかそれって〜
〜そうです、これはゆんゆんが倒したカエルの粘液ですよ〜
ゆんゆんは気付いてしまった…めぐみんの身体は今ジャイアントトードの粘液で濡れ濡れ状態である事を、そして瞬時にこれから何をしでかすのかも悟ってしまった。
恐る恐る自身が予測した内容を口にし尋ねると、めぐみんは。
〜うふ、私達友達ですよね?
友人と言うものは苦難をも分かち合うものだと思います〜
それはもうとびっきりの笑顔で答えながらウッキウキ全開のスキップで襲い掛かる。
〜いやあああ!ああああ!降参!降参するからこっち来ないでええええ!!!〜
悲鳴を上げ必死に逃げるが無情にも追いつかれて捕まり、敗北と共に粘液塗れとなり今現在に至る事となってしまう。
「…なんと言うかその…ご愁傷さま」
「ゆんゆん…くさ、い」
「う、うぇ〜〜〜〜〜ん!!!」
じゅんの言葉がトドメとなってしまい、再び泣き叫ぶゆんゆんであった。
──────────ゆんゆん「このしゅば〜!」──────────
なんとか1話目を終えました。
変身までこぎつけられたら、あるウルトラ作品をタグに追加するつもりです。