この素晴らしいウルトラ戦士に祝福を!   作:黄青

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ようやくこぎつけたました、怪獣の登場と変身です。



第三章〜その①

父さん、母さん、お元気ですか?

 

異世界転生した俺の日々はいつも充実しています

 

個性豊かな仲間と共にそれはもうどんちゃん騒ぎの冒険を繰り広げてます

 

今現在仲間の一人は離れてますが、何時でも暖かく迎える気持ちを忘れず

 

今日のクエストを残りいる仲間達と共に乗り越え

 

疲れを癒やすかの様に大いにバカ騒ぎを皆で行い

 

そうして今日も1日が終わるのだなと思っておりました

 

ところがです、前触れもないまま突如として

 

 

ガァアアアアアアアアッ!!!

 

 

俺達の目の前で、ウルトラマンに登場する様な巨大怪獣が

 

ここアクセルの街の中にいきなり現れ、そして暴れ始めたのですから

 

 

───カズマ「…んなアホな」───

 

 

 

第三章「始まり-Begins-(ビギンズ)

 

 

 

遡る事数時間前、夜を迎えた冒険者ギルド。

 

「ぷひゃ〜!私が1番頑張ったんだから8割が私で2割はアンタ達で良いわよね〜?」

「はっはっは〜何をバカな事ぬかすぅ!こいつは全部借金の返済の為に決まってんだろう!」

「今回はダンジョン故に活躍出来ませんでしたが…まぁ明日への英気を養う必要がありますから!」

「ちょいっとまて〜い!ホリューのオッチャンにも言われたろ〜お子様には早すぎるってな〜!」

 

そう言いながらシュワシュワを飲もうとするめぐみんのジョッキを奪うカズマ。

彼らが座るテーブルの上には料理だけでなく金銀財宝のお宝が置かれていた。

上機嫌の理由はそのお宝であり、今回新しく発見されたダンジョン内の通路の調査をカズマとアクアの二人で行い、道中散々な目に遭いながらもある隠し部屋でダンジョンの名前にもなってる“キール”本人と遭遇。

リッチーとなった彼の願いを叶えるべく浄化をすると同時にキールが生前持参していた財宝を譲り受け今に至る。

尚めぐみんに関しては覚えてるのが爆裂魔法のみでありダンジョンは不向きと言う事でダンジョンの入口でちょむすけと一緒にお留守番をしていたそうな。

カズマにとっては珍しくも冒険らしい事に加え、借金返済の第一歩に繋がる財宝を手に入れた事もあってすっかり浮かれていた、そんなカズマ達の元に。

 

「カズマ…こん…ばん…わ」

 

ゆんゆんとじゅんのコンビが訪れ挨拶しにやって来た。

 

「よう、じゅんとゆんゆんじゃねぇか〜」

「こんばんわ、カズマさんとアクアさん。そしてめぐみん!ここで会ったが」

「気が乗らないのでやりませんよ、勝負なんて」

「な!?まだ言ってないのに先に断らないでよ〜!」

「あなたの言いそうな事なんて手に取るように分かりますからねぇ〜」

 

とまぁ何時ものやり取りが行われる中、カズマはじゅん達に手招きをする。

 

「折角だから一緒にどうだ?以前の手料理のお礼も含めてさ」

「い、良いんですか?」

「まぁガキンチョ悪魔がいるのはアレだけど今回だけは大目に見てあげるわ、寛大なる女神のこの私に感謝なさ〜い!」

「…ど、うも…アクア…さ、ま」

「で、では…御一緒させて頂きますね!」

「ふ〜む…じゅんじゅんとの関わりを得たことである程度は積極的になりましたか…ゆんゆんにしては“多少”なりともマシになった様ですね…“多少”なりともですが」

「“多少”って所だけワザと強調しないでよ!」

 

めぐみんの意地悪に突っかかるゆんゆん。

そんなやり取りを見る中、カズマはふと思った事を同じテーブルに座ったじゅん達に話しかける。

 

「そういや今日だったな、クリスが帰ってくるのは」

「…うん…ほん、とう…りょう、り…つく、りたい…でも…ちょっと…むり」

「料理を作りたいけど無理…ホリューのオッチャンに厨房借りるのを断られたのか?」

 

そう問うカズマに対して首を横に振るうじゅん。

では何故と思った所をゆんゆんが代わりに説明を始めた。

 

「あの、実はですね…カズマさん達と会う前に私達ある保育施設でちょっとしたお手伝いをしていたんですよ」

 

───ゆんゆん「このすば!」───

 

時刻は昼を過ぎた頃、クリスを向かい入れる為の下準備として市場の肉や野菜等を買おうとしたじゅん達。

だがその途中で食料を積んだカートを引く一人の女性に目が止まった。

見た目は40代前半といった所の女性は積んでる量の重さからか、途中で止まり息を少し荒く吐いてしまう。

少々見てられなかったゆんゆんとじゅんは、女性に近づき話し掛けた。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「だい…じょう、ぶ?」

「え?えぇ、心配してくれてありがとうね」

「こんなにも多くの食材を…何かあったのですか?」

「う〜ん、大したことじゃないんだけどね」

 

そう言って語り始める彼女の名前は“ルミ”。

曰く“保育施設ピース”の園長を務めており、この食材は子供達のご飯を作るための物らしい。

普通は契約してる相手の方から持って来るものなのだが、不運にも向こうで事故が起こってしまい今日中に届くのが困難となってしまった為に止む終えず此方から出向きこうして運んでいるとの事。

気の毒にと思うゆんゆんだったが、そこへ自分のスカートが引っ張られる事に気づき顔を向けるとじゅんが閉じてる口を開きこう言ってきた。

 

「ゆんゆん…はこ、ぶ…つく…る…て、つだう…いい?」

「じゅんくん…でも…」

 

ゆんゆんとて内心放ってはおけない気持ちで一杯なのだが、間が悪いことに今日はクリスが帰ってくる日だ。

厨房を借りる事やら料理の下準備やらを考慮したら、ここでルミの手伝いに加われば確実に間に合わなくなる。

懸念がるゆんゆんに、じゅんは更に話し続けた。

 

「これ、も…けい…けん…それ、に…おな、か…すく…たい、へん…こま、る…わかる…だか、ら…たすけ…る」

「…もぅ…じゅんくんったら」

 

無表情に言うじゅんだったが、数ヶ月も一緒に過ごして来たゆんゆんだからこそ分かってくる。

本当はクリスが帰ってくるのを、そして手料理を振る舞ってあげるのを楽しみにしてた筈なのに…こう言うお人好しな部分は誰に似たのやら。

苦笑いを作りながらも同じ思いである事を確認したゆんゆんは、ルミに話を振った。

 

「ルミさんですね?良ければ運ぶだけじゃなくて料理作りのお手伝いもして良いでしょうか?」

「え?そんな見ず知らずの人に…それに見たところ冒険者さんよね?満足の行く報酬があるかどうか」

「気にしないで下さい、あくまでボランティアとしてやりたいだけですから。それにじゅんくんはこう見えても冒険者だけじゃなくて料理作りもお手の物ですし、私も料理は作れる方ですから」

 

笑顔で答えるゆんゆん。

唯でさえ運ぶだけじゃなく料理の方まで手を貸してくれるとは、荒くれ者の多い冒険者の中では…失礼ながらもあまり向いてない様な性格ではあったが、ルミ個人としては好感を持てた事もありお言葉に甘える事となった。

 

「じゃあ…お願いしちゃおうかしら。これも何かの縁でしょうから」

「は、はい!任せてください!…ところでルミさん、私の名前を聞いて可笑しかったり変に思いませんでしたか?」

 

紅魔族で唯一名前にコンプレックスを抱くゆんゆんは、余りにも自然に接する姿に思わず疑問を投げかける。

対してルミはやんわりとした笑顔を作りながら答える。

 

「ふふ、色んな人達が生きてるのがこの世界なんだから一々気にする事でもないわ。それに、見ず知らずな私に手助けしてくれる恩人だもの、笑ったり変に思う事の方が1番可笑しくて失礼にもなるんだからね」

 

寛大な心の持ち主だなと、ゆんゆんはルミに対して女性としても大人としても尊敬の念を抱き始めた。

 

───ルミ「このすば!」───

 

「それからルミさんの施設で料理の手伝いを行ったのです。まぁそれだけじゃなくてじゅんくんと同い年近くの子達と遊んだりしてて、結局クリスへの手料理を作る暇が無くなって」

「ここに居ると言う訳ですか…まったく、変にお人好しな所は変わっていませんよね」

「私には何を言われても…ただじゅんくんには」

 

つい何時もの口調で言った言葉だが、内容はゆんゆんに限らずじゅんにも当てはまるのではと思い、めぐみんは慌ててじゅんに話し掛ける。

 

「も、申し訳ありませんでしたじゅんじゅん、決してあなたの行いを貶してる訳では」

「…いい…りょうり…つくれ、ない…ほんと…だ、から」

 

無表情ではあるがどことなく落ち込ん出る様な雰囲気を醸し出す。

だがそんなじゅんに対して、カズマが笑顔で褒め称える。

 

「い〜や!大変立派な事をしたんだ、偉いぞじゅん!」

「でも…クリス…りょ、うり…でき…ない」

「クリスがそんな事でお前を嫌いになるもんかよ、逆に“良くやった〜偉いぞ〜”て褒めてくれる筈だ。それとも、クリスはそんなに薄情な奴だったのか?」

「…ちが…う」

「だったら良い事したんだって胸を張ってクリスを出迎えろよ、な?」

 

そう言いながらわしゃわしゃと笑顔で撫でてくるカズマに、顔は変わらずともその口から感謝の言葉を贈った。

 

「うん…カズマ…あり、がとう」

「ほ〜んとじゅんは良い子だよな〜!それに引き換え…こ〜んな可愛くていい子なじゅんをガキンチョ悪魔と罵る駄女神ときたら!オメーはあの世に行ったあの二人だけじゃなくてここにいるじゅんの爪の垢でも煎じて飲みやがれってんだぁ!!!」

「やっかましいわよこのゲスニート!だぁれがんなチンチクリンのガキンチョ悪魔の爪垢煎じて飲むものですか!偉大で崇高なる麗しき女神のこの私がとことん穢れてしまうじゃないのよ!!!」

 

売り言葉に買い言葉と罵倒合戦を飽きずに行う童貞(カズマ)駄女神(アクア)の2名。

 

「まぁこんな奴はホッといて今日はお互い良い事したんだ、好きな物を頼んで良いぞじゅん」

「…いい…の?」

「勿論だ!じゅんだけじゃねえ、お前ら全員今日は俺の奢りだぁ!!!」

 

すっかりデキてしまったカズマの呼び掛けに、他の冒険者は一斉に盛り上がりを始めた。

 

「ヒャッハー!流石はカズマさんだぜー!」

「俺たち一生着いてくぜー!」

「アクアのお嬢ちゃ〜ん!お得意の芸を一発たのむぜー!」

「も〜しょうがないわね〜!しっかりと目に焼き付けなさ〜い!『花鳥風月♪』」

 

他の冒険者達の熱気に触れ先のやり取りを直ぐ様水に流したアクアは、お得意の花鳥風月を披露し初めて見るじゅんやゆんゆんを含めた全員を感服させていた。

そんな中、一人の冒険者がハンカチを取り出すとカズマに向かって声を掛けた。

 

「カ〜ズマサ〜ン♪“スティール”一発おっねがいね〜♪」

「え〜?しょ〜がね〜な〜♪」

 

そう言いながら右手の指をクネクネと動かすカズマ。

一方初めて聞くスキル名にじゅんは首を傾げる

 

「スティー…ル?」

「“窃盗(スティール)”とは盗賊を職業とする者が習得できる専用スキルです。名前の通り1つだけですが相手の物を奪う事が出来ます。カズマの場合は職業が冒険者なので習得できたのですが…その…カズマの場合は変に運値が高い事もあって…その……わ、わたしやクリスから……パ…パン…ツを…///」

「ひぃっ!カズマさんそんな下劣な事を!?じゃあもしかして今やったら私達の誰かから…」

 

自分達の身に起こる事態を想像した二人は揃って死守しようとスカートに手をやり、じゅんはよく分からず首を傾げた。

周りのスティールコールが響き渡り、そして。

 

「あ、せ〜の!」

 

「『スティール!』」と叫ぼうとした正にその時だった。

 

 

ズドォオオオオオン!!!

 

 

突然だった…まるで巨大な隕石でも落ちて来たかの様な異常な落下音が…ギルドに…そしてアクセル全域に居る全ての人々の耳に鳴り響いたのだ。

 

───全員『…え?』───

 

カズマがスティールを使用しようとした少し前。

辺りが暗くいくつかの光が照らすアクセルの街を壁の頂上から見下ろすそのモノ。

遠く離れた場所だと言うのに、ソノモノの目に映るのはギルド内で騒ぎまくる冒険者達とじゅんの姿。

 

「…奇遇だな、君達と同じ様に私もめでたい気持ちで一杯なのさ…今宵がゼファーの初披露になるのだから」

 

そう言いながらソノモノは右腕に装着されたガントレットを右斜め下に伸ばすと、ガチャ!と言う音と共に左右が開き展開する。

 

「では、始めるとしよう…これからの刺激的且つ愉快な物語を」

 

そう言うとソノモノの左腰に掛けてあるケースを開くと、じゅんが所持する“メモリ”と同じ物を取り出す。

 

「…“ベムラー”」

 

横のスイッチをカチッ!と押すと、USBメモリの様なコネクト部分が飛び出し、同時にベムラーと呼ばれる獣…“怪獣”の顔が表れるとそのメモリを展開してるガントレットの右側に差し込む。

 

PLUGIN(プラグイン)MONSMEMORE(モンスメモリ)

 

機械音声が鳴ると直ぐにもう一本のメモリを取り出す。

 

「…“エレキング”」

 

同じくスイッチを押して起動させると、今度は空いてある左側に差し込んだ。

 

PLUGIN(プラグイン)MONSMEMORE(モンスメモリ)

 

2つ全て差し込むと、そのモノは空いた左手で未だ展開してるガントレットを閉じた。

 

FUSIONLOAD(フュージョンロード)STANDBYREADY(スタンバイレディ)

 

準備が整った…そう言う様にガントレットをアクセルの中央上空に向ける。

 

「さぁ、開幕の時間だ!」

 

そう言い放つと同時に、右親指部分にあるトリガースイッチを押した。

 

GO!(ゴー!)

 

音声と共にガントレットから禍々しく光る球が発射された、そして。

 

 

ベムラー!エレキング!

 

SUMMON!(サモン!)

 

エレキベムラー!

 

 

雷がほとばしる青い球体がアクセルの中心地に落ちた時、姿を現す。

ゴツゴツとした鱗と鋭い棘、茶色・黒・黄色が混ざった色合いの体、自身の体よりも長い尾に頭部には三日月を表す角、発射口のある腕。

 

「ギャアアアオオオ!」

 

出現した融合怪獣第1号“エレキベムラー”は、雄叫びを上げると同時に周囲に並ぶ家々を、自身の体と腕から放出した電撃波で粉々に破壊し始めた。

 

「な、なんだよこいつわ!?」

「なんでこんなど真ん中にバカデカいモンスターが出てきたんだよ!?」

「やべぇにげろ!早く逃げろぉ!!」

「助けてええええ!!」

 

眠る時間帯ではなかったとはいえ、突如として出現した見たことの無い怪獣(モンスター)に住人は悲鳴を上げ、放つ電撃の餌食になるものかと一目散に逃げ出して行く。

そんな逃げ回る街の人々には目もくれず、エレキベムラーは尚も暴れ続けた。

グシャリと足で家を踏みつぶし、電撃を放って焼き尽くし、長い尻尾を一振りでなぎ倒すその姿は正に“悪魔”と呼んでも過言でなく、その暴れっぷりは冒険者ギルドから外に出て眺める冒険者達にも戦慄が走る程の威圧感があった。

 

「ちょ…なんだよありゃあ…!」

 

冒険者の一人でありカズマと悪友の間柄である“ダスト”の呟きは、この場にいる全員の心境を言い表していた。

ただし、約1名だけ少し違った事を考えていた。

 

「(おいおい一体何がどうなってんだ!?…にしてもあのモンスター…いや怪獣か?何と言うか…ベムラーとエレキングを足して2で割った様な姿だな)」

 

地球に居た頃の映像や本等で見た記憶と照らし合わすカズマだったが、その時。

 

「は〜はははははぁ〜!!!」

 

場違いな笑い声が木霊し、声の主に目をやるとそこには不敵に笑いそしてキリッとしたポーズをとる頭のおかしな娘(めぐみん)がそこに居た。

 

「とうとうこの瞬間が訪れた様ですね!これまでの活躍は今に至るまでの布石!今宵はまさに我が究極の奥義である爆裂魔法が今尚恐怖と破壊を撒き散らす悪魔の巨大モンスターを討ち倒す時!皆のもの!そして巨大モンスターよ!その目にしかと刻み込むが良い!これがわたしの!」

「ちょっとまてぇえええええい!!!」

 

今まさに爆裂魔法を放とうとした所を、カズマが血眼になって止めに入る。

 

「何をするのですカズマ!?今こそ我が爆裂魔法が活躍する絶好の機会じゃないですか!」

「そうよカズマ!あの怪獣を放ったらかしにしたらそれこそ被害が広がるだけなんだし、家や建物の1つや2つ吹っ飛ばしたってこの際しかたが」

「ないわけがねぇえええ!唯でさえこちとら借金背負ってる身だってのに、んなところで爆裂魔法なんかやってみろ!追加で100億背負わされちまうとか、冗談じゃねぇぞ!」

「と、兎に角避難警報を!冒険者の皆様方も急いでお逃げください!」

 

何時ものやり取りを他所に、ルナの呼び掛けに応じる様に散り散りとなって逃げ出す冒険者達。

機動要塞デストロイヤー戦の時は来るまでに準備をする時間があったから討伐出来た事だが、今暴れるエレキベムラーはその巨大に加え不意討ち同然による出現、準備も結束も作る時間などある筈も無く出来る事は被害を被らない様に逃げるしかない。

 

「じゅんくん!私達もにげ…あれ?」

 

ゆんゆんも例に及ばず、何よりも守らなきゃならないじゅんと一緒に逃げようと声を掛けた。

しかし、エレキベムラーに注目していたばかりにゆんゆんは気づかなかった。

側にいた筈のじゅんの姿が…どこにもなかったのだから。

 

───ゆんゆん「うそ…じゅんくんが…いない」───

 

 

 

緊急避難警報!緊急避難警報!

只今アクセル中央地区にて謎の巨大モンスターが出現し暴れ回っております!

周囲並びに遠くの住民の皆様は速やかにアクセルの外へと避難してください!

繰り返します!

 

 

 

人気の無いとある場所。

スピーカーから鳴るルナの叫び声が静寂なこの場に響き渡る中、たった一人だけこの場にいる者が居た…じゅんである。

 

「………」

「グガァアアアアア!!!」

 

電撃を放ち更には鋭い牙を剥き出しにした口から電撃混じりの青白い熱線を吐き、薙ぎ払いながら焼き尽くすエレキベムラー。

その地獄の様な光景を無表情で眺めるじゅんだが、1つだけ彼の身にある異常な部分があった。

それはエメラルドグリーンの綺麗な瞳の筈が、光を失った様なハイライトへと変わっていたのである。

 

「『融合怪獣・確認・セカンドステージ・該当・判断・ゼファーローダー・起動・ゼファープログラム・始動』」

 

今までのカタコタで途切れ途切れの喋り方ではなく、機械の様に口から発するじゅんは自身の首にぶら下がるペンダントを握りしめた。

 

 

STARTUP(スタートアップ)ZEPHYR(ゼファー)LOADER(ローダー)

 

 

機械音声と共に発した強烈な光にじゅんは飲まれると、金属製で出来てた筈のソレは機械の様な形作りとなって2〜3回り殆ど大きくなった。

更にパカッと左右が開き展開すると、じゅんは左右の腰に掛けてた箱…“メモリチャージホルダー”の内の右の方を開き、収納された銀色のメモリを取り出す。

 

「『ウルトラメモリ・起動』」

 

カチッと横のスイッチを押しコネクト部分が出現してある戦士の顔が浮かぶと、メモリをそのまま右側に挿入する。

 

PLUGIN(プラグイン)ULTRAMEMORE(ウルトラメモリ)

 

続けて今度は、左側のホルダーを開くと黒色のメモリを取り出す

 

「『モンスメモリ・起動』」

 

起動スイッチを押すと同時に浮かぶ怪獣の顔、それを今度は左側に差し込む。

 

PLUGIN(プラグイン)MONSMEMORE(モンスメモリ)

 

双方差し込み終わると、メモリを入れたまま両手で閉じる。

 

FUSIONLOAD(フュージョンロード)STANDBYREADY(スタンバイレディ)

 

「『セット・完了・肉体変異(トランスフォーム)・移行』」

 

そう呟くと両手を添える様にしてゼファーローダー中央にあるスイッチを押す。

 

GO!(ゴー!)

 

掛け声の音声と共に銀と黒の異なる光がじゅんの体を包み込み、そして遂に。

 

 

ウルトラマン!ゼットン!

 

WAKE UP!(ウェイクアップ!)ZEPHYR!(ゼファー!)

 

BEGINS!(ビギンズ!)WARRIOR!(ウォーリア!)

 

 

 

 

ドスンッ!!!

 

 

 

 

暴れるエレキベムラーの背後から、直立不動のまま落ちて来た者…それは暗闇に溶け込む様な黒い巨人だった。

逃げ惑う人々はエレキベムラーに続いて突然現れた巨人の姿を見て思わず立ち止まる。

それは口喧嘩をしながら同じ様に逃げていたカズマ達も例外でなく、特にカズマは巨人のその姿を見て驚きを隠せずにはいられなかった。

 

「うそ…だろ?…まさかあれって!?」

 

驚愕のあまりにその巨人の名前を出す前に、意外な人物がカズマに代わって口に出した。

 

「ちょっとちょっとぉ!?なんでこんな所にウルトラマンが出てくるのよ!」

「え?…アクアお前、ウルトラマンの事知ってるのか?」

「知ってるも何もあのウルトラマンでしょ?現世の住人の癖して宇宙の平和を守る守護神だとかでチヤホヤされちゃってさ!こっちはアンタ達以上に大活躍する偉大な女神のアクア様だってのに!まったくぅ、憎ったらしいたらありゃしないわよ!」

 

随分と容赦無い罵倒にカチンと来るカズマは何とか抑えながらも現れた黒い巨人を眺める。

言った内容はアレでも裏を返せば事実と言う事にもなるアクアの言葉を聞き、“本当にウルトラマンは存在したんだ”と自分でも不思議な位に胸を踊らされていた。

 

「でもアイツらにしては色もだけどドス黒いオーラがモワンモワン醸し出してるわね…どっちかと言うとクライシスインパクトを引き起こしたあの馬鹿ベリアルに似て」

 

ぶつぶつと聞こえない程度に呟くアクアだったが、そこへ。

 

「あの!カズマ!アクア!」

「な、なんだよいきなり…」

「どうしたのよめぐみん」

 

恐らく今まで見たこともないめぐみんの強張った表情にたじろぎながらも、その真剣な眼差しに只事では無いと思う二人は聞き返してみた。

そしてめぐみんから出た内容、それは。

 

「私からの一生のお願いです………どうかあの黒い巨人を、是非私のペットとして飼わせてください!!!」

「「………は?」」

 

場違いな要求にポカンとする二人を他所に、めぐみんは興奮冷めやまぬ勢いで語り出し始めた。

 

「お二人の口振りからしてあの巨人が“ウルトラマン”と言う名前が既にある事に少々…いやかなり残念に思われます…しかし!それを抜きにしてもです!

・あの漆黒極まりない黒黒しさと引き締まった肉体!

・血液の様に体を巡る細長い赤色!

・両肩と額に浮かぶ黄色!

・両腕と両太ももの内側部分に浮ぶ白とも銀とも言える色!

・そして極め付けわ!何かの“字”を連想したかの様に形作った青色のクリスタル!

・更に加え、中心に一本の黒い縦線が入った瞳!

こんなてんこ盛りマシマシな要素を取り入れた巨人に対して!紅魔族としての血が湧き上がらないなどありえないじゃないですかぁ!ペットが無理でしたらせめて社交辞令として今後とも末永いお付き合いの為に仲良く」

「お前ヴァカかぁ!?何をどうすりゃこんなヴァカでかいの飼えるってんだ!えぇっ!?」

「ち、ちゃんとご飯も与えますから」

「お前アホくぁあ!?ウルトラマンが何を食うのか分かってんのかよゴルァ!!!」

 

「ち、ちゃんと散歩だって」と呟くめぐみんを完全に無視する事にしたカズマ。

けれどもめぐみんがあの巨人に対して褒めた部分の1つだけがカズマの中で気掛かりとなっていた。

 

「(やっぱあの胸のクリスタル…コア部分だけは気になるな。何かの字とは言うがアレは“Y”の字に見える…どう考えても“ネクサス”や“ノア”関係に見えるが…いや、体が黒だから“アイツ”絡みか?…いやそれ以前にコア部分はどっちも“赤色”が共通の筈…なのにアレの色はウルトラマンのカラータイマーと同じ“青色”…“アイツ”の様に誰かが模したのか?)」

 

次から次へと生まれる疑問に一つ一つを向き合ってしまうカズマ。

そんな中、登場してからずっと棒立ちのまま顔だけを下に向けている巨人。

 

「グガァアアアアアオ!」

 

突如として現れた巨人に威嚇する様に雄叫びを上げるエレキベムラー、だが巨人は何も反応しない。

その巨人に変身してるじゅんも同じ様に顔を下に向けていた、すると。

 

「『トランスフォーム・アダプデーション・コンプリート・ミッション・スタート』」

 

そう発すると同時に閉じていた目を開くと、黒色の瞳孔を除いた全ての部分が紅魔族以上の真っ赤な色に染まっており、それに繋がる様に巨人の目の色も血の如き赤色へと変色してしまう。

 

『ヌルゥアアアッ!』

 

右手を握りこぶしに作って突き出すと、放たれた複数の黒い球体がエレキベムラーに直撃した。 

 

「グゲェアッ!」

 

突然の事もあってモロに受けたエレキベムラーは火花を散らしながら、未だに健在の家をクッション代わりの様に倒れ潰し壊してしまう。

 

『ハァッ!』

 

倒れるエレキベムラーに対して、巨人は無慈悲にも黒い球体を無数に放ちながら一歩一歩前へと進む。

自身の放つ球が前方の至る所に立つ家々に当たり、粉々となって燃える事などお構いなく、そして進む度に足元の家や建物をまるで雑草を踏むかの様に何の躊躇いもなく踏み壊して行った。

 

『ヌゥウウウウン!デャアッ!』

「ヴェギャアッ!」

 

倒れるエレキベムラーに近づくと奴の頭部に生えた角の片方を掴み、無理矢理立ち上がらせたと同時に右拳によるアッパーカットが炸裂する。

 

『ルゥオアアアアッ!』

 

バタリと仰向けに倒れるエレキベムラーに今度は何度も何度も腹部を執着的に踏み付け、続け様にエレキベムラーの体以上にある長い尻尾をガシリと掴むと、強引に持ち上げハンマー投げの様に強引かつ豪快に振り回し、周りの建造物を破壊しながら投げ捨てる。

 

「グゲャオウゥ…」

 

振り回された事で頭の中がシェイクし、立ち上がるもグラングランとおぼつかない動きとなり。

 

『ヤァアアアアアッ!』

 

にも関わらず、巨人は疾走しながらエレキベムラーに向かってドロップキックを放ち、その衝撃の余りに再び倒れまたもや建物を破壊してしまう。

 

「うわぁ…平然とえげつない事するわね…あのウルトラマンは」

「ええ…ここまでの暴れん坊ですと…流石の私でも飼うのに躊躇いそうになります…」

 

その目に余る巨人のラフファイトにアクアは無論の事、先程まで飼うと公言しためぐみんまでもが引いてしまう程の光景だった。

そんな血みどろの戦いを誰もが見守っている中、一人カズマだけは顔を俯き震える声でボソリと呟く。

 

「…に…んだよ…」

「カ、カズマ?」

 

様子の可笑しいカズマに気づき声を掛けるめぐみんだったが、それと同時にカズマは駆け出す。

別に彼等の間に入るわけじゃ無かった…出来る筈も無かった。

何より目の前で暴れる巨人がウルトラマンだと思い込んでしまうのは、自分勝手の何ものでもないことは百も承知だ。

…だけど…だからこそ許さなかった、命を懸けて自分の様などうしようもない人間含めた地球を守ってきた彼等の行いを…彼らに似た姿で真っ向から否定してる様に見えたから。

だからこそカズマは、巨人に向かって届かせる様に腹の底から叫んだ。

 

───カズマ「なにやってんだよおまえ!!!」───

 

 

 

彼女は走るひた走る、建物が瓦礫となり周りが燃え盛る中でも

 

探す相手はただ一人、現在(いま)未来(これから)の自分を変える切っ掛けを作ってくれた

 

友達でもあり弟分でもある愛しい男の子…じゅん

 

「じゅんくん…お願い…無事でいて!」

 

現状への恐怖に飲まれそうになりながらも

 

彼の無事を祈りながら心を強く保ち

 

止まることなく走り続けるゆんゆん

 

アクセルの街が燃え盛る炎の中を漆黒の巨人は天まで届く様な獣の如き雄叫びを上げた

 

 

 

ウォオアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 




ゼファーの暴れっぷりはオーブのサンダーブレスターをイメージしてます。

次回のヒントと言いますか予定になる内容を一言で表します。

「普段は優しい人ほど、キレたら恐く手に負えない」
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