無様屈服ワンちゃんばかりのこの世界で俺は巨乳好き   作:飛び回る蜂

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思いつき次第投稿すると言ってから1年近く経ってしまい面目次第もありません……。
今回は完結直後からずっと書きたかった話と、申し訳程度のバレンタイン回です。


後日談3 ご都合主義の甘い結末

 2月も半ばに差し掛かろうという日、4限も終わり帰ろうとした時突然先輩が俺の前で宣言した。

 

 

「今日から3日間は乙女の日なので志賀の家には行きませんっ。OK?」

 

「了解っす。楽しみにしてますんで」

 

「今年は東ちゃんと一緒に作るんだもん、気合入るわねっ」

 

 

 そう、バレンタインが近い。先輩はこういったイベント事には熱心だ。

 クリスマスは白ロリ着込んで前日にケーキを仕込むし、ハロウィンはパンプキン仕様のゴスロリに身を包んでパンプキンパイを振る舞ってくれた。

 そして今回はバレンタインデー。イベント好きな先輩が黙っている筈も無く既に仕込みは始まっているみたいだ。

 今から期待に胸が躍る。だがそれを見ていた東はややげんなりとしていた。

 

 

「カップル仕草目の前で見せられると肩身狭いなぁ……バレンタインの空気甘すぎるよ、自重して?」

 

「そういえば東ちゃん誰かに送るの?自分用?」

 

「どっちも!」

 

「ごめん、俺には先輩がいるんだ」

 

「自惚れんな、しかも僕がフラれたみたいにすんなっ!兄さんに作るんだよ!兄さん作らないと泣くから」

 

「あの人泣くの?妹からチョコ渡されなかったら?シスコン極まりすぎでしょ面白」

 

 

 そんな和気藹々とした空気に囲まれて、不安や緊張といったものから解放されているのは最高に気分がいい。

 外を歩くにも、人と話すことに何の心配もいらない。

 人と関わることに何の心配も……。

 

 

「……あー、やべ用事思い出した。すみません先輩、東も。俺も3日くらい放課後会えねぇかも」

 

「バイト?」

 

「いや違う。ちょっと調べものが出来た、用が済んだら連絡入れるんで」

 

「はいはーい。じゃあこれから3日は乙女の時間ってワケ。楽しみねぐふふ」

 

「まさかそれ乙女の語尾じゃないよね?違うよね!?」

 

 

 先輩の軽い口調と、俺に見えるように飛ばしたウインクに心励まされながら、二人と別れる。

 ……顔に出てたか?それとも声色が違ってたか、どっちにしろ先輩には事象関連だと感づかれたらしい。

 なんで分かんだよ、と思ったが先輩は気遣いが出来る人だからな。深く聞かず東の注意を逸らしてくれたことに感謝しなきゃならない。

 あークソ、思い出しちまった。俺にはまだ確認しなきゃならないことがあるじゃねぇか。

 バレンタインも目前だってのに、胸糞悪いぜ。

 

 

「とりあえず事務、いや学生課だな……」

 

 

 まだ帰ってきてねぇモンがある。そこんとこどうなってんだあんチクショウ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で先輩、さっきの志賀どうしたの?」

 

「ありゃバレてる。まー顔にくっきり出てたもんね、しゃーない」

 

 

 先程志賀と別れた後、東ちゃんと一緒にお買い物に行く際にそう聞かれてしまった。

 あの時の志賀の表情の変わりようは凄まじかった。さっきまでニコニコ笑顔だったのが突然怖い顔して、それで出てきた言葉が「調べもの」だもの。

 十中八九、前に巻き込まれたと言う異変の事。そして私達が知らない、()()()()()()()()何か。

 でなきゃ多分助けを求めてくる。今の志賀なら私や東ちゃんを頼ってくれる筈だから。

 そうしないってことは力になれないこと、志賀にしか分からないことなんだと思う。

 

 

「って、東ちゃんは志賀と関わって長いもんね。そりゃ分かるか」

 

「まぁ一応。けど聞かれたくなさそうだったし。なんか先輩は色々知ってるっぽいけど」

 

「それはまぁ恋人ですしおすし」

 

 

 実際は色んな偶然とかファンタジーが重なって出来た縁だから、ちょっとだけ東ちゃんが羨ましかったりもする。

 順当に時間で関係を重ねたわけじゃない、あの時偶然出会わなければ志賀との縁は消え去っていたかもしれない。

 思えば私、昔の志賀の事何も知らないや。先生目指してたとかそれくらい?今度会ったら色々教えて欲しいなぁ。

 

 

「うわ腹立つ。先輩の仕草も、友達を頼らない志賀もムカつく!」

 

「あははっ!膨れた顔も可愛いっ。まっ、美味しいチョコ作って志賀を楽しませてあげましょっ」

 

 

 志賀だけが知っていることと言えば、一つ引っかかってる。

 前に話してくれた時教えてくれた「あっち側に手を引かれていった人」の事。

 小さな子供に手を引かれて、そのままいなくなってしまった人。

 

 

「……あっ、そういえば。先輩さ、───って生徒知ってる?」

 

「───?いや、知らないけど……うん、私の学年にはいない名字だと思う。どう、して」

 

 

 そこまで思い至ってから、気づいてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前に志賀に知ってるか聞かれた名前なんだよね。同じ学部だったらしいけど、僕聞いたこと無くてさ」

 

 その人達は今()になっているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目当て通り、学生課の閲覧自由のファイルから同学部4学年分の学籍番号一覧を確認できた。

 迷惑にならない様写真だけ撮っておき、それを家に持ち帰ってからチェックだ。

 一旦PCに取り込んで名前検索、ついでに手打ちしてる間に違和感が無いかも確認していく。

 

 

「首尾よく手に入ってよかったぜ。さて……流石に忘れてねぇと思うが」

 

 

 忘れてた、というよりずっと考えたくなくて無視していた問題。

 あっちで幼女に手を引かれて消えていった人間の足取りを掴む確認作業だ。

 先輩と初めて会った日も確か同じことを考えていた。そうだ、同じ講義に出ていたやつの中にもいたんだ、あの世界に取り込まれていった奴が。

 

 そいつは今どうなってる?俺はアイツのことを覚えてる、じゃあアイツもこっちに帰ってきてるのか?

 思い出してしまった以上確認せずにはいられない。人間一人簡単に消える世界なんて冗談じゃねぇ。そんなもんまかり通っちまったら安心なんか出来る訳ねぇだろうが。

 一人一人確認していく。名前は間違いなく覚えてるが学籍番号がうろ覚えだ。数百人いるが大した手間じゃない、照らし合わせていく。

 

 

「……いねぇ、な」

 

 

 そうして4学年分の名前を入力しつつ、その中からあの日消えていった奴を探す事2時間。 

 何度も繰り返し確認したが、やはり記憶の中に居た筈の数名の生徒は名簿上から消えていた。

 代わりにいなくなった奴とは全く掠ってもいない名前、学籍番号だけは同じ生徒がそいつに代わっているのを再確認できただけだ。

 この作業は数年間世界の異常に巻き込まれた、あの苦しみに満ちた日々は夢ではなく現実なんだと、俺に強く再認識させるだけの結果に終わった。

 徒労感と、今更抱えるのも無意味な怒りで頭がどうにかなりそうだった。

 

 

「それに救われる奴もいるんだ、俺がどうこう言う問題じゃねぇ……」

 

 

 日常的にエロが潜む世界。そこに行きたいと言う人間は多いんだと思う。

 けれど俺は思う、そういうのは創作だから、そして自分が望んだ世界だったらきっと楽しめるんだ。GTAが面白いのはそういうことなんじゃね?と思う。

 だが望んでもいない世界に来てしまったら最後、未来を見据えるより今を生きることに必死にならざるを得ない。

 それらに巻き込まれないように、息と自分を殺して生きる日々は本当に苦しいものだったから尚の事そう思う。

 俺の居場所はあの世界にはなかった。異物感を自分に感じると言うのは、もう二度としたくないが得難い経験だったと思う。

 

 

 

 あの日手を引かれて路地裏へ、更衣室へ、カラオケへ路地へ駅へ公園へゲーセンへ。

 

 

 

 消えていった人達にとってそれが幸せだって言うのならば、それを俺がどう思うかなどきっと関係ない。

 メスガキだらけのあの世界が彼らにとっての理想なのだとしたら、俺にそれを止める権利はない。

 だってそれは、この()()()()()で俺と同じ異物感を感じているってことだ。俺はそれを否定しちゃいけないんだ。

 だからこれは義憤でもなきゃ正当でもないただの怒りだ。ただただあっちの世界を取り仕切って日々人を堕落させているであろう()()に腹が立っているだけだ。

 

 

「あーやってらんね。そうかよ、もう二度と会うことはねぇってことかよ……」

 

 

 直接話したことはほとんどない。同じ講義を取ってて見たことがある程度のほぼ他人。

 その他人は俺の目の前で世界から突然いなくなり、まったく見知らぬ他人へと置き換わった。

 言ってしまえば他人が他人に替わっただけだ。俺が生きていくのには何の関係もない。

 

 だが入れ替わった人間を俺はきっと直視できない。そいつは何も悪くない、だがもし正面から対峙してしまえば、あまりの気味の悪さに吐き出してしまうかもしれない。

 この胸糞悪い想いを一生抱えたまま、一度も忘れることなく生きていかなきゃならないと思うと心の底からやってられなくなる。

 

 もしもの話を言い出したらキリがねぇが、クソ。本当に最悪だ、こんな顔人に見せられたもんじゃねぇぞ。

 だってひょっとしたら、消えたそいつらはいつか()()()()()()()()()()()()()()()じゃねぇか。

 

 

「……調子、戻さねぇとな」

 

 

 だからこの話は、もうおしまいだ。

 俺は先輩に出会って帰ってきた。消えたアイツは生きる場所を選んだ。

 そして俺達は二度と交わらない場所にいる。

 それだけで十分だ。もう十分すぎる程に、ここは現実なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば合わなかったのがもう一人いたっけ?今の内に返しちゃおっと♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして鬱々とした気分で迎えた14日、講義が終わってすぐ担当教授に呼び出されてしまった。

 

 

「志賀君ね、ほんっとーに悪いんだけどね。2キャン*1までおつかい頼めるかな」

 

「2キャンすか?なんかあったんです?」

 

「うん、今学長が2キャンにいてね。今日職員会議だから1キャン*2に来る筈だったんだけど、急遽予定が入って来れなくなっちゃったんだよ。しかも明日から学長県離れるって。でもできれば今日中に目通して欲しい資料があるんだよ。頼んでもいい?」

 

 

 断りてぇ。出来るだけ早く先輩を家で待ちたい。

 けどいつもお世話になってる教授の頼みだ。断るのも申し訳ないし、何よりこの人いい人だからな。

 前にレポートで不足指摘された時すげぇ分かりやすく教えてくれたもんな。お陰でレポートのクオリティが大分上がった。受けた恩は返さねぇと。

 

 

「分かりました。帰り道からそんな遠くないですし大丈夫っす、行きます」

 

「ありがとう!ごめんよ、今日は志賀君にとって大事な日だと分かってるんだけども……」

 

 

 この人は俺と先輩の関係を知ってるから尚の事申し訳ないと思ってるんだろう。

 申し訳なさそうに眼鏡を整えながら教授が言う。

 

 

「それにしても感慨深いな。あの一ノ瀬君と志賀君が、正直全く予想できなかったよ」

 

「そいうもんです?俺は昔の先輩知らないから分かんないんすけど」

 

「一ノ瀬君は入学当初からあまり変わってないかな。当時からズバッと物言うロリィタファッションの生徒だった。ただ当時は一ノ瀬君を好く人も嫌う人も結構極端だったね。ファンとアンチが同じくらいいて、成績上位と知れてからはそれがより顕著だったかな。今でこそ皆慣れたから静かだけど、今も彼女を慕う子や疎む子は多いと思う」

 

 

 人間第一印象は中々崩せないから、と慈愛すら感じる優しい目つきで先輩の事を話す教授は、まるで古い記憶に思いを馳せているみたいだった。

 そうか、先輩は大学入ってから変わったわけじゃなくて元からああいう服が好きだったのか。

 それを聞いて、なんでか少し安心した。俺の好きな先輩は、ちゃんと素の先輩だったからと知れたからかもしれない。

 

 

「そういう君は、人間不信に片足突っ込んでるってくらい人と関わろうとしない生徒だったね。僕らにはちゃんと質問しに来るから気づかなかったけど、一年経って君と1回も話したこと無いって生徒が凄く多くてビックリしたよね」

 

「あー……はい、すみません」

 

「いやいや、別に悪いとは思ってないんだ。講義はちゃんと聞いてるしグループワークも上手くやれてる生徒だったから、イメージと一致しなくて驚いたってだけだよ。だから君達が関わること自体結構予想の範囲外だったよ、学年も違うしね……おっと、もうこんな時間か。ごめんね、書類頼んだよ」

 

 

 了解の返事をしつつ、書類の詰まったファイルを受け取って研究室を出る。

 ……意外だと言われたけど、そんなにか?そう言えば先輩の昔の話ってゲーセンの逸話しか聞いたことねぇな。

 今度二人でいる時にでも聞いてみるか。ロリィタにハマった経緯とか、なんでそんなゲーム強ぇのか、聞いてみたいことがたくさん出来ちまった。

 一先ず先輩に『2キャン寄るんで16時頃帰ります』とだけ送りすぐに向かう。

 遠くは無いが徒歩には少し面倒な為バスに乗り、ほんの数分で到着する。

 

 

「こっちの学長室はどこだーっと」

 

 

 建築時期の違いか、1キャンと2キャンは構造が大きく違う。

 1キャンに比べて2キャンはどこも真新しく、テラスや中庭で通路が入り組んでて妙に迷いやすい。今風でオシャレと言えば聞こえはいいんだろうけど、こんな分かりにくくするする必要あるのか?

 念のため撮っておいた地図と照らし合わせながら進んでいくと、何人もの生徒とすれ違う。

 ここにいるのは普段会うことの無い学部違いの生徒ばかりだ。お互い全く顔が分からなくて声を掛けるのも敬遠してしまう。

 

 

「───あれはやっぱ夢だったのか?もし夢じゃなかったら……なぁどうする!?俺は俺の理想の世界を蹴っちまったってことになるのか!?」

 

「頼むから夢だと証明してくれ。じゃなきゃ俺はお前を殺さなきゃいけなくなる。児ポの夢魔鏡野郎が、今すぐ社会の為に死ね」

 

「死刑の段階飛ばすなや!!つーか夢でも手を出したことはねぇって!」

 

 

 ……なんかこの空き教室うるせぇな。覗いた感じ2人しかいねぇのにかなりデケェ声で喋ってて声が抜けてくるぞ。

 でも丁度いいタイミングだ。学長室の場所を聞いちまおう。その方が手っ取り早い。

 どれ、どんな人が中に……

 

 

「あん時「やっぱダメだ!」ってなってからなんか周りでそういうことが起きまくって、講義の時以外怖くてずっと家で引きこもってたんだぞ……少しはかわいそうとか思わねぇの?」

 

「だからお前ここ最近見かけなかったのかよ。夢一つで?アホくせぇ……異世界なんてねぇよ。ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし」

 

「そう、だよなぁ。悪夢でも見てたんかな……いやある意味吉夢かもしれない。合法ロリの楽園……」

 

 

 ……嘘だろ。

 なんで、アイツがここに。

 

 

 

「はっきりいってそれ病気だから。また同じような夢見たら言えよ。友達として、お前が児ポで捕まる前に殺す」

 

「言ったら殺されるのに!?せめて自首させて!?」

 

「ロリコンに与える慈悲は無ぇんだよな。まぁ、夢の中でも手を出さなかった点は評価せんでもないが……」

 

「当たり前だ!!イエスロリータ・ノータッチは大前提だろうが!」

 

「死ねよもう。頼むから何でお前と友達やってんだか疑問に思わせないでくれ……」

 

 

 

 は、はは。

 俺が思ってる以上に、人間って捨てたもんじゃないんだな。

 あぁクソ、目が滲む。別学部に吹っ飛んでるなんて分かる訳ねぇよ。

 どんな整合性の取り方だよとか、思うが、無事だって分かっただけでも嬉しくてたまらねぇ。

 

 

「失礼します、今ちょっといいです?」

 

「だから俺はロリに敬意を持って接していてだな!?……こんにちは、()()()()()。今日はいい天気ですね」

 

「諦めろ。聞き苦しい汚声を聞かせてしまいすみません、お詫びに今すぐこいつを殺します」

 

「ナンデ!?」

 

「いえ、気にしないんで。それよりも頼みたいことが」

 

「(こっちじゃ見たことないし1キャンの人か?)なんです?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺と友達になりません?」

 

 

 この人もあの世界に勝ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということがありまして、帰りが遅くなっちまいました」

 

 

 予期せぬ再会を祝し、思わずその場でフレンド申請してしまったのは少し急だったかもしれない。

 向こうも向こうで「ワァオ!ボーイミーツボーイ!?」「ボーイって歳でもねぇだろ」と笑いながら了承してくれたのだから想像以上にいい人達だ。

 連絡先は交換しておいたので、いずれ学部やゲームの話題を振ってみるつもりだ。

 

 

「はぁー、しかし別学部にねぇ。記録と記憶改竄だなんて、何も信じられなくなっちゃうわね」

 

「アレはそういうもんだと受け入れてます。もう俺に影響することもないでしょうし、アイツが清廉潔白で無事ならそれでいいんです」

 

「清廉……清廉とはいったい……うごご」

 

 

 彼もまた異変に巻き込まれながらも、自分の意思を貫いた漢だ。

 清々しい程にロリコンであるという事実を除けば気のいい男なのだろう、そうに違いない。

 まぁ先輩には絶対会わせねぇけど。万が一、もしものことがあれば俺はまた友達を失うことになる。多分大丈夫だとは思うが。

 

 

「……で?ボーイミーツに浮かれて今日のメインイベントを忘れたわけじゃないでしょうね?」

 

「当然。それが楽しみで帰ってきたんで。お願いしますチョコ下さい」

 

「ちょちょちょ迫るな迫るながっつくな渡せないでしょ。やめっ、こら、壁まで押しやるなっ」

 

 

 だってさぁ!今日まで3日間ずっと焦燥感でどうにかなりそうな中先輩に会うことすら控えてさァ!

 こっちはもう限界なんだからしょうがねぇじゃん!!アイツのこと気にしながらずっと先輩がくれるチョコの事考えてさぁ!

 気ぃ狂いそうになるのを理性で頭の片隅まで押し込めてたんだからそんぐらい許してくれよぉ!!

 

 

「こういうのはムードってもんがあるでしょっ!?こ、こら、離れてってば」

 

「分かりません。今あんまり余裕がないんです。早くください」

 

「このっ……えー、うん。はいこれ。ほらあげるから一旦離れて。ちょっと、ドキドキしすぎちゃうから、ね?いい子だから」

 

「愛佳さん……押しに弱いのどうかと思いますよ、心配になります」

 

「マジでビンタ飛ぶわよ!!??もうっ、いいから早く受け取りなさいってっ!」

 

 

 半ば強引に押し付けられて距離を取られつつ、赤い袋に白いリボンで綺麗にラッピングされた袋が手に残る。

 持った感じ結構重い。重心の感じでは1つ、中くらいの箱型容器に入っているのが感じられる。

 開けていいか目線で促すが、先輩は髪をくるくると弄びつつムスッとした顔で「もっとこう、お互い余裕をもってロマンチックに……」とか言ってる。

 俺もそうしたいところではある。だが先輩のプレゼントが目の前にあって、それを我慢できる男はいるだろうか?いやいない。

 このまま黙って佇むのもあれかと思い、シュルシュルとリボンを外す。

 中身は予想通り白い箱に収められていた。中身までは見えないが、濃厚なベリーとチョコの香りがする。

 

 

「……コホン。中はザッハトルテ。ジャムはラズベリーにしてみたの、自信作よ。あっラズベリー大丈夫よね?」

 

「あ、はい、好きです。え?ザッハトルテって作れるもんなんです……?」

 

「ふふん、味は東ちゃんのお墨付きよ。辛そうな恋人を笑顔にするために、私が全身全霊で愛を込めたんだからっ!」

 

「……幸せで泣きそうだよ。珈琲淹れてきます。一緒に食べましょ」

 

 

 自分でも分かる。多分、今はちゃんと笑えてる。

 だって先輩の笑顔がこんなにも優しいから。

 

 

「ふふ、今晩はゲームお休みしてゆっくりしよっか。ね、巧。今日あった事、考えたこと、ゆっくり聞かせて?」

 

「はい、喜んで」

 

 

 お返し、頑張らなきゃいけねぇな。

*1
第2キャンパスの略

*2
第1キャンパスの略





 小説の書き方や書くジャンルも大きく変わりましたが、この作品の事を忘れたことは一度もありません。
 読み返すと段落の開け方とか直したい部分もいっぱいありますが、なんとなく直せなくてこのままにしてます。
 待ってくれた方々、思い出してくださった皆様に心より感謝申し上げます。
 また書けたら投稿します。
 アンケートを作りましたが、こちらは今までずっと考えてはいたけど形にできてなかったものになります。
 まだ何も書けていないのですぐのご提供は出来ませんが、頑張って書き進めていきたいと思います。

これから書くので時間かかります

  • 東と一線を越えてしまう話(if要素強め)
  • 大学卒業後(if要素強め)
  • 先輩が志賀の家族へご挨拶する話
  • 男女逆転ワンちゃん世界if
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