無様屈服ワンちゃんばかりのこの世界で俺は巨乳好き   作:飛び回る蜂

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今日から3日間後日談を投稿します。明日からは20時です。
どうぞよろしくお願いします。


後日談4 ここからが本番のプロローグ

 学校の最寄り駅からたった3駅、時間にして十数分。

 ついに来てしまった、後輩の地元。そしてついにこの瞬間が来てしまった。

 そう、記念すべき志賀後輩のご家族に会う日が。

 あまりの緊張に化粧室の鏡で何度も確認してしまう。でも今日はそれくらい、いや人生で一番以上に最高でないといけない日。

 

 

「大丈夫よね?派手過ぎないおめかし、睡眠も十分、今出てる課題も提出済み。今日の私は人生最高の美少女、誰もが目を奪われるパーフェクト美少女……!」

 

 

 この場に愛しい後輩達がいれば「あぁ、まぁ、そっすね」「そうだねー」と生返事をくれるに違いない。なんか腹立ってきたわね。後で東ちゃんの胃袋にたらふく甘い物詰めちゃる。後輩は勘弁してやろう。

 そう、それくらいに今日の私はバッチリ決めて来た。中途半端な成果は許されない、初手からパーフェクトコミュニケーションを決めてみせる!

 そう意気込んで来たものの、胸の中で不安が溜まっているのはどうしても否定できない。だってこれから会うのはあの志賀のご家族なのよ?私が人生掛けて愛しますと宣言した恋人の大切なご家族なのよ!

 二人で旅館に行った日、聞いてしまった電話からご両親が志賀をとても心配してたことは伝わってる。そんな人たちに万が一「息子を奪った」なんて嫌われてたらと思うと……凄く怖い。

 私は志賀を信じて一緒に人生歩いて行こうと誓った。けどご家族はそれよりもずーっと前から志賀を愛して育ててきた筈。それを横から口を挟むなんて……。

 

 

「……しゃきっとしなさい一ノ瀬愛佳。私がそんな気持ちでどうするの」

 

 

 行く前から不安になってどうするの、私!不安は後!今は飲み込んで忘れて、自分に出来ることをする!後悔と反省会は終わった後にやるもんなんだから!

 今は迎えに来てくれてる筈の後輩を探すのが先。急いでチャットを送ろう。

 

 

「今着いたっと。うわ返信はや、怖ぁ~」

 

『改札出てすぐです』

 

「了解あいらぶゆっと。……ふふ、何かワクワクしてきたわね」

 

 

 さっきまでの不安をワクワクと誤認したいだけなのか、これが初めて来た場所への期待なのか、これから会う人へのそれなのか。

 それを明らかにするためにも私はなるべく焦らず、万が一にも転ばない様ゆっくりと向かう。

 そうして改札を出てほんの少し歩いてみれば、待ち人はそこにいた。

 

 

「おはようございます。おぉ……今日の先輩なんか……こう、いっすね」

 

「ふふん。普段が黒寄りだから今日は白よ。どう?清楚でしょ?」

 

「普段は清楚じゃないって自覚が遂に芽生えましたか」

 

「お望み通り暴れ狂ってやろうかコラ。そんなことより!これから歩き?」

 

「途中まではバスで、そっから少し歩きです。帰りは送ってもらえる予定です」

 

「はーい」

 

 

 今日の後輩はガラにもなく少し緊張しているみたいで、どことなく口調や動きが固い。

 緊張をほぐすのも先輩の務めよね。どれここいらで一回かましとくか。

 

 

「ここで緊張しいの後輩にいいことを教えてあげる」

 

「はぁ、なんです?」

 

「服は白で纏めたから、下着は黒で纏めたの。レースのついた可愛いやつ」

 

「……………………………………ソウスカ」

 

「取り繕えてないわねぇ。見たい?ねぇ見たい?」

 

「……あんたこれから誰んちのどこ向かうかほんとに分かってます!?嘘だろ。俺この気持ち抱えたまま今日一日過ごさなきゃなんねぇの!?」

 

 

 あー気持ちいいわ!最近いつも振り回されてばかりだから狼狽している後輩を見るのは最高に気分がいい!

 違う意味でドキドキしてる後輩が慌てふためく姿は私に余裕を齎してくれる……ありがとう後輩。

 この帰省が終わった後どんな目に会わされてしまうのか、それを考えると一瞬「あれ?ちょっとヤバいかも?」という疑念が過るけれど、今が楽しいから気にしないこととする。

 

 

「さー行きましょっ。楽しくなってきたわー!」

 

「マジで覚えとけよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして勢いで後輩兼恋人の帰省に付いてきてしまったことを、今少し後悔している。

 もちろんご家族に会うからと言うのもあるが、何より目の前の()がそうさせている。門……デカくね?

 え、マジ?後輩ってお坊ちゃんなの?東ちゃんもそうだけど私の周り意外と実家太い系……!?

 

 

「大丈夫すか、ちょい歩きましたけど」

 

「だ、大丈夫。それより緊張でどうにかなりそう」

 

「俺もっす。目前にして帰りたくなくなってきた……言ってもしゃーねぇっす、腹括りましょう」

 

 

 到着してすぐ後輩の実家のデカさに度肝抜かれてしまった。

 なにこれ家デカッ。門付きの和装建築だし、庭が一面白砂利だしめっちゃ広いし。

 何人住んでるのこれ。2世帯位余裕で入っちゃうんじゃないのこれ。

 さっきまで余裕しゃくしゃくって感じだったのにその余裕はもう全くない、空っぽでガチガチになってる。

 

 ダメ、ダメよ私!圧倒されて自分を見失っちゃダメ!何の為に付いてきたと思ってるの!

 後輩のご家族にご挨拶する千載一遇のチャンスなのよ?後回しにしたら卒業直前や卒業後にバタバタして挨拶することになる。それは絶対に避けたい。

 それにここでいい印象を与えて、絶対に巧のご両親には安心してもらうの。

 前に旅館で聞いちゃったことを前提にするなら、ご家族も巧の事凄く心配していたはず。

 そしてその解決の兆しが私にあったってことも……なら一層私が頼りになる恋人ってところを見せたい!あとご家族の公認をなんとしてでも得たい!

 

 

「(なんか先輩気合入ってんなー)」

 

 

 そんな私の気合も知らず、とことこと後輩が門の先へと歩き始めてしまう。

 慌てて追いかけつつ、一番気になってたことを聞いてみる。

 

 

「ね、確認なんだけど」

 

「なんでしょ」

 

「そのさ、ご家族の方は巧の事情どれくらい知ってるの?」

 

「あー、えーと、なんて言やいいかな……俺が高校の頃から徐々におかしくなってったってことは把握してますね。それ以降は俺もあんまりです。定期的に連絡は入れてます」

 

「そ、そっか。そうですか……」

 

 

 ……か、会話選択を痛烈にミスった気がするッ。事前に打ち合わせとけばよかった。

 まだ、まだよ。まだ巻き返せる。まだ助かる……!

 

 

「あっ、着きました」

 

 

 終わったァーッ!そりゃそうよねっ!門潜ったんだもん玄関まで1分もかからないわよねっ!

 志賀はそのまま流れるようにインターホンを鳴らす。木枠で出来てて家と調和してるの凄いわね……。

 

 

『はーい、巧?』

 

 

 インターホンの向こうから女性の声が聞こえる。

 声の感じ……お母様って訳じゃなさそう。お姉さんかな。

 

 

「ただいまー。先輩も一緒」

 

「い、一ノ瀬ですっ」

 

『おぉーついに来たか。おかえり、それといらっしゃい。鍵開いてるから入っちゃって~』

 

「あーい……すみません、流石に家族の前で名前呼びは恥ずくて」

 

「……うん、私もちょっと恥ずかしいかも」

 

 

 そりゃあね、そりゃあね!家族の前でイチャつけ見せびらかせとかはちょっとね!早いって言うか?上級者っていうか!?

 少なくとも私達はまだそこまであけっぴろげには出来ない!無理!

 でも東ちゃんが聞いたら「はぁ?今更そこ気にするの?」とか言いそうなのも否定できない……っ。

 

 

「それと、色んな問題はもう解決してるってこと、全部先輩のお陰って伝えてあります」

 

「えっ」

 

「そういうことで。ただいまー」

 

 

 ……それ色んな前提覆っちゃわないっ!?私色んな段取り含めて今日詳らかにする予定だと思ってたんだけどぉ!?

 そう叫びたかったのに後輩はそのまま家に入ってしまった。

 ……ええいままよ。頭の中は何の整理も出来ていないけど、とにかく行けば何とかなる!

 ご家族を安心させるって目的を忘れちゃダメっ。そんな思いで入った志賀宅一歩目、そして目の前!

 

 

「どーも、弟が世話になってまーす。姉の葵でーす。気軽に葵ちゃんって呼んでね」

 

「初めまして一ノ瀬愛佳ですうわッ顔がいいッ」

 

「化けの皮剥げるの早ぇよ」

 

 

 なん……なっ、このスタイルお化けっ!?脚長っ!腰細っ!顔良っ!!読モでもやってんの!?ラインがっつり出るシャツとスキニー着れるの余程身体に自信ないと無理でしょ……っ!!

 ダメだ、目を奪われた。私ともあろうものが、とんでもない美人が出て来て完全に脳の視覚を処理するところが破壊されてしまった。

 この人と一緒に生活って美醜の価値観ぶっ壊されない……!?今も近づいて私の顔覗いてくるしヤバ。美しい竜に見初められた人の気持ちが分かった気がする。

 

 

「あは、面白。一ノ瀬さん可愛いね。お?巧の1個上ってことはひょっとして私の1個下。ほぼタメ?何この可愛さともち肌感、うらやましー」

 

「なんで姉貴家に居んの?今日仕事だろ。あと母さんは?」

 

「休みにしてもらった、巧の大事な人でしょ?顔ちゃんと見ときたくて。ママはお茶の間で張り切って待ってるよ」

 

「部屋に直行しようと思ってんだけど」

 

「おっ、それは許さんよ。ママが一番心配してたんだからね?ちゃんと顔見せてあげて。じゃ部屋戻るね。至天の座が私を待ってる」

 

「へいへい行ってら」

 

 

 そう言うとお姉さん?が来た道を戻って階段を登ってった。ヒカセンなんだ……抜群のスタイルと顔のヒカセン……。

 それはそれとして、あれと四六時中一緒にいたら眼ぇ肥えっ肥えにならない?むしろ身内にあんな美女がいて私を選んだのちょっと光栄まであるくない?後輩の態度見てれば私で妥協とかそういうのじゃないっていうのはよく分かるし、ちょっと尊大な自尊心が芽生えちゃうかも。

 流石にちょっと誇らしくない?と思って後輩の顔を見て見ると何とも言えないような顔というか、非常に渋い顔をしてる。

 

 

「どしたのその顔」

 

「……姉貴の仕事モデルで、今色んな雑誌に引っ張りだこなんすよ」

 

「モデルさん、道理で……あの脚と腰と顔すごぉいもん……」

 

「そこは分からんけど。それなのに一日休みにして顔だけ見に来たって、心配かけちまってんだなって申し訳なさが……」

 

 

 あー……気持ちちょっと分かるなぁ……。忙しい家族が自分の為に時間割いてくれるの、嬉しいよりも申し訳なさが勝つのよね。

 でもうちはどっちかと言えば「手間かけさせないで」って言われた側だし、心配して一緒にいよううとしてくれてるんだもの。きっと負担だなんて思ってない筈。

 でも後輩はそれ込みで、分かってても苦しいんだろうなぁ……。

 

 

「辛気臭いこと言うのやめます。とりあえずお袋に会ってってください。その後は部屋に通しますんで」

 

「わ、分かった。ついに来たわねこの時が……っ」

 

「俺は気が進まねぇよぉ……先輩、今からでもアパートに帰らん?ゲームしようぜ」

 

「確かに魅力的だけど、ここで逃げ帰るような男を好きになった覚えはないのよね」

 

「……先輩に勝てねー」

 

 

 そりゃあそうでしょう、私は強い先輩だもん。

 弱い後輩引っ張って、一緒に大変な事背負うくらい訳ないってコト教えたげないとね!

 

 

「ふぅー……うし、俺も覚悟決めました。行きますよ」

 

 

 そう言って志賀はリビングに繋がってるであろうドアを開けた。

 入って向こう側に見えるキッチンには、とてもそわそわした雰囲気の人がいる。雰囲気だけでもずっとそわそわしている。そわそわって音が聞こえてきそうなくらいそわそわしている。

 

 

「(桜井先生の具現化みたいな人おる……)」

 

「ただいま、お袋」

 

 

 志賀が声を掛けるとその人はとても驚いた様子で……いやチャイム鳴らして帰って来たのにどうしてそこまであたふたしてるの……?

 どうも緊張してるのは私達だけじゃないっぽいけどそりゃそうか。事情が事情、ずっと心配していた子供が色んな事乗り越えて帰って来たんだもん、そりゃそうなるか。

 

 

「あ!も、もう来たの?おかえりなさい、巧!」

 

「ん。んでこっちが先輩。俺の彼女……っすね」

 

「初めまして、一ノ瀬愛佳と申します。巧君とは清いお付き合いをさせていただいています。どうぞよろしくお願いします」

 

 

 丁寧なあいさつに一礼、完全に決まったァ……こーれは完璧でしょ……!隣から(猫被り過ぎだろ)の視線が突き刺さってるの許さんからな。後で覚えてろよ。

 ここで焦ってお義母さんとかは決して言わないのが奥ゆかしさよ。ご家族にそういうノリを持ち出さないのがマナーってワケ。あと失礼ぶっこいて嫌われたら普通に死ねるからね。

 しかしお返事は帰ってこない。マズい、何かしくった?服がいけなかった?ロリィタを持ち出すのは流石に身内ノリが過ぎると思って普通のワンピースにしたんだけどダメだったかな……!?

 

 

「……」

 

 

 顔を上げると、お母さんがポロポロと涙を溢していた。

 泣きじゃくるって感じじゃなくて、自然に涙が溢れ続けているというかそんな風に。

 呆然としてしまったのも束の間、後輩が慌てふためき始める。

 

 

「なっ、あ、お、お袋!?何で泣いてんだ!?」

 

「あ、あら、ごめんなさい。ごめんね、涙が、止まらなくて……」

 

「おおおお、落ち着けってまだ何も言ってねぇし始まってもいねぇってば」

 

「まずあんたが落ち着きなさいね。ごめんなさい、時間を改めてまたご挨拶しに来ます」

 

「い、いいのっ!ごめんなさいね、嬉しくて……巧が元気で、素敵な人を連れてきたものだから、嬉しくて……」

 

 

 一つ目に上がった理由が子供の無事。それだけで私はああ、いいお母さんなんだなって直感的に理解した。

 久しぶりに帰ってきたんだし顔見ておくかみたいな惰性じゃなくて、離れている間片時も忘れずに愛を向けていた家族なんだ。

 きっと後輩自身あまりまめに連絡する方じゃなくて、そういうとこも心配かけたに違いない。チラっと顔を見ればやはりバツが悪そうに眼を逸らす。身から出た錆じゃないの。

 とはいえ後輩が尋常ならざる事態に巻き込まれていたのも事実な訳で、つまりここは私が繋ぐしかないってワケ。責任重大!

 

 

「私のことはいいから、まずは安心させてあげて?少し外に出てるから」

 

「分かりました。多分すぐ呼びますんで」

 

「よし!ごゆっくりぃ」

 

 

 そういうとこ谷口なんだぞという呟きがムカついたので一言も返さず部屋を出た。うるせぇ!いいだろキーパーソンなんだから。

 ……勢いで出てきちゃったけど人の家でやるムーブじゃなかったかもしれない。勝手に出歩くのもマナーがよくない。となれば廊下から一歩も動くわけにはいかない。かといってドア前待機して盗み聞きみたいになるのもあまりよろしくない。

 どうしよっかなぁー。とりあえず廊下で待機かなぁ。一息ついて悩んでいると玄関扉が開く音がする。

 恐らくご家族の方、このままだと鉢合わせしてしまう。なるべく柔らかい表情を意識して維持しつつ到着に備える。よし、完璧ね。

 

 

「ただいま……おや……」

 

 

 ……うおう、背ぇ高い御仁が帰ってきた。私が小さいのもあるけど、それでもかなりデカい。

 後輩も背はあんまり変わらんはずだけど、痩せてるし何気なく背を曲げて合わせてくるからそう感じさせなかっただけなのかもしれない。

 でも目の前の男性は後輩に比べてガタイがいい。覇気使いか?ってくらい圧を感じる。このタイミングで帰られたということは……。

 

 

「……まさかとは思うが、巧が粗相を?」

 

「いえ、お母さまと二人でお話する時間をと思いまして」

 

「なるほど……とても優しい人だね。申し遅れました、父の克己(かつみ)です。息子がお世話になっています」

 

「初めまして、一ノ瀬愛佳です。巧君とは健全にお付き合いさせていただいてます」

 

 

 やはりお父様だった。髪色がそっくり、若干タレ目で優しそうな眼。なるほど、目じり柔らかいお姉さんはお父様似、キリッとした目つきの後輩はお母様なのね。いやスーツの肩幅広ぉい……。

 それにしても志賀家のDNA強い。お母様と後輩は美人系の顔つきで、お父様とお姉さんは癒し系の顔。これは可愛い系の顔代表として負けてられないわねっ!

 そんなこと一ミリも伝わっていないお父様は顎を撫でながら、ふむ……と呟いてニッコリ笑った。

 

 

「せっかくなら書斎で待つかい?小さい頃の巧の話もしたいんだけれど」

 

「ぜひっ!!」

 

 

 これは……盛り上がって来たわね!

 

これから書くので時間かかります

  • 東と一線を越えてしまう話(if要素強め)
  • 大学卒業後(if要素強め)
  • 先輩が志賀の家族へご挨拶する話
  • 男女逆転ワンちゃん世界if
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