無様屈服ワンちゃんばかりのこの世界で俺は巨乳好き 作:飛び回る蜂
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確かに俺は、今までなるべくメスガキと関わらないよう日常を過ごしてきた。
じゃあそうしてたら絶対にメスガキに絡まれないのか?
答えはノーだ。幸せは歩いてはやってこないのに、メスガキはやってくる。
イカれてる? それ、誉め言葉ね。クソがっ。
例えばカラオケに行った時。
ちょっと飲み物を取りに行ってくるかーと席を立つこともあるだろう。
そこで注意しなくてはならないのは『他の部屋を覗きこまないこと』だ。
何故か。メスガキがいるからである。
奴らは複数人で集まり、自分たちを目撃した不特定なターゲットを部屋に引きずり込むことがある。
カラオケって会員登録に年齢制限なかったっけ? と思ったが、ここはそういう世界。
世界がメスガキに有利なフィールドを提供しているとしか思えない。
『あれあれ~? お歌も歌わないでどこ見てるのぉ?♡』
『メスガキが……っ。大人をからかいやがって……!!』
稀に覗くとこんな光景が広がっているのだから悍ましい。
監視カメラ仕事してくれ。飾りとちゃうねんぞ。
「レポートが進まねぇー……」
さて、今俺がいるのは大学内にある図書室。
この世界におけるメスガキと遭遇することの無い、いわば安全地帯である。
安全地帯の多くは年齢制限や立ち入り制限がある場合だ。
居酒屋や、それこそ今俺がいる大学構内とかだな。
だがそういう場所は得てして長居が出来ない。
絶対的な安全の保障など、それこそ自宅か実家くらいしかない。
それに奴ら、恐ろしいことに大学近辺には普通に出没する。
分かるか? なんか同じ講義で見たことあるなーみたいなやつが、幼女に手を引かれて人目につかないような所へ連れてかれるのを見る気持ちが。
野郎も野郎で頑なに手を振りほどかないのなんなの? 魂まで離してしまうからなの?
一般男性の方々には大変申し訳ないが、残念なことにこの世界の男は
幼女に近づかれただけで赤面する(最大限オブラートで包んだ表現)ような男しかいない、こんな世の中じゃ。
おかしくね? 大学歩いてるだけで「分からせてやる……!」とか聞こえてくるの。
それより前に教授達は講義を
大学構内は通常関係者以外立ち入り禁止だし、普通に考えるなら子供が入る余地は無いだろう。
「あれぇ? 2年がこの時間に図書室なんかで何してるのぉ?」
「……」
うわ出た。黒基調ロリータ服の幼女だ。
大学ならメスガキはいないと思っていたのか? いるんだなぁこれがぁ!
いや、なんでいんだよッッ!!
よりにもよってレポート詰まってる時にくんなよマジで……ッ!!
……冷静になれ。
そもそも誰なんだこの子供。
見た目身長は150届かないくらいだが、教授の孫娘とかか? その可能性はあるな。
つーか図書室なんだから本読みに来てるに決まってんだろ……
「ちょっと無視~?返事くらいしなさいよぉ、ねぇ」
「……ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」
「はぁ?だったら何よ。あたしが出てかなきゃいけない道理はないわよ」
これは……マジで教授の娘説出て来たな。
どの教授かは知らないが、娘がメスガキになったら泣いていいと思う。
あるいは教授も犬なのか。だとしたらもう少し腰を大事にしてくれ。
「ねぇ何読んでんのぉ?」
「教授に出されたレポート課題……宿題だな」
「……なんで言い直したの?」
そりゃ子供に難しい言葉は使っちゃいけないからな。
いつからなんだろうな、宿題が課題に変わるのって。大学からか?
「レポート苦戦してるのぉ?ざっこ♡単位取るのやめちゃえばぁ?」
「苦戦っつーか……ここの教授、出席とか採点緩い癖に、期限にやたら厳しいからな。一日でも遅れると即アウトだから余裕がねぇ」
一つ一つの発言が腹立つが、万が一教授の内誰かの娘だったら後が怖い。
適当にいなしてやり過ごすほかない。
ここで役に立つのが、今までメスガキと遭遇した際に培ってきたノウハウ。
メスガキ相手にはマジレス、素直、冷静の3つを保ち続けるのが回避のコツだ。
ここで慌てて否定や、見得を張って「負けないが!?」とか言ってしまうとメスガキ√固定となってしまう。
「それ出たの4日前でしょ?なんで出てすぐ取り掛からなかったのぉ?」
「よく知ってんな。ほらあれだ、ちょっと調子が出なくてな」
「どーせバイトか飲み会にでも行ってたんでしょ」
「ヴッ」
出た、鋭く俺を傷つける言葉の刃。
妙にするどいメスガキの観察眼共に繰り出されるそれはまさに致命の一撃。
その眼は現代社会に鬱屈した青年~中高年の心情を容易く見抜き、効率的な屈服への最短経路を導くという。
俺は屈服とは無縁だが、普通に傷つくからやめてほしい。
「その教授、確か去年もおんなじような内容のレポート出題してたし、誰かに見せてもらえばぁ? 参考になる資料探せばいくらでもあるでしょ?」
「そうすっかなぁ……。つか、ほんとによく知ってんなお嬢ちゃん。歳いくつだ? 中学生くらいか?」
さては教授、結構な頻度でこの子供研究室に連れてきてんな?
大学構内は安息地帯だと思ってたが、そうでもないことが証明されてしまったな……
「……ちょっと、レディに歳を聞くのはマナーがなってないんじゃないかしらぁ?」
なに眉ピクピクさせてんだこのメスガキ。
レディ(笑)
マナー(爆)
「なぁに笑ってんのよぉ!!」
「い、いやぁ、そういうの気にするお年頃なんだなぁと思ってな。悪い悪い叩くな叩くな、悪気はないんだ」
「だとしても先輩に向かって言うことじゃないでしょうがぁ!!」
……は?
えっ、なに、そういう属性もいるのこの世界。
私は激怒した。
かのクソ生意気な後輩をどうイビり倒してやろうかと考えていた。
図書館で騒ぐわけにもいかないし、いい時間だったしひとまず学食まで連れてきてやったわけだけど……
「いやほんとすいませんって……」
「許せないのよ……私の年と身長をバカにする奴だけは……っ!!」
「いや、馬鹿にしたわけじゃ……」
「シャラップっ!!」
言い訳など聞きたくないっ!!
悪かったわね、背が伸びなくてっ!! ちんちくりんでっ!!
「ケッ、どうせ私はチビですよーだ……新歓に出れば補導確定の女ですよーだ……」
「そりゃご愁傷様ですね……」
しかしこいつ、学年離れてるとはいえほんとに私のこと知らなかったのか。
非常に、ひっっっっじょーに不本意だが、私結構有名だと思ってたんだけどな。
ゴスロリ着たチビなんて滅多なことじゃいないし。
「ねーほんとに私のこと構内で見たことないの?すっごい目立つと自分でも思ってるんだけど。癪だけど」
「あー……なんででしょーね。不思議っすねー」
露骨に目を逸らしたなこいつ。
なんか怪しいけど……まーそういう人もいるのか。
「まぁいいわ。これもなんかの縁だし、レポート手伝ってあげよっか?」
「いや結構です」
「凄い早口で言い切ったわね!?なんで!?」
「いや、出来るだけ関わりたくないんで……」
そこまで言わなくてよくない!?
一応先輩よ私!?
「いやほんとマジで勘弁してください。ほんと吐きそうなんで……」
「泣くわよ!?チヤホヤされて生きてきたからそういう反応されるとまじで泣くわよ!!??」
吐くほどって何よ!?顔!?顔なの!?
顔はいい自信あるわよ私!背はないけど!!
「私あんたになんかした!?初対面で吐きそうってどゆことよマジでっ!?」
「……存在」
「あんたの親でも殺したの私……っ!?」
「いや……先輩が悪い訳じゃないんすけどね……。世界が悪いっつーか……」
「世界とはまた大きく出たわね!?」
嘘でしょ、初対面で存在否定されることある?
二十数年生きてて可愛い私に妬みつらみはあっても、こんな罵倒されたの初めてなんだけど!?
「……まぁなんだっていいわ。食べ終わったらさっさとレポート終わらせちゃいなさいよ。なんかの縁だし手伝ったげるから」
「えー……悪いですしいっすよ」
「過去レポ探すことすら思いついてなかったのに遠慮なんかすんじゃないわよ」
「ヴッ……」
事情は知らないけど嫌われてる……ってわけじゃなさそうだし、こんくらいならしてあげたっていいでしょ。
こいつのやってるレポート、あたしも苦戦したっけなぁ……懐かしい。
「それね、えらそーなこと言ったけどあたしも先輩に手伝ってもらったのよ。だから、まぁ、ね」
「……なら、お言葉に甘えて」
「それでいいの。さっ、さっさと食べて終わらしちゃうわよ」
最近友達の集まりがどうにも悪いし、こういう出会いもまぁ悪いもんじゃないわね。
新しくできた後輩に、ほんの少し手を貸してあげるとしましょうか。
……にしてもなんでこいつ、私と頑なに目ぇ合わせないのかしらね……?
「……とりあえず、経過観察ってことで、よろしくです」
「あたしは術後患者かなにか!?」