ガールズバンドとヴァイオリニスト   作:アリアドロス

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短いです、ごめんなさい。


唯我独尊、理想像

「それで、この状況を説明してもらっても良いかな。手が疲れて来たんだが……」

 ライブ終了後、まるで取り調べを受けるかのようにガールズバンドに辺りを囲まれた征は両手を上にあげていると、彼の妹である瑠唯がすっと人の輪を避け前に出てくると、腕を組み溜息を吐く。

「先ずは私に対して言うことが有るのじゃないかしら、兄さん」

「ただいま瑠唯、大きくなったね」

 征は感慨深いのか一人でうんうんと、首を何度か縦に振っていると相変わらず周りの状況を理解していない兄に対して瑠唯はまた溜息を吐いてしまう。

 そんな今の状況を征はどうでも良いと思っているのか何か思い出したかのように何処からか巻尺を取り出すと席を立ち、瑠唯の身長を慣れた手付きで測り出しそれを草臥れた手帳に記入していく。

「あははー、変わらないねー」

 瑠唯の後ろからひょっこりと顔を出した七深は久し振りに会う幼馴染みの姿に頬をかきながら苦笑いしてしまう。

「君達の兄として成長の記録は残しておきたいからね」

 そう言うと征は七深の身長も測りだし満足気に記帳するとポケットから小さなおもちゃを幾つも取り出し、彼女に渡していく。

 その異様な光景を見ていた他のギャラリーは千差万別の反応を示し、ある者は次々に渡されていく玩具に目を輝かせ、またある者はあまりの奇怪さに引き気味になってしまう。

「フランスで食べてたお菓子のおまけ、七が好きだったから」

「おぉ~! ありがとー」

「そろそろ良いかしら? 」

 だが、その光景を見てもなお平静な人物もいた。

「後にしてくれ」

「そう言う訳にはいかないわ、貴方フランスで悪魔の奏者って言われてるそうね」

 友希那の言葉にその瞬間、征は目の色を変え彼女を睨みつけた。

「瑠唯から聞いたのか? 」

「いいえ、貴方の友人からよ」

 友希那の言葉に征は下手な嘘をと言わんばかりにお腹を押さえながら口元も押さえクスクスと笑ってしまう。

「生憎と友人と言える人間はいな…………いや一人だけいたな、だけど彼女が目指したのはアイドルであってバンドマンじゃないんだが……本当にバンドマンになったのか彩? 」

 笑いながら会話を戻そうとした征だったが、彼女の側で居心地が悪そうな顔をした可愛らしい服装に身を包んだ彩を目にすると思っていたのと違う再会をした友人に驚きが隠せず、目の錯覚ではと目頭を押さえてしまう。

「征君、夢じゃないよ!? 」

「幻聴まで聞こえてきた、帰国前に根を詰め過ぎたな……すまん今日はもう帰る」

 征はそう言うと受け止めれない現実に頭を押さえながらうんうん、呻きその場を後にしようとするが「これ、現実だからー!! 」と彩が彼のシャツテールを両手で掴み引き留めようとするが、いかんせん男と女では体格差がものを言い、引きずられる形になってしまっている。

「ねぇ、もしかしなくても彼ってーー」

「えっと、恐らくは……」

「日菜とで同じ人の話を聞かないタイプでしょう」

 三者三様で苦笑いを浮かべてしまう中、当の本人は彩の必死の説得? に漸く耳を傾けたのか彼女の方へと向き直り彼女の言葉に適度に相槌を打っている。

「兄さん、そろそろ本題に入りたいのだけど」

 征は、妹の呼びかけに首を一度縦に振り、先程と同じ席に着席すると友希那を見つめる。

「それで、アンタは誰だ」

「湊友希那、Roseliaのボーカルよ」

「八潮征です。湊さん」

 征は彼女に対し笑みを作りながら手を差し出す、友希那も友好のの意味と理解し手を取るとRoseliaのメンバーであろう似た衣装に身を包んだ少女達も彼に近づくと各々自己紹介をしていく。

「私は今井リサ、Roseliaのベースだよ」

「ギター担当の氷川紗夜です」

「キーボードの……白金、燐子…です」

「生命の理を超えてババーンと舞い降りた聖堕天使、あこ姫!!」

「ベースの今井さん、ギターの氷川さん、キーボードの白金さんに生命の理を超えてババーンと舞い降りた聖堕天使ちゃんだね。なかなか個性的な苗字だが覚えるよ」

 征は至って真面目に受け答えすると気にもしていないのか早く本題に入ってくれと友希那に催促する。

「先にあの時の礼を言わせてもらうわ、ありがとう助かったわ」

 彼女の言葉に征は黙礼すると「偶々アンタらがそこにいただけだ」と付け加えた。

「改めて話をすると今日のライブを貴方はどう思ったかよ」

 友希那は自身達のさらなる技術向上を目的でジャンルは違うがプロである彼に伺いをたてる。征も意図をなんとなくではあるが察したのか左膝を自身の胸に持っていき、両腕で抱えると目を閉じる。

 時間にして数分だったが待つ身としてはそれ以上だったのだろうRoseliaのメンバーは次第に渋い顔をしていく。

「正直言うとわからない。分野が違うのもそうだが触ったことの無い楽器での演奏だったから、ただーー」

「ただ、何かしら? 」

「歌が気に入らなかった」

 その言葉にバンドのメンバーだけではなく他の少女達も驚きを隠せず数は多くないが騒つきを見せる。友希那自身も自分にダメ出しが出るとは思ってもいなかったのか目を見開いてしまっている。

「アンタ、何のために歌を歌っているのかもう一度考えろ。同じ道の人間としてそれしか言えないが為にはなるだろう」

 征は用件は済んだと徐に席を立つ。

「私達はどうだったの兄さん」

「非常に素晴らしかったよ。一度ヴァイオリンを辞めた筈なのに抜かれてしまったよ、他の子達も頑張って練習したんだって伝わったよ」

 瑠唯の言葉に征は自分のように嬉しそうな声色でほめた。

 七深を除いた他のモルフォニカのメンバーは褒められたことが嬉しかったのか各々喜びを噛み締める素振りを見せる。

「本当にそう? 」

『勿論、妹に嘘ついてどうする』

 瑠唯の問いかけにフランス語で肩をすくめながら答えてやると七深の顔に陰がさした。

征兄(せいにい)、ヴァイオリニストとしてはどう思ったの……」

 七深の言葉に征はクスリと笑うと足元に置かれていたヴァイオリンケースからヴァイオリンを取り出すとライブステージの壇上にゆっくりと登っていくとこちらに手招きしていく。

「少しレクチャーしてあげるから登っておいで」

 瑠唯はその言葉に何も言わずステージに登り、その片隅に纏められている自身の相棒である黒のヴァイオリンを取り出すと征の横に並び構を取る。

 七深以外の三人も嬉しそうな顔で登っていくと各々の楽器を準備していく。

「瑠唯ちゃん……」

 七深は心配そうな顔で瑠唯を見つめるもどうすることも出来ない自分に遣る瀬無さ(やるせなさ)と無力感に心を痛めながら壇上に立つのだった

 

 

 




一週間ペースでアップしてる人はどうゆうメンタルと頭脳をしてるのでしょうか

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