ガンダムビルドダイバーズ リレーションシップ   作:二葉ベス

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4章もそんな感じで、あとは消化試合


第50話:ケーキヴァイキングと決着

 今。当時とは姿形は違えど、ケーキヴァイキングの4人が揃っている。

 ガンダムAGE-2シェムハザを駆ける、ユーカリ。

 ガンダムゼロペアーオーバーデビルに乗っている、エンリ。

 ガンダムレギルスNに人機一体となった、ノイヤー。

 モビルドールフレンに搭乗している、フレン。

 

 目標も、何もかも全てが違くて、時にはぶつかって、失いかけもした。

 だけど、こうやってまた4人で武器を持って戦う姿をフォースの絆と言わずして、なんと呼ぶか。

 

「行きましょう、皆さん!」

「えぇ」「もちろんですわ!」「おっけい!」

 

 スラスターを展開させ、目指す目標は1/60スケールの黄金色の巨人。もはやそれはバエルとしての機能は為しておらず、ただのフレームだけ。だからこそ、その真価が発揮されると言っても過言ではなかった。

 振り下ろされる巨人の鉄槌を避けながら、4枚羽のシールドファンネルを展開させる。

 

「ユーカリさん、あの愚弟は勝利こそが絶対なる正義だと思い込んでいますわ。だからこっちが勝利すれば、粛正委員会は瓦解しますわ!」

「ちょろいじゃない。あんなでくのぼうに、負ける気がしないわ」

『減らず口を! これだから愚民は嫌いなんだ!!』

 

 闇雲に振るう剣も、当たらなければどうということはないのだが、ハイパードッズライフルやビーム砲群が数々フレームを直撃していても、ちっとも効いている気がしていない。

 だが必ず蓄積ダメージは存在する。ある種のレイドバトルだ。調子に乗ったデカブツを倒す、たったそれだけのレイドバトル。

 だから何を使ったって文句は言われないはずだ。

 

「皆さん! 2部隊に分かれて、残党狩りとこのデカブツ狩りをお願いします!」

「いいや、アンタの意見は聞けねぇな。俺たちは、俺たちの花道を築くぜ!!」

「残党なんて知るかよ! まずはその見下したクソ野郎を始末した方が気持ちいいぜ!」

 

 そうだった。アウトローの皆さんに指示なんて必要ない。

 あるのは自由と闘志だけ。ならば、作戦を変更しよう。

 

「敵将を、あの上から目線の悪い人を倒します!」

「「おう!」」

 

 飛び交うZガンダムにメタス。地上からはグレイズにケンプファーなど、それこそいろんなガンプラたちが想いを1つに巨悪に立ち向かおうとしている。

 きっと、この戦いでどちらかが勝ったとしても、悪という悪は消えはしない。

 かたやマナー違反者たちの集まり。かたや正義を振りかざす自治厨の集まり。

 どちらが正しいかと言われたら、どっちも悪人だ。

 それでも、どちらにも意地がある。プライドがある。その決意が強い方が勝つ。戦いってのはそういう風に決まってるって誰かが言ってた。

 シールドファンネルからガトリングガンが連射されながら、ビームサーベルを手に持って前進。フレームに傷をつけるけれど、それでも僅かなダメージだろう。

 ゲームとはその積み重ねだ。ダメージを積み重ねていって、膝を付いた方が負け。だから無限に切り裂き続けるんだ。

 

『邪魔クセェ。鬱陶しい。僕の、邪魔をするなぁ!!!』

 

 瞬間、機体から何かが奪われるような予感を感じる。

 シールドファンネル以外どこも以上が見当たらない。そうシールドファンネル以外だ。

 

「俺のファンネルが!」

「ビットー!」

「ビットが強制解放ですって?!」

「あたしのドローンも取られちゃった系かー」

 

 続くのはモミジさんが展開していたドローンの所有権譲渡。

 周囲のファンネルやビット群が例外なくすべてアディNのガンダムノブレスの元へと集まっていく。

 

「ははは、簡単じゃないか。これで攻撃すればいいんだろう?!」

 

 襲いかかるのはそれまで味方であったはずの遠隔兵器たち。その数は分からない。だって数えるのが億劫になってしまうほどのおびただしいほどの数なんだから。

 

「わたしのビットもやられたっぽい」

「セツ、やっちゃう?」

「やめといた方がいいかな。混戦中にやるもんじゃないし」

 

 春夏秋冬のハルとセツが躱しながらも会話をしている。

 恐らく例のクアドラプルハモニカ砲のことだろう。ただ、あれは混戦時には味方をもフレンドリー・ファイアしてしまうほどの威力を有していた。

 面倒なことをする。

 あの黄金色のフレームすべてがサイコ・フレームなのだとしたら、あれはまさしくサイコミュ・ジャック。ビットというビットを根こそぎ自分のものにしてしまうという驚異の性能。AGEで例えるなら、ジラード・スプリガンがやったそれだ。

 

 主力兵器を失った私に残されているのはビームサーベルとミサイル群だけ。

 だったら使い切ってでもダメージを蓄積させていくしかない!

 

「エンリさん! わたくしとの戦いで使ったアレは?!」

「使ってもいいけど、この混戦の中はあまり良しとはしないわ」

「地道に、って感じ……きゃあ!」

 

 その悲鳴に振り向けばフレンさんのハイランド・セルにファンネルのビームが被弾。そのまま機能を失っているところだった。

 

「フレンさん!」

「ダイジョーブ! アタシには、とっておきがあるんだから!」

 

 不要になったハイランド・セルを分離。声高らかに宣言すれば、そのサポートメカがやってきた。

 

「セルチェンジ! ハイランド トゥー クイーンズランド!」

 

 他のセルよりも一回り大きいそれは、両足に、そして背中部分のランドセルとして武装が接続される。

 曰く、それはミランドだったかもしれない。

 曰く、ハイランドも含まれているのだろう。

 曰く、グランドの要素もかろうじて入っている。

 曰く、足のそれはアイランドだろう。

 

 曰く、すべてのセルを統合させた短期決戦型セルである。

 

「モビルドールフレン、クイーンズランド・セル! 行っちゃうよー!」

 

 スキッドプレートから放出されるのはGN粒子。

 スキーのようにジグザグに、軽やかに移動しながら、魚雷改めミサイルを乱射していく。もちろんその全てがファンネルを撃破していく。

 更にはスタングルライフルでの掃射。デコイ・ミサイルでファンネルの対象を錯乱。

 上から爆雷と。それはもうやりたい放題だった。

 それに光の翼とジャベリンって、もうてんこもりですね、あのセルは。

 

「やりたい放題ですわね」

「まぁ短期決戦型って行ってたし、GN粒子が切れればあぁはならなくなるでしょうね」

「でも流石フレンさんです。私たちだって!」

 

 氷の床を瞬間的に作り出しながら、接敵するゼロペアー。

 もちろんその行く手にあるのは黄金色の剣。

 

『小賢しい! ファンネルは奪ったはずなのに!』

「バカね。オールレンジ攻撃対策なんて、GBNユーザーの必須科目よ」

 

 テイルシザーを起動させ、フロントスカートのチェーンとドッキングさせたメイスを同時に振り回す。

 まさに破壊の嵐。周りに存在しているビット郡はメイスに飲まれ、あるいはテイルシザーに貫かれ、あるいはワイヤーに阻害され、周囲にあったビットたちをすべて破壊する。

 あぁ、あれこそがまさしく、エンリさんとゼロペアー。破壊と暴力の悪魔だ……!

 

「わたくしも忘れないでくださいまし!」

 

 レギルスNも同じく手先のビームバルカンを展開させつつ、胸のビームバスター、尻尾のレギルスキャノンを360°展開させ、周りにある全てのファンネルを一層していく。こっちはこっちで怪物みたいな真似をしているし、ノイヤーさんもやっぱりすごい。

 ……私だって!

 

 会敵したファンネル郡はおおよそ6基。

 まずは腕部のミサイルを使用して、目くらまししつつ、1基撃破。

 続けてビームサーベルで切り裂いて3基。

 下に向かったファンネルはレッグミサイルで迎撃。2基破壊。

 

「最後!」

 

 ビームサーベル二刀流で切り裂けばおしまいだ。

 

「俺たちも負けてられねぇ!」

「おいっ! 後ろから敵来てるぞ!」

『粛正委員会こそが正義なんだ!』

 

 増援か。数はおおよそ20。こちらも相当削られている。

 相手は巨人。風圧に煽られつつこの20機を相手するのは流石に……。

 

「ユーカリ」

「ハル、さん? 何かありましたか!」

「ううん。あの20機は春夏秋冬だけでやる。ちょうど持て余してたところだし」

 

 それは、なんというか都合が良かった。

 流石にこの数を相手しながら、というのは難しいところがあったんだ。

 

「それに、決着を着けるならそっちのフォースだけでいいでしょ?」

「ハルさん……!」

「今度フォース戦しようね。んじゃ!」

 

 桜色のサバーニャ、ファイルムが加速を始め、20機相手に侵攻を始める。

 

「エンリちゃんもそんな感じで!」

「勝手にやればいいじゃない。馴れ馴れしくしないで」

「もう、ツンケンしちゃって」

「うっさい」

 

 それでも物理的に背中を押して、応援するエンリさん。相変わらず素直じゃない。

 ナツキさんも少し笑いながら、ハルさんの後を追った。

 

「んじゃ、後はこのデカブツだけですね!」

『どうしてだ! 正義は我々にあるんだぞ! 僕を倒したらどうなるか?! お父さんが許さないぞ!!』

 

 周りのファンネル郡はすべて消滅した。

 であるならば、最後は目の前のガンダムノブレスだけになった。

 その搭乗者であるアディNは、それはもうお怒りの模様だった。

 

「この期に及んで親のスネかじりですの? 中学生らしい、バカな発想ですこと」

『バカ? この僕が?! ふざけるな! 望んでも手に入れられないものしかなかった呪われた子の分際で!!』

 

 呪われた子。それはノイヤーさんを、ムスビさんを縛り付けるにはうってつけの言葉。

 望んでも手に入れられた試しはなかった。金髪緑眼も、愛する人も。

 

「確かに得られませんでしたわ」

『じゃあ何故だ?! 何故僕に剣を向ける?!』

「理由は2つですわ。1つは些細な気づきです」

 

 それは、望んでも手からこぼれ落ちても、必ず残るものはある。例えば自分を見ていてくれる人。気にかけてくれている人。

 

「例え望んだ容姿でなかったとしても、愛する人にフラれても、わたくしを支えてくださる人がいるなら……。それは立派な人生と言えるのです」

 

 少女は望んだ。恵まれた容姿を。愛する人を。

 でも手には入らなかった。生まれながらにして老婆のような見た目で。それでも手を差し伸べてくれた愛する人が他の人に取られて。

 それでも、いつの間にか周りにいた人がムスビさんを支えてくれている。

 1人では、どうしようもなかった。けれど……。

 

「けれど今は皆さんがいます。それだけで、わたくしの戦う理由に値しますわ!」

 

 啖呵を切るノイヤーさんに、アディNは苛立ちの声を上げる。

 

『ふざけるな。そんなの屁理屈じゃないか! 僕が持っていないものを、どうして姉さんが持てるんだよ?! ありえないだろ!!』

「2つ目の理由は、そんな態度だから気に入りませんのよ!!」

 

 風圧に揺れるレギルスNを制御しながら、フレームの首元へと到達したムスビさんはビームサーベルを発振させ、何度も何度も鎖骨部分を突き刺す。

 

「常に見下した態度で、人がついてくると思わないことですわ!」

『姉さんに何が理解出来んだよ! くそ、離れろ!!』

 

 必死に抵抗するガンダムノブレスとそれに食らいつくレギルスN。その姿は子供と親の喧嘩のようでもあった。

 

「理解できません。したくもありません! ノイヤー家にもはや何の未練もないのですから! そんなんだから友達もいませんのよ!」

『友達なんてもの必要ない! 僕は天才で、優秀で、何よりも次期当主という……!』

「そんなくだらないプライドばかり持ってるから、いないんでしょうが!!」

 

 ついにガンダムノブレスの左腕の接続が揺らぐ。

 フレンさんのスタングルライフルが接続部分を射抜けば、通常の1/144スケールよりも大きな腕が落下する。

 

「ユーカリさん! エンリさん!」

 

 その合図はきっと必殺技を意味することだろう。

 だから私は特訓中に手に入れていた『FINAL MODE 01』のスロットルを起動させる。

 

「全てを凍てつかせなさい、ゼロ度の心火。オーバーフリーズ・クライシス!」

 

 ガンダムノブレスの足元から回避不能な絶対零度の炎が氷となり、自由を失わせる。

 こちらと言えば、手に持った2本のビームサーベルが大きく、より大きく発振されていく。

 これをなんと呼ぶか。そんなのは決まっている。

 

「スーパーパイロット・プライド! 行けぇええええええええ!!!!」

 

 私の必殺技は至ってシンプルだ。巨大なビームサーベル2本で相手を斬り裂く。

 単純でありながらも、かのアセムのダブルバレットによるビーム刃とクロノスを倒した名シーンであるスーパーパイロット宣言と似ている。だから私のお気に入りなんです!

 胸部を斬り裂かれた斬撃はわずかにコックピット判定を逃れるものの、その穴を逃す手はない。

 レギルスNとモビルドールフレンが背中合わせで、それぞれ手のひらとライフルを穴の中に向ける。

 

「これで、終わりよ!」

「これで、終わりぃ!」

 

 ビームの連射とDODS効果のある閃光。何度も打ち放たれた光は確実にコックピットを撃ち抜き、黄金色の巨人を停止させるには十分なほどだった。

 

『嘘だ。正義である僕が、こんな……こんなぁー!!!』

 

 巨大な爆発とともに塵芥と変わっていく、黄金色の巨人を見て、私たちは確信した。

 この戦いは、本当に終わったんだと。

 私たちの、ケーキヴァイキングのハッピーエンドで幕を下ろせたんだと。




ハッピーエンドの、その向こう側へ
第4章は次回で終わりです。


◇クイーンズランド・セル
ミランド・ハイランド・グランド・アイランド
4つのセルを1つに統合した欲張りハイスペックセル。
すべてのセルを載せた都合上、重量過多な部分をGN粒子タンクによって補っている。
そのため燃費はあまりよくなく、短期決戦用として主に用いられる。
スキッドプレートをからGN粒子を散布しているため、スキーのように動く。

・特殊システム
GNスキッドプレート:
脚部に装備されるスキー状の装備。GN粒子貯蔵タンクが内蔵されている。

ミラージュコロイド
GN粒子
ミノフスキードライブ
光の翼

・武装
ビームジャベリン
ビームワイヤー
シールド
スタングルライフル
デコイ・ミサイル
マーク13ホーミングミサイル
M25対潜爆雷
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