守次 奏様の「ガンダムビルドダイバーズ ブレイヴガールフラグメント」の、
「アヤノ」さんと「ユーナ」ちゃんを許可を取った上でお借りしております。
似た者同士は惹かれ合う。と誰かが言った。
もしかしたらスタンド使いかもしれないけど、大体似てるから問題ないだろう。
「…………」
「…………」
何故そんな話をし始めたか。事の発端はとあるミッションを受けようとした時に起こった。
ムスビもフレンも本日は2人ともGBNにログインしておらず、これも機会の1つだからと始めたのがユーカリとのミッションデート。
わたしの好きな鉄血系のミッションでもやって、少しいいところを見せようかなと考えていたのだ。
最近はとにかくユーカリに甘えすぎていた気もするし、なんだったら弱い自分しか見せてこなかった自信があった。嫌な意味での自信だ。早く払拭したくて適当なミッションを選んで、OKボタンを押そうとした、その時だった。
濡れ羽色のロングヘアーに銀色のヘアピンをつけた少女が同時にミッションエントリーしたのだ。
「「あっ……」」
思わず声を漏らした2人。目と目を合わせて、寡黙なる挨拶を交わす。
第一印象は、この人怖い、というところであった。
「エンリ、どうかしましたか?」
「アヤノさん、何かあったの?!」
すかさずやってくるのはユーカリと、あと一人。脳天気な声を上げながら桜色の髪をした少女だった。
「「なんでもないわ」」
声を揃えて返事。その後またもや顔を向き合う。
なんなのこれ。わたし、そんなつもりで返事したわけではないのだけど。
かくして始まったのは、フォース『ビルドフラグメンツ』の『アヤノ』と『ユーナ』との合同ミッションであった。
わたしとしては邪魔な相手、というか。せめてユーカリと二人っきりになれれば、それでいいのに。それにアヤノと呼ばれた方は少し目付きが鋭いというか、端正な見た目でどこか日本のお屋敷にいるような美しさを感じる。ムスビとは大違いだ。あっちはなんというか、悪役令嬢みたいなところあるし。
それでも今日はよろしく、という挨拶ぐらいはしなければいけない。それがGBNにおいて。いやオンラインゲームにおいての鉄則と言ってもいい。出会ったことに感謝。協力してくれることへの感謝。わたしだって心がけていることだ。
だから緊張で震える口元を極限まで緩めて、こう言う。
「……よろしく」
「えぇ……」
会話はこれで終わりだった。
お互いにコミュニケーション能力が不足しているのだろう。まぁまぁ分かる。わたしだって苦手な部類だから。横で桜色の髪をした少女、ユーナと楽しそうに会話しているユーカリを見て、羨ましさを感じているぐらいには。
あの2人、初対面よね? 何故あんなに楽しそうに早くも友達感覚になっているのだろうか。
「ユーカリさんと、エンリさんだねっ! よろしくねっ!」
「はい、ユーナさん! よろしくお願いします!」
「あ、わたしのことはユーナで大丈夫ですっ!」
……この子、わたしがあれだけ機会を伺っていた呼び捨てをすかさず?!
侮れない。これがコミュ力強者の実力というやつなのか。
「……そうよね。私だけじゃないわよね」
ボソリと聞こえたアヤノの声がわずかに耳に届く。わたしも同じ気持ちではあるが、わざわざ口に出てしまうのは少しどうかと思う。わたしが悪い大人ではないことが幸いしたわね。
「エンリよ。よろしく」
「えぇ、私はアヤノ。まぁ、よろしく」
ぎこちない挨拶を交わせば、少しは友情じみた物を感じるわけで。
この子、恐らくわたしと似ている。なんというかこう、雰囲気というか微妙な擦れ具合がと言うか。でもこのミッションだけの付き合いになるだろう。ユーカリとのデートが出来なかったことは残念だが、これが終わった後にでもまたすればいい。今日は時間がたっぷりとあるんだから。
◇
「こいつ……っ!」
「危ないっ!」
吹き飛ばされるクロスボーンガンダムXPをかばうようにしてゼロペアーがハンドメイスを持って立ち向かう。
って言っても、こっちの明らかなパワー不足。舌打ちをしながらも、体勢を立て直したクロスボーンがバタフライ・バスターBで牽制射撃を行なっていく。
はっきり言って劣勢。お互いにABCマントとナノラミネートアーマーでビーム耐性はあったとしても、グレイズ・アインという強大で物理の暴力のような相手に対する防御策はない。
エドモントンでの戦闘を再現したこのミッションはキマリストルーパーとの戦いを強いられる。
ユーカリとユーナはそちらに任せているものの、こちらのクール気取ってるわたしとアヤノ相手じゃないとこいつは倒せない。
吹き飛ばされたわたしを今度はかばうようにしてクジャクで対応する。だが、向こうは鉄血機体。ナノラミネートアーマーは標準装備だ。
「……ジリ貧ね」
そして向こうにはアヤノの機体の武装が殆ど効かない。
その癖こちらは避けることしか今の所の対策方法がない。厄介だ。厄介極まりない。
「打開策は?」
「ヒートダガーぐらいね」
ただでさえ原作準拠の生物じみた素早い動き。気分はレギルスNと戦っていたときのようだが、決定的に違うのはクリアを前提としたNPDであること。つまり、思考能力はそこまで高くはない。
なら、やることは1つだけだ。
「あれを抑えられるのは恐らくリミッター解除したゼロペアーだけ。トドメは任せられるかしら?」
襲いかかってくる大型アックスを避けつつ、導き出した結論はそれだった。
ゼロペアーのリミッター解除であれば、あの素早い動きにも対応できる。加えて必殺技もあるんだ。やるべきことはこれしかない。
モニター越しに端正な顔立ちを見て、首を縦にうなずく。
「でも、ただトドメをさすだけじゃ帰れないわ」
手にバタフライバスターを持ち、ミノフスキー・ドライブから透明な粒子が溢れ始める。
ファイターならただトドメを刺すだけなんて勿体ないと思うわよね。わたしも一緒だ。だからこれは競争。どちらがあの鉄華団の狩人を狩るか。その勝負だ。
息を吸って、吐いて、正面にグレイズ・アインを据える。
『打ち砕け、ゼロペアー!』
氷気と共に辺り一帯が氷の大地へと姿を変える。
瞬間、踏み出すの第一歩。誰にもトドメは渡さないとする闘争心。
同時にミノフスキー・ドライブを発振させ、光の翼と共に空中を走り始めたクロスボーンガンダムXP。
左右両方から狙われたグレイズ・アインは両手を地面について、大股を開いて全方位回転蹴りを放つ。何かしらの迎撃はしてくると思っていた。だから懐のメイス2本を手癖のように投げつける。
ぶつかりはしたものの蹴りによって弾かれたハンドメイス2本が宙を舞う。
「使わせてもらうわ」
「最初からそのつもりよ!」
弾かれたメイス1本ずつをフロントチェーンで接続。わたしのメイスを分かち合った2人での回転メイスが空中からグレイズ・アインを叩きつける。
土煙を上げながら地面に穴を開けたものの、それでもグレイズ・アインはへこたれない。空中を縦回転しながら着地すると、狙い始めたのはクロスボーンXP。恐らくビーム耐性を逆手に取られたのだろう。
メイスの接続をそのままにクロスボーンXPがメイスの方へと移動しながらこの攻撃を回避した。メイスを回収すれば、その手で襲いかかる大型アックスの魔の手を防いでみせた。
あの子、判断力がすごい。戦場を広く見ていなければあれだけの芸当はできないはずだ。ならばあの子も強者。羽根つきだし今度戦ってみたくあるわね。
間に割り込むようにクローを突き立てる。判断が少し遅れたグレイズ・アインの右手に大きな傷を残しながら彼は後退した。
そのスキ、見逃すわけにはいかない。地面を蹴って、続くはわたしのターン。
牽制がてらのビーム砲を小手から出しながら、ついでというぐらいにハンドメイスを投げ込む。
意図的にグレイズ・アインの手前に投げ込んだメイスは土煙を上げ、アインの視界を塞ぐ。そう、塞げばセンサーしか見えない。テイルシザーが脳天を貫くように山なりに弧を描き、急転直下。
わずかに軌道をそらされたものの、コックピットの装甲をわずか削った。
「やるわね」
「あんたもよ」
入れ替わるように今度はクロスボーンXPが空中を舞う。
ジャンプしたアインの背中に回ったクロスボーンXPがバタフライ・バスターBを撃ち放つ。もちろん効果はないものの、それはフェイク。本命はそこにはない。
アインが気を取られている内に襲いかかるのはテイルシザーによる間接攻撃。
膝部分を掴んだテイルシザーがギリギリと音を立てながら、両断する。
「これで」「終わりよ!」
アドバンテージを失ったグレイズ・アインと襲いかかるヒートダガーとゼロペアークロー。どちらも同時にコックピットを貫いた攻撃に、アインは耐えられず爆発した。
◇
久々に戦ったグレイズ・アインだったが、それなりに好成績を残せたみたいでよかった。
特にスコアの中にあったコンビネーションボーナス。これが意外と高いポイントを獲得していたらしい。ダイバーポイントがそれなりに美味しかった。
エントランスロビーに戻ってきたわたしたちは反省会もそこそこに、解散するところだったのだが、それにユーナが待ったをかける。
「あのっ! わたしたちとフレンド登録しませんかっ?!」
フレンド。フレンドかぁ。まるで昔のユーカリのことを思い出す。確かあのときは「友達」という言葉で言われていたけれど。
「いいですよ! ほら、エンリも!」
「……そうね」
渋々ではない。ユーナと握手を交わしながらフレンド登録を済ませる。
相変わらず楽しそうに会話しているユーカリとユーナだけど、その輪に混ざっているようで、少しだけ端の位置にいる現代っ子が1人。なんとなく。そうなんとなく気になって彼女の方へと歩み寄っていく。
「何かあった?」
「いえ、大した話ではないわ」
大した話ではない。そう大した話では。
わたしとアヤノは似ているようで少しだけ違う。熱量のようなものが、わずかに異なっているのだ。
わたしの情熱は常にナツキにある。復讐のためにと、あれだけこっぴどく負けた今でもリベンジマッチを楽しみに日夜特訓している。
でもアヤノにはそういうのを感じない。だから気になったのだ。あの場ではファイターだから、と感じたけれどそんな熱いタイプにも見えない。
「グレイズ・アインとのバトル。トドメを刺すだけでよかった場面で、あんたは自分から戦うことを望んだ。それはなんで?」
沈黙と、わずかな表情変化を隠すために扇子が顔を覆う。
やはり踏み込みすぎただろうか。そう考えていると、疑問はあっさり帰ってきた。
「さぁ。分からないわ」
でも。そう口に出して、少し後悔したように顔をうつむける。それはきっと「でも」の続きを言いたくはなかったのかもしれない。
目を閉じ、しばらく考え、言葉が出てくる。
「あの場で語った通りのことよ」
背を向けられないじゃない、ユーナがいるんだから。
か細く聞こえた声の糸がわたしの耳に届くか届かないかの音量がユーナによってかき消された。
「アヤノさん! フレンド登録しない?」
「そうね、これも何かの縁かもしれないし」
その顔は先程までと同じ顔であったが、少しホッとしたような、そんな安心感をわずかに感じられた表情だった。
最後の言葉が聞き取れなかったけれど、まぁいいか。
飛んでくるフレンド申請に、YESボタンを押して許可する。
似た者同士でも、そうでなくても。似た者同士は惹かれ合うと言う言葉がある。
こういう縁は役に立つか立たないか分からないし、あって困るものではないだろうし、大切に保管しておこう。
いつかまた遊べる。そんな欠片同士の邂逅を願いながら。
今、1番ブレガが熱い!!!
◇アヤノ
(ガンダムビルドダイバーズ ブレイヴガールフラグメント:守次奏様作)
現代っ子な少女であり、フォース『ビルドフラグメンツ』のメンバー。
初めての友達であるユーナに対しては、他とは違う感情を抱いているようだが……。
◇ユーナ
(ガンダムビルドダイバーズ ブレイヴガールフラグメント:守次奏様作)
自称「元気だけが取り柄」な少女であり、フォース『ビルドフラグメンツ』のリーダー。
アヤノを慕っており、彼女のことを周りのみんなよりも少しだけ強く想っているみたいだ。